「な!?ソロモンの核パルスエンジンに火が…」
報告を聞いたデラーズは想定外の出来事に言葉を失う。
最初に口を開いたのは最年少のノーマであった。
「ソロモンは月に向かっています!これを月に落とすわけにはいきません!本艦隊はドズル閣下と協力して核パルスエンジンを破壊しなさい!」
ノーマ率いる連合艦隊は戦闘宙域に突入し参戦する。
「閣下!!援軍です!!姫様が連合艦隊を率いて来援!!」
「ドズル叔父様!ソロモンを月に落とすわけにはいきません!ソロモンの核パルスエンジンを破壊しないと!」
「おぉ!わかった!…全軍!撤退行動を中断してソロモンの核パルスエンジンを破壊しろ!連邦軍の妨害もあるだろうが、ここで引いたら月に住む人々が全滅してしまう!総員奮起せよ!」
ソロモンに侵入した敵と交戦していたシャア達であったが要塞内で、連邦軍の『白い軽キャノン』 が現れ、シャアの赤いガンダムと交戦する。余りの激しい戦闘によってシャアと部下たちが逸れてしまう。同じく『白い軽キャノン』に同行する軽キャノンたちも引き離されてしまっていた。
「ララァ少尉、私達は要塞の外で周辺の敵を掃討します。大型のMAで要塞内に入るのは危険すぎます。」
「グワデンの周りにいるのはビット?」
「恐らく、グワデンの姫様がビットだけ動かして戦っているのでしょう。しかし、さすがは姫様。3つだけとは言え、それぞれが別々の小隊の援護をしている。」
要塞内ではシャアたち以外のジオン兵も含めて大勢の兵士が戦闘を繰り広げていた。
ソロモンの外ではシャリアのキケロガとララァのエルメスが連邦軍の大部隊を相手に戦っていた。
『こちら、EXAM小隊のニムバス・シュターデン少佐だ。ソドンの脱出支援に来たのだが、出せそうか?』
「すいません。シャア大佐が戻っておらず。ギリギリまで待っているところです。」
『そうか。では、我々がソロモン内を捜索しよう。っ!?』
「こ、これは!?…やむを得ん!脱出する!」
EXAMシステムを搭載したガルバルディαを率いるニムバスの小隊がソロモンの中に入ろうとした時、だれも想像していない異常事態が発生するのだった。
「私ではない。いったい誰の精神に反応しているんだ?」
シャアのガンダムも周りから高エネルギーが発生し、光の粒子が周囲を包む。
『こちら!月面都市総合放送です!ジオンのソロモン要塞が!月に向かっています!落下の危険性があります!対象の地区にお住いの市民の皆様は行政府指定のシェルターへの避難を開始してください!皆さん!落ち着いて避難してください!』
放送局のスペースランチが戦域ギリギリから中継している。
「ドズル閣下!?高エネルギー反応増大中!ミノフスキー粒子異常反応継続中。」
「いったい何が起こっているんだ…。」
ドズルはグワリブの中から指揮をしていたが、あまりの事態に唖然としていた。
ソロモンは月への距離を徐々に詰めていく。
何ができるでもないが月面各都市の防衛隊が緊急展開し始める。
グラナダ、フォン・ブラウン、エアーズと言った月面都市は勿論、ダイダロスやプトレマイオス、ローレンツと言った連邦やザフトの基地も大混乱に陥っていた。それに伴ってジオン、連邦、ザフトでも偶発的な戦闘が繰り広げられていた。
「月の連邦軍の奴ら、ソロモンが落ちたら自分たちも巻き添えになることが解らんのか?」
「所詮は愚鈍な連邦と言う事だろう…。」
グラナダ防衛艦隊を展開する。
グラナダ基地司令のノルド・ランゲル少将の言葉に対し、グワジンに座乗し指揮を執っていたキシリアは冷めた返答をした。
その頃、ソロモン要塞内ではシャアが軽キャノンの奇襲をいなし、撃破しようとした瞬間、ニュータイプの洞察力により、軽キャノンのパイロットが実妹のアルテイシア・ソム・ダイクンだと理解してしまう。一瞬、シャアが躊躇した隙を突き、アルテイシアは反撃に出るが、突如として赤いガンダムのコクピットに搭載されていたアルファ型サイコミュが不可思議な挙動を見せる。直後、機体の周辺はピンク色の膨大な光に包まれ、シャアは光の奔流のような空間を幻視する。
ソドンの指揮を執っていたドレンはタイムリミットが過ぎたことでシャアが帰還しないことを冷静に受け止め、ソロモンから撤退を開始する。
また、ソロモン内の捜索を申し出ていたEXAM小隊もドレンが丁重に断り、ソドンの護衛をしながら撤退した。
キケロガを駆りソロモンの周辺を索敵していたシャリアは、ソロモンの内部に残っているシャアへ通信で呼びかけを続ける。
ノイズ交じりの通信でシャリアの耳を打ったのは、どこかから呼びかける何者かの存在を知覚しているシャアの声であった。
「大佐!?何が起こっているのですか!?大佐!?ソロモンはもうダメです!撤退を!!」
「何ということだ…刻が…見える…!」
その言葉を最後に、シャリアとシャアとの通信は途絶した。
「この声は…あぁ、大佐。行かれてしまったのですね…向こう側に…。」
ララァは俯きながら、メット越しに顔を覆った。
「姫様…いったいこれは…。」
「デラーズ大佐。狼狽えないで、あれは我々に直接害を成す物ではありません。それとNT部隊は所属艦に帰還して休ませてあげてください。あれは少々、刺激が強すぎるわ。」
「超常の力…か。」
「しかし、これを人ひとりの力で起こせるものなのですね。」
この通信はシャアへの呼びかけの為にオープンで行われていた為、その場の少なくない将兵が耳にしている。また、この戦域には多くのニュータイプが投入されており多くの者が感応し、一時戦線が混乱した。
ソロモンは溢れ出した光によって大きく球状に削り取られ、その影響で落下軌道が大きく変更。結果的にグラナダの真上を通過するだけに終わった。
この日を境に、赤いガンダムとシャアは共に行方不明となった。
時を同じくして、この異常な現象で難を逃れたグラナダでは地下にあった「オブジェクト」なるものが消失。
報告を受けたキシリア・ザビは「これもシャロンの薔薇の仕業か」と、意味深な発言を残した。
ソロモンを抉り取るような攻撃?が為されたことで連邦軍は引いていく。それに応じてジオン軍も距離を取る。ジオン・連邦お互いに手を出さないように緊張感のある静寂が流れる。ザフトのヤキン・ドゥーエでは血で血を洗う戦いをしているのに対して、こちらでは様々な偶然が重なり、主戦場が移動し、連邦ジオンばかりか共栄圏サイドや中立の月勢力も巻き込む事態になり、現場の高級将校らもふと冷静になれば、双方ともに軍事政治双方の理由で動きが取れなくなっていた。
余談ではあるがこの光の影響か否かは不明だが、ノーマ艦隊に同行していたギニアス・サハリンが体調を崩し、後送されている。
ソロモン及び月面の戦いでは手詰まり感が出始めていた。
ここに来てデギン公王はグレート・デギンで連邦艦隊へ和平交渉を行うべく、連邦のグリーン・ワイアット大将と接触した。
ジオン公国並びに共栄圏は一時的に連邦軍と停戦状態になり、正式な停戦交渉の為にグリーン・ワイアット大将とデギン・ソド・ザビ公王は月面の中立都市フォン・ブラウンにて席に着いた。
一方で、連邦のジオン攻略軍だったもの(ワイアット麾下の艦隊も含み)はマクファティ・ティアンム大将が完全に引継ぎ、未だ戦闘が終わらない対ザフト戦線からの救援要請を受けて向かう事となった。コーウェン中将率いる第3艦隊はプラントへ直行し、ティアンム大将率いる第2艦隊とワッケイン少将率いる第11艦隊は月の各基地の戦力を糾合した増援艦隊と合流してからプラントへ向かう事となった。ワイアット大将の第4艦隊の旗艦と一部が和平交渉の護衛としてこの場に残った。
また、暫定的とは言えジオンとの停戦に至り月面の連邦軍はザフトのローレンツ・クレーター基地の完全制圧のための艦隊を出撃させ、それとは別にプラント侵攻軍への増援艦隊を編成し始めた。
ジオン側はドズル艦隊とノーマ艦隊が撤収し、グラナダのキシリア艦隊も一部を残しグラナダに撤収した。
こうしてフォン・ブランンで連邦のワイアット大将の伝手で月面各都市に滞在していた連邦議員たちが招集され与党幹事長であったジョゼフ・コープランドの姿もあった。
ワイアット大将とジオンのキシリア・ザビの間でデギン公王到着までの準備交渉が行われることとなった。その後、フォン・ブラウンにグレート・デギンが来航しデギン公王が到着して本交渉が開始された。
プラント侵攻軍の編成であるがサザーランド少将の第12艦隊、ブライアン・エイノー大佐の第9艦隊、バスク・オム大佐の第7艦隊、第10艦隊ジャミトフ・ハイマン中将と言う4個艦隊による連合艦隊と言う編成であった。
マゼラン級戦艦10隻、アオヤギ級戦艦8隻、アガメムノン級宇宙母艦15隻、アークエンジェル級強襲機動特装艦1隻、トラファルガ級全通甲板型支援巡洋艦6隻、ノースポール級宇宙空母6隻、アンティータム級補助空母8隻、サラミス級改装軽空母8隻、サラミス級巡洋艦50隻、ネルソン級巡洋艦50隻、ドレイク級駆逐艦60隻、レパント級ミサイルフリゲート10隻、コロンブス級輸送艦10隻、コーネリアス級補給艦20隻、マルセイユ級輸送艦10隻。
また、ティアンム大将率いる旧ジオン侵攻軍はプラント侵攻軍増援艦隊として再編された。その内訳はソロモン攻防戦後の継続戦闘可能艦艇(大破や一部中破の要修理艦艇及び小破艦艇を中心とする病院船等後送艦艇を除いた戦力)である。
マゼラン級戦艦9隻、アオヤギ級戦艦4隻、アガメムノン級宇宙母艦2隻、ペガサス級強襲揚陸艦1隻、準ペガサス級強襲揚陸艦3隻、トラファルガ級全通甲板型支援巡洋艦1隻、ノースポール級宇宙空母2隻、アンティータム級補助空母10隻、サラミス級巡洋艦34隻、ネルソン級巡洋艦12隻、ドレイク級駆逐艦38隻、レパント級ミサイルフリゲート2隻、ピサロ級機動輸送艦2隻、コロンブス級輸送艦12隻、コーネリアス級補給艦8隻、マルセイユ級輸送艦6隻。
月面各基地召集艦隊
マゼラン級戦艦4隻、アガメムノン級宇宙母艦1隻、トラファルガ級全通甲板型支援巡洋艦2隻、アンティータム級補助空母8隻、サラミス級改装軽空母10隻、サラミス級巡洋30隻、ネルソン級巡洋艦20隻、ドレイク級駆逐艦30隻、レパント級ミサイルフリゲート20隻、コロンブス級輸送艦5隻、コーネリアス級補給艦5隻、マルセイユ級輸送艦2隻、コロンブス級改装三胴砲艦3隻。