女子学生が「AHO」なことをしています【完結済】   作:ナツコソビオレ

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ちょっと苦手な人がいる時の本田さん

 災害か何かか。

 

 平和そうな町の近くの初心者用エリアに、複数転がる死体、死体。

 一人くらいなら、アイテム不足でちょっとミスという話もあるだろうが、さすがにこの光景でそれはない。

 

「ちょっと、逃げて逃げて!」

 

 観察のようにチラチラ見ていると、誰かに声をかけられる。

 

「何起きてるか、わかるの?」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ、誰か組成できる知り合いいたら呼んできてもらってここは離れて!」

 

 のんびり話はするが、割と切羽詰まった口調。

 

「蘇生まちか…この子達」

「アイテム剥がれたくないですからね、そんな急に諦められないですよ、みんな」

「なる……」

 

 倒れている間ボイチャできないのは、自分でやったことがあるから知っている。

 蘇生は当然できないから、見るか離れるかしかできない…。

 というわけで、じっくり惨状を眺めて、話しかけた人とその場を離れた。

 

「わたくし、ギトスジ=セイヒと申します」

「なんか知らないけど、助けてくれてありがとうね」

「自警団なら、みんなすることですよ」

 

 悪びれもなく、自然と出る堂々とした言葉。

 

 ……うわぁ。

 

 心の中とディスプレイの前で、確実にそう言っていた。

 厄介なの引いたな…。

 義務感と正義感でゲームしてる奴なんて、ろくなものと思えない。

 そういう役割を楽しんでるとしても、ちょっと近づきたくはない。

 私そういう体質。体質だから仕方ない。

 

「ま、大変そうなのはわかりました…あそこにはしばらく近づかないように…」

 

 おまえからもな。

 そう心で言って、そそくさと逃げる態度。

 

「おや、あなた、ボス狩りに来たほうの人なんですね、それは失礼」

「…ボス狩り?」

 

 興味を惹かれる言葉。

 立ち去りたいけど、ずいぶん気になることをさらに山盛りでくれるじゃないか。

 

「違うのですか」

「すまんです、ここの様子とか全く知らなくて…」

「では、再び避難誘導しますので、その合間を見ながら説明しますか」

 

 連れまわす気だ。

 そうきたか。

 なんでかわからないが、そんな方向か。

 しかし、話が気になるので、のこのこ引っ張られる私。

 意志が弱い。

 

「…つまり、フィールドボスが出るからもともと安全じゃないのか、ここ……」

「安全な部類ではあります、ただボスの取り巻きなどを、初心者の多い地帯に誘導するやつがたまにいるのですよ」

 

 ひでえのがいる。

 ちなみに、その間にも誘導する人間数人が私と一緒についてきている。

 

 なるほど。

 

 誘導する初心者と一緒に、同じことを何度も説明する状況の中に入ってもらったほうが早い…。

 そういうことなのか。

 それと、自警団のにいちゃん、私を、一瞥(いちべつ)で高レベルと見抜いてやがった。

 万一の保険として、避難民の盾に使ってやろうというわけだ。

 賢い…賢いなあ。

 私も初心者なのに。

 そんな不満も、人物そのものへの不満もたっぷりあるわけですが…。

 どうにも、いい区切りで逃げる雰囲気にもならず、ギトギトだっけか、自警団の人と、注意喚起の声かけまで一緒にしていた。

 

 気を付けてくださいねー

 あぶないですよー

 

 原因がいなくなったと判明するまでは、システムのようにやり続ける。

 割と時間かかるんだね、こういうの。

 何してるんだと自分で思いはするが…。

 

「いました」

「…ある意味、肩透かしでなくてよかったよね」

 

 そこそこ時間たっていたが、だれも倒してないもんなんだな。

 鎧を着た上に杖を持っているゴリラみたいなのが目の前にいる。

 まだターゲッティングされてないが、たぶん襲い掛かってくる奴だろう。

 とりあえず防御発動で盾だけ構えた。

 明らかに、街のすぐそばでうろうろするのは嫌だなというデカさの武装した敵。

 

「何か気を付けることある?」

「単純に強いですよ、ここのボスはボス自体は弱いのですぐ集団で狩られますが、取り巻きは強いから残したりする場合すらあるんで」

「それで戦後の余ったのを嫌がらせで連れてくるってワケ…?」

「もちろん放置状態のものから必死で逃げて結果的に引っ張ってきちゃう事故もあることは、あります」

 

 その言い方、まず発生しないってことかな…。

 ま、強いのはわかった。

 しかし、当の自警団、それを知って応援を呼ぶ様子はない。

 見つけて、目の前にしてもだ。

 

「やれそうなら、やっちゃう?」

「一応、自警団としてそのつもりです」

「頼りになるねえ~!」

 

 少し誇張気味に、じゃあ任せたと言わんばかりに褒めてみた。

 どのくらいなのか、気になるから強さを眺めて判断したい。

 すごいしたい。

 

「では、私は防御係なので攻撃は…」

「私もガードナイトなんだけど…」

「「………」」

 

 協力って大事だよね。

 そんなわけで攻撃開始。

 2人とも攻撃重視ではないので、叩き込むダメージは1桁だ。

 連続攻撃のボーナスなどがあるとしても。

 さすがに死ぬダメージを受けないとしても。

 日が暮れないか心配だ。

 ぺちぺち新聞紙で殴って人間大の野生生物が倒せるか実験しているみたいだ。

 みんな逃げて!とこれをしながら周囲に言っても、今は説得力がほとんどないだろう。

 私のスキルのせいもあって受けるも殴るもどっちも1桁の列。

 遊びでやってるんじゃないんだよ!?

 いや、遊びでした、ゲームでした。

 話すこともなくなって、そんな無駄なことを考え続ける時間……。

 

「……やっとだねぇ」

「長かったですね」

 

 そんな言葉が相手からも出るくらい、長かった。

 見つけた場所が草の陰に近い目立たない場所だったが、いつの間にか観客もいて拍手すら聞こえてくる。

 いい暇つぶしの見世物だったことだろう。

 

「あ、MP薬ドロップしたよ、ラッキー」

 

 薬の材料を採取してるとわかる。

 これらを集めて専用スキルで作成って、そりゃ高いよ、あの薬。

 今の私じゃ1時間かかって1本分の材料そろってない気がする。

 それを生のドロップでとれるのは、うれしい。

 

「……ドロップ…したんですか?」

 

 疑うようなニュアンスを感じる口調。

 こんなことで嘘ついても、何も意味はないじゃあないか。

 君は何も知らないだけの一般人に疑いをかけるのかい?

 と、言いたかったが…。

 後から考えると、ボスの取り巻きなのだ。

 そいつがいいものを落とすなら、上級者は優先して狙うし、増殖させて稼ぎに走りすらするだろう。

 それを踏まえていれば、詳しく知らないとしても、それは違和感なのだ、と。

 

「あいた!?いたっいたっ痛っ!!」

「次は何だよ、まったく自警団は…さ…?」

 

 周囲の観客にちょっと愛想を振るのに気を向けていたので、そっちは向かず会話してたわけだが。

 見ると。

 自警団の…誰だっけ、ギトギトでいいんだっけか。

 彼が、山に殴られていた。

 何を言ってるかわからねえと思うが、俺にもわからねえ。

 

「あれ、ボスの取り巻きじゃないです!召喚されたやつです!」

「しょーかん?」

 

 すごい間抜けな顔で聞いてた気がする。

 

「こいつくらいのボスを呼ぶつもりで何度もやったテロ・・・」

「おい会話より先に回復…!」

 

 しんだ。

 テロ?

 ……テロ!?

 こいつくらいのボスって、じゃあこいつ…?

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