デジモンテイマー?違います(白目)   作:モカチップ

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本当は一つにするつもりでしたが諦めました。


真相?

 楽しい時間は一瞬だと言われるけどその通りだと思う。村を見て周り、住民と交流する。

 

 ……過剰なまでに歓迎されていた。

 この村に来訪者がくることは滅多になく前の来訪者は数年前だと聞いた時は驚いた。

 

 …おかしいな。ここの旅館が掲載されていたサイトには……。

 

 スマホを開く。俺の膝の上に乗った猫? にしてはなんか…猫なんか飼ってたっけ? 

 この待ち受け…いつ撮ったんだ? ッ…。

 

 頭を押さえ予約したサイトにアクセスするが……圏外、か。うん、電話も繋がらない。

 

 WiFiとか…客室にはなかったよな。

 ラウンジに置いてあるかもしれないから帰ったら調べてみよう。

 

 村の中に唯一の定食屋でご飯を食べる。

 村の子供たちと遊ぶ。鬼ごっこやかくれんぼ…子供の頃に戻った気分だった。

 

 祭りのことも聞いたんだ。どうやら古くからあるようで毎年この村の神社で神様に供物を捧げ豊作を願うらしい。

 

 ただ続けてもう一つ祭りもあるらしくそっちの祭りは村民だけ執り行うとのこと。旅館の女将さん含め全員が外に出る為、その間は客室でゆっくりしていて欲しいと言われた。

 

 来訪者は祭りを見ることができないって訳だ。……残念だ。本命は祭りみたいな所があったんだけど…この村の住民になるなら参加できると言われたが軽く流した。

 

 因みにラウンジにWiFiは無く仲居さんに聞いたがネット回線はないとのこと。連絡する場合は電話を使ってくれと置かれていた黒電話を指さした。

 

 どうしようないので客室に戻り景色を楽しんだ。夕暮れが山を染め上げ幻想的だった。

 

 写真に収める。…とても素敵な写真、だが…足りない。…写真の中に()()()が…ッ…。

 

 ……これ…は、何かがおかしい。

 おかしいのか? ……ッ! …頭が痛い……。

 

 スゥ……落ち着け。冷静になれ…。

 一旦整理しよう。俺はここに旅行でやってきた。理由は…折角の夏休みで楽しむため。

 

 その為に渋谷まで行って服を新調した…。

 本当にそう、か? 

 

 よく思い出せ…渋谷に行ったさ。けど服を新調した訳じゃない。彼女の変装服を買いに…ぐっ…ギィッ…!! 

 

 そ、れに……渋谷で思いがけない再、会も…したはず…だ。トラ…ブ、ル…メー…カーの…カボチャ…。

 

 そもそも…! 俺、は……一人で…来て、ない。

 ……彼女と…! ……()()()……()()と…! 

 

 頭痛で立っていられなくなる。膝を着き倒れ込む。……頭が割れるかの様に痛い。何かが入り込んでくかように圧迫していく。

 

 なのに心地よい……この身を委ねてしまいそうになる。思考を放棄して眠りにつきたい。

 

 どうしようもない幸福感が溢れてくる。

 

 ……そういや今日が祭りの日。もう少ししたらこの旅館は俺一人になるのか……。

 

 なら……就寝して早起き…なんて言っていられるかっての!! 

 

 クソっ! 全て思い出したぞ! こんちくしょう!! ……嵌められたってことだよな。

 

 思い出すのに三日もかかったのか。…それ以前にこの空間が現実かどうかは明白だけどさ。

 

 ……楽しかったかと言われれば楽しかっただろうよ。でも一人じゃ意味がない。…テイルモンと一緒だから意味があるんだ。

 

 しかし最近面倒ごとに巻き込まれ過ぎてないか? ノーブルパンプモンがいる時点で他の究極体デジモンが存在しててもおかしくないが…ドンピシャだとは思わんよ。

 

 ()()も分かっている。この目で見ている。

 

 夢に魅せられていた。犯人…彼女にとったら善意なんだろう。それでも…俺にとったら大迷惑だ。

 

 ……この村も巻き込まれただけに過ぎない。

 旅行の邪魔もしてくれやがって……! 

 

 夢から覚める方法は一つしかないだろう。

 客室から出て迷わず厨房へ向かう。この時間には誰もいない。ナイスタイミングだよな。

 

 包丁を取り出す。…逆手に持ち振り上げる。

 ……夢だと分かっていても怖いものは怖い。

 

 息が荒くなる。……二回も死ぬ経験を味わうとは思わなかったよ。…こんちくしょう。

 

 首元目掛けて振り下ろした。

 

 視界は赤く染まり上がる。

 痛い…喉は裂かれ声にも出せない悲鳴を上げて……死んでいく。何もかも捨て去って…。

 

 …………………ここは。

 

「テイマー!? 良かった…! 本当に良かったよ…!!」

 

 おっと……どうしたのその怪我…大丈夫? 

 抱き着き泣きじゃくるテイルモンをあやす。

 

「…良かった。テイマーさんに何かあったら私…」

 

 涙目で見つめる()()()()()()()

 ……心配かけてごめん。

 

 どうやら気を失っていたみたいだね。

 記憶を辿ってみようか。

 

 …始まりは旅館に入りテイルモンと散策をしたとこから。…村人は笑顔だった。大人は陽気な雰囲気で子供は無邪気だが何処か無気力と矛盾していた。

 

 ただ話を聞こうにも聞けない状況だった。支離滅裂で会話にならない…殆ど上の空。テイルモンが引くぐらいには酷かっただろう。

 

 何も無い所に声をかける姿は…何か危ないものやってらっしゃる? 

 ……不穏な予感を感じた。勿体ないけど…帰った方が良い、と。

 

 テイルモンはもう少し散歩してくるとのことで先に旅館へ帰ったんだ。事情を説明をして日帰りをすることにした。

 

 ……やけに止めに入るから気味が悪くなり料金を支払い荷物を持って旅館から飛び出した。テイルモンを探しに村中歩き回ったんだ。

 

 ……テイルモンは見つからなかった。

 やむ無く村民に聞いても会話のキャッチボールは成立しない。

 

 幾らなんでも怪しすぎる。…テイルモンに何かあった。……でも人間にテイルモンをどうにかできるとは思えない。

 

 てことはデジモン絡みの何かを隠している。が…村民はそもそも会話にならない。

 

 …暴力の二文字が頭から出かかった…そん時……綺麗な歌声が聞こえてきたんだ。

 

 とても聞き馴染んだ声。この美声を出せる者は一人しか存在ない…だとして…どうしてここに…っ!? 

 

 村人が苦痛の表情を浮かべる。大人から子供まで……その場で座り込み声にならない声を上げて……。

 

 ……方角は…神社、か。

 村人を余所目に神社へ駆け出す。道中は村民の死屍累々で溢れていた。一部は泡を吹き痙攣している者まで……どうなってんだよ。

 

 急斜面の階段を駆け登ってたどり着く。

 …ぽつんと立った寂れた神社。

 

 木の部分は腐りボロボロで注連縄はちぎれ、屋根は欠けている。…手入れされていない…まるで廃神社。

 

 …歌声は止んでしまったがこの場所の何処かに……うん、あれだな。

 

 神社から少し離れた場所にある物置小屋。

 ガタガタと音が鳴っている。近づけば外側から閂がかかっていた。

 

 テイルモンだったら簡単にぶち壊せそうではあるんだが……彼女の場合は──

 

 閂を外し扉を開ける。

 

「あ…開きました。どなたか存じませんが開けていただきありが…と……う………」

 

 深々とお辞儀をする小柄な少女。

 顔を上げと目を見開き手を口に当てる。

 

 なんで物置小屋に閉じ込められていたのかは後々聞くとして…久しぶりセイレーンモン。

 

「テイマーさん!? な、なんでここ…」

 

 それはこっちの台詞だと思うんだけど。

 先ずはここから離れよう。

 

「は、はい…! ……テイルモンは?」

 

 いなくなっちゃってさ。…この村もきな臭いし…。

 

「そ、そうです! テイマーさんにお伝えしたいことがありまして……テイマーさん! 後ろ…!」

 

 後ろ…? …振り返ったところで…記憶はない。

 気がついたらぶっ倒れていてテイルモンとセイレーンモンがいた。

 

「おや、目が覚めましたか」

 

 ……追加でノーブルパンプモンもいた。

 なんでここに……。

 

「個人的な理由です。もう終わりました」

 

 杖で彼方を指す。

 指し示された場所には……彼女がいた。

 

 ……重傷………手遅れだ。

 もう少しでもすればデジタマになるだろう。

 

「……何がいけませんの。浮世の苦しみなど忘れ幸せになれますのに」

 

 嘆く……()()()()()

 その一言を最後に粒子となり…粒子はデジタマへと姿を変えていった。

 

「分かっていませんね。幸せとは苦しみや不幸など負の概念があるからこそ光り輝くのですよ。……それは笑顔も同じです」

 

 デジタマを拾い上げ杖をつく。

 ……ノーブルパンプモン。

 

「…カボチャがいなきゃ不味かった。…ありがと」

 

 ……ありがとうノーブルパンプモン。状況を見るにロトスモンを倒したのはノーブルパンプモンだろう。

 

「とんでもない。……お互い様ですよ」

 

 お互い様…ね。

 割に合ってるかは別として…分かった。

 

「ではこれで失礼致します。村の中の幻術も溶け始めていることでしょう。……この村…()()()()()()がございましたので早急に帰ることをオススメしますよ」

 

 気品な出で立ちで去っていった。

 ……怪しい所、ね。…なんでロトスモンはこの村を選んだ? …辺境の村……祭り……浮世に苦しみ…………! 

 

 そういう事、か。

 確証を得る方法は一つ。

 

 セイレーンモンに聞きたいことが。

 

「はい、なんでしょう?」

 

 ……セイレーンモンはどうして物置小屋にいたんだ? ……なんでこの村にいたの? 

 

「えと…それは…」

 

 恥ずかしそうに人差し指をちょんちょんと合わせる。

 

「……東京という街に行こうと電車に乗ったのですが…その……揺れが心地よく寝過ごしてしまいまして…」

 

 ちょぼちょぼと語り出す。

 …ノーブルパンプモンから俺が現実世界の東京にいると教えてもらい、いざデジタルワールドから飛び出したら警察に保護されてしまったね。…ま、まぁ見た目は少女…? だしね。

 

 東京に親友と会いに行くことを伝えたら丁寧に教えて貰い電車代まで出してもらったと。……ここの路線じゃ東京には辿り着かないんだよなぁ。

 

 つまり路線も間違えてしまった挙句に寝過ごしてこの村まで……逆に凄いな。

 

 出会えた訳だし良しとしよう。

 本題はこっちなんだけど…物置小屋に閉じ込めたのは誰かな? 

 

「え? ロトスモンじゃないの?」

 

 テイルモンが応える。…初めはそう思った。

 セイレーンモンの歌はロトスモンの夢に干渉していたから。

 

 だとしたら五体満足で閉じ込めるんじゃなく……始末しているだろう。だから──

 

「…えと……この村の神社で歌ってたら急に村人さんに襲われてそのまま物置小屋へ…」

 

 ……そっか。

 ある意味…ロトスモンに()()()()()()()()()()()()()()

 

 これが噂に聞く…()()()って奴か。

 荷物は手元にある。……よし! 

 

 テイルモン! セイレーンモン! 急ぐよ! 

 もしかしたらまたトラブルに巻き込まれるかもれないからね…! 

 

「え?」

 

「ほぇ?」

 

 ポカンとする二人の手を取り神社を降る。…ギリギリバスに乗ることができ…椅子に座ったところで本当の意味で安堵することができた。

 

 翌日、どっと疲れが来てしまい起きたのはお昼過ぎ。隣にはテイルモンが無防備な寝顔を晒している。

 

 お昼ご飯作るかな。…起き上がり目蓋を擦ると聞こえる鼻歌と何かが焼ける音。…美味しそうな匂いが眠気を覚まさせる。

 

「んふふ〜♪ ……あ、おはようございますテイマーさん」

 

 可愛らしいエプロンで着飾ったセイレーンモンが立っていた。……おはよう…。

 

 そうだった。…疲れ過ぎて忘れてた。

 セイレーンモン…こっちに来たのはいいけど住まいがないし宛もない。

 

 今回の一件もあり、ということで滞在することになった。テイルモンとの仲も良好だしなんら問題ない。

 

 ……一人にすると危なっかしいのだ。

 常識人ではあるが素直過ぎて…色んな意味で危ない。……セイレーンモンの為に色々と準備も必要だしお金が……バイトするかぁ。

 

「テイマーさんできましたよ」

 

 目玉焼きとウインナー。

 目覚めにピッタリの料理だ。

 

 ちょっと待ってね。テイルモンを起こし──

 

「いただきます」

 

 …????? 

 テイルモンいつの間に…? 

 

 ま、まぁ…いっか。

 いただきます。

 




今日のデジモン図鑑(仮)

名前/ロトスモン
レベル/究極体
タイプ/妖精型
属性/データ

天界に咲くといわれる美しい妖精型デジモン。
理由は分からないが辺境の村の実態に哀れみ幸せな夢を与えていた。
本人は善意で行動していただけで悪意は全くない。デジタマ後はノーブルパンプモンが所持している。

テイマーは夢の中の出来事を一切覚えてないです。
今回はヒロインしてました(白目)

コメントからロトスモンをロストモンと間違えていたことを教えていただきました。修正致しました。ありがとうございます。
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