個性【錠剤】で個性の薬をつくりながらヒーローになるアカデミア 作:黒鉄 玲
次の日。
相澤先生が雄英体育祭が始まるから準備しろと生徒全員に言った。
雄英体育祭とは、雄英高校で開催される普通……いや普通ではないか。まあなんだ?テレビである種の特番として放送されてるくらいには凄い体育祭だ。そんなのに俺は出ることになっている。感慨深いものがあるわけではないが、永い人生の中の良い思い出になることは確かだ。
昼休み。すぐさま食堂に向かう。今日の昼食は親子丼にした。そう、親と子供が一緒くたに調理されるという恐ろしく美味い料理だ。食ってみると自分で作る飯より遥かに美味い。ふと思ったけど鳥系の個性の人って味は鶏肉なんかな?それとも普通に人肉と同じ味なのかな?いつかホークスさんとかに会う機会があれば聞いてみようかな。
「ところでオマエらはなんでいる?取蔭、
「なんでって、アンタが一人寂しそうにポツンと座ってたからでしょ。ねえ新奈?」
「え?ああ、うんうん!私もそう思うよ!」
「「おまえ絶対話聞いてなかったろ」」
「二人して同じこと言わないで?傷つくから」
個性【物体時間操作】。触れたものの時間を巻き戻したり、早送りしたりできる。例えば機械に使えば早送りして経年劣化を起こしたり、逆に巻き戻して新品同様にすることもできる。
巻き戻して新品同様にすることもできる。
俺はコイツと所謂幼馴染であり、小学校はコイツと同じところに通っていた。中学校も一緒で、取蔭と知り合ったのはコイツが原因だ。なんかいつも俺が一人でいるのを見兼ねてコイツが取蔭を呼んだらしい。余計なお世話だこんちくしょう。そんなこともあって親友というよりかは腐れ縁だと俺は思っている。
「体育祭そっちはなんて言われた?うちは物間がA組を蹴落とすとかなんとか言ってるけど」
「そうそう。物間君って、A組のこととなるとすっっごく張り切るから見てて飽きないよ!」
「へぇ、そうなのか。こっちは爆豪ってヤツが凄くて、泥の煮込みみたいな性格してるっていう共通認識ができた」
「「爆豪君かわいそ……」」
「あのな、アイツの言動知ったらそんな感情消えてなくなるぞ」
「にしてもなんで私に入学したこと教えてくれなかったの!?教えてくれてもよかったじゃん!」
昼食を食いながら新奈は喋る。食べカスがこぼれ落ちる。汚ねぇ。
「あ、普通にめんどくさくなって言い忘れてたわ」
「この野郎!せっかくお祝いしてあげようと思ったのに!!」
「落ち着きな。若干前までの言葉遣いが出てるわよ」
取蔭に深呼吸して新奈は落ち着く。どうやらさっきの怒鳴り声と口調で羞恥心が襲ってきたようだ。シュンと縮こまる。
その間に俺は親子丼を食い終わる。
「んじゃ。俺は帰る」
「ちょっと待って!まだ話は終わってないよ!」
「俺にはない。つーか体育祭では敵同士だから慣れ合ってちゃダメだろ」
そう言って俺は食堂を後にした。
「……もうちょっと話したかったのに。」
「まあまあ。いつものことでしょ」
放課後。帰ろうとしたらなんかA組の扉の前で喧嘩が起こっていた。行ってみると爆豪と知らん生徒が原因のようだ。こういうのって首突っ込みたくなるよなぁ。
「おい爆豪。どうした?」
「うっせぇ!オマエは話に入ってくんな!」
「んで、どちらさん?お宅ら多分ヒーロー科じゃないよね?多分普通科?敵城視察的なヤツ?まあそれしかないよな。一応言っとくけど全員が全員爆豪みたいに他の組を敵視してるわけじゃないからな?勘違いしないでな?全員が1位を狙っていると思うけど」
「ちょっ、いきなりなんだオマエ!急に喋るな!」
「テメェそれはどういう意味だゴラァ!」
「あ、すまん。俺は薬錠鎖。一応A組の首席だ。すまんなウチの爆豪が。君の名前は?」
「……心操人使」
「人使か。いい名前だ。よろしくな」
「……A組ってのはみんな危機感がないのか?そんなだと俺らに足元掬われるぞ?」
なるほど、宣戦布告か。面白い。俺は好きなタイプだ。向上心が高いヤツは嫌いじゃない。
「肝に命じておこう。まあなんだ、心操も頑張れよ」
肩をポンポンして俺は家へと向かって行った。
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