個性【錠剤】で個性の薬をつくりながらヒーローになるアカデミア   作:黒鉄 玲

15 / 32
緑谷VS轟 & 俺の戦闘とetc

轟と緑谷の試合。轟は氷塊を緑谷にぶつけ、それを緑谷はデコピンで破壊する。その度に指が腫れていく。10本の指全部腫れたら、既に腫れた指をまた使ってデコピンを放つ。

 

 

破壊と、生成。その繰り返し。

それはあまりにも痛々しい戦いだった。

 

轟は氷を生成し、その氷の上に立ち、真上から緑谷に攻撃を仕掛ける。緑谷はスレスレのところで避けるが、そこから追い撃ちの氷塊が緑谷を襲う。誰もが避けられないと思ったその時、先ほどのデコピンとは比べ物にならない衝撃が繰り出され、氷が砕かれる。その威力は風圧が観客席にもほど。

 

先ほどまでとは段違いな威力に轟も吹っ飛ばされ、咄嗟に作った氷の壁によって場外へ飛ばされるのを防ぐ。

 

轟は未だ無傷に近しいのに対し、かたや緑谷は個性の自傷により既に両手はボロボロ。

 

そんな轟と緑谷の戦いに、少しの変化が現れ始めた。

「……轟の動きが鈍っている」

 

それはほんの僅かな動きの乱れ。

俺の見立てでは氷の個性を使いすぎると体温が下がり、動きが鈍くなるのでは?と、俺の【氷結】の個性を使った時のデメリットを思い出し、仮説を立てる。だが、そのデメリットは片方の炎を使えば解決する問題。もし炎の方の個性がデメリットが体温の上昇なら、エンデヴァーが轟を最高傑作と言った理由がわかる気がする。

 

 

そう考えている間にも轟の動きは鈍くなっていく。そしてとうとう緑谷は轟に一撃を入れた。そして一撃を入れた緑谷は轟に向かって叫ぶ。

 

 

「皆…本気でやってる。勝って…目標に近づくためにッ!半分の力で勝つ!?まだ僕は、君に傷一つつけられちゃいないぞ!全力でかかって来い!」

 

 

ボロボロになりながらも轟に抗う緑谷の姿を見て、観客は彼らの戦いを見守っていた。

 

 

「君の!力じゃないか!」

 

戦いの最中、緑谷は叫ぶ。その言葉に、轟は昔の母の姿が浮かんだ。血に囚われず、なりたい自分になっていいと、背中を押してくれた頃の記憶だ。

 

……いつから、忘れていたのだろうか。なぜ今になってこの記憶を思い出したのか。今の轟にはわからなかった。

 

 

 

……そして、ついに轟は左側()の個性を使った。

 

 

「焦凍ォオオ!やっと己を受け入れたか!そうだ、いいぞ!俺の血をもって俺を超えていき、俺の野望をお前が果たせ!」

 

エンデヴァーの声がスタジアム一帯に響き渡る。しかし、当の本人はそんなものを気にせず、目の前の敵である緑谷に視線が向かっていた。

 

 

「緑谷、ありがとな」

 

そう言った轟は高熱の炎を放つ。負けじと緑谷も渾身の一撃を放つ。これまでの戦いで冷やされた空気が、高熱の炎によって、急激にに膨張する。それに緑谷の力も相まり、激しい爆風が起こった。

 

 

 

 

 

砂埃がおさまった時、そこには壊れたステージに立つ轟と、ステージの外で横たわる、緑谷の姿があった。

 

「緑谷くん場外…。轟くん3回戦進出!」

 

いい終わると同時に多方から拍手喝采が起きる。緑谷が担架ロボに運ばれる中、俺は心配になり、緑谷の元へ向かうのだった。

 

 

「緑谷、大丈夫そうか?」

保健室に連行されていった緑谷に声をかける。

「薬錠くん…?珍しいね。うん、大丈夫だよ。さっきリカバリーガールに治してもらったんだ。でも、指が変な見た目になっちゃって。いや普通に動くから心配しないでね?」

「……そうか。難儀な個性だな」

少し考えて、俺は緑谷を気遣いながら伝える。

「なんかあったら周りに言えよ?あんまり抱え込んでもいいことないからな」

 

「……俺はオマエのこと、応援してるからな」

そう言って、保健室を立ち去る時、緑谷の口から「ありがとう」という声がきこえた気がした。

 

 

先ほどの試合で壊れたスタジアムが補修し終わり、上鳴と飯田の試合が行われる。

 

開幕と共に上鳴は速攻で放電し、飯田は思いっきり加速する。速攻勝負。制したのは……

 

 

ドゴォ

「がぁっ…!」

 

飯田だった。

電気がこちらに当たる前に走り幅跳びの要領で上鳴にのところへ飛び込み、そのままキックを放つ。エンジンの加速からのキックに上鳴は吹き飛ばされ、その勢いのまま場外へと飛んでいった。飯田、3回戦進出。

上鳴が不憫に思った俺は、上鳴にこの後、個性の使い方を教えつつ、ちゃっかり放電の個性を回収した。

 

 

 

ついに常闇と俺の試合が始まる。俺は八百万の時と同じように、常闇に話しかける。

 

「よう、常闇。黒影(ダークシャドウ)の調子はどうたい?」

「ああ、準備万端だ。薬錠の準備も大丈夫か?」

「全くと言っていいほどに問題ない」

 

 

『レディィイ、スタート!』

 

「ゆけ!黒影(ダークシャドウ)!」

「オマエも速攻タイプかよ!」

黒影(ダークシャドウ)の攻撃を【空間転送】で避ける。避けた後攻撃に移ろうとするが、すぐさま黒影(ダークシャドウ)が俺と常闇の間に入り、キックをその体で受ける。う〜ん、これはガードが硬いな。バックステップで後ろに下がる。

 

まあ、こんな時は……火力でゴリ押す!!

 

 

 

 

かつて、個性というものがまだ存在しておらず、年号が平成の時代。当時の漫画には現在でいう個性で戦う異能力バトル漫画がよく売れていた。その中にはもちろん炎を扱うキャラもいた。そいつは敵キャラで、意外と早い段階で退場していったが。

 

当時の俺は、まさかその自分がその技を使うとは思わなかっただろう。幼少期の俺に感謝だ。

 

五本指に力を込め、指先に小さな火の球が灯される。

「フィンガー、フレアボムズ」

 

 

五つの炎のうち、四つが黒影(ダークシャドウ)にあたり、一つは軌道が反れて常闇に当たる。ほんとは黒影(ダークシャドウ)に全弾ヒットさせるつもりだったが、まあ結果オーライだ。

 

常闇はそのまま焼き鳥になった(なってない)。

何はともあれ、3回戦進出。次の相手は爆豪。気を引き締めていこう。




感想、評価などがあったらお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。