迷宮とエッチなハーレムを求めて   作:銀の城

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誤字報告感謝します。

連載再開します。これからもよろしくお願いします。


迷宮とエッチな日常③

「行ってらっしゃいませ」

 

 朝、ロザリーに見送られてクラリスと二人で家を出る。目的地は当然迷宮だ。

 ロザリーを『冒険者』にすると何度か言っているのに、一度も迷宮に連れていけていない。昨日は俺が金策のためにコボルトをボコボコにして、今日は家具が届く日だからロザリーには家にいてもらわないといけない。なんか、こう、行き当たりばったりだ。おかしい、俺は予定を立てられる男のはず。

 

「今日は椅子と机、食器棚が届くから調理器具を買いに行くか。その時に一緒にお昼も済ませよう」

 

「かしこまりました」

 

 うん。予定を立てるのは大事だ。実績を考慮しても、その実行力については疑問が残るけどな!

 クラリスを連れて【十二番】の迷宮に入り、ダンジョンウォークで待機部屋まで移動する。こういうゲームっぽいシステムでマジ助かります。

 この間は長い事迷宮の中をさまよって大変だったからな。マッピングもしてないし。

 ・・・・・・ということは、一日で待機部屋を見つけられなかったら大変なのでは? だって一度通った道なんて俺は覚えられないし、風景も一緒だし。

 マッピングは必要か? あーもー。ボス前に余計なことに気が付いてしまった。後回しだ、ボス優先。

 

「コラージュコーラルは戦ったこともあるし大丈夫だな?」

 

「はい、問題ないと思います」

 

 クラリスの元気な返事だけが俺の癒しだよ。

 

【十二番の迷宮・四階層・コボルト】

 

 危なげなくコラージュコーラルを撃破、四階層に進んだ。この階層からは魔物が三体の組み合わせで出てくる。大丈夫だとは思うけど、俺たちよりも数は多い。そのことに十分注意して進もう。

 

「クラリス、わかっていると思うけど、四階層からは魔物が最大三体出てくる。この階層はコボルトが混ざるから大丈夫だとは思う。だけど、俺が受けきれない分は自分で対処してほしい」

 

「大丈夫です。ご主人様のようにボスを正面から相手取るわけではありませんから、階層の魔物程度なら後れはとりません」

 

 クラリスが力こぶを作ってやる気を見せてくれる。かわいい。服で二の腕見えないけど。

 勇ましいクラリスは非常にかわいいが、気負う必要は全くない。最大三体というだけで常に三体の組み合わせじゃないからだ。一体や二体の場合もあるし、この四階層はコボルトの階層だ。一体でもコボルトが混ざれば居ないのと同じ。いつものようにクラリスの全体魔法で燃えてなくなるし、そうでなくても俺が早々にダブルスキルで倒すさ。だから。

 

「そうだ。クラリス、少し話がある」

 

「なんでしょうか?」

 

 コラーゲンコーラルに止めをさしながら雑談する余裕まである。

 

「この間、えっと、一昨日だ。一昨日は待機部屋を探すのに手間取っただろう? 最後には見つけられたから良かったけど、二日三日と探索することになったら地図を描く必要がある」

 

 ゲームのダンジョンだったらインターネットとか調べればすぐに地図とか見つかるから、そういうマッピングとかゲームメモとかしたことないんだよな。経験が全くない。

 

「そうですね。通常のパーティは階層をぐるぐる回って魔物を倒します。けど、ご主人様はボスを倒すことが目的です。道に迷うのは困りますね」

 

 クラリスの言う通り、時間的ロスなんだよ。

 モチベーションにも影響する。他のパーティは魔物を倒すことが目的だから迷宮をうろついてもストレスはない。でも俺は迷宮を踏破してボスに挑むことが目的だ。いつまでもボスにたどり着けないとイライラがつのるし、ストレスだ。モチベーションを維持するためにも地図は必要だと思う。

 

「ですが、地図はギルドで売っているでしょうから、必要なら購入すればいいと思います。ここ、十二番の迷宮は確か・・・・・・十三階層まで攻略が進んでいたはずです。ご主人様の目的のウドウッドがいる六階層までの地図はあるはずです」

 

「・・・・・・なるほど」

 

 あー。俺、それ知ってる〜。原作でもクーラタルの迷宮は騎士団が地図を売ってたじゃん。忘れてた。いや待て。迷宮は基本討伐するものだから、いくらこの街が迷宮を七つも抱えているといっても地図までは置いてないんじゃないか?

 

「クラリスの言うことは一理ある。けど、上まで探索が進んでいる・・・・・・六番? の迷宮なら兎も角、十三階層までしか進んでない十二番の迷宮にはないかもしれない」

 

「五番ですよご主人様。十三階層付近はないかもしれませんが、六階層まではあるかもしれません。それに地図を売ればお金になりますから、可能性はあると思いますよ」

 

 むむむ。これまたクラリスの言う通りだ。一理あるどころの話じゃない。地図なんてかさばらないし、保管しておいて必要な時に写せばいい。俺みたいなやつ相手に売れるならなおさらだ。ギルドには地図があるかも。

 

「はぁ。今からギルドに・・・・・・やめた。昼だ。昼にしよう。とにかく昼まで探索! 今日は元々食器とかいろいろ買う予定だからその時についでにギルドに顔を出すことにする。今決めた」

 

「ふふ。かしこまりました、ご主人様」

 

 笑われたけど、クラリスのかわいい顔が見れたからいいか。

 

 

「おお、殺風景だったリビングがようやく家らしくなったな」

 

 ロザリーに卓上箒でほこりを掃ってもらいながら届いた机と椅子を見る。ほぼ正方形の机が二つ並んで長方形に、その周りには長椅子が四つ、誕生日席に立派な椅子が二つ。これがロザリーが細かい注文をしたという俺とクラリスの椅子か。確かに素人目に見ても良い出来栄え、というか、たぶんこれマジの貴族用の椅子だ。座る所とか革だし。豪華な装飾とかはないけど、美しい模様が彫られてる。

 

「随分と立派な椅子だ。こんなにいいものを頼んでいたのか」

 

 十万もするわけだ。もしかしてほとんどがこの椅子の料金じゃないのか? 机と長椅子はそれほど高そうに見えないし、キッチンにある食器棚も普通の棚だし。

 

「いいえ。確かによい仕上がりですが、これは職人を信頼して料金を先にお支払いした旦那様の人徳によるものです。私の注文ではございません」

 

「そうなのか。ロザリーの注文はどんなものだったんだ?」

 

「机、椅子、棚とそれぞれ適した木材を使うように注文いたしました。例えばこちらの机は熱に強く、日焼けしにくい木材を使用しております。あちらの食器棚は湿気に強く、また臭いを取り除いてくれる木材を、旦那様と奥様の椅子は柔らかく柔軟性のある木材で、長時間座っていても全く苦にならないそうです」

 

 ロザリーの目が輝いている。これは、褒めるところだよな?

 

「そうか。よくやった」

 

「もったいないお言葉です」

 

 恭しく頭を下げるロザリーは大変美しい。

 よかった、正解だった。

 

「しかしロザリーは木材に随分と詳しいんだな。俺は木材に種類があることくらいしか知らないから驚いた」

 

 日本なら桐たんすとか檜風呂は知っているけど、この世界にも同じような木があるんだな。

 ロザリーはすごいな、よく知ってる。

 

「いいえ旦那様。私は木材に詳しくありません。職人に用途に分けた木材を注文しただけです」

 

 そういうことか。ロザリーが博識なのかと思った。ただでさえ有能なのに、さらに上があるのかと思って驚いちゃったよ。

 ロザリーを連れてクラリスと三人で街に向かう。

 まずは食事だ。

 レストランは通りに何軒かあって、店選びはいつもクラリスに任せている。俺はあまり冒険しないタイプだから、俺が選ぶと同じ店になってしまう。

 クラリスは逆に好奇心旺盛で、あっちこっちの店に目移りしてなかなか決まらない。俺はお肉が食べたいからそこだけ考慮してくれれば後はなんでもいいよ。

 

「見てロザリー。ここのお店はお魚料理がおすすめらしいわ。私まだ食べたことがないの、入ってみない?」

 

「魚料理は食べる人を選びます。奥様のその挑戦的な姿勢は美徳ですが、一度も食べたことがないのであれば魚料理はおすすめできません。よろしければ今晩私がご用意いたしますので、一度家で召し上がってみてはいかがでしょう」

 

「まあ、そうなのね。でも今晩からはロザリーがお料理してくれるでしょう? なら外で食べる機会がぐんと減ってしまうわ。今のうちに食べてみたいのだけど、ロザリーがそう言うならやめておきましょうか」

 

「奥様がお願いすれば旦那様が連れてきてくださいます。今日はあちらで食事をしませんか? あちらの食堂はスープが絶品だと聞きました」

 

「スープ・・・・・・よし、決まりね。ご主人様、あそこのお店で食事をしましょう!」

 

 決まったか。もうお腹ペコペコだよ。

 今日の昼食は美味しいスープを提供してくれるレストランに決まった。

 ここは魔物素材を使ったレストランらしく、具に蛤が入っていて出汁は竜皮で取っているめちゃくちゃ贅沢なスープだった。その分高かったけど。

 

「本当においしい。蛤は食べたことがあるけれど、竜皮で煮込むとこんなにおいしくなるなんて」

 

 貴族令嬢だったクラリスは流石に食べたことがあるらしい。俺は蛤を食べたことがないな。貝で食べたことがあるのはアサリの味噌汁くらいか。

 

「とてもおいしいですね」

 

 ロザリーはポーカーフェイスだからわからないけど、たぶんはじめて食べたよね。俺はまだこの世界に慣れてないし、情報が原作しかないから偏ってるけど、蛤は高級食材だ。蛤の身を食べるのは貴族や奴隷の主人くらいで、奴隷は蛤の出汁でもごちそうだ。

 

 食事が終われば次は冒険者ギルドだ。クラリスと話していた地図を探す。売っているようなら買う。

 

「ここには迷宮の地図はあるか?」

 

「ございます。奥の資料室で閲覧できます。持ち出しは禁止、写すのは自由です。ギルドで写したものを一階層二十ナールで販売しています」

 

 インクや紙を買うのも面倒だし、ここで買っておくか。

 

「それなら十二番の迷宮の地図を買いたい。四、五、六階層の三つだ」

 

「三つで、ええと、六十ナールになります」

 

 受付の女性からボロボロの紙を受け取る。いやがらせにしか見えないけど、これがパピルスか。メモ用紙くらいにしか使えない劣化の早い紙だ。これって羊皮紙でも買えるのかな。買わないけど、絶対高いし。

 

「クラリスの言う通り売っていたな。これならすぐに六階層に行けそうだ」

 

「お役に立ててうれしいです」

 

 次は食器や調理器具だ。これはすべてロザリーに任せる。使うのもロザリーだけだし、物の良し悪しは俺にもクラリスにもわからないからな。

 いったいどれくらい時間がかかるかと思ったけど、案外あっさりと買い物は終わった。どうやら自分の持ち物にはあまり頓着しないらしい。

 

「買い物も終わったし、迷宮に行こう。そろそろロザリーを連れて行こうと思ってるけど、何かある?」

 

「旦那様の決定に従いますが、夕餉の準備はいかがいたしましょう」

 

「うーん。今のうちに食材を買っておいて、迷宮から帰ってから料理はできる?」

 

「ではそのようにいたします」

 

「ロザリー、お魚料理お願いね」

 

「お任せください」

 

 今日の晩御飯はお魚に決定しました。ここで俺が肉がいいとかいうとメニューが変わってしまうから黙っておくか。正直あんまり魚好きじゃないけど。

 

 

【十二番の迷宮・四階層・コボルト】

 

「こんなに簡単にボス部屋に着くならもっと早く地図を買っておけばよかった」

 

 クラリス、ロザリーと仲間になってからはじめての三人パーティは地図のおかげもあって順調に進み、拍子抜けするくらいあっさりと待機部屋にたどり着いた。

 

「これなら夜までに六階層のボスに挑めそうだ。ロザリー、これからボスと戦うけど、今日は見学だ。ボスとは距離を取って戦わず攻撃の当たらない場所にいろ」

 

「かしこまりました」

 

 とはいっても、相手はいつものコボルトケンプファーさん。四階層に格上げされても最弱の名はそう簡単に覆らない。コボルトケンプファーを倒して五階層に進んだ。

 

【十二番の迷宮・五階層・ナイーブオリーブ】

 

 五階層ではじめての相手はナイーブオリーブだ。

 

鑑定

 ナイーブオリーブLv5

 コボルトLv5

 

「―、―、ファイヤーストーム!」

 

 コボルトは五階層でもクラリスの魔法で一撃。一体になったナイーブオリーブはダブルスキルで倒した。

 

「うん、五階層でも戦えるな」

 

「はい。ご主人様のいうとおりボスとばかり戦っていましたが、強くなってます」

 

 クラリスが不思議そうに右手を開いたり閉じたりしてる。今のクラリスは『魔法使い』レベル18。とっくに駆け出しは卒業しているけど、ベテランというほどでもない。

 キャラクター再設定の『獲得経験値十倍』はパーティ-メンバーのクラリスにも効果があるから十倍の速度で強くなっているからね。経験値うまうまです。しかもボスを相手に周回をしている。強くならないはずがない。

 ナイーブオリーブのドロップアイテムを拾ってロザリーを手招きする。

 

「これはオリーブオイルだ。今は俺のアイテムボックスにいれるけど、いずれはロザリーに持ってもらうから」

 

「かしこまりました」

 

 材料が全然ないから今日は作れないけど、いずれはこのオリーブオイルで揚げ物を作ってもらうからよろしくね。あと、ロザリーのジョブはこっそり『探索者』に変えておいたよ、経験値がもったいないから。もうレベルが7になってるよ。言わないけど。

 ロザリーには明日にでも探索者ギルドで『探索者』になってもらおう。そうしたら──そうしたら?

 待て待て待て。そうしたら、ロザリーは既にレベル7の『探索者』? ジョブを変えたばかりなのに、一度も『探索者』になったことのないロザリーが既にレベル7?

 ・・・・・・やらかした!? やっばい!? そうだよ、というかそうなんだよ。なんでよりにもよって唯一レベルがわかる『探索者』でやらかすのかな!? 馬鹿なの!? 馬鹿です!

 経験値うまうまとか言ってる場合じゃない!

 

「旦那様、どうかなさいましたか?」

 

「いや、なんでもない」

 

 落ち着け落ち着け。既に終わったことは変えられない。

 ひとまずロザリーのジョブは『村人』に戻しておこう。これ以上『探索者』のレベルが上がったらごまかすのも大変になる。

 どうしよう。ここか? ここが秘密を打ち明けるタイミングなのか? こんなしょっぱいミスが原因とか嫌なんですけど!? ちくしょう、自業自得だからなんも言えねぇ。

 でもごまかす方向で考えても俺の頭じゃなにも思い浮かばない。

 

「ロザリー? ご主人様、どうかしましたか?」

 

「ああ、大丈夫だ、問題ない」

 

 とにかくだ。今は考えるのをやめよう。迷宮の中は危険だ。戦闘中のよそ見は厳禁だって漫画で読んだ。

 今は六階層のウドウッドに集中だ。地図のおかげで今日中に『薬草採取士』は取れる。問題は一旦置いておこう。

 

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