2月1日、地球攻撃軍設立を公表する。
キシリア旗下の突撃機動軍第1機動歩兵師団が改変、増強される。
総司令にはガルマ・ザビ大佐が就任。
2月の始め、ギレンはジオン国家公安部の捜査結果からデギンがレビル脱走の手引きをした疑いがある事の報告を受けた。
嫌疑の段階であったがギレンはこれをネタに各省庁のデギン派閥解体を迫った。
デギンはこれに応じて多くの省庁の自派閥を解体、デギン派閥の人間の多くが解任もしくは更迭、左遷され、その穴の大半をギレン派が埋めた。
その動きに乗じてキシリアも派閥拡大を謀りいくつかの省庁に影響力を強めた。
デギン派が主導しているのは今や司法省・農業食糧省の二つだけだ。
2月政変、ギレンによってデギンの政治力の過半数を奪われた政変であった。
これによってデギンの公王としての権威は形骸化した。
また、キシリアがギレンに反目していたのはよく知られた話であったが、最近まではギレン本人は無視していた。しかし、南極条約の締結を機にギレンも明確に対抗し始めた。
翌週、手始めにギレンはドズル派閥との歩み寄りをし始める。
すでに国防大臣にはドズルが就任していたが、軍需大臣はギレン派の人間であったが歩み寄りとして大臣、副大臣や他要職にドズル派の人物を迎え入れた。
ドズル本人は自身が政治に手を出すことにはかなり渋ったが、ギレンもドズルを説得するために胸の内を打ち明けてドズルを説得した。
「サスロを殺したのはキシリアかもしれん。」
「まさか、キシリアが…サスロ兄はキシリアの兄でもあるんだぞ!?」
「しかし、サスロが担っていた情報部門の裏側は全て持っていかれた。」
「権力欲がそうさせたとでも言うのか?」
「わからん。さっきも言ったように明確な証拠がない。」
「兄貴、俺はこの件にはあまり関わりたくない。それに俺は軍人一辺倒だ。キシリアと利害が食い違うところはあまりない。はっきり言って今のそれは兄貴とキシリアの問題だろう。」
ドズルは目を背けながら消極的な意見を述べた。
明らかに、ドズルはギレンと同調する気配はなかった。
自身の側に引き入れようとするギレンにドズルは一歩距離を取ろうとしていた。
「私も貴様もザビ家の人間だ。」
「そうだな。」
ギレンの次の言葉に、ドズルは心臓を掴まれた錯覚を覚えた。
「ノーマ・ザビもゼナ嬢の腹の中にいる子供もザビ家の人間だ。」
「馬鹿を言うな!?兄貴!?まさか、そんなこと!?」
「あり得ないと言い切れるか。私の娘のノーマも私の背を見て政治軍事に興味を持っている。贔屓目かもしれんが結果も出ている。貴様の娘は貴様を見て育つのだ。軍事か政治に興味を持つだろうよ。」
「なっ。」
「私たちは大丈夫だろうが、政敵の身内を狙うなど。歴史の昔からあることだ。」
「あ、いや…だが。」
ドズルも甘いところがある。これ以上は無理か。
少し、話を逸らす。
「ドズル、少しは政治に関われ。」
「だが、俺は政治が解らん。」
「そうやって、軍人一辺倒でやってキシリアの子飼いに転がされるんだ。」
ドズルが嫌っているマ・クベを引き合いに出して頷かせようとしてみる。
「矢面に立っているお前の軍に新兵器が中々回らずキシリアに取られているのはそういう所だぞ。」
「……言っていることは解るが。」
「貴様の部下たちは結構優秀そうではないか。適当に席は用意する。部下たちと話しておけ。」
対キシリアの話題になると敢えて話を逸らすドズルであったが軍事関係の発言力強化には理解を示した。
2月政変を機に国防大臣及び副大臣、軍需副大臣ドズル派の議員が就くこととなった。
敬愛し慕う幼馴染のドズルのためならと配下のシン・マツナガは実家に掛け合いドズル派の議院として派閥を起こした。
外交面でも一気に進展した。親ジオン派がサイド5を完全掌握し臨時代表ザイデル・ラッソ防衛隊大将はジオンから多くの支援を取り付ける交渉を始め、共栄圏入りを決め対等な関係を目指した関係構築を行っている。他の親ジオン派としてサイド1、サイド4があるがサイドの中で特に困窮しているサイド1は今まで存在が皆無だった防衛隊が組織されたが、それ以上に経済的支援が必要であったサイド1は顧問団を受け入れることを条件に支援を得ることとなった。実質属国化であった。また、商業系のサイド4は共栄圏構想が現実味を帯びた事とルウムでの戦いでジオンが大勝したこともあり、軍事的協力についてはあいまいな返答であったが経済面では積極的な関係構築を望み共栄圏入りを決めていた。サイド6は中立を宣言したが共栄圏との通商を密にする方針を決めていた。ルナツーに隣接しているサイド7は別として親連邦政権だったサイド2もひどく揺らいでいた。サイドを名乗れる規模にないゼブラゾーン等のその他のコロニーは連邦に見捨てられていたと言っても過言ではない惨状であり、挙ってジオン支持を表明しており共栄圏に雪崩を打って参加表明をしている。ジオンは各サイドに対し義勇兵を募っており、サイド2からも個人レベルで参加する者たちが現れていた。