個性【錠剤】で個性の薬をつくりながらヒーローになるアカデミア 作:黒鉄 玲
「期末テスト?もうそんな時期か」
『そうだよ!しかも後一週間しかないんだよ!?』
前期には中間テストと期末テストを行い、その結果で林間合宿が楽しい楽しい天国となるか、はたまた補習という名の地獄になるか分かれる。
「そうは言っても葉隠って別に頭悪くはないだろ?少なくとも補習にはならないだろ」
『いやいや中間テストと期末テストの範囲は比べものにならないよ!しかも演習試験もあるんだよ!?』
確かに中間と期末の違いは出てくる範囲の量だけではない。だが俺からすればそこまで騒ぐようなことでもないと感じる。だがまぁ実技試験に関しては少し心配ではある。まだどういったものかは知られていないが、おそらくは対人戦。対人戦は相手を殺すことはできないから火力の調節が本当に、本当に難しい。13号先生も言っていたが、本来『個性』は数mm先に進めば一瞬で死へと繋がってしまう、本当に恐ろしい能力だ。
「そんなに自信がないならいっしょに勉強でもするか?」
『え!?いいの?』
「葉隠が良いなら」
『やったー!!それじゃあ、いつにする?』
葉隠が明るい声で飛び跳ね、質問する。心なしか葉隠の後ろから犬の尻尾をブンブン振り回している光景が見える(幻覚)。
「別にいつでもいいぞ?なんなら今からでもやるか?」
『じゃあココ教えて!』
「ああ、そこははな──」
『そういえばさ、薬錠くんはなんでヒーロー科に入ったの?』
テストの内容の範囲が一通り終わり、応用の演習を解いている最中、急に聞いてきた。
「……なんでだろうな」
『え?』
「……俺はな、別にヒーローになりたかったわけじゃないんだ。ただ、人を助けたかっただけで──」
──────────
俺がまだ6歳の時。
いつだったか、俺の地元で
視野というものは、争いの中心よりもほんの少し遠いところからみる方がよく見えると、子供ながらに理解した。いや、理解
俺は心配になり、その子の元まで向かった。幸いヒーローと
少女が掴んでいたのは、
少女の顔はみるみるうちに青ざめ、ついには手をはなし、その場で嘔吐してしまった。
それを俺はただ見ているだけしか出来なかった。
別に俺が悪いわけじゃない。それはわかっている。悪いのは
ただ、幼い俺にとってその光景は、少女の声にならない悲鳴とセットで鮮烈に残った。今でも時々、夢で救えなかった命に対して後悔するくらいには。
──────────
「そんな経験があるから、俺は人を救う仕事をしたかった。ただ、それだけ」
少しの間、沈黙が続く。ですよねぇ〜、重いもんねー、話が。コスモウムの体重(999kg)ぐらい重いよねぇー。……流石にそれは言い過ぎか。
「ごめんな、暗い話して。あんまこういうのって」
『い、いや!?そんなことないよ!確かに最初は少し混乱しちゃったけど、私と比べてしっかりとあって良いと思うよ!私なんてテレビの前のヒーローに憧れて目指しているだけだし……』
「それは違うぞ」
葉隠は俺を気遣ってか、自分が目指した理由を下にするような発言をした。。だが俺は葉隠の発言をすぐさま否定する。
『え?それってどういう……』
「たとえそれがどんな理由だろうと、人を助けることに理由なんていらないし、あったとしても、助ける理由に優劣なんてない。救われる命に代わりはないからな」
『……あ、えと、ありがとう……///』
その透明な顔から表情は読み取れなかった。言ってて少し恥ずかしくなり、俺はこの場を後にした。
「んじゃ、俺は先帰るから。葉隠も早く帰れよ」
『う、うん。わかった!』
『と、透明でよかった……///』