個性【錠剤】で個性の薬をつくりながらヒーローになるアカデミア 作:黒鉄 玲
いやぁ、人の不幸は蜜の味って言うけど、ホントに共感できる。轟と瀬呂の試合が一方的過ぎてどんまいコールがかかったって聞いて、めちゃくちゃその試合見たくなった。ちくしょうなんで毎回俺はここぞというばかりのタイミングで見てねぇんだよ。テレビで録画してたっけ?体育祭。後でちゃんと見返そう。
さてと、俺の対戦相手は八百万。無機物ならなんでも作れるが、脂肪を消費しないといけない個性……俺ってどちらかと言うとガリだからなぁ、あんまり使えないか。多分使えて1回……。
悩んでも仕方ないか。よし、切り替えていこう。
「さ、そろそろ始まる時間ですかね」
『第一種目と第二種目をダブル1位でクリア!様々な個性で敵を翻弄!ヒーロー科、薬錠鎖!対するは、万能個性で上位の成績!同じくヒーロー科!八百万百!』
「ちゃんと話すのは個性把握テストぶりか?」
「そうですわね」
「…そんな緊張せずに、気楽にいこうぜ?」
「…」
『レディィイ、スタート!』
八百万は開始と同時に【創造】する。俺は八百万が【創造】が終わるまで待つ。だいたい数秒くらいか。作ったのは盾。
「準備は終わったか?」
「ええ、待ってくださりありがとうございます」
パァンッ
咄嗟に【硬化】で防ぐ。マジかよおい銃はねぇだろ銃は。ゴム弾だからまだいいものの。
「まさかこれを防ぐとは…」
「いやぁ焦った焦った。つい条件反射で防いだが、常人だったらこの速度で出したらスッゲェ痛いぞこれ」
姿勢を低く走り、弾を躱していきつつ、距離を詰める。25m、15m、5mとどんどん近づき、触れることのできる位置へ進む。八百万は盾で守る体制に入りつつ、銃で容赦なくゼロ距離発射する。いやホントに容赦ねぇな!?
【硬化】で弾を受けつつ拳を振り翳す。八百万は盾でガードするが踏ん張りが効かず、後ろへ下がる。下がる間もスタングレネードを使った目眩しをしてきた。対応が少し遅れ、距離を取られる。拉致があかねぇなこれ。奇襲でも仕掛けてみるか。別の個性も慣らしておきたいし。
まずは【氷結】で周りを凍らし、遮蔽物を作る。
八百万は瞬時に判断。【創造】で火炎放射器を生み出し、氷を溶かしていく。氷に身を隠しながら薬を飲む。
「……これで溶かしてない氷はあと一カ所ですわ」
創造でスタングレネードを作り出す。そしてそれを氷に向かって投げ、爆発する。その間に八百万は氷の横側に周り、銃を撃つ。
……しかし、そこには誰もいなかった。
「!?……薬錠さんはどこに行きましたの!?」
「今、あなたの後ろにいるの、ってな」
振り返ろうとした途端、背中に電流が走る。
「アガッッ!?」
急な電撃に八百万は銃を落としてしまう。
「ゲームセットだ」
「氷を生成したあと、どこに隠れていましたの?」
試合の後、控え室で八百万が聞いてきた。特に答えられない事情はないので説明する。
「八百万が火炎放射器で溶かしただろ?そこにできた水溜まりに隠れてた」
「…え?今なんと?」
「今回の使った個性は【液状化】。自らの体を液体に変えることができる個性だ。あとは潜伏して裏を取ったタイミングで【伝雷】でトドメをさした」
「なるほど。そのような個性もありますのね。しかしなんで【空間転送】を使わなかったのです?」
「単に他の個性を慣らしたかったから。いつも同じ個性ばっか使ってるとその薬のストックだけ減りが早くなって、いざという時にその薬がなくなると困るだろ?だからできる限り一つの個性に頼らないように俺は心がけてる」
「なるほど、そうでしたのね。質問に付き合ってくださり、ありがとうございました」
「礼を言うのはこちらの方だ。八百万の個性は強力だから、その個性を使えるようになったのは俺としてはデカい。ありがとな」
そう言って礼を伝えた後、俺は席を外す。
控え室から出て観客席に座ると、もう一回戦は終わっており、セメントスがスタジアムを修理していた。次の試合は緑谷と轟、楽しみだ。
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