問題児たちが異世界から来るようですよ?~God's Paradox~ 作:秦ともひろ
プロローグ
春が近づき仄かに暖かくなってきた三月中旬のある日、柑凪蒼士は屋根の上に寝そべっていた。
「⋯⋯⋯暇だ⋯⋯」
ちょうど高校の春休み真っ只中で同年代は遊びまくっているこの時期に、彼は何をするわけでもなく、ただ屋根の上で寝ていた。
彼がこんなにも暇を持て余しているのには理由がある。
彼は所謂、「天才」であった。何をするにしても大概プロ顔負けになってしまう。スポーツはもちろん、将棋やオセロなどのゲームから勉強においてまで、何をやろうにも全て完璧にこなしてしまうのだった。
それ故に疎まれることが多く、友と呼ぶことのできる存在もほとんどおらずにここまで生きてきていた。
「今日もやることないし、もう帰るか⋯⋯」
そう言い帰ろうとすると彼はポケットの中に入れた覚えのない手紙が入っていることに気がついた。普通なら身に覚えのないものなら捨てるなり、交番に届けるなりするだろう。少なくとも得体のしれない手紙を開けることはないはずだ。
しかし、彼は普通ではなかった。
「⋯へぇ、これは何か面白そうなことが起きそうだな」
彼はあふれる好奇心を抑えながら封を切る。そこには⋯⋯
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その
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「うわっ!」
気づけば空中に放り出されていた。下を見れば大体4000mくらいだろうか。
彼の他にも三人、それと何故か猫も一匹、同じように空中に放り出されている。
このとき、落下に伴う圧力に苦しみながらも彼らは全員同様の感想を抱き、同様の言葉を口にした。
「ど、何処ここ?!」
彼らの眼前には信じられない光景が広がっていた。
広がる地平線は、世界の果てを想起させる断崖絶壁。
地球のものより何倍も大きい湖や森。
その中に悠然と立つ、縮尺を見間違うほどに巨大な天幕に覆われた未知の都市。
彼らの前に広がる世界は―――――――――――完全無欠に異世界だった。
―――箱庭二一〇五三八〇外門居住区画、第三六〇工房。
「⋯⋯うまく呼び出せた?黒ウサギ」
「みたいですねぇ、ジン坊っちゃん」
黒ウサギと呼ばれた高校生くらいに見えるウサ耳で、ミニスカートで、ガーターソックスで、世の中の女性の全てが羨ましがるような究極とも言えるプロポーションを持つ属性てんこ盛りの少女は、肩を竦ませておどける。
その隣では、小さな体躯に似合わないダボダボなローブを着た幼い少年がため息を吐いていた。
「本当に何から何まで申し訳ないんだけど⋯⋯彼らの迎え、お願いできる?」
「もちろんです」
ピョン、と椅子から跳ねた黒ウサギが工房のドアに手をかけると、少年は不安そうに声をかけた。
「彼らは⋯⋯僕達のコミュニティを救ってくれるだろうか」
「⋯⋯⋯。さぁ?まだなんとも言えないですね。でも
クルリとスカートを靡かせて振り返った黒ウサギは、悪戯っぽく笑って言った。
「彼ら四人は⋯⋯⋯⋯⋯人類最高クラスのギフト所有者だ、と」