8月
上旬
ジオン地上軍北米司令部。北米南部の連邦勢力圏の完全掌握を目的とした作戦を立案。その背後にあるジョージア州・フロリダ州の連邦のニュータイプ研究を察知したフラナガン機関キシリア派の影響があった。
攻略部隊はガルマ・ザビが直接指揮し主力こそキャリフォルニア基地とニューヤーク基地から出したものの、「闇夜のフェンリル隊」「マッチモニード隊」「マッド・アングラー隊」「ノイジー・フェアリー隊」と言ったいわゆるキシリア派が参加しておりキシリア派の息が掛かった作戦と言えた。
「ガルマ様、確かに本作戦で地上軍を投入しようと提案しましたが、ガルマ様が出る必要はないのではないでしょうか?」
「ウォルター大佐、ニュータイプはキシリア姉さんが入れ込んでいる、ギレン兄さんですら手を出している分野だ。わたしも少し興味がある。今までは直接目にする機会がなかったし、連邦のものとは言え直接見る機会なのだ。」
「ガルマ様、ニュータイプ研究については悪い噂をよく聞きます。私の方からも精鋭を含めた部隊を派遣します。ダロタ中尉、ガルマ様を必ずお守りしてくれ。」
キシリア配下の独断行動に不快感を抱いた地上軍司令ガルマ・ザビと補佐役の北米軍司令ウォルター・カーティスが介入し主軍として地上軍の大部隊が投入されることとなった。
行軍中、ガルマは個人的にも親しかったフラナガン・ブーンから情報提供を受けていた。
「連邦のニュータイプ研究は相当に下種な実験をしているようです。キシリア様はそれを接収して手に入れたいようです。私もそっち方面は詳しくないんですが、ニュータイプ研究所内の派閥関係でギレン派に結構持っていかれた様で…。」
「身内の汚い部分、あまり聞きたくない内容だな。だが、聞かねばならん。」
「ガルマ様の性格ですし、オーガスタの非人道的行為を見たらご自身で保護されるのでしょう?」
「勿論だ。目の前でそんな非道な行いをされていたら辞めさせるに決まっている。」
「でしょうな。でしたらキシリア派の特務部隊には警戒してください。」
「だが、お前もキシリア姉さんの派閥だろう。大丈夫なのか?」
「いやぁ、めちゃくちゃ悪いです。命すら危ういです。ですが、ガルマ様とはヒラメのご縁とでも言いましょうか。ずいぶん良くしていただきましたので…。出来る事なら…。」
フラナガン・ブーンは頭を掻きつつ返答する。
「わかった。私とカーティス大佐でマッド・アングラー隊の立場は保証しよう。」
「助かります!これで命がけの話をした甲斐があります。」
「それだけ私を買ってくれたんだ。応えてやらなくてはな。しかし、なぜ貴官がフラナガン機関について…。あぁ。」
「お察しの通り、フラナガン・ロムと私は遠縁ですが親戚です。」
中旬下旬
「北米大陸南部の完全掌握を目指すブランディストック作戦を発動する!目標は未だ制圧できていない北米南部サウスカロライナ州、ジョージア州、アラバマ州、フロリダ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州、テキサス州の旧アメリカ領域。すでに掌握しているソノラ州、チワワ州を除く旧メキシコ領域の掌握である。これによってジャブロー侵攻への地上ルート確立の先駆けとするものである!皆の奮戦を期待する!ジーク・ジオン!」
作戦は発動された。
ニューヤーク基地を中心とした東海岸沿いの東部基地からの部隊はガルマ・ザビ大佐が、キャリフォルニア基地を中心とした西海岸沿いの西部基地からの部隊をウォルター・カーティス大佐が率いて南下を開始した。中央部の基地は防衛待機であった。
作戦開始後、ウォルター軍団はメキシコ側へ南下を開始。この軍団の目的はメキシコのガス田・油田の確保、さらには豊富な鉱山資源の確保でもあった。むしろ、本作戦の主目的はジャブロー侵攻の地上ルート確保と資源の確保であり、ウォルター軍団の方が主力であった。
一方のガルマ軍団はアメリカ最南部の連邦軍の排除が目的であった。マッド・アングラー隊がメキシコ湾に突入し、制海権を確保。ガルマの直下にはランバ・ラル隊とキャリフォルニア基地から貸し出されたイアン・グレーデン中尉率いるMS中隊がいた。ウォルター軍団が運用MS数が200機を超えるのに対し、ガルマ軍団は直轄80機とキシリア麾下の特殊部隊24機で構成されていた。
ケープ・カナベラル宇宙基地施設の大量の化学兵器保有の情報を掴み奪取の疑惑が浮上した際には流石に「直属の指揮下では無いとはいえ現場指揮官に話を通すのが筋だ」と激高し対処を行う事となる。そして、ガルマ大佐の判断でマッチモニード隊討伐が決定。
ガルマ大佐の判断に対して「マッド・アングラー隊」は積極的に協力、「闇夜のフェンリル隊」「ノイジー・フェアリー隊」は静観した。
結果としてマッチモニード隊は派遣したランバ・ラル隊を中心とする部隊によって全滅し、キシリアからは「マッチモニードの独断専行でこちらも認知していなかった、迷惑をかけた事を謝罪する。」と言う形で済まされる事となる。
マッチモニード隊討伐に積極参加したマッド・アングラー隊は以降ガルマの直下に移行されガルマ派と認知される事となる。
また、メキシコに入ったウォルター軍団はメキシコの過半を占領した。ウォルター・カーティス大佐は本国の地球独立派支援方針に基づいて現地のサパティスタ反乱軍を支援し、チアパス州国の独立を認め国家承認を行った。また、この戦いでは連邦のMSであるザニーや鹵獲ザク、量産型の試作と思われるガンキャノンなどの機体が複数確認された。また、改良されたガンタンクが量産されているのを確認された。
オーガスタ基地にて
「ガルマ様。」
「うっ!?何だこの匂いは?まるで腐った魚のような…」
「はい。仰る通り…これはイルカの腐臭です。」
制圧後のオーガスタ基地にて発見したものを直接見に行こうとした。ガルマは余りの悪臭に顔を歪めた。副官のダロタもハンカチで鼻を抑えている。
縦の長さが成人男性の身長にも満たない円筒状の小型ユニット本体に、イルカの生体脳を中枢として組み込んで作られた生体ソナー。正式名称は「ドルフィン・ナビゲーション」。
脳以外は捨てられ腐臭を発していた。
生体脳の寿命が短いことから、長期間の使用ができないという欠陥装置だった為、この場に放棄されたのだろう。
「あの、生きているイルカもいるのですが…。」
「っ…臭い。と、とりあえずデータを軽く取ったら逃がしていい。」
「わ、わかりました。ガルマ様…そろそろ出ましょう。」
「あ、あぁ。そうしよう。」
9月
ジオン公国V作戦をキャッチ。シャア少佐率いる特務部隊が、ルナ2付近で「ホワイトベース」を捕捉、追尾を開始する。
ホワイトベースがV作戦だと気付いたシャアはその寄航先のサイド7・1バンチに偵察部を率いて潜入する。その後、特務部隊は強襲攻撃を仕掛ける。ホワイトベース及びV作戦MSの多くを破壊する。その際にホワイトベース及びRX-78ガンダム奪取に成功する。
奪取されたガンダムは本国に移送されて解析される。シャアも本国に戻ることとなり、連邦の新兵器を奪取した英雄としてメディアに露出することとなり仮面の赤い少佐として人気を博すこととなる。
木星帰りのニュータイプ。ギレン父娘にシャリア・ブルが謁見した。
「閣下、シャリア・ブルが木星より帰還しました。」
セシリアに案内されたシャリア・ブルが執務室に入ってくる。
「よく戻った。シャリア・ブル、お前を呼んだのは折り入って頼みがあるからだ。キシリアのニュータイプと接触してほしい。お前なら可能なはずだ。」
「私がニュータイプ…。そうはおっしゃいますが、私から見ればその素養は閣下のお嬢様の方がよほどおありの様な気がしますが。」
「その言葉は親としては嬉しい限りだが、娘はまだ6歳だ。経験豊富な大人の助けが必要だ。」
6歳でそのプレッシャーとは末恐ろしい。
ギレン閣下に懐疑的な私に警戒感ともとれるプレッシャーを送ってくる。
「ふっ、誤魔化すな。フラナガン機関の報告書は読んだ。お前なら私が何を考えているか、解るのだろう?」
「私にキシリア様の行動を監視しろと仰るのですね。そしてお嬢様の補佐もですか?」
「さすがだな…そういう事だ。よろしく頼んだぞ。」
木星帰りのニュータイプ、シャリア・ブル。ノーマ・ザビの下に付けられることとなる。
「よろしくお願いしますね。シャリア・ブル大尉。期待していますよ。」
良いか悪いか判断はついていないが、シャリア・ブルはギレンへの意趣返しにと一言。
「セシリア嬢の中にお子さんがいらっしゃいますね。閣下の御子様ですか?」
「なに…。」
「お父様…気が付いていなかったんですか?」
「セシリア…本当か?」
「はい。」
セシリア・アイリーン妊娠発覚。妊娠3ヶ月。出産予定は来年6月。