17日~18日
連邦の暴挙、中立国オーブ侵攻。
自治権における拡大解釈として中立を主張しているが連邦政府はオーブの中立宣言は自治権を逸脱していると通告し連邦かジオン、ザフトかを鮮明にするよう実質的な降伏勧告を行う。
オーブの指導者ウズミ・ナラ・アスハはあくまでも中立の立場を貫くと宣言した。
連邦軍はこれを敵対行為とみなし最後通牒を突きつけ、ジャミトフ・ハイマン中将を総大将とした大軍団を差し向けた。
オーブにたどり着き補給を受けていたアークエンジェルも新たに鳴り響く戦いの合図に決断を迫られていた。
「要求は不当なものであり、従うことは出来ない。オーブ連合首長国は今後も中立を貫く意志に変わりはない。」
「ご期待どおりでしたかな?アズラエル理事?」
「さすがはアスハ前代表……期待を裏切りませんね。本当のところ要求をのまれたらどうしようかなって思ってたんですよ。あれのテストを…。」
「あぁ、あれですか…。北米でのそれでは足りませんでしたか?」
「えぇ、箱モノだけ揃えて中身が使えませんでは笑えませんからね。オーブには是非とも最後の性能試験に付き合っていただきたいものですね。」
「理事…作戦開始時刻です。」
「始めてください。」
「海軍準備砲撃開始!」
オペレータが開戦を知らせる。
「バッフェ中将も今後の為によく働いてくれている。」
「あ~海軍さんはここが最後の見せ場になりかねませんからね。」
「空母より及び艦載艦よりMS隊は発艦せよ!」
ストライクダガーやドートレス、軽キャノンがオーブに上陸する。
「あ~君たち、マスドライバーとモルゲンレーテの工場は壊してはいけません。わかってるね。」
「みんな殺していいんでしょ。」「ですね!」「うっせよ!お前ら!」
出撃していくブーステッドマンを見てジャミトフは述べる。
「相変わらず、情緒不安定だな。」
「ですが、最低限指揮に従って戦ってるんですから問題ないでしょう。戦っているなら情緒は重視しなくていいでしょう。」
「連携はめちゃくちゃの様ですが?」
「…強ければ、何でもいいんです。ですが、今後の課題にしておきます。」
「オーブ軍戦闘開始!」
「アークエンジェル発進します!」
「敵戦闘機群、来ます!」
「衝撃に備えて!」
アークエンジェルに向かっていたミサイルが撃ち落とされる。
「とっとと、そこから下がれよ!アークエンジェル!」
成り行きで参戦するバスターのディアッカ・エルスマン。
「この介入は俺個人の意思だ。」
アスランも信念に従って戦いに参戦する。
「アサギ!」「任せて!」「マユラ、左!」
正規の軍人ではないモルゲンレーテのテストパイロットである少女たちも戦いに身を投じオーブは総力戦の様相を呈していた。
「損耗率が高いな。アズラエル理事、一度下げて体勢を立て直します。よろしいですね?」
「ちょっと休憩ってことですか。」
「これだけの戦力を持っていれば。連邦相手に偉丈夫にもなれるわけだな。」
ジャミトフは後方に控えていた連邦海軍のMS隊や予備兵力を投入することを決断する。
「戦時に空気の読めない発言をする理想主義者が、武器まで持ってたら始末に負えん。オーブは滅ぼすしかない。」
「ですね。」
連邦軍はオーブの会談要請を無視し再攻撃を急ぎ準備を進めていた。
フリーダムの奪還命令を受けて地球へと降りたアスランは、オーブと連合の戦闘に遭遇し、窮地に陥っていたキラ達を助けてしまう。
運命に翻弄され、敵対し互いの命を奪い合う立場の二人は、オーブの地にて再会を果たした。
「僕は君の友達を殺した。でも、僕は彼を知らない、殺したかったわけでもない。君もトールを殺した。でも君もトールを知らない。戦わないで済む世界ならいい。そんな世界に、ずっといられたなら…。でも戦争はどんどん広がっていくばかりで…。このままじゃ本当にみんな互いに滅ぼし合うしか無くなるよ。だから、たとえ守るためでも銃を撃ってしまった僕は戦うよ。僕らもまた、戦うのかな。」
「キラ…。一つだけ聞きたい。フリーダムにはNジャマーキャンセラーが搭載されている。そのデータはお前が…。」
「ここであれを何かに利用する人がいるなら、僕が撃つ。」
キラは自分の戦いの真意を語り、アスランはその言葉に少なからず動揺する。
オーブ陥落は時間の問題と判断したアスハ前代表は、オーブの意思をアークエンジェルに託し、残存兵力を宇宙に脱出させる準備を始めていた。
「俺はアイツらを死なせたくない。」
「珍しく…てか初めて意見が合うじゃんか。」
アスラン達も己の信念に従いアークエンジェルに合流する。
しかし、オーブの形勢は変わらずその時は来てしまう。
アークエンジェルとクサナギを脱出させたウズミ・ナラ・アスハはマスドライバーを巻き込んで自爆する。その渦中で、カガリは自身の双子の存在を知らされ、それがキラであると知るのであった。カガリはL4の拠点へ向かう途中、その事実をキラとアスランに伝えた。
カガリの言葉に驚く2人。だが、キラは悲しみに沈むカガリにウズミこそ彼女の本当の父親だと諭した。
キラ達と一緒に戦う決意をしたアスランであったが、彼もまたザフトの指導者である父親と争わねばならないことに苦悩していた。
どうしても父パトリックの真意を確かめたかったアスランは、ジャスティスを残してキラの護衛でザフト本国へと向かう。
ザフト本国でパトリックと再会したアスランは、パトリックに戦争を続ける意味を問う。
だが、すでに狂気へと走るパトリックはアスランの言葉に耳を貸さず、アスランを反逆者として捕えてしまう。
その頃、地下で抵抗運動を続けていたクライン派のグループが、新たな行動に移っていた。
バルトフェルドの協力を得たラクス達は、新造戦艦エターナルの強奪に成功し、プラントから脱出する。連行されていたアスランもまたクライン派に助けられエターナルへと合流した。ついに、ラクス・クラインが起ったのだ。
エターナルはキラのフリーダムと合流しヤキン・ドゥーエの追撃部隊を躱し、アークエンジェル達と合流した。
地上でも従来の発射基地に加え、高雄のマスドライバーを奪還した連邦軍はルナツーへと戦力を集結させ、反攻作戦の準備は着実に進められていた。
19日
連邦軍は東欧・中東・アフリカの資源地帯の奪還こそ失敗したが、それらに引けを取らない北米大陸の資源地帯を奪還したことにより大規模反攻作戦に必要な資源の確保ができたと判断した連邦軍は総反攻作戦『星一号作戦』を起案する。
北米大陸の採掘施設や精製精錬施設は一部の軍需施設は破却されていたものの民需施設の多くが残されており、現地の声を無視する形で軍需施設へ転用することで対応している。
ブルーコスモス盟主ムルタ・アズラエルは軍需産業複合体の理事としてアクタイオン社、アドゥカーフ社、ウェリントン社、ハービック社、アナハイム社、アルタネイティヴ社と言った連邦系企業並びに連邦軍正規工廠の音頭を取って、三大連邦主力量産機であるストライクダガー、ドートレス、軽キャノンのOEM全力生産を実施。
「オデッサ作戦では旧来の兵器群が壊滅したのは我々にとって好機です!MSの売り込みのチャンスです!ですが、商売をするにしても勝たなきゃ意味がない!連邦を勝たせるためにもここは連邦の戦力拡張が急務。三大主力量産機の数を揃えなければなりません!!ここに御集りの皆さん…OEMに異論は?」
アズラエルは周囲を見回す。
反対意見は見受けられなかった。
「では、OEMによる三大主力量産機の量産。やってくださいよ。」
短期間で戦力の大拡張を成し遂げた。
アズラエルのそれに呼応するかのように、ジャミトフらの派閥は早急な人材確保として生体CPUの採用を推した。
従来のニュータイプ研究による強化人間より安価に生体CPUとしての強化人間が作れることに利点を見出したコリニー大将とジャミトフ中将、サザーランド少将は連名で推進した。
チベットのラサ地下に巨大なジオフロントを建設しニュータイプ研究所本部を設置。
ブーステッドマンの研究開発も同施設が本部である。
「孤児や囚人を集めれば、何とでもなろう。」
「えぇ、今は戦時中です。身寄りのない不法移民は大勢います。」
「むぅ…。」
「なんだね?ハイマン君、不満かね。」
「割り切っていますが、多少は…。」
「こういう時代だ。清廉潔白とはいかないよ。」
「はい。」
「使えれば何でもいいと思いますよ。宙の化け物にはこれくらいは必要です。」
このラサのニュータイプ研究所本部は口さがない兵士からは『量産型薬中の本社工場』などと呼ばれている。
さらにドミニオンを伴って宇宙に上がったアズラエルはL4メンデルにてザフトから返還された捕虜の中にいたフレイ・アルスターを通じて戦争を終わらせる鍵を手にする。
ニュートロンジャマーキャンセラーである。