ウマ娘の世界でウマ娘たちがカードゲームになったら 作:ブルーペッパー
妄想まみれの駄文をお読みいただきありがとうございました。
UCG環境は、魔境の発端である笠松の禁止によって一時の落ち着きを取り戻した。
カードゲームプレイヤーにとっても運営にとってもやはり特定のカード一強の環境は望ましくないのだろう。
だが、カードを作り、売り出す公式は目玉となる強いカードを出さねば商品として売れない。
故に、公式は新たなシステムを持つカードを生み出し、また環境に波乱を起こしていく。
拡張パック第5弾『NEXT FRONTIER』にてコンボカードが実装された。
これまでのUCGはレースカードを展開して一回ずつウマ娘の勝敗を決めていたが、コンボカードはまとめて複数回のレースを展開することを可能とした。
つまり、実質一ターンに一度しかできなかったレースが、複数回できるようになるのだ。当然、ターンにレースで参照すればそのままゲームに勝つことになる。
ついにUCGにワンターンウィンが登場したのだ。
当然コンボカードには条件があるし、条件を満たす何度もあるため環境を荒らすようなことは無かった。が、このカードによってターボ型というデッキタイプの多くが、コンボデッキによるワンショット系へと姿を変えることになる。
新戦術の登場に寄り多くのプレイヤーがコンボデッキに手を出し、結果としてコンボデッキは環境の上位へと躍り出ることとなる。
Tier1 ナリタブライアンワンショット
コンボカード『覇道/クラシック三冠』とともに登場したSR『影すら食らう怪物/ナリタブライアン』軸としたコンボデッキ。
ターボ系のカードによって確保したリソースから『覇道/クラシック三冠』を起動し、「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」の三連戦を展開し、三連勝することでゲームエンドへ駆け込む一撃必殺の構築。
三冠ウマ娘はその実績からカードパワーも高く設定されることから非常に安定した勝率を誇った。
ちなみに、ナリタブライアンの代わりにSR『七つの冠を戴く/シンボリルドルフ』を軸とした構築も存在したが、僅かな性能差からコンボデッキにはナリタブライアンの方が相性が良く、結果としてシンボリルドルフワンショットは後塵を拝すこととなった。
そして、この時期にはTier1にもう一つの構築が座していた。
Tier1 BNWワンショット
BNWでお馴染みのビワハヤヒデ、ナリタタイシン、ウイニングチケットの三人を中心に構成されたデッキ。こちらはコンボカード『BNWの誓い』による「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」の三連戦まではナリタブライアンと同様だが、こちらはウマ娘カードが複数ある分相手に合わせて動きを変えるなど受けに強いという特徴があった。一点突破のナリタブライアン、丸くバランス型のBNW。趣味嗜好で手にする構築は異なるが、コンボデッキという構築が瞬く間に反映していくことは間違いなかった。
ある意味公式の想定通りだろう。新登場したコンボカードを活かした構築が二強として環境を席巻していく。
が、この時期の環境では別の構築が時折話題を浚っていくことがあった。
Tier4 メジロ家コントロール
UCG初期から存在していたメジロ家モチーフのカード群。元よりファンの多いウマ娘の名家が元なだけあり、使用者は常に一定数いた。
最初期はカードパワーが足りず環境上位とまではいかなかったが、カードプールの拡張によりその構築は幅を広げ、同時に使用者たちが知見を共有することで洗練されていった。
デッキ名通り、メジロ家のウマ娘を軸に構成されており、特定の誰か一人ではなく、複数のウマ娘カードを駆使して競っていくこととなる。
テンポの速い相手にはメジロラモーヌやメジロドーベルで対抗でき、ハイパワーの相手にはメジロアルダンやメジロブライトが受けることが可能。そして攻め手になればコンボカード『メジロ記念』からのメジロマックイーン、メジロライアン、メジロパーマーの三連戦が可能。
相手のデッキや状況に応じて戦略を変えていき、Tier1すら食えるデッキだが、故にプレイ難度が高く初心者には向かない。しかしだからこそメジロ家ファン互いに腕を磨き合っている。
そしてこのデッキを有名にした逸話が、公式で配信された大会での一幕であった。
公式大会準決勝、Tier1を打ち破って上位に食い込んだメジロ家コントロール使い。対する相手のデッキは独自構築、Tier表にも乗らないマイナーデッキで会った。
Tier外 的場コントロール
そのデッキのプレイヤーが申請した名は『ヒットマンカウンター』だが、配信中にプレイヤーが独り言で呟いた「的場で矢を射るように……」がマイクで拾われたのがきっかけで先の名がミームのように定着した。
長距離のライスシャワー、短距離に対応できるビコーペガサス、高性能で活躍の幅が広いエルコンドルパサーとアグネスデジタル、コンボカードの起動役兼フィニッシャーとなれるグラスワンダー。BNWやメジロ家のようなテーマは無いが、偶然にも共通するシナジーがあったため採用したとはプレイヤーの弁。
戦略は相手に合わせて変えるというメジロ家コントロールと同様の立ち回り。違うのは、一度レースに負けることで自陣にバフを、相手にデバフを与えるカウンター系カードの使用だった。
不利や状況からの逆転カードと言えば聞こえはいいが、フルスペックを出すのに劣勢になる必要があるなどデメリットの面が目立ち、使用者の少ないマイナーカード。
それを件のプレイヤーは自前のプレイスキルで使いこなした。
特に相手のコンボでレースに連敗を喫した状態からの三レース目、満を持して登場したSR『淀の名優/メジロマックイーン』をカウンターカードと共に繰り出されたSR『黒い刺客/ライスシャワー』が打ち破る様は実際のトゥインクルシリーズによる両名の対決を再現したかのようでギャラリーは非常に盛り上がった。
そして首の皮一枚繋がけてからフィニッシャーであるグラスワンダーが連勝を飾り、見事ゲームに勝利して見せた。
この一戦は実際のレース結果を再現したから語られるのではない。
Tier表に乗り、使用者の多いデッキに対して実績がなく、マイナーカードを使いこなして勝利を挙げたプレイヤーがいた。
ゲームとして重要なのはカードの性能だが、それだけで勝敗は決まらないことを証明した一戦で会った。
UCGはこれからの続いていく。
多くのカードが生まれ、強い弱いのラベルが貼られていく。古いカードも新しいカードたちに埋もれていくだろう。
それでも、そのカードに価値を見出すのはプレイヤー自身なのだ。