27日
各陣営の対応は急展開を迎えた。
プラント攻略軍総旗艦マゼラン級パトロクロスではジャミトフ・ハイマン中将が腰を抜かせて驚愕していた。
「な、なんだと!?連中はあんなものを隠し持っていたか!!ソーラ・システムは我々が持っていくべきだったか!?」
そんなジャミトフにドミニオンのアズラエルから通信が入る。
「アズラエル理事、消耗率はほぼ50%です。撤退も考慮せねばなりません。」
『ジャミトフ中将!月とジオン侵攻軍から援軍を引っ張って来るんだ!僕たちはこのまま攻撃を続行するんだよ!』
「ですが、理事。」
『月とジオン方面の軍を呼び戻せば十分挽回できる!あんなもの地球に撃たれてみろ!地球人類が滅亡してしまうよ!何だったら、ジオンの参戦を条件に講和に応じてもいい!!』
「解りました援軍を要請しましょう。ですが…ジオンは…。」
『このまま、連中の好きにさせたらアースノイドもスペースノイドも皆殺しにされるぞ!僕らも残存部隊で総攻撃を掛けるんだ!』
ここまで、捲し立てたアズラエルが息を整える。
『ハァハァ…連中も馬鹿じゃない。コーディネーターの危険性は理解したはずだ。多少時間はいるが応じるはずだ。それと地球からも上げられる艦艇は上げさせるんだ。ラサのコニリーも応じるはずさ。』
「はい、了解しました。」
連邦軍は全滅相当の損害に月面プトレマイオス基地への撤退を考慮するも、ドミニオンに乗艦していたアズラエルはジェネシスが地球に発射される可能性を恐れて再度の総攻撃を指示し、残存戦力の再編後に再度の進行を決定する。また、当初は否定的だったジオンとの和平交渉であった連邦鷹派もザフトの脅威を目の当たりにした結果。ジオン及び共栄圏国の参戦を条件にジオン側の条件を多く飲む形で和平締結を黙認する姿勢を取る。
ザフト軍では
「流石ですな…ザラ議長閣下。ジェネシスの威力これほどの物とは…。」
「戦争は勝って終わらねば意味が無かろう。ミラーブロックの換装を急がせろ!地球軍に動きは?」
「未だ、ありませんな。」
「フン!月かルナツーに戻るかとも思ったが、まだ、頑張っているか……。」
「奴らも必死でしょうから…あの威力をた後では…。」
「恐らく補給、増援を待っているのでしょう。こちらから仕掛けますか?」
「その様な事をせずとも2射目で全て終わる。……我らの勝ちだ。」
「では地球を?」
「月基地を撃たれても尚、奴らが抗うとなればな。」
パトリックが核攻撃に対する非難とジェネシスに対する称賛を軸とした演説を行い、ザフト全体の士気が高まる。
『我等勇敢なるザフト軍兵士の諸君。傲慢なるナチュラル共の暴挙を、これ以上許してはならない。プラントに向かって放たれた核、これはもはや戦争ではない!虐殺だ!このような行為を平然と行うナチュラル共を、もはや我等は決して許すことは出来ない!新たなる未来、創世の光は我等と共にある。この光と共に今日という日を、我等新たなる人類のコーディネーターが、輝かしき歴史の始まりの日とするのだ!』
「「「「「プラントの為に!ザフトの為に!」」」」」
三隻同盟では代表者・実力者たちがエターナルのブリッジに集合してジェネシスの被害シミュレーションを確認した他、連合・ザフト双方が核兵器を用いた…つまり、核抑止が崩壊したという事実を再認識し、双方の核攻撃を阻止する決意を固める。
「MS発進してください。」
「全艦MS発進!」
尚、この戦いでは後のオーブ元首カガリ・ユラ・アスハもストライクルージュで戦場に立っている。
ヤキン・ドゥーエの発令所ではジェネシス第2射が放たれようとしていた。
「照準ミラーブロック換装間もなく終了します!」
「目標点入力月面プトレマイオス・クレーター地球連邦軍基地。」
「目標点入力開始。」
「あとわずかだ!持ちこたえさせろ!」
「では、私も出ましょう。」
「クルーゼ…これ以上の失態は許さんぞ!エターナルを撃てなかった貴様の責任においても奴らにプラントを撃たせるな!」
「アスランを撃つことになってもよろしいので?」
「構わん!」
クルーゼが席を立つ。
「Nジャマーキャンセラー起動ニュークリアカートリッジに接続。全システム接続オールグリーン。」
「発射!」
ジェネシスの第2射が放たれる。
「ジェネシスは目標を撃破!」
「ミラーブロック換装を急げ!」
部隊の再編を完了させた連合の再出撃を合図に戦闘が再開する。双方の前線部隊が衝突する中、ミラーブロックの交換が完了したジェネシスがプトレマイオス基地へ発射され、補給を兼ねた第2陣の半数諸共プトレマイオス基地が消滅する。
プトレマイオス・クレーター基地よりティアンム大将率いるジオン侵攻軍改めプラント侵攻軍増援艦隊が出撃する。
対ジオン戦で消耗していた彼らであったが月面基地駐留艦隊を糾合することで表面上は戦闘前のジオン侵攻軍とほぼ同等の戦力に回復していた。
「な、なんだ!?あの光は!?うわぁああああああ!?」
ジェネシスの光はプラント侵攻軍増援艦隊を飲み込み、プトレマイオス・クレーターを直撃した。
月の表の中央部に存在するプトレマイオス・クレーターへの攻撃の余波は和平交渉の場でもあるフォン・ブラウン市でも確認できた。
ザフトのジェネシスによる攻撃の報告を聞いて、しばらくしてフォン・ブラウンからも粉塵が確認できた。
「ば、馬鹿な!?ザフト軍の戦略兵器によって侵攻軍と増援艦隊が半壊だと!?」
控室で報告を聞いたグリーン・ワイアット大将は驚きを隠せなかった。
副官は矢継ぎ早に状況を伝えてくる。
「政府はジオンとの即時講和と参戦を求めています。前線のジャミトフ中将、アズラエル理事からも再三要請が来ています。それと、前線のサザーランド少将の戦死が確認されました。また、増援艦隊のティアンム大将、ワッケイン少将が戦死。現増援艦隊はソーラ・システムを輸送するために別行動をとっていたコーウェン中将が指揮権を引き継ぎました。」
「さらなる増援の抽出が必要だな。地上からは?」
「ラサを中心に数隻の艦艇が促成の部隊として上げられる予定です。」
「新兵ばかりか。」
「新兵以外もいますが、実質新兵集団です。」
「月基地から再度抽出は可能か?それとルナツーの駐留艦隊は割けるか?」
「先の増援艦隊で多くを注ぎましたので、そちらも数隻が限界でしょう。それも廃棄寸前の老朽艦ですが…。ルナツーからは限界まで絞って半個艦隊でしょうか。」
「わたしはここを離れられん…。指揮官は月のガルシア少将、ゴドウィン准将。ルナツーのヘボン少将か。能力だけで言えばゴドウィン准将か…。階級の問題と艦隊運用経験が少ないことか。」
「特殊部隊の運用が多い方でしたので…。」
「地上から誰か上がって来なかったのか?」
「いえ、その様な話は…。」
「っクソ!チキンホークどもが!威勢ばかりで何もできない奴ばかりだ!」
一瞬眩暈がしたワイアットは目頭を押さえて暫し思案してから指示を出す。
「地上から将校が上がって来ないとなると人事は宇宙軍に丸投げなのだろう。ゴドウィンにやらせようかと思ったが役不足…。ガルシアは無しだ。となると…消去法だが可も不可もない男だがヘボン少将しかいないな。コーウェン中将と合流するまでの繋ぎとすればいい。」
「コーウェン中将も技官寄りですが…。」
「豪胆さではヘボンよりやれるはずだ。ティアンムが死んでワッケインも死んでるんだ。適任者なんていない。マシな人選をするしかない。」
その後、ワイアット達はデギン公王と交渉を再開。核恫喝など剣呑な空気もあったが最終的にはジオン優位な条件で停戦が妥結。ジオンとしても友軍であるはずのザフトがジオンを巻き込みかねない攻撃をしたことはさすがに看過出来ない様子だった。
また、ジオン参戦についてであったがジェネシスの射線上にいたジオン船籍の民間船団が護衛の軍艦ごと巻き込まれたと言う理由で同盟を破棄。連邦側で参戦する旨を伝えてきた。