ウマ娘の世界でウマ娘たちがカードゲームになったら   作:ブルーペッパー

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4 初弾環境

 ついに初弾が発売されたUCGは、イラストとはいえ人気あるウマ娘たちを使っているだけあって、そこそこの滑り出しを見せた。

 対戦ゲームとしても、インフルエンサーやウマチューバーが案件としてプレイ動画を上げることも功を奏し、プレイ人口は徐々に増えていった。

 環境としては、やはり公式が発売した構築済みデッキをベースに改造したものを中心に回りだす。そしてこれは公式が想定したものと言われている。

 公式が出した構築済みデッキは、主軸となるウマ娘が高レアかつハイスペックなだけでなく、それぞれ意図的に戦略が異なっている。

 

 『真紅の残響』 

 マルゼンスキーを主軸とした、真っ赤なパッケージが目立つデッキ。低コストのカードが多くゲーム序盤から動くことが可能でスーパーカーと称されたマルゼンスキーのスピードを表しているとされる。

 『怪物の蹄跡』

 オグリキャップを主軸とした、涼やかな青のパッケージが特徴。カードをプレイするためのリソースを確保できるカードが多く、高コストカードを通常より早く使うことでオグリキャップの怪物級の末脚を表現しているとされる。

 『皇帝の肖像』

 シンボリルドルフを主軸とした、深い緑のパッケージが印象的。ドローソースや妨害系のカードが多く、動きこそ遅いが長期で戦うことが可能で、皇帝と言われたシンボリルドルフの思慮深さを再現したとされる。

 

 これらのデッキタイプはそのパッケージの色や他のTCGでも使われる用語を流用し、プレイヤー間で呼び名が生まれた。

『ビート』または『赤』

『ターボ』または『青』

『コントロール』または『緑』

 以降、UCGのデッキはこれら三タイプのいずれかに分類されるようになる。これもまた公式が意図したところで、それぞれが三すくみになるよう設計していた。

 ビート(赤)はターボ(青)に追いつかれ、

 ターボ(青)はコントロール(緑)に捌ききられ、

 コントロール(青)はビート(赤)に体勢が整う前に走りきられる。

 それぞれに有利不利のデッキタイプが存在し、それが拮抗することを想定していたのだ。

 が、そうそう開発の想定通りにいくほどTCGというのは甘くはない。

 プレイヤーたちがデッキ研究を進めていき、やがて有志によって第一期Tier表が作成された。

 

Tier1 マルゼンビート

Tier2 バクシンビート、カレンビート

Tier3 ルドルフコントロール

 

 蓋を開けてみれば上位をビートが独占、そしてまさかのターボが環境外という結果となった。

 ではTier表上位のデッキについて見ていく。

 

Tier1 マルゼンビート

 またの名を赤マルゼン。構築済みデッキ『真紅の残響』に入っているSR『立ち昇る紅炎/マルゼンスキー』を主軸としたビートデッキ。

 『真紅の残響』を三箱買って組み直せば完成するというお手軽さとテンポよく回る構成が好まれ流行した。マルゼンスキーのハイパワーながらも使いやすい性能も功を奏し、TCG初心者から上級者まで広く使われた。

 

Tier2 バクシンビート、カレンビート

 結論から言えば上記の赤マルゼンの下位互換。あえて言うなら安定性を捨ててさらに速度に尖らせた構築。けれどTier2に登りつめた理由は構築し安さがあった。

 『真紅の残響』にはそれぞれの主軸となるR『桜前線邁進中!/サクラバクシンオー』とVR『カワイク撮ってね♡/カレンチャン』も入っている。

 赤マルゼンでは主軸となるマルゼンスキーを三枚揃えるため『真紅の残響』を三箱買うのに対し、これらは一箱買って残りをシングル買いすれば完成する。値段は赤マルゼンの六割程度に収まるため使用者が多かった。

 安定感こそ劣るものの、通らば勝ちと言わんばかりのスピード勝負でゲームエンドに持ち込めるのも人気の理由であった。

 

Tier3 ルドルフコントロール

 緑ルドルフとも。当初の開発思想ゆえに、ビートが台頭すればコントロールは低迷するのも致し方なし。が、Tier3に踏みとどまる程度に構築済みデッキ『皇帝の肖像』のカードパワーは高かった。

 デッキとして完成されるのに三箱買う必要があるのは赤マルゼンと同様だが、こちらはより汎用性の高いカードが多く、将来性を見越して買う者が多かった。とはいえ初弾ゆえのカードプールの少なさ、そして天敵たるビートの台頭に涙した。

 コントロール使いたちはいつか来る繁栄の時を待っている。

 

 

 さて、一方で環境外になってしまったターボデッキ、もといオグリキャップデッキだが原因はシンプル、初期カードプールでは器用貧乏にならざるを得なかったからだ。

 『怪物の蹄跡』は自分のリソースを増やすカードが多い分、他の二つの構築済みデッキと比べて、相手に影響するカードが少なかった。

 ビートに対して速度は劣るが、増やしたリソースを駆使することで勝つというコンセプトであるものの、プレイヤーが構築を最適化させた赤マルゼンの速度には追いつけなかった。

 そして対コントロールではどうか。増やしたリソースから駆使出される大型カードは、開発が想定した相性不利を覆すほどのパワーはなかった。

 あのオグリキャップを主軸としたデッキが弱いというのは想定外であったが、それほど荒れなかったのはオグリキャップのカードそのものは強かったからだろう。

 実際、Tier上位のデッキにはどれもオグリキャップを一枚か二枚採用していた。

 結果、ターボデッキが弱いという評価に留まったのだろう。

 しかしそれでも稀代のアイドルウマ娘であるオグリキャップがメインとなって活躍するデッキの登場を願うファンは多かった。

 

 やがてそれは、ファンの想いを少し歪めた形で叶うこととなる。

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