10月
13日~14日
第8艦隊と言う大きな犠牲を払って地球に降下したアークエンジェルであったが、そこはザフト及びジオン共栄圏の勢力圏のリビア砂漠であった。
休息する間もなく不慣れな砂漠地帯でザフト地上軍の攻撃にあう。そこに突如現れたレジスタンスに窮地を救われる。彼らはアフリカ民族解放戦線に属さない非主流派のレジスタンス「明けの砂漠」であった。
アークエンジェルは彼らの協力で物資の補給を受け、この地を脱出する方策を模索する。
そのつかの間の休息を得たキラはレジスタンスの少女カガリと近くの街に出るが、そこで彼らはお思いもよらない人物と出会う。
アンドリュー・バルトフェルド、「砂漠の虎」と恐れられるザフト地上軍の司令官であった。
「どうなったら、この戦争は終わると思う。戦争には制限時間も得点もないスポーツの試合のようなね…。なら、どうやって勝ち負けを決める?どこで終わりにすればいい?敵であるものを全て滅ぼして…かね?」
バルトフェルドとの邂逅を経てアークエンジェルに戻ってきたキラ達であったが、アークエンジェルではすでに戦闘の準備が始まっていた。この地を脱するためにはバルトフェルドとの決戦を避ける事は出来ないと判断し、マリュー達は敵の旗艦であるレセップスへの攻撃を決断したのであった。
バルトフェルドの問いかけに対する答えを考える時間もなく、キラは次の戦いへと身を投じていくのであった。
タンザニア、ジオン・アフリカ方面軍総司令部キンバライト基地
「ギレン閣下、本当に形式だけの参戦でよろしいのですか?アフリカ民族解放戦線を待たなければ。すぐにでもザフトの北アフリカ方面軍の援軍に向かえますが?」
「G兵器開発を潰せるのは確かに魅力的だ。だが、すでに前線には敵の先行量産機が姿を見せている。恐らく、V作戦、G計画以外の我々が把握していない流れを持った兵器も現れていると聞く。早い段階で仕留めたV作戦と違って、あれを仕留めたところで大勢に影響はせんよ。ザフトとは暫定的には同盟関係だが、正式なものではない。態々、ジオンが親切に助けてやる必要はない。それよりはアフリカ民族解放戦線の各首長たちとの連帯を深めたいところだ。」
「こちらとしても、連邦の反攻作戦が控えていましたので余計な手間は避けたいところでした。」
「ビッター大佐には陽動で攻勢を仕掛けてくるであろう南部アフリカの連邦軍への対処や連邦の侵攻路遮断を優先してほしい。」
「はっ!アラビア方面・南部アフリカともに現地勢力の協力を取り付けております。」
「アラビア首長連合国は恐らく地上における最重要同盟国になる。そちらとの関係も重視してほしい。」
「閣下、了解致しました。」
「それと、この前貴殿が送ってくれたブラウンダイアの腕輪だが、娘が気に入っていた。」
「それは、光栄でございます。」
「うむ、今後とも忠勤に期待するぞ。」
ギレンとの通信が切れて、ビッターは自身の背後に飾っている鉱石のルースを眺める。
ヨーロッパでの反連邦の窓口はマ・クベであったが、欧州は連邦の初期構成国であり、切り崩しは難しいらしい。あんな土塊を固めただけのものを集める様な奴に外交交渉など解るまい。そう言いながら、有力者の奥方に送る宝石を選別していく。
「さて…、とは言え…天使の名を関する連邦の艦、一見する価値はありそうだと思うが…。」
窓の外には超大型陸戦艇ビグ・ダブデを中心にギャロップやザクタンカーが布陣している。
「ヴァール大尉、MSの搭載を急がせろ。ギレン閣下はあぁ仰ったが、あまりに遅すぎるとザフトのアンドリュー・バルトフェルドに文句を言われてしまう。どのみち、アラビア辺りに布陣するんだ。寄り道と考えて行ってやろうではないか。」
「では、現地ゲリラには後追いで来させましょう。そうすれば、終盤には顔を出せるでしょう。一応、ロンメル軍団に先行させては?」
「さすがにそこまではせんで良いだろう。まぁ、気負わずな。ヴァール大尉頼んだぞ。」
「はっ」
アークエンジェルでは
「ジオンは現地のゲリラ勢力との協調路線である以上、攻勢を仕掛けて来るまで多少時間があると思われます。ですが…」
「問題はザフトね。」
「だが、このままここに居ればアフリカ民族解放戦線を引き連れたジオン軍に囲まれかねないぞ。」
「なら、やっぱり明けの砂漠の誘いに乗ってバルトフェルドと一戦するしかなさそうね。」
マリューたちは士官だけで集まってザフト軍の的中突破を図ることを決めた。
15日、バルトフェルド隊、「明けの砂漠」の本拠地タッシルを焼き払う。「明けの砂漠」はバルトフェルド隊を追撃。「明けの砂漠」は多数の死者を出す。
ノイエン・ビッター大佐はガデブ・ヤシンらを中心とするアフリカ民族解放戦線の部隊と合流し、リビアの長であるバグダディ・カザフィと調整のため会談を行う。
「ビッターの大将と違って、バルトフェルドは余り我々を尊重してはくれないんだ。」
「カザフィ殿、バルトフェルドはだいぶ苦戦しているようだ。やりようによっては…。」
「期待できそうだな。大将。」
イザーク、ディアッカ、バルトフェルド隊と合流。
ジオン・ザフト間での調整が完了する。
28日
「ザフト地上軍との戦闘に入ります。相手は狡猾な砂漠の虎ですが、この地に駐留しているザフト軍を撃破しないかぎり、アフリカからの脱出は不可能です。なんとしても、ここを突破し紅海へと脱出します。敵軍にはバクゥやザウートだけではなくデュエルとバスターの姿も確認しています。さらに、ジオン・アフリカ方面軍の大部隊が接近中よ。あまり時間は掛けられないわ。厳しい戦いになると思うけど、頑張りましょう。」
ブリーフィングでのマリューの言葉に気を引き締めるアークエンジェルの乗員たち。
「レーダーに敵機と思しき影、1時の方向です!その後方に大型の熱量!敵陸上空母及び駆逐艦級と思われます!」
「対空!対艦!対MS戦闘!迎撃開始!」
「ストライク!スカイグラスパー発進!」
アークエンジェルからストライクガンダムとムウ・ラ・スラガ操るスカイグラスパーが発進する。
バルトフェルドはアークエンジェル後方から駆逐艦級に奇襲させ、窮地に陥れる。
この危機にカガリが独断でスカイグラスパー2号機を持ち出して応戦したことで結果的にアークエンジェルを救った。
バルトフェルドの駆るラゴゥとキラのストライクが対峙する。
2機の激しい戦闘の末、バルトフェルドのラゴゥは撃破される。
「敵軍、後退していきます。」
「とりあえずは、作戦成功ね。」
「あ、待ってください!後退したザフト軍のさらに後方!ジオン軍です!アフリカ民族解放戦線の車両もあります!」
「ストライクの収容急いで!」
30日
ビグ・ダブデの艦首に乗機のザクⅡS型の手をかけた状態で戦場を見下ろすノイエン・ビッター大佐は驚愕していた。
新鋭艦とは言えMS1機と戦闘機しか載せていない1隻の艦に、名の知れた将であるアンドリュー・バルトフェルドが敗北し、隊も壊滅的な被害を受けている。
「バルトフェルド隊が壊滅だと…。」
バルトフェルド隊との戦いで疲弊している可能性もあるが…。戦果が化け物的だ。
「ビグ・ダブデ!主砲発射用意!陸舟艇!各艇主砲照準!ザクキャノン隊砲撃用意!」
機動力に定評のあるバクゥを絶った僅かな戦力で捻りつぶした連中。下手に間合いに入るべきじゃない。
「大佐!射撃準備完了しました!」
艦内のヴァール大尉が応答する。
「全砲門一斉斉射!撃て!」
ものすごい轟音と砂煙が薄くなる。
アークエンジェルは退却を開始し離れていく。
あのMS…実弾が効いていない。噂は本当の様だ。
「追撃を断念する。ザフト軍の救助を優先する。『暁の砂漠』と言う反動的なレジスタンスが壊滅しただけでも良しとしよう。」
アフリカのジオン軍の追撃可能圏内にアークエンジェルがいたものの、すぐに振り切られて洋上に脱出される。
ジオン・アフリカ方面軍「オデッサ作戦」を察知したため、アークエンジェル追討を中止。
ジオン・アフリカ方面軍はザフトの保護したパイロットの内、イザーク・ジュールとディアッカ・エルスマン両名を降下していたクルーゼ隊の要請に応じてに引き渡した。それ以外の人員は正規ルートで引き渡している。