デジモンテイマー?違います(白目)   作:モカチップ

11 / 16
今回は長い方です。
ううん…才能が欲しい。進化と退化を繰り返せばいけるかな?


束の間のチョコレート

 ……あれから…事件は続いている。

 スマホのニュースサイトの一面をまた飾っていた。……流し読みしつつ公園のベンチに座る。

 

 情報を整理するか。

 

 被害者は男性。死因はナイフで刺され失血死。……現場は渋谷、だね。

 

 場所は関係ない。

 男性はキーワードの一つ。

 

 …一週間経つけどこれで五件目。焼殺、銃殺、絞殺、撲殺…刺殺と殺害方法が豊富。

 ……女性の被害者はいない。

 

 犯人に繋がる証拠は見つかっていない。

 

 殺された男性には何か繋がりがあるはずだ。

 ニュースは怪奇連続殺人事件を報道しているがその様な情報はない。

 

 反面神隠しは陰に埋もれつつある。オカルト掲示板ではまだ賑わいを見せているけど。

 

 板の住民曰く未だに行方不明者は出続けているが家出や夜遊びの可能性もあり警察は殆ど動いていないとか。…立て続けに殺人事件も発生してんてこ舞いって所だろう。

 

 ……どっちの事件も…警察では解決できないっての理解していたら茶番にしか見えないんだけどさ。

 

 警察はファングモンを見つけ出そうとしているらしいけど…化かされて終わりだろう。

 

 警察は優秀だと思うよ。…ただ事件が起きなければ動くことができない、デジモン相手にはなにもできない点を除いてさ。

 

 運良く見つけられたとして…返り討ちに会うのが目に見えて分かる。…仕方ないことだけど。

 

 …ツカイモンたちの活動範囲は都内全域で拠点は新宿。……怪奇殺人事件の犯人の活動範囲、拠点は共に不明、正体も分からない。

 

 ターゲット層は全く違う。

 上記は性別問わず小学生から高校生までの未成年。……下記は成人済みの男性のみ。

 

 犯行も誘拐と殺人に分かれている。

 どう考えても共通点、関係性はない。唯一あるとすれば…デジモンが関わっていること。

 

 はぁ…全貌が見えない。

 デジモンが犯人なのは分かっている。それだけしか分からない。

 

 ……全てのデジモンを知っている訳じゃないんだよね。……赤いずきんの少女。

 正体は分からないが…関係者。見た目は年相応の少女だったけど…人に近いデジモンか…変装、擬態できるデジモン。

 

 うん、分からないや。

 …合致するデジモンが思い浮かばない。…グミ……グミモン? それはない、か。

 

 …少女、かファングモンのどちらかと話ができればいいんだけど…両者共に見つけることが不可能に近い。

 

 特にファングモンの姿は広まっている。

 ……きっと化けていることだろう。寧ろ…丁度いいのかもしれない。

 

 レナモンの狐変虚が効かない理由が分かる。

 ……ファングモンの化かしを見破ることが出来れば……その類に耐性を持っている。

 

 見破ることができなきゃ……レナモンがポンコツってことで解決する、か。…そう思うしかない。

 

 整理しようが思考を巡らせようが今の情報だけじゃ手詰まりだって事が理解できたな。

 

 改めて新宿の件は不干渉でいい。

 問題はやっぱ…怪奇殺人事件、か。

 

 テイルモンとセイレーンモンにも動画でバレてしまっている以上隠す事はせず、何か分かったら話すし力を貸してもらう。

 

 なりふり構ってられないからさ。

 

 ……来ねえなレナモン。

 待ち合わせ場所を指定したのはお前だってのに…さ。まーたナンパにでも遭遇したか? 

 

 …真夏の太陽を浴びて流れ出た汗を拭う。

 今年の夏は一段と暑い。去年の比にならないくらいだ。

 

 ジリジリと肌が焼けていく感覚。服が濡れ…着心地が悪くなっていく。…帰ってもいいかこれ? 

 

 連絡ぐらいはして……? 

 後方から真っ直ぐ近付いてくる足音。

 

 はぁ…やっと来……ん? 

 振り返るが誰もいない。

 

 確かに足音が……にしては軽かった気が…。

 

「あ、あの……」

 

 はい? 下から……? 

 

「ひゅっ…」

 

 視線を下に向ければ長い耳を持ったツノが三本ある小さなデジモン。

 

 涙目の上目遣いで今にも逃げ出してしまいそうな……えっと()()()()()だよ、な? 

 

 ん??? 

 獣違いですね。

 

 き、既視感を覚えるぞ。

 ……ツカイモンの時みたいに…。

 

 自然と顔が強ばっていく。

 

「ぁ……ぅ…ぇっと……レ、レナモン……ひっ…く…」

 

 レナモンを知っている? …じゃなくて! 

 泣く一歩手前…というか泣いてる!? 

 

 こ、これは予想外だって! 

 お、落ち着いてロップモン…俺は何もしな──

 

「……な…なんで……名前…知って……」

 

 悪化したぁ!? 

 そりゃそうだよな! 名前を知られてたら普通はビビるよな! 

 

 …人目が…! 

 はい、レナモンにあったらお説教です。

 

 会話の内容からレナモンの使い。

 レナモンに何か起きて来れない状態だということ……なんでスマホで連絡しねぇかな! 

 

 やっぱレナモンが抜けてるからだ。

 ファングモンが化けても見破ることはできない。これは確実で絶対だと確信しました、はい! 

 

 ここに居たら居たで目立つ…というか動画が何とかって聞こえるからワンチャン気づかれてる可能性がある。

 

 ちょいと失礼…! 

 

「わっ……な、な…お、……お、美味しく…ないよ……っく」

 

 腕の中でガチビビりし死でも悟ったような顔をするロップモン。声を押し殺して嗚咽を漏らしている。

 

 うん、俺をなんだと思ってます!? 

 ……はぁ…これは、説明すらしてないのか? 

 

 と、取り敢えず……! 

 この場から失礼させていただきます! 

 

 公園から飛び出す。

 適当に歩き回り人混みに紛れ込む形になった。

 

 ロップモンは大人しくしているみたいだ。

 多少は落ち着いてくれた…のかね。

 

 下手に叫ばれたらどうしようもなかった。

 

 これが双子の片割れのテリアモンだったら大変だったかもしれん。ロップモンは貴重といわれる双子デジモンの成長期。

 

 どういう条件下で誕生するかは不明だが一つのデジタマから生まれるんだとか。生まれた幼年期Ⅰのココモンが幼年期にⅡのチョコモンになり次にロップモンへと進化する。

 

 だけど双生児として生まれるとは限らずそれぞれ一つのデジタマで生まれることもあるんだと。……因みに双子で生まれるデジモンはココモンと相方のゼリモンだけらしい。

 

 やーデジモンって不思議だなー。

 ロップモンが一人っ子って可能性がありましたよ、ええ。どっちだろうがロップモンはちょっと…臆病で寂しがり屋な面が強い。

 

 個体差はあるけど…ご様子を見るに……。

 

 腕の中のロップモンを見る。

 …まだビクビクしてらっしゃいますね。

 

 参ったなぁ…ロップモンとはデジタルワールドだと見るぐらいだったしなぁ。テリアモンはのんびりとしつつ好奇心旺盛で明るい性格をしている。噂じゃ博士の助手としてる個体も存在するとかなんとか聞いたことはあるんだけど…。

 

 関係ない情報だな。…しっかし暑い。

 ロップモン…モフモフで温かいんだよな。

 

 お、近くにアイス屋がある。

 行き先を変更し駆け足で向かう。

 

 ちょっと混んでるけど待つぐらい……。

 視線がキツい。…ロップモンへと並々に注がれている。

 

 傍から見ればぬいぐるみを抱えた変人だもんなぁ。……レナモンと時に比べりゃマシだ。

 

「……ぁ…アイス……」

 

 ロップモンも食べる? 

 …ぬいぐるみに話しかける奴になった。

 

「…いいの……? お金…持ってない……よ?」

 

 問題ないよ。もう色々と失いかけてるから。

 俺はシンプルなバニラとチョコの二段で。

 

 ロップモンは…チョコとチョコチップと…ロッキー……チョコづくしだな。

 

 お会計は、と…こんなものか。

 ロップモンを抱きながら両手にアイスを抱えて人目のつかない所へダッシュ。

 

 ……やっぱり路地裏だよなぁ。

 ロップモンを下ろしてアイスを渡す。

 

「……あ、ありが…とう……」

 

 受け取りちょぼちょぼと食べ始めた。…ぎこちなくも笑みを浮かべている。…良かった。

 

 壁に背をつき汚れも気にせず座り込む。

 向かい合う形でアイスを食べていく。

 

 …ああ、美味しい。

 こういうので良いんだよこういうので。

 

 コーンまで食べて…ごちそうさま。

 

「…ごちそうさま、でした」

 

 アイスを食べ終えたロップモンが膝の上に座る。これで話を聞くことができる。

 

 長い道のりだった。……なるほどねえ。

 ロップモンはレナモンと一緒に暮らしているのか。…他のデジモンもいて身を寄せている、ね。

 

 …そういえばレナモンのことあんまり知らないよな。テイマーを求めてこっちに来たことぐらいか? 

 

 急用が入ったレナモンからロップモンは伝令を頼まれた、と。もう一度言うが何のためのスマホだよ。

 

 人選も間違えているだろう。一歩間違えたら……過ぎたことか。…着信? 

 

 テイルモンか? ……レナモンじゃないか。

 なになに…用事がすんだから向かう? いや来なくていい。

 

 俺がレナモンのとこに向かうわ。

 案内人もいるからさ。お前は大人しく待っててくれ! 

 

 …はは、疲れた。

 

「……た、だいじょうぶ…?」

 

 不安がるロップモンの顔。

 んー問題ない。…すまないがレナモンの所へ案内してくれないか? 

 

「案内…う、うん。いいよ…」

 

 それはよかった。…まだ真昼間、か。

 寄り道する時間はあるなぁ。

 

 お土産くらいは買ってくか。

 

「お土産…?」

 

 招いてもらうからさ。

 デジモンはどれぐらいいるんだろうか。

 

 ツカイモンとこの軍団並ではないだろうが……多ければ多いほどいいか。

 

「……あの」

 

 どうしたの? 

 

「あ…ありがとう……!」

 

 満面な笑顔。

 ……うん、やっぱり。

 

 どういたしまして……。

 

 良いもの、だよなぁ。

 ロップモンを抱えて路地裏を出る。

 

 案内に従いつつ寄り道していった。

 ロップモンが現実世界に来たのは最近らしい。理由は…()()()()、ね。

 

 余裕が出てきたのか店や建物等に興味を持って聞いてくる。……俺も俺で吹っ切れて人前で堂々も喋り答えていった。

 

 手頃な土産を買って周り着いた場所は…寂れた神社。人の手入れは余りされてはいない。

 

 ……神社。旅行の記憶が少し過ぎったが振り払い進んでいく。ロップモンは──

 

「…ん……にゃ」

 

 はしゃぎ疲れて寝ちゃったよ。

 緊張の糸が解けたのもあるだろうけど…ロップモンみたいなデジモンは生きづらいかもしれない。

 

 それでも…こっちにやってくる理由、か。

 薄々勘づいてはいるんだ。気づかないフリをしていたんだろう。

 

 自惚れるつもりはないけど…やっぱり。

 ……()()()()()()()()()()()()()()()…。

 

「おーい!」

 

 …レナモン。

 ロップモンから色々聞いたよ。これお土産だからみんなと食べてくれ。

 

「すまない。ロップモンは……問題無さそうだな。流石だ」

 

 ロップモンの寝顔を見て微笑むレナモン。

 …ああ、とても良い子だったよ。

 

 先ずは他のデジモンと自己紹介をさせてくれ。

 

「分かった。こっちだ」

 

 息抜きはここまで……解決しないとな。

 レナモンの後に……その前に説教な?




今日のデジモン図鑑(仮)

名前/ロップモン
レベル/成長期
タイプ/獣型
属性/データ

某助手の対になるデジモン。臆病で寂しがり屋だが距離感が極端なので仲良くなればバグレベルで懐く(※個体差はあります)。

……獣系ばかりなのでいい加減他の系統出したいなぁ(白目)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。