準決勝第二試合は、アキナが勝利した。いよいよデラックスの決勝戦が始まる。
……始まる、のだが。
「遅くないか……?」
決勝戦が始まる時間が迫っているというのに、入場口にアキナが現れないらしい。デッキ調整に苦戦しているのだろうか。
いやそれにしては時間がかかり過ぎているような気がする。時間を過ぎても現れない場合は俺の不戦勝と言う事にもなりかねない。
さてどうしたものかと思っていたら、ステージ上で決勝戦の前振りのアナウンスが始まった。どうやら間に合ったらしい。
「最強の座に王手をかけたのはこの二人だああぁぁっ!!」
確かこのセリフでアキナから入場するんだったな。俺はアキナの紹介が終わった後だった筈だ。
「望む光に手を伸ばす救世の翼、明導アキナ!!」
「対するは! 世界の栄光を貪り尽くした悪しき
もはやお馴染みのフレーズとなった言葉を背に、ファイトテーブルのある舞台へ足を進める。
デラックスも残すはこの一戦のみ。アキナが
「よう、随分とギリギリだったなアキナ。デッキの調整は万全か?」
「あぁ。お前に勝つ為に考え抜いたさ」
アキナの宣言に俺の口角が吊り上がる。成程、ならばもう遠慮はいらないな。
アキナと大きな舞台で対戦した経験は存在しない。非公式戦、というか本当に軽く手合わせした経験はあるものの、それでも
故に。そう故に、この戦いは俺にとっても未知である。
これまでのアキナの戦いは見てきた。デラックスの予選も全てアーカイブを見返した。楽しみだよアキナ。那由他の果てまで繰り返し、既視感に満ちた殺戮を繰り返すこの俺に、いったいどんなファイトを見せてくれる? いったいどんな奇跡を描いてくれる?
「「スタンドアップ、ヴァンガード!!」」
「《大望の翼 ソエル》」
「《リザードランナー アンドゥー》」
見せてくれよアキナ。お前の力を! 俺に感じさせてくれ!!
「俺のターン、ドロー! エネルギージェネレーターをセットし、《風巻の斥候 ベンテスタ》へライド!」
最初のターンは動かない。本番はやはりグレード3にライドしてからだな
「ターンエンド!」
「俺のターン、ドロー! エネルギージェネレーターのセットとエネルギーチャージ(3)! 《鎧の化身 バー》へライドし、アンドゥーのスキルで一枚ドロー!」
さて、こちらも急ぐ事もない。このデッキでアグロ戦術をとる意味も薄いし、いつも通りでいいだろう。
「バーでアタック」
「ノーガード」
これでアキナに一点のダメージだ。まぁ後攻の挨拶みたいなものだな。
そしてダメージに落ちたのは完全ガード。よし、防御札を一枚落とした。
「ターンエンド」
「俺のターン、ドロー! そして《躍進の騎士 アゼンシオル》にライド」
「──んん?」
アキナがグレード2のアゼンシオルにライドさせる。特におかしいものではないが、俺が注目したのはライドコストだ。
「《ディヴァインシスター ふぃなんしぇ》……だと?」
今生の宿命決戦で、そして過去の輪廻の運命大戦で俺が使っていたカードだ。(R)に登場すれば、場のリアガードをシールドへ変換するセットオーダーを持ってくるユニット。
ケテルサンクチュアリに属するカードだし、俺が使用するレザエルデッキのメインエンジンの一枚。だが、アキナがこのカードを使っているところなど見た事がない。
どちらかと言えば、アキナのレザエルデッキは攻撃面に寄せている。レザエルのディバインスキルで山札に戻る豊富なクリティカルトリガーで、相手に大ダメージを与える事がアキナのデッキのコンセプトである筈だ。
「ライドされたベンテスタのスキル! 自身をコールし、ソウルチャージ(1)!」
俺の困惑をよそに右前列にコールされたベンテスタ。二回の攻撃。さてどうするか。
「アゼンシオルでアタック!」
「ノーガード」
とりあえず一点のダメージを受けておく。問題は次だな。
「ベンテスタでアタック!」
「《炎麗の舞姫 ジャスティーナ》でガード」
5000シールドで受ける。このターンは一点のダメージで抑えておこう。
「ターンエンド」
「俺のターン、スタンド&ドロー!」
疑問はある。だが、その工夫も俺に勝つ為なのだろう。聖歌を使う型を密かに練習でもしていたか?
相手の情報に無いだろうアーキタイプで勝率を上げるという手段は、既に俺もエリカ相手に行っている。
故に俺は何も言わないし、それで事故るようならそのまま引導を渡してやるだけだ。何も問題はない。
「《ドラゴンナイト ネハーレン》にライドし、バーのスキルを発動! カウンターブラスト(1)を行い、山札からグレード1のカード──《
ユニット以外のカードもサーチ出来るのがバーの強みだな。おかげでデッキが安定する。
「さぁいくぞアキナ!! オーダーカード、《
「きたか……!」
「そして、ベリコウスティのスキル発動! エネルギーブラスト(3)と手札をソウルに入れて二枚ドロー!」
右前列にベリコウスティをコールさせ、ベンテスタは退却。
これでバトルといこうか。
「ネハーレンでアタック! ベリコウスティは自身のスキルでパワー+5000!」
「ノーガード」
これでアキナのダメージは二点だ。さぁ、ベリコウスティの攻撃はどうするかな?
「ベリコウスティでアタック!」
「《インパーヴィアス・ドラゴン》でガード! インパーヴィアスはスキルでシールド+5000!」
スキル込みの10000シールドでガードしたか。
「ターンエンド!」
「俺のターン、スタンド&ドロー!」
ここからアキナのヴァンガードはグレード3に──レザエルにライド出来る。
お前はどんな答えを出したんだ? なぁ、アキナ。
「今度はこっちの番だ、ケント!」
「こいよアキナ! 何を仕込んだのかは知らないが、半端な小細工で
「もちろん、分かっている! ──救世の翼、天よりここに! 《奇跡の運命者 レザエル》にライド!!」
さて、ここでアゼンシオルのスキルが発動するのだが……。
ドロップに視線を移す。コールするのはおそらく、ふぃなんしぇだろう。防御を固めてジエンドの攻撃を全ていなすつもりなのか?
そうであるならば、それは驕りと言うものだぞアキナ。世界を喰らう
「アゼンシオルのスキルで、ドロップから《ディヴァインシスター ふぃなんしぇ》をコール。更にふぃなんしぇのスキル発動! ソウルブラスト(1)する事で、山札から《
右前列にふぃなんしぇがコールされた。
あくまでもその戦術を貫くか。ならば、守り切れなかった時がどうなるか──相応の覚悟は出来ているんだろうな?
「ノーヴィアをコールし、スキル発動! カウンターブラスト(1)する事で山札の上三枚から《救護の翼 ソエル》をコール!」
ノーヴィアは左前列に、救護ソエルは中央後列にそれぞれコールされる。
「更に《がるがおん》、《厳槍の騎士 セイヴルス》をコール!」
右後列にがるがおん。そして最後の左後列にセイヴルスか。
これでいいよいよバトルに入るかな。
「セイヴルスのブースト、ノーヴィアでアタック!」
「《ドラグリッター サルマー》でガード」
ヒールトリガーによる15000シールドでガードする。
長期戦になる可能性も考慮して、防げるところは防いでいかないとな。
「ソエルのブースト、レザエルでアタック! レザエルのスキルでカウンターブラスト(1)を行い、インパーヴィアスとソエルをコール!」
既に攻撃を行った左列にインパーヴィアスとグレード0のソエルが並ぶ。
「更に《救護の翼 ソエル》のスキルでカウンターチャージ(1)を行う!」
「ノーガード」
「ツインドライブ!」
さぁ、今のお前は何を引くだろうな。クリティカルトリガーか? それともフロントトリガーか?
「セカンドチェック──ゲット、ドロートリガー! 一枚ドローし、ふぃなんしぇのパワー+10000!」
ドロートリガーか。やはり今日のアキナは随分と防御に寄っているな。まぁ、これはこれで面白い。
これで俺に二点目のダメージが入った。
「がるがおんのブースト、ふぃなんしぇでアタック!」
「ノーガード」
これで三点目のダメージ。だが、このままでは終わらない。
「ダメージチェック──ゲット、クリティカルトリガー! ネハーレンのパワー+10000!」
「ソエルのブースト、インパーヴィアスでアタック! インパーヴィアスは自身のスキルでパワー+10000!」
合計26000か。だがクリティカルトリガーでネハーレンのパワーは上昇しているから、10000シールドで防げる。
「《フレアヴェイル・ドラゴン》でガード。フレアヴェイルは自身のスキルでシールド+5000!」
これで10000シールドだ。さて、次は俺の番だな。
「《救護の翼 ソエル》をソウルに置いて、ターンエンド」
「俺のターン、スタンド&ドロー! ……さて、アキナ。覚悟はいいか?」
そこまで防御に寄せたというのならば、どこまで防げるのか見せてもらおうか。
「甦れ──世界の果てまで蹂躙する、久遠劫の黙示録! ライド──《ドラゴニック・オーバーロード》!」
震えあがれ、世界。
この怒りを! 呪いを! 忘れたというのならば何度でも刻み付けてやろう。それこそが
「ライドコストの《壮鱗の大炎斧 カルガフラン》のスキル発動! ソウルブラスト(1)とカルガフランを山札に戻して一枚ドロー! 更にネハーレンは自身のスキルでソウルからコール!」
左前列にネハーレン。さて、俺の分身にご登場願おうか!
「ドロップの《
とくと感じてもらおうかアキナ! 俺の、
「終滅せよ!
さて、場を整えていこうか。
「手札から《忍妖 シェンリィ》、《炎麗の舞姫 ジャスティーナ》をコール! ジャスティーナのスキルで手札を一枚捨て、山札から《
右後列にシェンリィ、左後列にジャスティーナをコールする。
更にドロップに置いた《
「ネハーレンのスキル発動! ソウルブラスト(1)する事で自身とヴァンガードのパワー+5000!」
さぁ、バトルだ!
「ジエンドでアタック! ベリコウスティは自身のスキルでパワー+5000!」
「ノーガード!」
「ツインドライブ!」
ここでダメージを与えておきたいが、さてどうなるか。
ファーストチェックはノートリガーで終わる。次は──。
「セカンドチェック──ゲット、クリティカルトリガー! ネハーレンのパワー+10000、ジエンドのクリティカル+1!」
「ダメージチェック、一枚目──ノートリガー」
三点目のダメージ。そして落ちたのは二枚目の完全ガードだ。
「二枚目──ゲット、ヒールトリガー! レザエルのパワー+10000、ダメージ回復!」
ダメージは三点から変わらず、ダメージに落ちた完全ガードが一枚ドロップに置かれた。
これでレザエルのスキルと聖歌で再利用出来るようになってしまった。
「バトル終了時にジエンドのスキル発動! 手札のハルブを捨てて自身をスタンド! ハルブは手札から捨てられた時に後列の(R)へコールされる! 更に自身のパワー+5000!」
ジエンドの攻撃はまだ終わらない。
「ハルブのブースト、ジエンドでアタック! ベリコウスティは自身のスキルでパワー+5000!」
「《栄典の光竜神 アマルティノア》でガード!」
「──ッ、ツインドライブ!」
オーバートリガーによる50000ガード。さすがにこれは貫けない。
そしてツインドライブでは全てノートリガー。だが、まだだ!
「ジャスティーナのブースト、ネハーレンでアタック!」
「インパーヴィアスでインターセプト! 自身のスキルでシールド+10000!」
ネハーレンの合計パワーは33000。だが、ヒールトリガーによるパワー上昇込みでインパーヴィアスによる15000シールドで防がれた。
「シェンリィのブースト、ベリコウスティでアタック!」
「《
「まぁ、そうなるよな」
これで俺の攻撃は防がれた。せめてもう一点くらいダメージを重ねておきたかったが、仕方ないか。
「聖歌の効果で(G)に移動したふぃなんしぇはバインドされる」
「ターンエンドだ」
「俺のターン、スタンド&ドロー!」
アキナは手札を見て、首を小さく横に振った。
「このターン、俺はライドしない」
やはりデッキ構成に無理が出たようだな。ダメージゾーンにアキナの切り札、《奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ》のカードは無い。
余程山札の奥深くに眠っているようだ。ペルソナライドのパワー上昇が無いのであれば、守る事も容易い。
「奇跡降臨! ディバインスキル発動! ドロップのクリティカルトリガーを全て山札へ戻し、ドライブ+1!」
「苦し紛れのディバインスキルか! まぁいいさ。足掻こうが、もがこうが、やれる事を全てぶつけてこい!!」
ディバインスキルのソウルブラストによって、アゼンシオルがドロップに置かれた。
「あぁ、全力でぶつかってやるさ! 手札から《黄宝獣 トールパーズ》をコール!」
左後列にトールパーズがコールされ、同じ場所にいたグレード0のソエルが退却する。
「トールパーズのスキル発動! ドロップのベンテスタとアゼンシオルをライドデッキへ戻し、山札の上五枚から《奇跡の幻真獣 リフィストール》をコール! 更にリフィストールのスキルでカウンターブラスト(1)する事で、山札の上七枚から《奇跡の運命者 レザエル》を手札へ!」
「そこまでやってレザエル・ヴィータは引けないか……本当にデッキの構成に難があったようだな、アキナ!」
たとえ全力には程遠かろうが、
実力を発揮出来なかった、などと後で言ってくれるなよ。
「まだ勝負はこれからだろう、ケント! 《聖竜 ガブエリウス》をコールしてスキル発動! ソウルブラスト(1)する事で、山札の上一枚を見て……下に置く。そして自身のパワーを+5000! 最後にエネルギージェネレーターのスキルで一枚ドロー!」
準備が整ったのか、アキナがバトルに入る。
「トールパーズのブースト、リフィストールでアタック!」
「シェンリィでガード! ベリコウスティとネハーレンでインターセプト!」
リフィストールの攻撃はこれで問題なく防げる。
「レザエルでアタック! スキルでノーヴィアとアマルティノアをコール! 更にノーヴィアのスキルでふぃなんしぇを手札に加える!」
「《コンダクトスパーク・ドラゴン》でガード!」
「トリプルドライブ!」
レザエルのスキルでオーバートリガーを釣り上げたか。完全ガードにしなかったのは、手札が減る事を嫌ったか?
そしてレザエルの攻撃だが……ブースト無しの13000であれば、いくらトリプルドライブであってもクリティカルトリガーの15000シールドで問題無いだろう。
案の定、ファーストチェックはノートリガーだ。
「セカンドチェック──ゲット、クリティカルトリガー! ガブエリウスのパワー+10000、クリティカル+1!」
引いたトリガーはガブエリウスに割り振ったか。ノーヴィアに振ってもそこまで圧をかけられないとふんだか。
続くサードチェックはノートリガー。よし、これでレザエルの攻撃は凌いだ。
「アマルティノアのブースト、ノーヴィアでアタック!」
「ファルハートでガードだ」
5000シールドで攻撃を防ぐ。ぬるい攻撃だ。
「がるがおんのブースト、ガブエリウスでアタック!」
「《バーニングフレイル・ドラゴン》とサルマーでガード」
どの道、手札にトリガーユニットを抱えていても打点にならない。ならば、防げる内に防いでおくべきだ。
ガブエリウスの合計パワーは41000。合計30000シールドでガード成功だ。
「……ターン、エンド」
「俺のターン、スタンド&ドロー!」
このままアキナの思惑通りの長期戦に付き合えば、先にリソースが尽きるのはこっちだ。
ならば、このターンで決めにいくしかないだろう!
「ペルソナライド──ジエンドォ!!」
そしてまだ終わらない。ジャスティーナのスキルで用意しておいたオーダーの出番だ。
「ドロップの《
「なッ──!?」
先の準決勝、エリカとのファイトでも見せていなかったジエンドの奥の手だ。アキナ、お前がその最初の犠牲者だ!
「邪竜完成ッ!! ペルソナライド──ジエンドォ!!!」
「くぅ……っ!」
「アキナ、手札の防御札は足りているか? まぁ、まだこんなモンじゃ終わらないがなァ!!」
俺の手札は残り二枚。これで救世の翼を持つ大天使の首を獲る!!
「ベリコウスティを二枚コール!」
世界を貪り、呑み込む邪竜の進撃だ。アキナの完全ガードは残り二枚。さて、どれだけ手札に残っているかな?
「ジエンドでアタック! 二体のベリコウスティは自身のスキルでパワー+5000!」
「《
「ツインドライブ!!」
いくらジエンドでも50000ガードは崩せない。だが分かっているか? アキナ、もう邪竜の牙はお前の首に届いているぞッ!!
「ファーストチェック──ゲット、クリティカルトリガー! 右列のベリコウスティのパワー+10000、クリティカル+1!」
「リアガードに振り分けた!?」
「当然だろう、アキナ。残りの完全ガードは二枚。最低一枚は手札に入っている……いや、言い方を変えようか。レザエルに選ばれたお前が、最低限の防御札を握っていない
その奇跡のような引き。まさにレザエルに選ばれるに相応しい。そうでなければ、俺が
「セカンドチェック──ゲット、クリティカルトリガー! 左列のベリコウスティのパワー+10000、クリティカル+1! 続けてジエンドのスキル発動!! さっきのツインドライブで加わった手札二枚を捨て、ジエンドはスタンドする!」
「……(G)のアマルティノアは聖歌の効果でバインドされる」
さぁ、この一撃は重いぞアキナ! 切ってこいよ、完全ガードを!!
「ハルブのブースト! ジエンドでアタック!! 二体のベリコウスティは自身のスキルでパワー+5000!」
「お望み通り、切ってやるよケント!! 完全ガードだ!」
「ツインドライブ!!」
ファーストチェックはノートリガーだが、完全ガードが手札に入った。使う場面は果たして来るか……?
「セカンドチェック──ゲット、クリティカルトリガー!! 左列のベリコウスティのパワー+10000、クリティカル+1!」
これで右列のベリコウスティのクリティカルは2。左列に至ってはクリティカル3だ。
もう一枚完全ガードを握っているのなら、当然クリティカル3の方に切るだろう。
「シェンリィのブースト、ベリコウスティでアタック! シェンリィは自身のスキルでパワー+5000!!」
「……っ、ノーガード!!」
先ずは右列の、クリティカル2のベリコウスティから攻撃させる。
これでアキナのダメージが三点から五点になった。その上、ダメージに落ちたカードの中に完全ガードが混ざっていた。
「ハ、ハハハハ──ハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!! 終わりだ、アキナ!! 完全ガードは既に品切れ、たとえレザエルの奇跡があったとしても五点ダメージからクリティカル3は凌げまい!!」
「……まだ、勝負は終わっていない」
「いいや、終わりだ……。俺の憧れ、俺の親友──明導アキナ。お前も結局
この頂点に上り詰める為に、俺は全てを蹂躙してきた。最早この覇道は止められない。
「凶眼、星の魔女、四炎の竜に月の門番。そして何よりも愛おしい
合計パワー68000にクリティカル3。完全ガードが切れた今、防御など出来る筈もない。
これで、俺の──勝ちだッ!!!
「ブリッツオーダー! 《
「──ぁあ?」
《
「何を引くと言うんだアキナ? 完全ガードはもう無いだろうに」
「俺のデッキにはまだ可能性が残っている! わずかな光でも手を伸ばした者にのみ奇跡は舞い降りる──ケント! お前に今、奇跡を見せてやる!!」
「ッハ、そう何度も起こってたまるか! いいぜ、やってみろよ!! お前が何を引くつもりなのかは知らないが──見せてみろ! お前の奇跡をッ!!」
アキナの手が山札のトップを捲る。俺はアキナの表情を見て、内心首を傾げる。
笑みを浮かべているのだ。いったいアキナは何を引いたんだ? オーバートリガーも既にバインドゾーンだ。この状況を打破出来るカードなど、アキナのデッキには入っていない筈だが。
「俺は、《時の運命者 リィエル=アモルタ》 でガード!!」
──そして。眼前に現れたのは、
「ぁ、え? んん? ──ハアアアアアアアアアァァァァァァアアアアァッッッ!!!!!??」
リィエル=アモルタ。どうしてアキナのデッキに入っているッ!?
「アキナ! お前、そのカードはッ!!」
「俺の準決勝が始まる前、エリカに頼んでおいたんだ。決勝に進む事が出来たら、リィエルの力を貸してほしいと」
「いや、それは──確かに、大会の規則上問題無いだろうさ! だが、お前のデッキには既にレザエル、レザエル・ヴィータ、ガブエリウスが入っているだろう!? そこにリィエルを突っ込んだだとッ!? どれだけグレード3を詰め込んでんだ! バスティオンじゃねえんだぞッ!!?」
トリガーユニットを除いたら、ほぼ半分をグレード3が占めているんじゃないか? そんな滅茶苦茶なデッキを回してたと言うのか?
だが、アキナの言葉に俺は再度耳を疑った。
「あぁ。だから俺のデッキに、《奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ》は入っていない!」
「お、前ェ──ッ!?」
本気か? いや、正気か?
レザエル・ヴィータはお前の切り札だろう? それをデッキから抜いた?
「バトルの続きといこうか、ケント! リィエル=アモルタのスキルにより手札一枚を捨て、バインドゾーンのふぃなんしぇとアマルティノアを山札に戻し、そのアタックはヒットしない!」
「グゥ──ッ!! ターン、エンドだ」
まさか、エリカのリィエルがアキナのデッキから出てくるとはな。
去年の運命大戦の時、《零の運命者 ブラグドマイヤー》 のディバインスキルの対策としてエリカから譲り受けたリィエルを入れていた事はあった。
あの時はブラグドマイヤーがアキナのカードをバインドしていたから問題なく使えていたが、レザエルのデッキに入るユニットにバインドゾーンにいくカードは少ない。
今のデッキ編成だと、条件付きでバインドされるセイヴルスと、受動的な救護ソエルか。──あぁ、だからふぃなんしぇと聖歌を出張パーツとして組み込んだのか。
バインドゾーンのカードを増やし、リィエル=アモルタのスキルを使い易くする為に。
「俺のターン、スタンド&ドロー!!」
だが、まだ終わったわけじゃない。オーバートリガーもリィエルのスキルで山札に戻ったとは言え、ボトムに沈んでいるだけだ。
このファイトでは考慮する必要はないし、山札をシャッフルするカードもドロップにいるリフィストールくらい──。
『レザエルでアタック! スキルでノーヴィアとアマルティノアをコール! 更にノーヴィアのスキルで──』
いや、待て! 前のアキナのターン。レザエルのスキルでノーヴィアをコールした時、何を手札に加えていた?
思い出せ。確か、手札に加えていたカードは──ッ!!
『──ふぃなんしぇを手札に加える!』
まさか、あいつ──ッ!!
「ペルソナライド──レザエル! 更に手札からふぃなんしぇをコール! そのスキルで山札から聖歌をオーダーゾーンへ置く!」
「山札をシャッフルするサーチ札──まさか、お前……引くつもりなのか? オーバートリガーをッ!?」
ノーヴィアがいた場所にふぃなんしぇがコールされる。
山札の底に埋まっていたオーバートリガーが、シャッフルによって場所が移動する。
「あぁ。これが俺の出来る全力だッ! そして手札からソエルとセイヴルスをコール!」
中央後列に救護ソエル、そして左後列にはセイヴルスがコールされる。
「これで決めるぞッ!! セイヴルスのブースト、ふぃなんしぇでアタック!」
「……ノーガード!」
ペルソナライドでパワーが上昇している今、シールド値が足りない。
だが、俺はまだ負けていない!!
「ダメージチェック──ゲット、フロントトリガー! 前列のパワー+10000!」
四点目のダメージが入ったが、これでペルソナライド分を帳消しだ。
「ソエルのブースト、レザエルでアタック! 更にレザエルのスキル発動!」
アキナはドロップから一枚のカードを掴み取る。
「決意の翼を翻し、舞い戻れ!! ドロップからリィエル=アモルタとセイヴルスをコール!!」
やはりリィエル=アモルタか。そうだと思っていたが、このまま負けるつもりなどないぞ!
「完全ガードォ!!」
「ツインドライブ!! ファーストチェック──ノートリガー」
そうさ。そうともさ。これまで散々奇跡を起こしてきたんだ。そろそろ品切れだろう?
俺はまだ戦える。怒りと呪いに身を任せ、
俺は、ジエンドは終わらない。……終われないんだよ。那由他の果てまで繰り返した輪廻の中で、積み重ねた怨嗟は消えやしない。
悪しき竜が討伐されるまで、世界と運命を破壊する慟哭は永劫響き続ける。
「ケントが何に囚われているのかは、何となく分かるつもりだ。あの時、俺はお前の過去の一部始終を見たから」
宿命決戦の時、輪廻の果てで積み重ねた
「もう自分で止まれないのなら、俺達が止めてやる! 俺だけの力じゃさっきのケントの攻撃で負けていた。エリカだけの力でも駄目だった。だけど! 俺とエリカ、二人の力でお前の
その力強い宣言と共に、セカンドチェックが行われる。
「セカンドチェック──ゲット、オーバートリガー!! リィエルのパワー+1億! 更にリアガードの攻撃でもドライブチェックを行う!!」
「──アキ、ナ……ッ!!」
マジか。マジで引くのか。本当に、お前は──ッ!!
「セイヴルスのブースト!! 《時の運命者 リィエル=アモルタ》で、《ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド》へアタック!!」
「ノー、ガードォ!!」
「ツインドライブ!!」
一人じゃなく、二人で……か。確かに俺の──竹松ケントの人生の始まりは、明導アキナと明導ヒカリだった。
二人に出会えたから俺は幸せな宝物を抱くことが出来て──二人に出会えたから、俺は永い旅路を歩む事が出来たんだ。
原初の記憶。俺の始まり。あぁ、そうか。アキナ。そしてエリカ──。
「セカンドチェック──ゲット、クリティカルトリガー!! ガブエリウスのパワー+10000、リィエルのクリティカル+1!!」
「……ダメージチェック。ファーストチェック──ノートリガー」
──二人こそが、俺の
そう頭に過ぎった瞬間、感じたのは納得感だった。もう
「セカンドチェック──」
そして、六点目のダメージチェック。捲られたのは──。
「あぁ……ようやくだ。会えて嬉しいよ。今の気分はどうだ? なぁ──
「最高の気分だよ、ケント」
──《ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド》。その名の通り、
俺のダメージゾーンに六点目のカードが置かれた瞬間、みんなの歓声でヴァンガードドームが揺れた。