個性【錠剤】で個性の薬をつくりながらヒーローになるアカデミア   作:黒鉄 玲

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書いてて思ったけど後半ライダー要素盛り盛りだなこれ……。


ヒーローとしての信念

久しぶりにこの事務所に来てから三日目。通常ならプロヒーローと一緒に活動したり、プロヒーローに稽古をつけてもらったりするのだろう。

 

 

 

しかし、俺は戦闘せずにサイドキックと共に事務仕事をしていた。それは何故か、璃瑠さんが葉隠と新奈を鍛えるためにつきっきりになっているからだ。2人とも攻撃ができるタイプの個性ではないため、どうしても戦う時に肉弾戦になってしまう。そのため璃瑠さんが2人に格闘術を教えている。しょっちゅうボコボコにされているので【回復(ヒール)】で怪我を治癒してあげている。これでまた存分に戦えるね!そんな怯えた顔してどうしたの?まだまだこんなもん俺からしたら序の口なんだからしっかり頑張ろうねお二人さん。(^^)

なんだって古さん?鬼?悪魔?残念ながら真の鬼はこれから戦う璃瑠さんです。

 

「こんなもんでいいですか?」

「どれどれ……、うん!いい感じだね」

サイドキックの1人に確認してもらい、OKをもらう。

「君、初めてにしては覚えが早いね!」

「……良かったら卒業してウチのサイドキックに来ないか?」

そう誘ってもらったが俺の答えは決まっている。

「ハッハッハッ……、ご冗談を。あの人の下につけるのはあなた方だけですよ」

「ハハハ……それもそうだよね。確かに」

「……だな」

どうやら璃瑠さんの下につくことの難しさは共通見解のようだ。ちなみにこのサイドキック2人は璃瑠さんのご学友らしい。璃瑠さんがヒーロー事務所を作ると聞いてサイドキックになったそうだ。

 

「璃瑠は昔から事務処理が苦手だったからね、2人で支えてやらないとと思ったんだよね」

「……ああ」

「2人とも苦労しているんですね」

事務処理をいっしょにしてて情が湧いたのか、つい心配の言葉を口にしてしまう。

「ハハハ……、まぁかわりにやりがいがあるから、それなりに楽しくやっているよ」

「……そうだな、楽しくやっている」

「そうですか。なら良かったです」

色々大変そうではあるが、本人が楽しいと言うならまあいいか。そこに俺が口出しする権利はない。

 

「おい鎖!ヒーロー活動するぞ!」

「急にどうしたんですか!?」

扉が勢いよく開き、音にビクッとしながら後ろを振り返ると、そこには璃瑠さんの姿があった。

「いやな?そういやお前にプロヒーローらしいところみせてなかったから、ヒーロー活動に連れて行こうと思ってだな?」

 

なるほど、つまり構ってやれなくて申し訳なく感じたと。

「いいですよ、行きましょう。ただやるなら夜にしてください。まだ書類が残っているので」

「あ……ああ、わかった。じゃあ夜にまた声かける」

ここ二日間ずっと座ってたから少し運動しておきたいしな。今日の夕方頃には書類が片付きそうだな。

「ところで2人はどうするんです?」

「葉隠達か?オレとしては最低限自分の身は自分で守れるようになってから行かせたいからなぁ、少なくとも今回は連れて行けねぇな」

2人とも戦闘系の個性じゃないから当然っちゃ当然か。プロヒーローに守られるヒーローなんていらないもんな。そう思いつつも、少し肩を落とした。

 

 

 

事務作業は少し長引き、7時頃に終わった。

現在、俺は【翼竜(プテラノドン)】に変化し、目的地に向かって全速力で向かっているところだ。

「璃瑠さん、なんで保須市(・・・)なんていう遠いところにしたんですか?近場で良かったじゃないですか?なんでわざわざ500キロも離れてところにしたんですか」

今は【翼竜(プテラノドン)】と【ジェット】の高速移動で進んでいるが、わざわざこんな遠出する必要はないだろう。個性の薬の無駄になるし。

「そりゃあヒーロー殺しがいる場所の方が面白いからだろうが」

「ヒーロー殺し?」

聞いたことあるようなないような単語に首を傾げる。

「さてはお前ニュース見てねぇな?」

「見ないですね。基本マスゴミに良い印象持ってないんで本能的にテレビは見ないようにしています」

「ハァ、気持ちはわからなくはないが、ニュースは見るべきだぞ?近隣の(ヴィラン)の情報だってのってるわけだしな」

「はぁ、そうなんですか」

その後、ヒーロー殺しについて教えてもらう。

とは言っても名前の通りヒーローを殺しまくってるってことしかわからなかったが。

 

だいたい1時間経っただろうか。無事に保須市に辿り着き、変身を解除する。

「ところでヒーロー活動って言っても何やるんですか?」

「ただ歩き回って(ヴィラン)が出たらぶっ飛ばすだけだぞ?」

「ええ……」

それで良いのかグラトエル。

と、思っていると、唐突に奥から爆発音が聞こえた。

「お、(ヴィラン)が出て来た見てぇだ。行くぞ鎖」

「そんな嬉々とした表情しないでくださいよ爆発の音で」

そう言うとグラトエルは走り出す。その後についていくよう走り出す。

 

(……?殺気?)

向かっている道中、視界の端の路地から殺気を感じる。俺に対してではない。ただ、死柄木と対峙したあの時と同じ感覚だ。

 

俺は助けられる範囲外は救おうと思えない。それはもう仕方なかったと考えてしまうからだ。助けられる命には限りがある。

「すみません!ちょっと抜けます!」

「ああ!?ちゃんと片付いたらこいよ!?」

 

だが救える命があるのなら、俺は迷わず助けに行く。

 

 

 

 

そこにはヒーローを襲う(ヴィラン)の姿があった。俺は暗器の毒針を投げる。

(ヴィラン)はそれを弾くが、その間に【空間転送】でヒーローを抱え、(ヴィラン)と距離を置く。

 

「大丈夫か……って飯田!?」

「誰かと思ったが薬錠君か…助けてくれてありがとう。……ソイツはヒーロー殺しの『ステイン』だ……気をつけろ…アイツに斬られたヒーローは動けなくなっている」

「了解」

飯田をそっと壁に寄り掛からせ、ステインと対峙する。

 

「どけ。俺はソイツを殺さなければならない」

「そうか。ところで聞きたいんだが、なんでヒーローを殺しているんだ?」

純粋な疑問からくる質問に対し、ステインは答える。

「ヒーローという称号は、自己犠牲の先に得る称号でなければならない……今のヒーローは、見返りの為に戦っている紛い物ばかりだ。だから俺は殺す」

 

……見返りを求めたらそれは正義とは言わない。そんな考え方を思い出す。

 

「まあ気持ちは分からんでもない。確かに見返りの為に誰かを救おうとするのは、……違うかもな」

確かに違和感を感じたこともある。金のために戦っているのか、名声のために戦っているのか、命のやりとりをするために戦っているのか。いずれにしても人を守るためではない。ヒーローとは人を守るためにあるべきなのに。

「ならそこをどけ。ソイツは復讐の心に取り憑かれた偽物だ」

「でもな、こうも思うんだ」

例えそれがどんな理由であろうとも、それが人を助けることにつながるなら、それで誰かの命が救えるのなら、それもまた正義なのではないか。

「やらない善よりやる偽善。口だけ言って行動しないより、行動することで命が救われるなら、後者の方に俺はなりたい」

「……」

「だから俺はアンタを倒す。アンタを倒すことで、救われる命が一つでもあるのなら」

 

ヒーロー殺しに指をさす。

「さぁ、お前の罪を、数えろ」

「……やれるものなら、やってみろ!」




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