迷宮とエッチなハーレムを求めて   作:銀の城

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「みえる」さん
誤字報告に感謝します。


クラリス③

クラリスにハレンチ呼ばわりされた後、ワンド系の武器を買いに行くと言う俺の提案は無くなった。

 俺はこれからもクラリスのことを遠慮せずに抱くつもりだったから、足腰が立たなくなった時のために、ワンド系の武器が必要になるだろうと提案した。しかし、クラリスに「そんな事より早く性奴隷を買って私の負担を減らして下さい」と言われてしまった。

 どうやら俺はクラリスとの初体験に失敗していたらしい。どうにも性的な事に対してクラリスが及び腰と言うか、消極的になっている気がする。

 今夜はもう少し手加減をするべきか。それとも、諦めの境地に至るまで攻め立てるべきか。うーん、確かにこんな事を考えている俺はスケベだな。

 

「クラリス、どうして、こんなに愛、してるのに、そんなに、じゃけんに、するんだ?」

 

「んっ。ああっ。ご、ご主人様の気持ちはわかりました。だからぁ、もう少し、ゆっくりっ。うっ。あん、だ、だめ。また、イㇰ」

 

 クラリスがどんどん可愛くなっていく。気持ちよくなる瞬間にギュッと抱きしめてくれるところとか、俺の息子からミルクを搾り取ろうとする壺の動きとか。

 てっぺんを越えると少しの間放心して、素直にキスを受け入れて俺に舌をなぶられる。

 愛らしい。

 

「ほら、何をしてほしいの? 君のご主人様に教えてごらん。クラリスは何が好きなの?」

 

「あ、あ。ごしゅじんさまぁ。すきです、だいすきぃ」

 

 俺の気持ちが爆発した。

 

 

「クラリス下がれ!」

 

「っ!」

 

 バルタークの迷宮、三階層ボス、ハチノス。

 簡単に言えばデカい牛だ。

 三階層にはミノと言う筋肉質な牛が出る。その一回り大きい牛がハチノスだ。

 今まで戦ったボス、コボルトケンプファーはナタを持ったコボルトで、コラージュコーラルはデカいコラーゲンコーラルだった。

 コボルトケンプファーは雑魚。コラージュコーラルはデカいだけで動きは鈍い。

 ハチノスは今までのボスとは違ってよく動く、忙しないヤツだ。

 デカい牛が正面から突っ込んでくるのは正直怖い。でも、これを受け止めるのが俺の役目だ。しかし、それでクラリスが全く安全になるわけじゃない。

 正面を俺が受け持っている間も、思い出したように後蹴りがクラリスに向かって飛んでいく。必然的に俺への圧力がなくなるので、そのタイミングに合わせてクラリスに声を掛ける。

 コラージュコーラルの時よりも俺の攻撃頻度が下がり気味だ。

 ちょこちょこダブルスキルで攻撃を加えてるけど、盾で突進を受け止めるとどうしても俺の動きが止まる。

 

「―、―、ファイヤーボール!」

 

 ボス戦三度目の炎がハチノスを燃え上がらせる。ここだ! ダブルスキルを食らえ! 俺のスキル攻撃が筋肉質な肩の上に食い込む。

 

「ふう。朝から戦ってるけど、まだ慣れないな」

 

 倒れたハチノスが煙になって消えた。今までで一番疲れるボスだ。

 何度戦ってもあの凶悪な顔に体が固まってしまう。

 攻撃を受け止める度に左手がしびれる。

 こっそり『僧侶』のジョブをセットして回復魔法で治してるけど、あまり良くならない。HPとは違うところが消耗してる気がする。

 

「大丈夫ですか、ご主人様。左手に違和感があるようですが」

 

 こっそりしてるつもりが思いっきりバレてるよ。隠す才能ねぇな、俺。

 

「戦うのに支障はないよ。けど、正直疲れたな。次の休憩は迷宮の外で長めに取ろう」

 

「! 驚きました。ご主人様もお疲れになるのですね」

 

 俺を一体何だと思っているのか。

 ああ、朝からボスを周回する頭のおかしいご主人様か。全く反論できないな。実際この世界の基準で考えると俺は相当に頭のおかしい人だ。周回はやめないけど。

 

「私が休んでいる間もご主人様は平然としておられたので、てっきり疲れ知らずだと思っていました」

 

 一応元運動部ですから。

 毎日走ってたから体力には自信があるよ。三年間ベンチを温めてたけどね。

 むしろ、いつもとは違う筋肉を使うから走るより疲れやすいと思う。

 

「まあ体力はある方だよ。ほら、ベッドの上でもクラリスの方が先に眠るだろ?」

 

「ハレンチです!」

 

 クラリスが顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。

 眠っている間にクラリスの胸を登頂したり、さくらんぼを虐めたことをまだ怒ってるみたいだ。でも、朝に口移しで水を飲ませたときはクラリスから求めてくれたのに。あれはすごくかわいかった。

 

「そろそろお昼だと思うから一度宿屋に戻って食事にしよう。それから前にクラリスが教えてくれた港町に行ってみないか?」

 

「港町・・・・・・クベリークのことですか?」

 

「それそれ。一度どんな街か見てみたいし、気に入ったら家を借りて宿暮らしからおさらばしよう」

 

 原作にはクーラタルという街が出てくる。街の中央に迷宮を抱える、主人公ミチオが居を構えた街でもある。

 残念ながらこの世界にそんな街はない。クラリスにも確認した。ちょっとだけ残念だ。五十階層を超えてる迷宮は珍しいから、将来を見据えて確保しておきたかった。

 

「クラリスは知ってるかな。最上階の五十階層を超えてる迷宮。昔からある古いやつ」

 

「聞いたことはあります。何処にあるとまでは存じませんが」

 

 あるんだ。けど、あってもおかしくないのか。

 万能薬エリクシールの素材が五十六〜六十六階層のどれかのボスから低確率で手に入る。配置は二十三階層から三十三階層の焼き回しだから予めわかる。

 万能薬は本当にどんな傷も病気も治すらしいから、みんな欲しいだろ。でも、できたばかりの迷宮の最上階は五十階層。だからあえて討伐する事なく生かしている迷宮もあるということだ。

 

「分かった、ありがとう。俺たちが五十階層に挑めるようになったら探そうか。それじゃあ小部屋で装備を外してからご飯にしよう」

 

 いつものようにボス部屋を出てから『ダンジョンウォーク』で小部屋に行く。

 クラリスが脱いだ装備をアイテムボックスにしまっていく。俺もブーツを残して全部アイテムボックスへ。クラリスには槍の代わりに片手剣のシミターを渡す。

 俺も防具と盾はしまってもエストックは腰に佩いている。

 町中であっても身を守るために武器は身に着けるべきだと、クラリスに言われてから佩剣する様になった。

 町中で武器を持つ。その感覚はまだ分からない。けど、そういうモノなんだと取り敢えずは納得した。郷に入っては郷に従えと言うしな。

 あ、忘れるところだった。

 

「クラリス、ちょっとまって」

 

「はい。どうしまし――っ!」

 

「ん。んー。ちゅ。キスするの忘れてた」

 

「は、はれんち、ですぅ」

 

 消え入りそうなクラリスの声がすごく甘かったので、壁に追い込んでもっと深いキスをした。

 

 

 宿屋に併設された食堂。

 俺はサラダのセットを取り、クラリスも同じモノを食べている。

 迷宮を出た時はまだ昼には早かった。だから、道中の武器屋と防具屋を冷やかして時間を潰した。

 防具屋でジャケット装備を見つめるクラリスがすごくかわいかった。まだ完全に諦めきれないみたいだ。クラリスがお願いするなら本当に買い替えるけど、どうなるかな?

 防具屋ではアクセサリーもチェックした。空きスロットが四つある物を探したけど、多くても二つしかなかった。指輪をクラリスにプレゼントしようかとも思ったけど、今はだめかな? 前も杖を買おうとしたら、それより奴隷を買えと言われたしな。

 じっとクラリスを見つめる。

 

「・・・? どうかされましたか?」

 

「綺麗な所作だと思ってね。もし俺が貴族になったら、その時はクラリスに作法を教えてもらおうかな」

 

「ふふ。厳しくお教えしますよ」

 

 かわいい。

 食事を終えると冒険者ギルドへ向かう。クベリークへ連れて行ってくれる冒険者を探したけど、直接跳べる冒険者はいなかった。クベリークに向かうには幾つか街を経由する必要があるらしい。

 

「ならまずは帝都に行ったらいいのか? あそこなら色々跳べるだろ」

 

「いいえ。帝都よりもハリンカに行くことをお勧めします。ハリンカからホデク。ホデクからスコパル。スコパルからクベリークへ行けるので帝都を経由するよりも回数が少なく済みます」

 

 冒険者ギルドで恐ろしく丁寧な対応を受けた。クラリスの効果がすごい。貴族のクラリスではなく、エルフのクラリスへの対応みたいだけど、人間族とエルフ族の対応の差が酷い。

 ゲームのNPCより心無い人だったのに、クラリスが顔を出すと目的地への道順まで教えてくれたぞ。ここまで来ると怖いよ。

 

「それではハリンカまで飛びます。私をそちらのパーティに加えてくれますか」

 

「分かった。―、―、パーティー編成」

 

 ハリンカに送り届けてくれた冒険者のエルフとはすぐに別れて、次の冒険者を探す。これを繰り返してホデク、スコパルへ。そして目的地のクベリークに着いた。

 

「ここがクベリークです。それでは私はこれで」

 

 クベリークに連れてきてくれた冒険者の男はスコパル行きの客を探してそのまま帰っていった。

 

「まだ冒険者ギルドの中なのに、もう磯の香りがするな」

 

「いそ、ですか? 嗅いだことのない匂いですが、ご主人様はご存じなのですか?」

 

「うん。これが海の匂いだよ」

 

 ギルドの外に出れば目の前は大きな港だった。大きな商船がいくつも停泊している。なかでも帆が四つある船は圧巻だ。今も水夫らしい男たちがせっせと木箱を下ろしている。

 あっちには漁船が釣ってきた魚を船から降ろしてるし、こっちには客船まである。あれが街道が分断されても人の移動が活発な理由か。

 いろんな船がある。あれは遊覧船の類いかな? とにかく活気のある街だ。

 

「すごい人だな。こんなにたくさんの人を見るのは決闘のとき以来だ」

 

「驚きました。特別な日ではないにもかかわらず、これほど人が集まるものなのですね」

 

 クベリークと比べても街の規模からして違う。港町は発展しやすいって何かで読んだけど、こんなにか。すごい。

 

「海の匂いにつられて、思わずギルドから出てきちゃったけど、先に迷宮の情報を調べようか。ギルドの壁に情報が貼り出されてるはずだから」

 

「それもそうですね」

 

 冒険者ギルドの壁は張り紙だらけだ。掲示板とか、コルクボードはあるけどそれをはみ出して壁を覆っている。

 

「すごいですよ。迷宮の情報が七つもあります。一つは三十三階層まで攻略が進んでいるようですね」

 

 三十四階層から上は一階層の焼き回しだから無いとして、七つの内一つだけか。本当にあまり攻略に精を出してないらしい。クラリスに代わりに読んでもらうと残りの六つの迷宮の攻略はあまり進んでいない。上は十三階層、下は八階層だ。

 

「差がひどいな。もしかして三十三階層まで攻略が進んでる迷宮は討伐予定なのか?」

 

「いいえ。おそらく他の迷宮を上まで攻略する必要が無いからでしょう」

 

「どういう事?」

 

「低い階層の攻略情報が多いのはそれだけ迷宮に挑む人が多いからでしょう。一つの迷宮に集中すると魔物の取り合いや、ボス部屋の待ち時間が長くなってしまいますから。上の階層はその逆に人が少なく、取り合いになることはありません。三つも四つも上の階層まで攻略する必要がないのです」

 

 なるほど。言われてみれば迷宮でお金を稼ぐ場合、無理して上の階層に行く必要はない。低い階層ならドロップアイテムで安全に稼げる。上の階層は儲けも増えるがその分危険だ。俺も今は低い階層でジョブのレベル上げや三十二倍で金策をしている。

 

「あとは単純に報告をしていない人もいると思います。稼ぎの良い階層を独り占めしたい方はいらっしゃいますから」

 

 稼ぎの良い階層とはなんだろう。危険な組み合わせは聞いたことがあるけど。

 俺が極端に嫌ってるグリーンキャタピラーとニートアントとスパイスパイダーとか。拘束、毒、毒と最悪すぎる。

 低い階層だと、ミノとニードルウッドがどちらも確定ドロップで稼ぎがいい。・・・・・・これか!

 なるほど。これが稼ぎの良い組み合わせか。

 

「迷宮を区別するための名前は書いているか?」

 

「三十三階層まで攻略している迷宮が『五番』。他は『九番』『十二番』『十三番』と番号で呼ばれているようですね。連番ではないことは分かりますが、どういった基準で名前を付けているのでしょう?」

 

「いや、たぶん連番だよ。消えてる番号は討伐し終えた迷宮なんじゃないか?」

 

「そうでしょうか? そう考えると今まで二十一個の迷宮があった事になりますね。ほら、あれが『二十一番』の迷宮です。ご主人様の推測通りなら一番新しい迷宮ですね」

 

 多いな。二十一個中十四個を討伐しているのもすごいけど、本当に近隣に七つも迷宮があるのか。

 

「クラリス、ニードルウッドかスローラビットが一階層に出る迷宮はないか?」

 

 ニードルウッドのボスはウドウッド。ドロップアイテムのリーフを拾えば『薬草採取士』のジョブが手に入る。リーフは毒消しの素材にもなるからたくさん確保しておきたい。

 スローラビットのボスはラピッドラビット。ドロップアイテムのウサギ肉は美味しいらしいから、家を借りたとき食卓を彩ってくれるはずだ。あと、適度に強くて訓練にちょうどいい。

 

「そうですね。二十一番の迷宮がちょうどいいと思います。三階層がニードルウッドで四階層がスローラビットです」

 

「一階層に出る迷宮はない?」

 

「ありません。後は九番の迷宮が二階層にスローラビット、五階層にニードルウッドが出るようです」

 

 うむむ。欲しかった一階層のスローラビットはないのか。ボスのラピッドラビットは動きが素早くて特訓にもってこいだが、上の階層だと攻撃力が高くなって危険だ。だから一階層が良かったんだけど、ないなら仕方ない。二階層のスローラビットがいるらしいからそっちで特訓しよう。

 

「なら二十一番の迷宮と九番の迷宮に入ろう。他の魔物は何がいる?」

 

「二十一番は一階層がナイーブオリーブ、二階層がニートアントで、九番は一階層がニートアント、三階層がナイーブオリーブ、四階層がスパイスパイダーです」

 

 ・・・・・・マジかぁ。どっちも下の階に毒持ちが出るじゃないですか。最悪だよ。なんで毒持ちが解毒剤の下に出るんだよ。ゲームバランス考えてぇ!

 

「ニードルウッドの下に毒持ちが居ない迷宮はある? ニートアントとスパイスパイダー・・・・・・いや、ニートアントだけでいい」

 

 確か低階層のスパイスパイダーはそれほど毒攻撃をしてこなかったはず。俺とクラリスならスキル発動前に倒せるはずだ。たぶん。

 

「ええと、十二番と十六番の迷宮がそうです。十二番は六階層に、十六番は十階層にニードルウッドです」

 

 それだと十六番の十一階層がニートアントじゃねえか。極端なんだよ。原作みたいに一階層にでてきてよぉ。

 

「ありがとう、助かった」

 

「このくらい大したことはありません」

 

 かわいい。クラリスだけが俺の癒しだよ。

 それじゃあ少し考えよう。

 ニートアントと戦うには毒消しは必須だ。これは俺がニードルウッドのボス、ウドウッドのドロップアイテム、リーフを拾い『薬草採取士』のジョブを得ればいくらでも作れる。

 ギルドで購入することもできるが、ギルド職員相手だと三割引が利かない。だからできるだけ自前で用意したい。

 スパイスパイダーは毒攻撃をしてくる事もあるけど、頻度が低く、低階層なら輪にかけて低い。無視できる。

 それじゃあまずはウドウッドを周回。その後ラピッドラビットを周回する。毒消しを自分で用意できるようにして、ウサギで特訓して、お金を稼いで上を目指す。

 この街で活動する場合の方針はこんなところか。

 

「あの、ご主人様」

 

「どうかしたか?」

 

「迷宮の前には探索者がいるはずです。そうでなくても誰かに報酬を払って目当ての階層に連れて行ってもらったら良いのでは?」

 

 ・・・・・・クラリスよ。ダンジョンは下から順番に上がるものなんだよ? いきなりショートカットしようなんて邪道だよ。

 

「俺の趣味に付き合わせて悪いけど、特に理由もなく上の階層への案内はなしだ。自力で上がっていきたい」

 

「ご主人様がそうおっしゃるなら従います」

 

 笑顔がかわいい。キスしたい。けど流石に我慢だな。ギルドの中でキスをするのはいくらなんでも節度がなさすぎる。それにクラリスのとろけた顔と、甘い声を聞いて良いのは俺だけだからな。キスはあとで。

 

「それじゃあ街の探索をしよう。この街で家を借りるなら装備を売ってる店とパン屋は把握しておきたい」

 

「ご主人様はパンがお好きなのですか? てっきりお肉が好物だと思っていました」

 

「それは間違ってないよ。俺はお肉が大好きだ。パン屋を探すのは俺が料理できないから。これから家を借りて住むなら自分で食事を用意しなきゃならないだろ? なら食材が何処で手に入るか下調べは必要だろう。そういえばクラリスは料理はできる?」

 

「・・・・・・紅茶を淹れるくらいなら」

 

「贅沢品を買う余裕はないよ。・・・・・・奴隷の条件に加えようか。料理」

 

「そうですね」

 

 奴隷と言うか、家事全般をこなせるメイドを雇うつもりで挑んだほうが良いな。最悪戦闘ができなくてもいいや。

 

 

「ようこそいらっしゃいました。本日はどういった奴隷をお求めでしょうか」

 

 俺とクラリスはクベリークの奴隷商に来ていた。

 とにかく家事のできる奴隷がいないと話にならない。冒険者ギルドを出て街を散策した俺たちはそんな結論に至った。

 だって何を話しても街に住む事が前提になってしまう。服を買うならここが良いねとか、ここの野菜は新鮮だねとか。でも、俺もクラリスも家事ができない。話していて虚しいのだ。

 家事奴隷がここで買えなかったらクベリークに住む話はなし。さっさとバルタークに帰る。

 

「性奴隷になることを了承していて迷宮にも入れる奴隷を探している」

 

「ふむ。性奴隷ですか」

 

 奴隷商人の視線が俺の横に座るクラリスに向けられる。なんだぁ。お盛んですねとでもおもってんのか、あぁ?

 

「それから家事全般を、家の事を任せられる奴隷も探している」

 

 性奴隷で戦闘奴隷で家事奴隷の欲張りセットを求めています。

 

「ほう。もしやこの街に住まわれるのですかな?」

 

「家事のできる奴隷が買えればそうなるだろう。俺も妻もそういったことは疎くてな」

 

「それはそれは。お美しい奴隷をお持ちだと思いましたが、奥方様でしたか」

 

 そう。奥様です。

 奴隷商に来る前に、クラリスにはそういう態度をとってもらうことを、何とか了承してもらった。

 俺の粘り強い交渉、ねっとりしたキスの成果だ。賛成してくれるまで聞こえないふりをしてキスで黙らせたからね。イエス以外の返事は封殺しました。唇で。

 

「それで、どうだ。希望に合う奴隷はいるか?」

 

「そうでございますね。お客様のお眼鏡に適う奴隷となると数が限られてございます。ましてや戦闘と家事どちらもとなると」

 

 だめか。

 奴隷商人も険しい顔をしている。たぶん店で取り扱ってる奴隷の情報が全部頭に入ってるんだろうな。調べようともしないもんこの人。

 

「仕方ないな。どちらか一方を満たす奴隷を見せてほしい。どちらも買うというわけにはいかないが」

 

「でしたら一人、自信をもって勧めることが出来る奴隷がございます。ロザリーを連れてきなさい」

 

「かしこまりました」

 

 奴隷商人の後ろに控えていたおばちゃんが扉の向こうに消えていく。早速ロザリーという女の子を連れてきてくれるのか。どんな子なんだろう。

 

「ロザリーは元々貴族に仕えていた娘で、侍女教育を受けておりました。お客様がお求めの家事全般を任せられる奴隷でございます」

 

 おお。元メイドとはすごい経歴の持ち主だ。確かにメイドなら家事は得意だろう。それにメイドって響きがもう良いよね。奴隷メイド。男の心をくすぐる。

 

「彼女は性奴隷となることを了承しており、処女ですので病気の心配もありません」

 

 このセリフは原作の奴隷商人も言ってたね。やっぱり病気を持ってないことはステータスになるんだろう。

 

「また、エルフですが教育も行き届いております。奥方様も安心してそばに置くことができるでしょう」

 

 ん? エルフなのかロザリーさん。それに奴隷商人がやたらとクラリスを気にしてる。なんでだ?

 クラリスはエルフ。耳を見れば分かる。そしてロザリーさんもエルフらしい。考えるまでもなくエルフ仲間だ。

 ・・・・・・あ。エルフは他の種族を見下してるんだ! そうだ。俺もひどい対応をされたじゃないか。

 つまり、ロザリーさんは人間族の俺に失礼な態度を取らないように、きちんと教育を受けてるから、家においても大丈夫ですよと言ってるわけだ。

 

「ロザリーを連れてきました」

 

「部屋に通しなさい」

 

 扉が開いてまずおばちゃんが入ってくる。後に続いてエルフの女の子が扉をくぐる。顔が見えない。

 黒いベールで顔が見えへんやんけ、なんでや。下手な関西弁が出てしまった。

 メイド服を着た白銀の髪をしたエルフの女の子。背が高い。俺と同じくらいか。顔は見えない。

 大きな良い胸をしている。クラリスと同じか少し大きいか。顔は見えない。

 クラリスが金髪のエルフだから対照的でこれはこれで良いね。顔は見えないけど。

 

「顔を隠しているようだが、何か理由が?」

 

「ロザリーが自信をもってお勧めできる奴隷だと言った言葉に嘘はございません。ですが、彼女には一点、問題がございます。ロザリー、お客様に顔を見せなさい」

 

 奴隷商人の言葉でロザリーさんがベールをめくる。

 ロザリーさんはエルフだ。当然、見目麗しい。そして、顔の左側に痣があった。

 クラリスが息を飲む。

 小麦色の肌に、真っ黒な痣が、額から目、頬にかけて伸びている。瞳の色も違う。右目がコバルトブルーなのに、痣にかかった左は黄金だ。おお、ダークエルフだ。でも、この世界はエルフに区別はないんだっけ。彼女もエルフか。

 

「彼女の技量に問題はありません。ですが、この顔の傷を嫌って今まで買い手が付きませんでした。いかがでしょう」

 

 やはり俺よりもクラリスに注意を払っている。同情を誘っているのかな? クラリスとロザリーは同じエルフだ。クラリスなら情に流されてロザリーを買ってくれるだろうと考えているとか。

 改めてロザリーを見る。確かにひどい痣だ。だけど俺にとってはチャームポイントだ。だってかっこよくない? 顔の痣。

 女の子のロザリーに直接言うことはたぶんないだろうけど、日本出身男児の俺に、アニメや漫画が好きな俺に、めちゃくちゃ刺さる。性癖にね。全然抱ける。そのうえ元メイドで家事完璧とはもうパーフェクトというやつでは?

 クラリスの表情をうかがう。両手で口元を隠して驚いているのがわかる。たぶん購入に反対はしないかな? 家事ができて性奴隷を了承しているなら俺たちの求める条件を満たしているし、性奴隷はむしろクラリスの希望でもあるし。まあ『色魔』のジョブが手に入る予定だから夜の生活に変化はないと思うけど。

 

「話は分かった。まずはロザリーと話をさせてもらってもいいか?」

 

「もちろんかまいません。私共は席を外しますので、終わりましたらこちらのベルでお呼びください」

 

 テーブルに置いてあるベルを手本に鳴らしてみせると、奴隷商人はおばちゃんと一緒に部屋を出て行った。さすがに部屋の前に待機してはいないと思うけど、どうやってベルの音を聞き分けるのかな。俺は昔、家の二階でくつろいでいたときに、インターフォンの音を聞き逃すことがあったけど。

 

「さてロザリー。いくつか質問するけど、答えてもらえるか?」

 

「なんでもお答えします、旦那様」

 

 旦那様! いい響きだ。これだけでもクラリスに奥様役をしてもらった価値がある。

 

「その痣は、生まれつきですか?」

 

 さあ聞こう。というところでクラリスが先に口を開いた。まさか横入りされるとは思っていなかった。あと、気になるのはやっぱりそこなんだ。

 クラリスがズバリ切り込んだけど、全く触れないのもへんだよな。ロザリーは気にしてない、かな?

 

「いいえ奥様。この痣はお仕えしていた家でお湯をかぶってしまったときのものです。あの時は家の主人が直ぐに回復薬をくださったので、大事にはなりませんでした。瞳の色は変わってしまいましたが、この目も見えています。しかし、体質なのか、回復薬の力が足りなかったのか、こうして痣となって残りました。万能薬であるエリクシールであれば消えるそうですが、ただの侍女にそのような高価なものを使う人はいません。私も困ってしまいます」

 

 やけどって回復薬を使っても跡が残るのか。でも回復薬は三種類ある。メイドに緊急で使うなら一番安い滋養薬だろう。万能薬でなくても、滋養剤かさらに上の滋養錠なら治せるかも? 手に入ったら試してみよう。

 さらに追撃しそうなクラリスを止める。

 身の上話を聞くのは後でね。今は他に聞くことがたくさんあるから。

 

「そうか。侍女として働いていたそうだが、料理や掃除の腕はどの程度だ」

 

「貴族の侍女には試験がございます。私は掃除の試験に合格して働かせていただいておりました。掃除には自信があります。料理の腕は厨房に入れるほどはありません。お勤めする前は実家で料理をしていましたので、その程度です」

 

 さすが貴族。雇ってから教育するんじゃなくて、試験に合格した子を雇うのか。贅沢だな。

 貴族の試験がどんなものかわからないけど、それなら掃除は任せられるか。料理も家庭料理レベルの腕があるのなら十分だ。別に家でコース料理とか食べたくないしな。

 

「十分だ。クベリークで家を借りるつもりだが、家の管理を任せても問題ないか。水汲みや溜まった汚物の処理は大変だと聞く」

 

「力仕事も侍女の業務の内です。どちらも経験があります」

 

 水はクラリスに魔法で出してもらうから、汲んでくる必要はないけどね。それは今伝えなくてもいい。大変な仕事だと思い込ませておいて、後から仕事が楽だと気づかせればギャップで働きやすくなる。印象操作は大事だ。

 

「俺は迷宮に入っているが、ロザリーには難しいか?」

 

「申し訳ありません。一度も迷宮に入った経験はありません。命じられるなら否はありませんが、お役に立てるとはとても言えません」

 

「そうか。それは別にいいだろう。ロザリーに望むのは家の管理だけだ。家をキレイに保ち、美味しい料理を出してくれれば文句はない」

 

「精一杯務めさせていただきます」

 

「しかし、迷宮には入ってもらう。戦力としてではないが」

 

 そう。迷宮には入ってもらう。ロザリーには『探索者』のジョブについてもらうからね。

 

「あなた。ロザリーさんは迷宮で戦った経験がないのですよ? それなのに迷宮に連れていくだなんて、何を考えているのですか?」

 

 くぅぅ。私は、今、猛烈に感動している!

 クラリスが「あなた」って言ったぞ! 聞いたか!? もう演技じゃなくて本物の夫婦だろこれは(錯乱)

 

「俺は迷宮に入るから当然ドロップアイテムを拾う。大半は売り払うが、ドロップアイテムには肉や魚もあるだろう。俺のアイテムボックスに入れておいてもいいが、それだと容量を圧迫する。だからロザリーには探索者になってもらってアイテムボックスを使えるようになってほしい。そのあとレベルを上げて容量を増やす。どこまで上げるかは特に決めない。でも、10は少ないから20か、30か、臨機応変に。なんなら50まで上げて冒険者になってもいい」

 

 いいじゃないか、冒険者メイド。買い物に行くときに『フィールドウォーク』が使えたらすごく便利だし、お客様を迎えに『フィールドウォーク』で現れるメイドとか良くないか。こう、強者感がでるよね。

 家の管理を任せるならレベル30で『料理人』のジョブになってもいい。いいよね、お料理メイド。アイテムボックスもつかえるし。

 そうだ! クラリスにお願いして自衛ができる程度に剣を習えば武装メイドにもなる。夢が膨らむね。

 俺に買われたら大変だぞロザリー。

 

「どうだろう。ロザリーがどうしても入りたくないというなら強要はしない。何度も言うがロザリーに求めているのは家の管理だ。迷宮に入ることじゃない。ただ、アイテムボックスが使えれば便利だなと思ってな」

 

「そういうことでしたら私はかまいません。旦那様のお役に立てるのでしたら探索者でも冒険者でもなってみせます」

 

「ろ、ロザリーさん? 冒険者になるのは本当に大変ですから目指さなくてもよいのですよ?」

 

 覚悟ガンギマリのロザリーにクラリスが動揺してる。たぶんロザリーは『冒険者』になるのがどれほど大変なのか知らないんだろう。迷宮に入ったことがないと言ってるし、ジョブのレベルを上げることを俺がサラッと言ったから、勘違いさせたかも。ま、いっか。そのうちクラリスが訂正してくれるよ。たぶん。

 

「よし。それじゃあロザリーには来てもらうことにしよう」

 

 話は終わった。ロザリーを買うために奴隷商人に帰ってきてもらおう。俺が机のベルを鳴らすとさっきのおばちゃんが顔を出したので、奴隷商人を呼んできてもらう。

 そうか、別に本人がベルの音を聞く必要はないのか。人を使う感覚はまだわからないな。

 

「失礼いたします。お話が終わったとお聞きしましたが」

 

「そうだ。話してみてロザリーを買い取ることにした。それでいくらになる」

 

「ありがとうございます。ロザリーは18歳のエルフで処女、さらにこの美貌。またメイドの経験があり優秀な奴隷です。本来は非常に高額ですが、ご存じの通り顔の痣で値が付きにくい。そうですね、二十五万ナール。しかし、この度は良縁に恵まれたということで祝福の意味もこめて十七万六千四百ナールでお譲りいたしましょう」

 

 三割引きが効いた。何か付いてるらしい。




僧 侶
  条件 村人Lv5以上 且 モンスターを素手で倒す
  効果 精神小上昇 MP微上昇
 スキル 手当て

リザルト

異世界七日目
主人公 由良隼人ーゆらはやと
    男 18歳
装 備 エストック 鋼鉄の盾
    竜革の帽子 竜革の鎧 竜革のグローブ 竜革の靴

奴 隷 クラリス ♀ 15歳
    魔法使いLv1→15
装 備 ダマスカス鋼の槍
    硬革の帽子 硬革の鎧 硬革のグローブ 硬革の靴

奴 隷 ロザリー ♀ 18歳
    村人Lv1

ジョブ 探索者Lv25→33
    英雄Lv22→30
    魔法使いLv25→33
    剣士Lv11→23
    錬金術師Lv3→20
    村人Lv10→16
    戦士Lv10→13
    商人Lv10
    僧侶Lv7→10

所持金 約四十六万→約二十三万ナール
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