憎めない   作:第53眷属

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有名ではないが勇敢なドンキホーテの日常と業務について

 

 

"管理職 ドンキホーテに、幻想体O-01-04への愛着作業を命じる"

 

 

 21日目

 

 当人は教育チームでの活躍を認められて、新部門・中央本部へチーフ候補として異動と相なったのだ!

 

 今日はその第一日目、この部門のセフィラのティファレト様らは、心優しかったホド様とは違い、少し厳格なご様子(二人いらっしゃるようでもう片割れは心優しかったのだ)。ううむ、認められるには、今日やってきた新たな幻想体への作業を見事に成功させる他ない!

 

 管理人殿も、その事を理解されているようで、早速当人に作業指示を下さった!

 

 では、早速新たな友達とご対面と行こうではないか。

 

 教育チームより少し広く、長くなった廊下を駆け抜け、隔離室の扉を堂々と開け放ち、その先にいたのは、───なんと愛らしい女子(おなご)であった。

 

 しかも、そのカァステュームは、もしや、いや、抑えるのだドンキホーテよ。相手は幻想体、見た目のままという事は無いのは提灯くんで学んでいるのだ。

 

「我が名は、ドンキホーテにて候!そなたの担当職員である!」

 

「いきなり決闘の申し出とは、いい度胸ね、マイナーアルカナ!」

 

 当人の名乗りを聞いたその幻想体は、どうやら決闘前の口上と勘違いしてしまったようだ。当人とした事が、東部のセンク協会のフィクサーに関してキチンと思い起こせていれば、このような事にはならなかっただろう。反省として、彼ら彼女らについて記された雑誌を三周は読み直さねば。

 

 エンケファリンゲェジを見やるとPEが生産されている。うぅむ?てっきり機嫌を損ねてしまったと思ったのだが。まぁ、PEが生産される分には良いことだ。

 

 それに今は目の前の女子(おなご)の誤解を解く事が先決である。

 

「違うのだ、これは決闘の申し出ではござらん。誤解である。当人に其方を害するつもりは無い!」

 

 そういって、提灯くんのハンマーを床に置き、当人は懸命に対話を試みる。

 

「騙されないんだからね!上手く隠しているけど、とっても濃い赤色の揺らぎが見えるんだから!それにその服!そんなにもお腹を空かせて口まで増やすなんて」

 

「この服は、我が友・提灯くんから貰ったものである。提灯くんは確かにいつもお腹を空かせていて、いつも隙を見ては脱走して、新人くんやオフィサー諸君を食べようとするが、その前にげんこつを見舞えば素直に帰ってくれる、根はいい奴なのだ!」

 

「何よそれ、いい奴要素どこにもなく無い?なんだか迷惑なかまってちゃんって感じだし」

 

 再びPE BOXが生産される。加えて、かの幻想体は一先ずステッキを下ろしてくれたようである。取り敢えずは、安心なのである。

 

「その、友達付き合いって大事よ。悪い奴とずっと一緒にいると魔力が悪に染まっちゃって、段々行動まで似てきて貴方まで悪い奴と勘違いされちゃうの。これは魔法少女からのアドバイス」

 

 その誤解を解くダシとして、提灯くんを使ってしまった形になるのは、些か不本意ではあるが、まだ時間はあるとも。彼女がしてしまった提灯くんへの誤解は時をかけてゆっくり解いていけば良い。友達は多い方が良いに決まっているのだ。

 

 しかし今は、

 

「うぇっほん、ええと、もしやそなたは、本当に…魔法…少女、でありまするか?」

 

 入室時からずっと、気になっていた事を聞くことが先決であろう。

 

「ふっ、もちろんよ〜、悪いアルカナ達をやっつけるために戦う魔法少女!」

 

「うぉおおお!!!そ、それならば。あの伝説的な本に登場する魔法は実在し、その洒落たカァステュームは恐らく、ま、魔法の力の力を集めるためにあるマァジカルでムィラコゥーなヒーロー装束であろうか!」

 

「その通りよ!えっ、貴方もしかして私達のファンの人?」

 

 私達、という事は他にも魔法少女がいるという事であろうか。否、今は目の前の彼女に集中せねば。

 

「当人、正義を志し、悪人を誅する、そのような素晴らしい物語が大の好みであるが故に、フィクサーのファンであり、あらゆる正義を志す人のファンであり、無論、そなたらのファンであるとも言えよう」

 

「わぉ、私にも遂にファンガールが出来ちゃった!ふふん、ファンサービスでもお一つ如何?」

 

「おおぉぉぉ、それは、是非、是非とも願いたい」

 

「アルカナ⭐︎ビート!からの〜chu♡」

 

 かの者は、完璧とも言えるポーズを決め、こちらに投げキッスを賜った。(本当にハァトが見えたが、やはり魔法の成す芸なのだろうか)それと同時に、PE BOXが一作業における限界まで生成され、作業終了のアラームが鳴る。

 

「おぉぉぉ、感謝感激なのだ!……こんな場面で言うのも大変心苦しく、申し訳が無いのだが、当人はそろそろ行かねばならぬのだが」

 

「えー、まだ話している途中なのにー、まぁしょうがないか。お仕事がんばってね!」

 

「声援感謝するのだ。では、再び縁があればまた会おうぞ」

 

 そうして、当人の中央本部での初業務は、PE生産率100パーセントという幸先の良い門出を果たしたのだ。

 

 

 ▲

 

 

「───それでぇウーティス殿〜、当人の活躍をティファレト様が何故か評価してくれないのでありまする」

 

「チーフと……いや、配置換えで今や貴様もチーフ候補だったな。しかしそれは確かに妙な話だ。未知の幻想体への初作業で、完璧なエネルギー生産を行ったことは、嘘で無いのなら評価して然るべき業績だ」

 

 黎明の試練、色は琥珀

 

 中央本部は、今までの部署で1番大きいのにも関わらず、管理職として配属されたのは当人と名も知らぬもう一人のみであった。そのもう一人は、何故か姿を見せぬ(O-01-04の隔離室に駆け出す前に後ろに誰かいた気もするが、きっと気のせいであろう)が故に、この広い部署に現れた完全食共を、他の部門に逃げる前に当人一人で退治するのは、少し骨が折れる、そう思っていた折、なんと教育チームから元上官のウーティス殿が救援に駆けつけてくれたのだ!

 

 かの魔弾EGOに掛かれば、中央本部の広く長い廊下を全て射程に納める事など造作も無く、当人が事務職諸君をできる限り逃した後、廊下にいた完全食共は一撃の元に一掃されたのである。

 

「ふむ、考えられる原因は……そうだな、貴様がその幻想体を真の意味で管理したとはまだ言えないという可能性だ。確かにこの会社においてエネルギーを効率良く生産する事は至上目的であるが、一部の幻想体に限り、それとは別の項目がある事は貴様も教育チームで習っただろう」

 

「うむ、クリフォトカウンターでありまするな。確かに提灯くんみたいに上手く作業できたとしても、隔離室を飛び出してしまうことは考えられまする」

 

 提灯くんはしっかりと構ってやらないと、すぐにかくれんぼを始めてしまうが故に、当人も少し手を焼いたものだ。特に、出世して忙しくなったが故に隔離室でダラダラ出来なくなった先日では最初からかくれんぼに付き合ってやる腹積りで作業を始めたりなんてことも。

 

 無論、比較的忙しくなくなる残業の時間などは、腰を据えてじっくり構ってやることも出来るのだが。

 

「がしかし、当人が作業を終えた後、かの幻想体のクリフォトカウンターが下がっている様子は無かったのだが……」

 

「では、クリフォトカウンターの減少条件が別にあるという事だ。つまり、その幻想体を管理する上での最も難関なポイントは別にある可能性が高い。セフィラが貴様のエネルギー生産を評価しなかったのも、そういう事であるかもしれないな」

 

 なる、ほど?

 

 確かにまだ一度しか作業していないが故に、かの幻想体を制したと判断するのは時期尚早かもしれぬ。ふむ、どんな英雄的な偉業も小さな一歩から始まるもの。それは友人関係(幻想体を人間扱いするとウーティス殿に小突かれてしまう)もまた同様なのだ。

 

 気長に、次へ期待しながらやっていくとしよう。

 

 思案はここまで!

 

 さて、完全食の遺骸を片付ける手伝いと行こうではないか!

 

 

 

 

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