デッキの動かし方を色々見ていたのですが、これで本当に良かったのか……。
今回はアニメでカットされた部分のファイトとなるのですが、アニメの表現との整合性が取れなかったので、オリジナル展開っぽくなっています。
出来れば憑依主人公周り以外は極力アニメと同じようにしたかったのですが、見逃して頂けると幸いです。
予選三日目。エリカのいるAグループの第五試合、員弁ナオと御薬袋ミレイの対決は御薬袋ミレイに軍配が上がった。これで御薬袋ミレイは三戦全勝で予選通過だ。
後はエリカがギィに勝てば御薬袋ミレイ以外の三人が一勝二敗で並ぶ事となり、予選通過者は抽選で決まるところまで持っていける。千載一遇のチャンスというわけだ。
「御薬袋ミレイ。デイブレイクを率いているだけあり、かなり強いですね」
「
「デイブレイクの本部に何度か呼ばれた事があったので、その時にファイトしましたね」
観客席で一緒に見ているタイゾウさんに聞かれて、昔の事を思い返す。
今生では休止直前の
実際にファイトして感じた事だが、バヴサーガラは相当に手強い。御薬袋ミレイは当然として、デイブレイクのメンバーにもバヴサーガラ使いが何人か居たのだが総じて強かった印象だ。
リーダーが使用しているデッキだけあり、ノウハウが共有されているのだろう。過去の輪廻で所属していたブラックアウトとは方向性が違うものの、良い雰囲気のチームだった。
「だけど、これでエリカにもチャンスが回って来た」
一勝。一勝さえすれば御薬袋ミレイ以外の三人が抽選枠に放り込まれる事となる。しかし相手は世界最高のAIであるギィだ。
ユニフォーマーズに少し関わった事がある人生において、データ集めの一環としてギィとファイトをさせられた。当時は《蝕滅の龍樹 グリフォギィラ》を主軸としたデッキだったな。
グリフォギィラ自身がどの国家にも所属していないカードだったので、輪廻毎にデッキ構成がガラッと変わっていた。
まぁ結局はグリフォギィラの特性上、長期戦になりがちだったのでやる事は変わり映えしなかったのだが、国家によってあの手この手で延命してくるのは新鮮だった。また戦いたいかと言われると正直遠慮したいところではある。
そして現在のギィの主軸はグリフォギィラから《降誕の龍樹 ゼフィロギィラ》に変わっている。オーバートリガーを確定で使えるという特徴が無くなったものの、安定性が格段に増していて使い易くなっている。
昨夜ホテルでギィのファイトアーカイブを一通り確認してみると、過去に俺が戦った頃よりも強さが増している。エリカにしてみれば格上の相手だろう。けれど、こんな事はエリカが目指すプロの世界では日常茶飯事だ。
格上が相手だから負けました、なんて事がまかり通っていれば興行など成り立たない。ここでプレッシャーを感じて諦めるようならそもそもプロとして食べていけないだろう。
他グループのファイトが次々終わっていき、そしてついにエリカとギィの番が回って来た。
◆
「「スタンドアップ、ヴァンガード!」」
Aグループ第六試合が始まった。現状は二敗。ここで勝たなければ、エリカは決勝トーナメントに進むチャンスすら掴めない。
あまり言いたくはない言葉だが、彼女にとっての運命の一戦というやつだろう。
「《ゼフィロシィド》」
「《号笛の奏者 ビルニスタ》」
先攻はギィか。
清蔵アンカーボルトの研究生であるエリカはあらゆるファイターの戦い方が記憶している。当然、ギィのファイトも研究済みだろう。
「ボクのターン、ドロー。ライドをしない代わりに、ゼフィロシィドのスキルでライドデッキの福音カード、《新たな始まり》をソウルに置く」
基本的な動きはグリフォギィラデッキの時と大差はない。ライドデッキから三枚のカードがソウルに置かれた瞬間、種から龍樹が聳え立つ。
違いとしては、ゼフィロシィドはグリフォギィラデッキのファーストヴァンガード──《グリフォシィド》の欠点をいくつか克服し、安定性が増している事だろうか。
「ゼフィロシィドはソウルかドロップの福音カードの種類だけグレードとパワーが上がる。そしてグレード1になったなら、ゼフィロシィドのスキルによりエネルギージェネレーターをセット出来る!」
グリフォシィドはグリフォギィラに育つまではグレードが上がらず、また基本的にライドを行わないという特性上エネルギージェネレーターをセット出来ない。
ライドコストとして手札が減らないというメリットもあるが、明らかにデメリットが勝る。そんな欠点をゼフィロシィドは克服している。
「これでボクはターンエンドだよ」
「私のターン、ドロー! 《愛琴の奏者 アドルファス》にライドして、ビルニスタのスキルで一枚ドロー!」
ライドコストに《明刃の騎士 レリジアル》を使っている。エルジェニアのスキルを使用する為の下準備というわけか。
そしてエリカはリアガードをコールせずにバトルに入った。序盤にはあまりダメージを入れず、カウンターブラストの元を供給したくないのだろう。
「アドルファスでアタック!」
「ノーガード」
これでギィにダメージが一点入った。それを元に次のターンから動いて来るだろうな。
「ターンエンド」
「ボクのターン、ドロー! ライドはせず、ゼフィロシィドのスキルで《瑞々しき変容》をソウルへ置く」
これでゼフィロシィドのグレードは2だ。ソウルブラストで福音カードがドロップに落ちても参照されるから、グリフォシィドとは動きの自由度が段違いだ。
「《龍樹の落胤 ラグン・ギムラード》をコールしてスキル発動! カウンターブラスト(1)とソウルブラスト(1)する事で、龍樹マーカーを一つ(R)に置く」
右前列にラグン・ギムラードをコールし、更に同じ場所に龍樹マーカーも置かれる。
龍樹マーカー。グリフォギィラでも使用していたギミックだが、ゼフィロギィラにも当然受け継がれている。そして、ラグン・ギムラードのスキルはまだ終わらない。
「更にデッキから《マスク・オブ・ヒュドラグルム》を手札に加えるよ」
あれもゼフィロギィラにとってのキーカードだ。着々と準備を進めているな。
「ゼフィロシィドでアタック!」
「ノーガード」
「ドライブチェック──ゲット、クリティカルトリガー。ラグン・ギムラードのパワー+10000、ゼフィロシィドのクリティカル+1!」
「──ッ!」
ギィのアタックをまともにくらってエリカに二点のダメージが入る。
「ラグン・ギムラードでアタック!」
「《悠音の運び手 アラウヌス》でガード!」
ヒールトリガーで15000シールドを作ってガードを行う。これで一先ずは凌げたか。
「ターンエンド」
「私のターン、スタンド&ドロー! 《麗弦の奏者 エルジェニア》にライドしてアドルファスのスキル発動! ソウルブラスト(1)する事で二枚ドローし、《偏歴の剣聖 アイディラス》を捨てる」
ライドコストには《ぐらがおん》を使っている。これで次のターンには問題なくエルジェニアのスキルが十全に使える。
「エルジェニアでアタック!」
「ブリッツオーダー、《侵蝕の烽烟》を使用! 龍樹マーカーを置いて、ゼフィロシィドのパワー+10000!」
これで左前列にも龍樹マーカーが置かれた。場合によっては先攻三ターン目で龍樹マーカーが五ヶ所設置もありえたな。
「ドライブチェック──ゲット、ドロートリガー! 一枚ドローし、エルジェニアのパワー+10000!」
ギィのブリッツオーダーによる防御を貫通し、二点目のダメージが入った。通常であれば喜ばしい場面なのだが、ゼフィロギィラデッキ相手では素直に喜べない。
それは貫通されたにも関わらず、驚きもしないギィの態度を見れば嫌でも分かる。目的は龍樹マーカーを増やす事なのだから、その為のカウンターブラストの元が供給されたのはむしろ望むところだろう。
「ターンエンド」
「ボクのターン、スタンド&ドロー! ライドはせず、《始原の来臨》をソウルへ置く」
さて、ここからが本番だ。エリカの表情にも緊張の色が濃く出ている。
「種は芽吹き、根付くは福音。星の息吹で大樹は育つ。来臨せよ、大地の申し子! 《降誕の龍樹 ゼフィロギィラ》 にライド!!」
グレード10という他ではまず見ないバカみたいな数字。グリフォギィラに代わる、ギィの新たなヴァンガード。その威容は大地の申し子という名に偽りなしだ。
「《龍樹の落胤 ドラコ・バティカル》をコールし、スキル発動! カウンターブラスト(1)する事で、龍樹マーカーを一つ置く」
左後列にドラコ・バティカルがコールされ、同じ場所に龍樹マーカーが置かれる。
「これで三枚……!」
「いいや、まだだよ明星エリカ。《マスク・オブ・ヒュドラグルム》を使用し、山札の上五枚からゼフィロギィラを手札へ加える。そしてゼフィロギィラのスキル発動! エネルギーブラスト(3)する事で龍樹マーカーを置き、山札の上五枚から《ヴェルリーナ・エスペラルイデア》をコールする!」
ゼフィロギィラのスキルにより、これで左右前後の計四ヶ所に龍樹マーカーが置かれた。その上、左前列にはエスペラルイデア。
ゼフィロギィラのグレードが高い事で、本来だと容易に出せないグレード4のユニットも普通にコール出来る。
「ゼフィロギィラの更なるスキル発動! ドロップの《マスク・オブ・ヒュドラグルム》をバインドし、龍樹マーカーのある(R)一つにつきエネルギーチャージ(1)とパワー+5000! 龍樹マーカーのある(R)は四ヶ所! よってエネルギーチャージ(4)とパワー+20000!!」
これで(R)が五ヶ所龍樹マーカーが埋まっていたらドライブ+1も追加されるんだから本当に手強い。
「エネルギージェネレーターのスキルで一枚ドロー……そして《忍竜 フシマチマドカ》をコール」
一先ずこのターン、ギィはこれ以上動かないだろう。そうなると次はバトルだ。
「エスペラルイデアでアタック!」
「《加護の魔法 プロロビ》 でガード! スキルによりシールド+5000!」
エルジェニアと合わせて合計20000。龍樹マーカー込みのエスペラルイデアのパワー18000を上回ってガード成功だ。
「ゼフィロギィラでアタック! この瞬間、エスペラルイデアのスキル発動! ソウルブラスト(1)する事で自身をスタンド!」
「ノーガード!」
「ツインドライブ!」
ドライブチェックはどちらもノートリガーだが、二枚目のチェックで《侵蝕の烽烟》が見えた。嫌な防御札が手札に入ったものだ。
これでエリカのダメージは三点だ。
「フシマチマドカのブースト、ラグン・ギムラードでアタック!」
「ノーガード!」
四点目のダメージがエリカに入る。
「ドラコ・バティカルのブースト、エスペラルイデアでアタック!」
「《天音の楽士 アルパック》 、《シーケンス・ウィザード》の二枚でガード! アルパックはスキルでシールド+5000!」
エスペラルイデアの合計パワーは31000。アルパックのスキル込みで25000シールドで守れる範疇だ。
「ボクはこれでターンエンドだよ」
「私のターン、スタンド&ドロー!」
ここからはエリカが挑む番だ。ここでダメージを稼がなければ、ゼフィロギィラのパワーの前に沈むだろう。
「何とかここでダメージを稼ぎたいところですね」
「そうだな。だがギィの手札は八枚。その内一枚がゼフィロギィラでシールド値がないとしても、烽烟という防御札を抱えている」
「だが臆すれば負ける。ならば進むしかない」
目の前の試合を見ながら俺とタイゾウさん、そしてキョウマさんの三人で話し合う。……エリカ。どうか諦めないでくれ。
「今度はこっちの番よ! 決意の翼、未来よりここに! 《時の運命者 リィエル=アモルタ》 にライド!!」
時の運命者。エリカをこの時代へ連れて来た、彼女の分身。
「エルジェニアのスキルで、ドロップからレリジアル、ぐらがおん、アイディラス、そしてシーケンスを山札へ戻して一枚ドロー! そして手札からシーケンスをコール!」
右前列に《シーケンス・ウィザード》がコールされる。
「シーケンスのスキル発動! カウンターブラスト(1)する事で山札の上五枚から、《双瞬の剣士 イスティア》をコール! 更に手札から《聖竜 ガブエリウス》をコール!」
左前後にガブエリウスとイスティアが並んだ。
「ガブエリウスのスキル発動! ソウルブラスト(1)する事で山札の上一枚を見て……下に置く。下に置いたなら自身のパワー+5000!」
随分と便利だな、ガブエリウスのスキル。俺のレザエルのデッキにも欲しいな。……俺の輪廻にガブエリウスのカードまで付き合わせるのは酷か。
「更に手札から《アライト・イーグレット》とぐらがおんをコール!」
中央後列にイーグレット、残った右後列にぐらがおんがコールされる。シーケンスのスキル込みとは言えフル展開か。本気でギィのダメージを稼ぐつもりだな。
「イスティアのブースト、ガブエリウスでアタック! ガブエリウスのスキル発動! ダメージが四点以上なら自身のパワー+5000!」
「ブリッツオーダー、《侵蝕の烽烟》を使用! 龍樹マーカーを置いて、ゼフィロギィラのパワー+20000!」
ガブエリウスの合計パワーは31000。対するゼフィロギィラは烽烟込みで33000。アタックはヒットしない。
そして中央後列に龍樹マーカーが置かれた。これで次のターンからゼフィロギィラの本領が発揮される。
「イーグレットのブースト、リィエルでアタック! この瞬間、リィエルのスキル発動! カウンターブラスト(1)する事でガブエリウスをバインドし、山札からガブエリウスをコール! 更にガブエリウスのスキルで山札の上一枚を確認して、上に置く。そしてイスティアは自身のスキルでスタンド!」
デッキトップを固定した。という事は何かしらのトリガーを捲ったのだろう。
「更にシーケンスのスキル発動! 他のユニットがヴァンガードの能力でバインドされた時、自身のパワー+5000、ソウルチャージ(1)!」
「完全ガード!」
「ツインドライブ!」
この状況で完全ガードを切ったとなると、手札のガード値はそこまで高くは無いのか。
「ファーストチェック──ゲット、クリティカルトリガー! ガブエリウスのパワー+10000、クリティカル+1!」
シーケンスではなくそちらにトリガー上昇を割り振るとは随分思い切ったな。もう一度完全ガードを切らせる為か、それとも持っていない事に賭けたのか。
「ぐらがおんのブースト、シーケンスでアタック! ぐらがおんは自身のスキルでパワー+5000!」
「《バーニングフレイル・ドラゴン》でガード、更にラグン・ギムラードでインターセプト」
シーケンスの合計パワーは28000。クリティカルトリガーとインターセプトの合計20000シールドで防がれる。
「ぐらがおんのスキル発動! バトル終了時、自身を退却させてカウンターチャージ(1)!」
これで残るアタックはガブエリウスのみだ。
「イスティアのブースト、ガブエリウスでアタック! そしてガブエリウスのスキル発動! カウンターブラスト(1)する事でパワー+10000、ドライブ-1して、ドライブチェックを行う!」
「ノーガード」
「ドライブチェック──ノートリガー」
ガブエリウスのアタックは通して、ギィのダメージは四点となった。
「ターンエンド」
「んふふ、いいねぇ明星エリカ。楽しいよ。ボクの想定以上だ」
「このまま勝たせてもらうよ」
エリカの言葉にギィはただ笑う。楽しい。楽しい。楽しくて仕方がないとばかりに顔が喜悦に満ちている。
「そう簡単にはいかないよ。ボクだって勝つ為にこの舞台に立っているんだから。ボクのターン、スタンド&ドロー!!」
そして手札から反撃開始とペルソナライドが叩き付けられた。
「ペルソナライド──ゼフィロギィラ! そしてスキル発動! 龍樹マーカーを置き、山札の上五枚からエスペラルイデアをコール!!」
左前列に二枚目の龍樹マーカーを置かれた。こうなるとマーカーの枚数分パワー上昇が入る。
そしてインターセプトでドロップに置かれたラグン・ギムラードの場所には二枚目のエスペラルイデアがコールされた。
「更にゼフィロギィラのスキル発動! ドロップからラグン・ギムラードをバインドし、龍樹マーカーのある(R)一つにつきエネルギーチャージ(1)とパワー+5000! 龍樹マーカーのある(R)は五ヶ所! よってエネルギーチャージ(5)とパワー+25000! 更にドライブ+1!!」
ペルソナライドにトリプルドライブ。エリカの手札はこの猛攻を止めきれるのか……?
「手札から《カレンザッパー・ドラゴン》をコール! そのままカレンザッパーのスキル発動! カウンターブラスト(1)する事で、相手リアガード一体を退却させる。《シーケンス・ウィザード》を退却!」
インターセプト要員がこれで居なくなった。エリカの顔に苦悶の表情が浮かんでいる。
準備が整ったギィがバトルに入る。
「エスペラルイデアでアタック!」
「《ブレードフェザー・ドラゴン》 とアイディラスの二枚でガード!」
攻撃してきたエスペラルイデアの合計パワーは28000。クリティカルトリガーとイーグレットによる合計20000シールドで弾いた。
「もう一枚のエスペラルイデアでアタック!」
「クゥ──ッ! プロロビとイーグレット、アイディラスでガード!! プロロビとイーグレットはスキルでシールド+5000!」
このエスペラルイデアは龍樹マーカーが二つ置かれている為、合計パワーが33000になっている。
だからこそ先程よりも高い25000シールドを要求されている。
「君、やっぱり強いねぇ。ファイト出来て嬉しいよ。でも、いつまで攻撃を防ぎ続けられるかな!? カレンザッパーのブースト! ゼフィロギィラでアタック!! 二枚のエスペラルイデアはスキルでスタンド!」
「私はまだ、諦めない! 完ッ全ガードォ!!」
「トリプルドライブ!!」
エリカの手札はもう残り少ない。防げてもあと一回だろう。ここでクリティカルトリガーが出なければまだ勝機は残っている。
「サードチェック──ゲット、クリティカルトリガー! エスペラルイデアのパワー+10000! クリティカル+1!」
しかしここでギィがクリティカルトリガーを引き当てた。追撃とばかりにクリティカルが乗ったエスペラルイデアでエリカにアタックを仕掛ける。
「さぁ、どうする? 奇跡を祈るかい? フシマチマドカのブースト、エスペラルイデアでアタック!!」
「……ふふ。奇跡、か」
ギィの言葉にエリカが静かに、そして小さく笑う。
「わずかな光でも手を伸ばした者にのみ奇跡は舞い降りる。どこかのお節介バカがずっと口にしているこの言葉が、私は嫌いだった。だけど……目の前で奇跡を掴んだ瞬間をこの目で見て、信じられるようになった。光で照らしてくれる人が居るから、その光に向かって私は手を伸ばす!」
その言葉はアキナの口癖で、そして俺の旅路を照らす星明りだった。
良かった。エリカにも手を伸ばせる光がちゃんとあるんだな。
「ブリッツオーダー、《
「本当にいいのかい?」
《
「ええ、いいのよ。だってこれは、手を伸ばした先にあった奇跡そのものだから! ダメージチェック──ゲット、オーバートリガー!! 一枚ドローし、リィエルのパワー+1億」
「うわぁ……」
うわぁ、ここでそれを引くんだ。思わずギィと同じ、間の抜けた声を出してしまった。
『このカードで、私は──運命を切り拓くッ!!』
『ゲット! オーバートリガー!! リィエルのパワー+1億ッ!!』
思い出す。一年前の宿命決戦の延長戦。レザエルを使ってエリカを追い詰めた先に待っていた、オーバートリガーによる逆転劇。
ギィの気持ちがよく分かる。まだ負けが決まったわけでは無いが、流れは完全にエリカが掴んだ。
「ドラコ・バティカルのブースト、エスペラルイデアでガブエリウスにアタック!」
「ノーガード」
「……ターンエンドだよ。まさか生き残るとはね」
「お生憎様。私は諦めが悪い女なの。私のターン、スタンド&ドロー!」
そしておそらく、これがエリカのラストターンだ。ここで決められなければゼフィロギィラの攻撃に耐えられないだろう。
「ペルソナライド──リィエル=アモルタ! 手札からレリジアルをコールし、スキル発動! ソウルブラスト(1)する事で、山札の上七枚からガブエリウスを手札に加える」
右前列にレリジアルがコールされ、スキルによりガブエリウスが手札に加わる。これでアタッカーが補充された。
更にソウルブラストの対象は《時の運命者 リィエル=アモルタ》 。これでディバインスキルの準備も整ったか。
「続けてイスティア、ガブエリウスをコール! ガブエリウスのスキルで山札の上一枚を確認して、下に置く。この時自身のパワー+5000!」
そしてエリカがバトルに入る。
「イスティアのブースト、レリジアルでアタック!」
「ノーガード」
手札はまだ残っているがガードをしない。確かに後一点受けられる余裕はあるが……まさか、トリガーによるパワー上昇狙いか?
「ダメージチェック──ゲット、クリティカルトリガー! ゼフィロギィラのパワー+10000!」
そしてその予想は正しかった。これでギィのダメージは五点になったが、ペルソナライドのパワー上昇を相殺された。
「イスティアのブースト、ガブエリウスでアタック!」
「《焔の闘僧 ソウギョウ》とカレンザッパーでガード!」
ガブエリウスの合計パワー41000に対して、クリティカルトリガー込みの20000シールドでガードされる。
やはり先程のクリティカルトリガーによるパワー上昇が響いている。ガード値を要求出来ず、思うようにギィの手札を吐き出せない。
「リィエルでアタック! スキルでレリジアルをバインドし、山札からレリジアルをコール! その後列のイスティアは自身のスキルでスタンド!」
「《バーニングフレイル・ドラゴン》でガード!」
「ツインドライブ!」
再度クリティカルトリガーによる15000シールド。トリガー二枚で貫通だが、二枚ともノートリガー。
だが、リィエル=アモルタの攻撃はまだ終わっていない。
「運命導く時の奔流。その真髄は過去への跳躍! 時よ逆巻け──ディバインスキル発動ッ!! バトル終了時ドロップの同名カード、リィエル=アモルタにライド! ドライブ-1!」
過去のリィエルへライドを行う、彼女のディバインスキル。
「イーグレットのブースト、リィエル=アモルタでアタック! スキルでガブエリウスをバインドし、山札からガブエリウスをコール。イスティアは自身のスキルでスタンドし、ガブエリウスのスキル発動! 山札の上一枚を確認して、下に置く。この時自身のパワー+5000!」
「《焔の巫女 レオニ―》でガード!」
ヒールトリガーによる15000シールド。ただ、これだとトリガー一枚で貫通するぞ。
もしかしてもう手札にガード札が残っていないのか?
「ドライブチェック──ノートリガー」
ギィは賭けに勝った。だが、まだエリカには二回アタックが残っている。
「イスティアのブースト、ガブエリウスでアタック! ガブエリウスのスキル発動! パワー+10000、ドライブ-1してドライブチェックを行う!」
「完全ガード!」
防がれたか。だがこれでギィの手札は残り一枚だ。……後一枚、残っている。
「ドライブチェック──ゲット、クリティカルトリガー! レリジアルのパワー+10000、クリティカル+1!」
「あちゃー、ここでトリガーを引き当てられちゃうかー」
「イスティアのブースト! レリジアルでアタック!!」
「……ノーガード」
最後の一枚は完全ガードでは無かったようだ。そして、ダメージチェックで捲られたのは《降誕の龍樹 ゼフィロギィラ》。
そのままギィに六点目のダメージが入り、エリカの勝利となった。