ウマ娘の世界でウマ娘たちがカードゲームになったら   作:ブルーペッパー

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1 はじまり

 

 年間を通して世間を熱狂させるウマ娘レース、トゥインクルシリーズ。

 レースで紡がれるドラマは至高のエンターテインメントであり、そしてウイニングライブで踊るウマ娘たちは新時代のアイドルの形であった。

 見目麗しい少女たちの写真集やグッズの販売は勿論、スポンサー契約からのCМ出演も珍しくなかった。

 そんなウマ娘たちを取り巻く環境に、あるジャンルが飛び込んできた。

 TCG、略さず言えばトレーディングカードゲーム。

 絵とテキストが印刷かれたカードで、コレクションとしてだけでなく、ルールに則り遊戯として使うことも可能な玩具の一種だ。

 七枚入りパックが一つ二百円程度にも関わらず、カードのレアリティ、ゲームとしての有用性から数倍の価値が付くこともある。

 既に数多くのTCGが開発され、あるものは流行り、あるものは早々に廃れて消えていくカードゲーム業界が、ウマ娘たちに目をつけた。

 レースへの注目度もあり、瞬く間にウマ娘カードの話題は広まっていった。

 

「あ、オグリ先輩。カード化おめでとうございます」

「シチー。カード化……ああ、トレーナーがそんなこと言っていたな。トランプになるんだろう?」

「トランプじゃなくてカードゲームですよ。知りません?コンビニとかでこう、パックか見本の紙が吊るされているの」

「……ああ、あれか。子供がたまに親にねだっているのを見る」

「それですそれ。で、オグリ先輩のカードは生徒会長やマルゼンスキー先輩に並んで一番高いレアリティだそうですよ」

「そうなのか。シチーは凄いな、なんでも知ってい。」

「いやいや、SNSでも話題になりましたし、情報だけ拾ってるんです。モデルの仕事場で話振られることもあるし」

「モデル業も大変だな……」

「好きでやっていることなんで。あ、ウマッターで拾った画像ですけど、これがカードになった先輩ですよ」

「おお、これが……! なんかカッコいいな、皆からはこう見えているのか……」

「ゲームでも強いみたいで、これで三千円するみたいですよ」

「さ……三千円? これ一枚でか? あの時の子供はそんな高いものをねだっていたのか……!」

「いえいえその子どもが買おうしてたのは二百円くらいですよ。でもカード単品で見るとレアだったり強いのは高額になるとか……」

「そ、そうなのか……しかし一枚で三千円か。駅前のまん丸焼きがいくつ買えるだろうか……」

「ちなみに先輩のサイン入りの特別仕様版もありまして……」

「……? 私はカードにサインした覚えないぞ?」

「そりゃ一枚一枚サイン貰いませんよ。なんかサンプル用とかで書いたの使い回してるんじゃないです?」

「ああ……トレーナーに言われて書いた気が……それがいくらなんや?」

「五千円です」

「ゴ……!!? そ、そんなにするのか……。なあシチー」

「なんです?」

「私が自分でサインを持っていけば五千円分のまん丸焼きと交換してもらえるのか?」

「ダメだと思います」

「…………そうか」

「というか五千円分じゃすまないと思いますよ」

 

 

 かくして、初弾『Make Debut!』では二十人のウマ娘と主要四場とされる東京・中山・阪神・京都レース場がカード化し、それら合わせた数の倍以上のサポートカードが実装された。

 そして初心者向けとしてルールブックとプレイマットが同梱された三つの構築済みデッキも発売された。

 マルゼンスキーを主軸とした『真紅の残響』。

 オグリキャップを主軸とした『怪物の蹄跡』。

 シンボリルドルフを主軸とした『皇帝の肖像』。

 

 UCG(ウマ娘カードゲーム)はそうしてカードゲーム業界へ産み落とされた。

 そんな、ウマ娘世界に生まれたUCGの変遷を見ていく話。

 

 

 

 

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