個性【錠剤】で個性の薬をつくりながらヒーローになるアカデミア 作:黒鉄 玲
本当に申し訳ございません。
「ぜぇ……ぜぇ……オメェだけバスに乗ってたなんて、ずりぃぞ……」
「しょうがないだろ。降りる前に出ちゃったんだから」
「嘘つけ」
皆が頑張って来たときには昼を大きく過ぎており、全員がボロボロの姿になっていた。ちなみにその間なにをしていたかというと、なんてことはないプロヒーローとの戦闘訓練を軽く(1対3)やっていた。多分だが他の生徒よりかはキツい訓練だったと思う。
「とりあえず部屋に荷物運び入れてこいよ。俺は先やっといたけど」
「うん……、わかっ……た……」
やはりみんな大変だったのか、今にも倒れそうである。
「ちなみに六時から風呂だってよ」
『風呂!早く入りたい……!』
さ、伝えるべきものは伝えたから、俺は先に風呂入ってよ。先生には許可もらったし。
「あ゛あ゛〜〜〜、気持ちいい〜〜〜」
一人露天風呂。これほど気分の上がるものはない。誰もいないことの解放感が凄まじく気持ちいい。
ダメ元で頼んでみるものだな。ここなら、リラックスしながら集中して考えられる。
「俺の個性の弱点……」
今後、ヴィランと戦うことになるとき、重要になるのはどう弱点を克服するか。それを自己分析して対策しなければならない。
そして、俺の個性の弱点は、
1.個性の使うのに薬を使う工程が必要
2.元の個性の8割しか能力を使えない
2は最悪手数で攻めればどうにかなる。そもそもそれがこの個性のメリットだ。どっかの
何より最もネックな点が1である。いちいち個性を使う際に薬をキメてたら時間がもったいない。より高度な戦闘になってくるとそんなことをする時間もないし、そもそもさせてくれない。
「さて、どうしたもんかなぁー……」
「……!そうか、そういやお前はさきに入っていたのか」
「!あ、相澤先生」
声の方向に振り向くと、そこには相澤先生が立っていた。
「……ん?どうした?俺の顔に何かついてるか?」
「いやぁ、先生が風呂入ることに対して意外だなぁ……、と」
「……お前にとって俺のイメージってどんなだよ」
「寝袋で寝てる人ってなんか不潔そうじゃありません?風呂とかも入ってなさそうでしたし」
「しっかり入ってるぞ……二日に一回は」
「毎日入ってください。汚いです」
「……」
「……」
少しの間沈黙が流れる。俺は別に会話がSTOPしても全然平気なのだが、意外にもこの沈黙を壊したのは相澤先生だった。
「何か悩んでいることはないか?」
ザパァ
「………すげぇ、なんで分かったんすか?」
ドンピシャなタイミングで考えていたことを当てられ、驚いて立ち上がってしまう。
「珍しいな。お前は何かに悩むようなタイプじゃないだろう」
「大した悩みじゃないですけどね。個性のことで少し悩みがあって……」
「なるほど、聞かせてもらおう」
「……確かにそこは課題点だったな」
「ですよねー、こればっかりは先生みたいにサポートアイテムに頼ることができないですし」
「そうだな、その物質自体を変化させることは出来ないのか?」
「一応頑張ってはいるんですけどね、難しそうです」
先生にも聞いてみたがなかなか結論が出ず、だいぶ考えあぐねていた。
「……なあ、薬錠の持っている個性に古の個性はないのか?」
「ええと、確かあったと……。!」
そのとき、自分の体に電流の走った。そして最後のピースが嵌まったような、どっと疲れが抜けたような感覚に陥った。
「先生、ありがとうございます!おかげでこの問題、どうにかなりそうです。さっそく風呂出て準備しますね!」
「役に立ったなら何よりだ」
急いで風呂から上がる薬錠をみて相澤先生は、誰もいない露天風呂で静かに、そして僅かに微笑んだ。