お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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15:これがカジノ

 

 

「というわけでカジノです。」

 

「真面な選択と思った私が愚かだった……!」

 

 

というわけでやって参りました『ギルバーレ』。

 

当初同行者の彼女、チロさんにこの行く先を伝えた際は『確かにかなり大きい商業都市よね。良く商人の人が旗揚げするって聞くし……。うん、いい選択なんじゃないかしら! 王都とそこまで離れてないし、寄り道出来るわよ!』と絶賛してくれたのですが……。なんか今は両膝をついて蹲ってますね。

 

まぁ彼女の言う通り、新しく商売を始めるにも、その商売を始めるために必要な情報を集めるにも、この町は最適といっていいでしょう。唯一の欠点である治安の悪さもチロさんがいれば解決できますし、無難な選択です。

 

 

「でも無難な選択って時間が掛かってお昼寝の時間が削られるんですよね。つまりクソです死に晒せ。」

 

「この子ッ! この子頭おかしいッ!」

 

「まぁまぁ、そう怒らないでも……。あ、そこのおじさん、ニュース屋さんですよね? 今日の一枚ください。」

 

「あいよ! 200ゼニな!」

 

「ではチロさんのお財布から。ほうほう、あーなるほど。ただの競馬新聞ですねコレ。」

 

 

さっき勝手に懐からもらっておいた彼女のお財布からお支払いを済ませればあら不思議、この町独自の情報誌が手に入りました。近くにニュース屋のおじさんがいて手間が省けましたねー。

 

……にしても、正直今日の日付以外は興味が無かったのですが、マジで競馬新聞ですねコレ。職場の上司によくパシられて買いに行ったものとよく似ています。前世は欠片も興味が無かったので読み方は知りませんが……。幾つか『ゲーム』で見た覚えのある名前がちらほら。

 

ふむふむ、これならカジノだけじゃなくてレースもいけそうですね。カジノの帰りに町の郊外にあるレース場によってもいいかもしれません。ま、余裕があれば。

 

 

「よし、情報収集完了。これで勝てますね。あぁそうだチロさん。カジノの掛け金として100ゼニ貸してもらってもいいですか?」

 

「人の財布勝手に使ってる奴がいうなッ! ……さっきの新聞代含めて親御さんに請求するからね! 後これ以上は絶対貸さないからッ! わかったッ!?」

 

 

えぇ、勿論ですとも。というかすぐ返すのでご安心を。

 

じゃ、移動していきましょうねー。

 

そんなことを考えながら『ギルバーレ』の中を移動していきます。出入口近くにあった宿に牛と馬車を預けて一直線。着の身着のままでカジノに向かうわけですが……。これだけ聞くとギャンブル中毒の人みたいですねぇ。別にそれを否定するつもりも肯定するつもりもありませんが、ちょっとよく解らない世界ではあります。何せこういう賭け事は前世含めて初めてですから。

 

 

(にしても、村と比べるとすごく発展してます。)

 

 

まぁ寒村と呼べるかもしれないあの村と比べてくれるな、という感じかもしれませんがとても人の多い町です。

 

見える建物もすべてが2階建て以上ですし、その多くがレンガや石壁といった高級感あふれるものになっています。コンクリートジャングルを知る者からすれば古風な町にしか見えませんが、この世界の感覚で考えると都会としか言いようがない光景。治安があまりよく無いせいか若干アウトローな雰囲気も漂っており、好きな人からすればたまらない場所なのでしょう。

 

……人が多いせいか騒音も多いですねここ。これじゃあゆっくりお昼寝出来そうにありません。

 

クソ町です。滅びろ。

 

 

「それで? アンタの言う事だから何か理由あるのよね? 独り立ちする時に親から『絶対にギャンブルするな』って言われてる身からすると、近寄りたくもないんだけど。」

 

「まぁ確かに1対1の賭け事はともかく、カジノみたいな運営がいる場合は胴元が儲かるように出来てますからね。熱くなりやすくよく騙されそうなチロさんなら一瞬で身包み剥がされるでしょう。しかもここのカジノは裏の方々が資金源にしてるのでどう足掻いても+には成りませんし……、賢明ですね。」

 

「より近寄る気失せたんだけど。というかなんでそんなこと知ってるの? というかそれを知っていてなんでカジノに向かってるの? やっぱこの子頭おかしいんじゃ……。というか今私罵倒された?」

 

 

気のせいかと。ささ、立ち止まっていても何も始まりませんし移動しましょう。

 

今向かっているカジノは、この町におけるメインストーリー。原作に出てくる施設の一つです。先ほど挙げた裏の存在、解りやすく言えばマフィアのような存在たちが魔王軍側に寝返っているため、そこにお客として潜入し殴りこむみたいなお話が展開される感じですね。

 

といってもまだ魔王は出現していませんし、彼らは真っ当にマフィアしているだけ。単純に今回は、“賭博場”として利用しに行く形になります。

 

 

「っと、ここですね。……魔法の電飾でしょうか? キラキラしてます。」

 

「デンショク? まぁ派手なのは確かね。」

 

 

町の大通りを歩いて行けば、その突き当り。町の中央の一角に存在する『カジノ』に到着します。

 

大きな看板に豪華な飾り、町の雰囲気を壊さないようにしながらも一目で『賭博場だな』という建物が目の前に。怪しく眩しい光が欲望を誘引し、身なりの良い人から今日の飲み食いにも困りそうな人まで。色んな人がその中に入って行き、多くの方々がすかんぴんで帰っていく怪しい場所。

 

そして『無一文』という現実を受け止められず暴れる方には、出入口のみならず建物の中でも活躍する黒服。マフィアの方々が『ご対応』し『どこかに連れていって』くれる。うんうん、いかにも、ってやつですねぇ。

 

 

「じゃ、入りましょう。」

 

「……私もう本気で帰りたいんだけど、明らかにヤバいとこじゃない。ほ、ほんとに入るの?」

 

「えぇ勿論。ささ、他の人の邪魔になりますし。」

 

 

本来ならばこんな場所に子供が入ろうとすれば止められそうなものですが……、流石元締めがマフィアなカジノ。黒服さんも一瞥しただけですぐに視線をずらしてくれます。彼らからすればお金を落してくれれば相手が赤ん坊でも老人でも気にしないのでしょう。

 

そんなことを考えながらチロさんの手を引き中に入ってみれば……。

 

 

「わっ!」

 

 

彼女の驚きの声を打ち消す様な喧噪。ファンタジーな異世界には似合わないコインの舞い散る音や、幾つもの電子音。そしてアップテンポな声が聞こえてきます。まさにカジノ、って感じの場所ですねぇ。

 

ささ、もう日付は解ってます。あの『石の中にいる』バグが成立したのであれば、このカジノにおける“設定”のローテーションも同じなはず。今日この日に置いて一番コインを吐き出す台は……、あそこですね。うんうん、ちょうど空いてます。

 

 

「チロさん、あそこ行きましょう。あ、賭けるのは私だけですからね。貴女だと全部毟り取られますから近寄らないでください。」

 

「え、は! ちょ!?」

 

 

更に彼女の手を引き、誰かが先に座ってしまうよりも前に、スロットの前に陣取ります。

 

はいはい、さっきまでのリールがこれでしたら、日付から逆算して乱数を調整するには……。

 

 

 

24回の台パンと7回の蹴りですね。

 

 

 

しっかりと判定してもらうためにも、全力で行きましょう。とりゃ。

 

 

「え、ちょッ!? カーチェ!? 何してるのッ!?!?!?」

 

 

煩いですね、今筐体殴るので忙しいんです。それにどうせ私のATKじゃダメージ通らないから別にいいでしょうが。……え、マナー? 知りませんね。犬にでも食わせればどうです?

 

 

「よし、完了。後は100ゼニ硬貨を投入してスロットを引き、タイミングよくボタンを押せば……。」

 

 

 

 

77

 

777

 

 

 

“大当たり”

 

 

 

「はいお終い。対戦ありがとうございました。」

 

「は?????」

 

 

眼の前で起きていることが全く割らないというチロさんの声を打ち消すように、目の前の台から大量のコインが吐き出されていきます。うんうん、やっぱりこれでいいみたいですね。間違ってなくて安心しました。

 

 

「というわけで後はこれを12回ほど繰り返します。」

 

 

当たりを引いて乱数を初期値に戻されちゃいましたから、今度は200回ぐらい叩かないといけませんが、まぁ頑張るとしましょうか。

 

えいえいえいえいえいえいえい……

 

 

 





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