女子学生が「AHO」なことをしています【完結済】   作:ナツコソビオレ

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実録? 朝霞夢とは何者ですか

「あ゛~~…一度入ると出たくなくなるぅ~」

 

 おふろはいい…。

 体が軽くなった気がして、さらに汗が心地いいくらいになる。

 ヘッドセットってわりとね、暑苦しいんですよ、圧迫感も加わって。

 

 これが。

 

 はぁ、ずっと風呂の中に浸かってオンラインできたらいいのに。

 いや、それはそれで肌管理がズタズタになるな。

 髪も、全体覆う何か買ったり、出費も…。

 そこまでやってるの誰かに見られたくないよなぁ…。

 

 却下である。

 やはり一息というのは大事。

 

 煮詰まると嫌なことばかり思い出すし、そもそもここ数日満面の笑顔で終われたことがない気がする、このゲーム。

 あ、そんなこんなで皆様いかがお過ごしでしょうか、本田です。

 

 じゃない。

 

 ホーンドトールをやってます、朝霞 夢(あさか ゆめ)です。

 

 リア友にPK食らって仲間にガチギレ食らって山に1時間くらい変なもの吐きかけられた朝霞夢です。

 とりあえず採取作業を夜通し続けて、無の境地を得るレベルの虚無時間を過ごした本田さんでもあります。

 

 この時間。

 メンテが入って、その間に攻略サイトで効率のいい草の採取先を探しながらたっぷり風呂でリフレッシュしています。

 ついでに、このMMO始める前にやっていたソシャゲ、スマホゲのログイン回収を20くらいやってます。

 無料10連を見なかったことにしてまで没入できないし!

 

 どっちもやる。

 たまに狩りの最中だって、やる。

 

 化粧水ぺたぺたしながら、アイスをほおばってガチャ。

 はーたまんね。

 お風呂の水化粧水にしてガチャ引きまくれる人生がしたかった。

 そんな思いの、クーラー真下のお昼のひと時。

 夏休み、満喫してるなぁ。

 

 ま、仲のいい友人の過半数が旅行中なんだが!

 クソァ!

 

 うちの学校レベル低いので有名ぐらいに言われてるのに、なんで旅行は気軽にいける経済力つよつよなのがおおいんだか。

 うち一人はカナダに一か月滞在ですってよ奥さん。

 私も連れてってもらえたりしなかったかちょっと賭けてみたかったよ。

 

 いや無理だけど。

 

「おかやんー、アイスもう冷蔵庫にふたっつしかないよぉ」

「はぁい」

 

 だが幼子ではないから、旅行行きたいよと毎日グズったりはしない。

 さてと、十分に暇を満喫し…。

 ゆったりまったりしたが、まだメンテ終わる時間ではない。

 

「コンビニでいいならアイス買ってくるよおかやーん」

「はぁい」

 

 食卓に置きっぱなしの財布を取り、もはや親と共用になっているような着やすいワンピースをひったくり、着る。

 

 日傘は必須。

 サングラスも必須。

 

 熱気をかき分けるような気持ちで、風呂上がりなのに一気にまた汗を浮かべる、最近の俗称本田さん。

 はぁ、剣をリアルでも持ち歩きてえ。

 そんな気持ちを抱えつつ、適当にアイスつまんで、飲み物買って、新発売のアニメキャラのカードウエハースもお駄賃先払いと思って一つ。

 

 帰り道、そういえばと…。

 とある家を眺める。

 数日前私を殺した上に荷物あらかた持ってった友人のおうちである。

 本当に近所。

 しかし、わざわざあがって問いただす度胸までは、ない。

 家にいるだろうとわかってはいるのに。

 それよりアイスとけないように早くしないと。

 

「ただいまー」

 

 手早くアイスを投げ入れ、麦茶とバナナとアーモンドミルクをピック。

 昼食はこんなもんでいい。

 豆乳麦茶はヘルシーな気分になれて飽きなくて最近お気に入り。

 これも、その友達に教わったんだったな…。

 あの学校に入って知り合ってから、割とずっとお世話になりっぱなしだし、嫌いきれない。

 というよりも、その程度では、もはや悪意と言われても冗談で済ましてしまいそう。

 

「複雑だぁ!」

 

 リフレッシュしても、なかなか吹っ切れる感じになっていない。

 ゲーム内でまた会うことになったら、なんていったものか…。

 とりあえず、お金くれって言おう…。

 

「夢ちゃん、おつりどのくらいあった?」

「万券あったけど触ってないよ」

「はいはい」

 

 母だ。

 のんびり屋で見栄えは悪くないが、家事は苦手な母である。

 わが母ながら、なんとも頼りない感じは強い。

 ふらりとキッチンに出てきたそんな母だが、見る目に、ちょっと不安そうな気配を感じていた。

 私も自覚はしている。

 

「大丈夫だよ、おかやん」

「へ…」

「今の学校好きだし、皆勤目指してるし、夏休みだけだから、こんなのも」

「…う、うん」

 

 中学まで割と部屋に引きこもる生活だった。

 そりゃ、急にゲーム一辺倒になっている様子を見たら、元に戻るのかと親は不安にもなるだろう。

 ただ、言った通り学校の仲間は好きで、学校も悪くない。

 だから、これは、夏休み限りだ。

 その間全力でやるが、後腐れなくやる。

 そのつもりだ。

 

「見てみて、おまけで買ったカード、ホロレアあてたよ!」

「お母さん、あんまりわかんないかな…」

「きれいだよねって言ってくれりゃ満足するって!いる?」

「いらないかな…」

 

 返事はわかっているが、ちょっと安心したような顔をさせたので勝ちだ。

 ちなみにそのカード、特に好きじゃないキャラなので幸運とも言い難い微妙さの漂うカードである。

 そうして、見るとそろそろメンテ明け予定の時間。

 

「さて…ひと頑張りするかな」

 

 そう呟いて自分の部屋に。

 ヘッドセットをちょっとエアクリーナーかけて、じっと見る。

 これもまた、そのPKしたほうの友人からもらったもの。

 これあげるから夏休みゲームしようよと言われると断れなかった。

 

 …呪いのアイテムかな?

 

 とはいえ、呪われてても「本田さん」には必要なものなのだ。

 効率のいい採取スポットは混むから、メンテ明けの初動も大事。

 気合がアイテム数を決めるのだ。

 ということで今日も…。

 

 いってきます。

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