11月3日
紅海アデン湾でアラビア首長連合国とザフト軍のモラシム隊の猛攻を受ける。
「陛下、連邦の艦が我が国の領海を犯しております。」
「我が国は、連邦の反攻作戦に備えねばならない。如何ほど割けるか?」
「アデン湾の守備隊と近隣の空軍基地から飛行隊を何隊かでしょうか。」
マハディ・ガーベイ宰相から促されたアルマンド国王はアークエンジェル攻撃を命じる。
「うむ、共栄圏参加国家としての義務は果たさねばな。ガーベイ宰相、良しなに頼むぞ。」
紅海・アデン湾の沿岸に沿って対空対艦陣地が構築される。
「3時方向よりミサイル!」
「迎撃急いで!」
「後方より敵攻撃機群!」
「バリアント、CIWS撃てぇ!」
沿岸の陣地から絶え間なく注がれる地対空ミサイル群、各基地から爆撃を繰り返すFF‐04トリアーエズ戦闘機及びAF-01マングース攻撃機。
旧イエメンのソコトラ島の攻撃陣地を潰したのを最後にアラビア首長連合国からの攻撃は止まった。
アデン湾に出たと同時にザフト軍のモラシム隊に攻撃を仕掛けられる。
「よぅし!脚付きを確認した!グーン隊発進だ!ディンと協力して海と空で抑え込むぞ!」
一度は退けるもインド洋で再度攻撃を受ける。モラシムはゾノに乗り換えて執拗に攻撃を仕掛ける。
「ふっ!浅い海を行ってくれるとは、このゾノにはかえって好都合。クルーゼも降りてきているからな、今日こそ沈めてやるぞ!」
モラシム隊によって追い詰められるアークエンジェル。
「ノイマン少尉、1度でいい。アークエンジェルをバレルロールさせて。」
「え?」「艦長!?」
「ゴットフリートの射線をとる。1度で当ててよ。ナタル。少尉やれるわね。」
「わかりました。」「はい。」
マリューの機転と無茶を実行できる操舵手の操艦能力、副官の火器管制能力。
全ての条件が揃っていた。
バレルロールしたアークエンジェルのゴットフリートは見事にグーン2機を捉えた。
同時に2機倒されたことでゾノに乗るモラシムの気をそらしたことでストライクの一撃が入った。それでも、抵抗したゾノにダガーを突き立て撃破した。
一方でカガリのスカイグラスパー2号機は不時着し無人島に漂着する。
偶然にもザフトのアスラン・ザラも同じ無人島に輸送機が撃墜され漂着していた。
それぞれ救援が到着したため、一夜を共にした二人は別れることに。なお、情事はなかったとされる。
15日
マラッカ海峡ではザフト地上軍オセアニア方面軍による迎撃があった。
ザフトはジオンに作戦協力を依頼するも連邦のオデッサ作戦が始まっておりジオンの協力は得られなかった。
火力不足の為、アークエンジェルは落とせなかった。ザラ隊は潜水空母の故障により戦闘に間に合わず致命的損害は受けずに済む。なお、アークエンジェルは多数被弾。
11月17日
連邦軍の「オデッサ攻略作戦」が開始された。
連邦軍の旧中国国境沿いに集結していたイーサン・ライアー少将率いる軍団が越境を開始。
ジオン東南アジア方面軍が陽動作戦を連邦アジア方面軍に対して展開。
旧ロシア国境を守る欧州方面軍の部隊とトルキスタン共和国軍が連邦軍と交戦を開始。
プラント・ザフト軍によるニュートロンジャマー投下によるエネルギー枯渇によって戦争は資源争奪の側面を見せていた。ジオンは欧州、アラブ、南北を除くアフリカ、北米。プラントは豪州、北アフリカと言う世界有数の資源地帯を押さえたことで、連邦は圧倒的な開戦当初の国力比、特に石油や天然ガスの埋蔵保有量が逆転されると言う事態に陥ってしまう。
連邦軍はオデッサ作戦でジオン、ザフトの資源地帯を奪うことでミリタリーバランスを一変させる。連邦の一大反攻作戦である。今まさに連邦とジオンの雌雄を決する戦いが始まろうとしていた。陸上戦艦同士が艦隊決戦を繰り広げる中、両軍ともMSを多数出撃させ、戦局を優位に展開しようと試みた。また、連邦は従来兵器も在庫処分と言わんばかりに大量投入である。
サイド3の公王庁の作戦指令室。
ギレンがいつも通りのノーマとセシリアを連れた状態で、キシリアに話しかける。
「最終目標はオデッサか。」
「その様です。作戦司令にマ・クベを充てたいと思いますがよろしいですか?」
「かまわんよ。しかし、連邦も…エネルギー資源の保有率が逆転されて焦ったか。」
「石油保有量では北米や中東を押さえた我が国が連邦の3倍近く、天然ガスでも2倍となりましたので。」
「レビルはジオンに兵無しと宣ったが、連邦には資源が無くなった。政治家に突き上げられたか。」
ギレンとキシリアの会話にノーマも加わる。
「お父様、おそらくお金もですわ。」
「サイド間経済、欧州、北米と言った経済圏も我らが取ったからな。」
キシリアはギレンの娘に視線をやる。
10にも満たないこの娘を長兄ギレンは実に溺愛している。
実際、長兄同等のIQを持った少女はギレンと言う後ろ盾を得て恐ろしい勢いで各方面に存在感を出している。
軍内では流石にドズルが難色を示している為、その影響力は親衛隊を主としているが…。
そのドズルですら能力自体は認めている。要するに子供だからと言うドズルらしい部分での難色である故、彼女が成人したら一気に軍部も靡く可能性がある。
外交面でもジオンの顔の一つになりつつある。また、彼女がニュータイプであった事から本来ニュータイプに興味のなかった長兄が口を出すようになってしまい。フラナガン機関は未だ自身の方が優勢だがキシリア派とギレン派で割れてしまった。
ギレンの娘ノーマはキシリアにとっては面白くない存在になりつつあった。
面白くない存在と言えば、ギレン派に属す亡きサスロの妻ナツメ・ユーリシア宣伝相である。サスロの死について完全にキシリアを疑っている節があり、メディア方面での圧をキシリア派は受ける現状もキシリアにとって自派閥を少数精鋭の派閥として先鋭化させる要因の一つとなっていた。
一方の連邦軍のオデッサのメイン侵攻ルートは大きく分けて3つ。レビル将軍率いるイベリア欧州ルートの連邦軍本隊と、コリニー大将率いるアラビア半島上陸北上ルート、旧ロシア国境沿いから進軍する西進ルートはベーダー中将である。これらメイン侵攻ルートを補助するサブ侵攻ルートとして北部アフリカに上陸する軍団を率いるのがエルラン中将、中国国境から南下を試みるのがライアー少将、ベルファスト基地等旧イギリスの連邦軍を纏め、本体の上陸支援及び北欧方面に上陸してロシア南下ルートを支援したのがベルファスト基地司令パウルス中将。陽動としてオーストラリアに上陸戦を仕掛けるのはホーキンス大佐。同じく陽動の為に南部アフリカから北上してジオン・アフリカ方面軍を引き付けるのがモビック大佐。また、本隊後続としてゴップ大将率いる実質的な第2陣がすでに南米を発した。海上にて上陸を支援するのは大西洋艦隊を率いるバッフェ中将、インド洋艦隊を率いるサザーランド大佐はコリニー軍団の上陸を支援した。
連邦軍旗艦のビッグ・トレー級にレビル自身が座上し直接指揮を執り、連邦地上軍の第1・2・3・7・11軍を集結させた第一集団であり、独立混成44旅団やスレイブレイス隊、デルタチームやら最大火力のヘヴィ・フォーク級及びヒマラヤ級、テンザン級、アンデス級、アルプス級と言った陸上戦艦を保有する陸上戦艦打撃部隊と言った大戦力を揃えたのであった。海軍も大西洋において1個半艦隊を再編拡張し、イギリスのベルファスト基地を中心とした援護を受けイベリア半島上陸を果たす。また、半個艦隊を南アフリカに残存するインド洋艦隊と合流させ欧州のイベリア半島とアラビア半島の2ルートから上陸させた。アラビア上陸はインド洋のザフト軍のモラシム艦隊他が壊滅したことでできた空白を利用する形となった。北アフリカやインド洋のザフト軍、アラビア首長連合国の沿岸防御能力がアークエンジェルによってズタボロにされたこともあってジオン勢力圏へ上陸することができた。コニリー大将率いるアラビア上陸ルートは連邦地上軍の第4・5・6軍の第二集団である。ロシア方面からの侵攻部隊はユーラシア方面軍の第8・9軍、中国方面からの侵入部隊は極東方面軍の第10軍である。北アフリカへ侵攻するエルラン中将は第12軍。オセアニア方面へは第13軍が上陸した。第1~7軍は南米付のもの以外は旧北米、旧大洋州、旧欧州、旧中東、旧アフリカの再編部隊である。
大西洋艦隊及びホバー陸上戦艦群による砲撃及び対地ミサイル攻撃が始まる。
艦隊の攻撃に合わせてMS群が次々発艦していく。
デプロッグ爆撃機やフライマンタ戦闘攻撃機が爆撃を開始する。
「これだけ数を揃えれば、一蹴ですな。」
「そうだな。だが、この辺りのザフトはアークエンジェルに手酷くやられた傷が治っていないのだろう。」
レビルの表情は厳しい。レビルが不機嫌なのは戦況が理由ではない。
敵を一蹴したMSが艦に戻ってくる。
戻ってきたMSは多種多様であった。
主力となりつつあるストライクダガーに視線を移した。
自身が推進したV作戦の量産機になるはずだったガンダムを原機とした量産機はガンダムが奪取されたことによって断念。苦肉の策として出したガンキャノンを原機とした軽キャノンはコスト面でストライクダガーに敗れ、メイン主力機の座を奪われサブ主力機に甘んじたことであった。軍の技術本部とアナハイム共同だったV作戦と違い、G計画はアクタイオン社を主体にアナハイムを始めとした多くの企業が参加した計画であった。その為、今後はこう言った軍産複合体が軍に口を出すことが増えるだろう。
「全く迷惑な。」
有史以来、軍の素人が軍に口を出して碌なことがないのは歴史が証明している。
アラビア方面からのコリニー大将の軍団には軍産複合体理事のムルタ・アズラエルが随行するらしい。
もう一つのサブ主力機ドートレスは純粋に軍の技術本部が開発したMSだ。
これがコンペに落ちなかったのは軍としては幸いか。
「ん?あれは?」
レビルの問いに副官が答える。
「ドートレスと言うそうですよ。純粋なコストではストライクダガーより安価です。」
「連邦軍独力ではビーム兵器は無理だったようだな。」
揚陸艦から吐き出される61式戦車やリニア戦車たち。
レビルの軍団は瞬く間にイベリア半島全域を掌握。半島内の空軍基地や商業空港を掌握してMSを満載した後続のミデア輸送機群とその護衛機たちに羽休めの地を提供した。
「レビル閣下!後続のゴップ大将の「ラ・グランパ」です。回線を開きます。」
「レビル君、後は任せたまえ。」
「では、お言葉に甘えて。失礼します。」
後続のゴップ大将率いる予備軍団の到着を確認したレビルは進軍を命じた。
ゴップ大将は「ラ・グランパ」でイベリアに残り万が一に備えて退路を確保する。
予備軍団の陸上部隊の幾らかがレビルの本隊に合流する。
「目標はオデッサ!全軍!前進せよ!」