お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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これは乱数というのです。



16:イカサマじゃないですよ

 

 

「工事完了……!」

 

「?????」

 

 

というわけで12連続で大当たりを引きました。100ゼニ硬貨が掛け金で、最大倍率が100倍なので現在の所持金は12万ゼニという所でしょう。まぁ大体ゼニ=円なので12万円ぐらいのプラスですね。うーん、スロッターとして食べていきましょうか? このクソ煩いカジノという空間ははっきり言って嫌いですけど実入りは良いですよね、

 

 

「え、なに、は? へ? ……とりあえず色々おかしいってことだけは解る!!!」

 

「乱数調整ですね、はい。」

 

 

このようなスロット、正確には『天アバ』というゲームの中に存在するミニゲームでは幾つかのランダム要素が存在しています。私達がレベルアップする時にどの項目が上がるか、ってのもその一つですね。ですがこのランダム要素、ゲーム内に存在するプログラムによって算出されている数値なので、その仕組みさえ分かってしまえばいくらでも自由な数値を引き寄せることが出来るのです。

 

まぁレベリング時に諸兄諸姉が利用していた『一度セーブし電源を切り再起動することで乱数を一旦確定させ、全項目がアップする方法』は『この世界の電源ってどう切るの、あとセーブってどうするの?』という問題にぶち当たる上に『乱数の算出にゲーム起動からの時間経過の数値が必要なんだけど……、いつ起動しました?』という問題があるので使用できませんが……。

 

このカジノにおいては時間経過による乱数が使用されていないので幾らでも悪用出来るんですよね。

 

まぁ早い話、このカジノに於いて私は“必ず勝てる”のです。

 

 

「まぁいくら計算式解っていてもそれを求め出すの滅茶苦茶面倒で大変なので二度としたくないですけどね。ということでこの12万ゼニをカジノ内で使えるチップに変換します。1枚1万ゼニですね。ほら行きますよチロさん。」

 

「あ、うん。……ランスウチョウセイ? スキルか何かかしら。となると任せた方がいいのよ……、ね?」

 

「えぇ、その通りです。」

 

 

ということで色々不安そうにしているチロさんに台車をとって来てもらい、山盛りの硬貨を乗せ近場のカウンターへ。明らかに胸元にナイフを仕込んでいる受付のお兄さんに交換をお願いします。

 

一瞬幼女が遊んでいるので驚いたようですが、流石のプロ。すぐに人を呼び枚数を数え終え、12枚の黒いチップをご用意して頂きました。……一瞬ですがカウンターの裏側にある何かを押しましたし、ちょっと目を付けられたと考えていいんでしょう。

 

乱数に組み込みます。

 

……というか結構ガンガン叩いてたんですが、何で何も言われないんでしょうね? 十中八九、私達がぼろ負けして素寒貧になった時『さっき筐体叩いてたせいで壊れちゃったから、追加でお金払えや』とか言って若い女なのを良いことに奴隷にでもするつもりなんでしょうが……、まぁ不可能なので気にしないでおきます。勝ちたかったら線形合同法を履修してから来てください。

 

まぁ私だって機械片手に昔やっていたのを再現しているのに近いので、完全人力で使いこなして来たらビビるのですが……。なんてことを考えていると、チップを見つめながら若干震えているチロさんが目に入ります。

 

 

「こ、これ1枚で1万ゼニ……。」

 

「はい、そうですね。ではそれをもっと増やすために次はポーカーに行きましょう。イカサマ上等で確実にディーラーが毟り取りに来るので、こちらも乱数で対応します。というわけでスロットからカウンターまでに27歩、距離的にポーカーの席まで81歩あるので、差額1397歩分壁に向かって歩きます。」

 

「な、何してるのアンタ!?」

 

「調整です。」

 

 

はい、歩き終わりましたのでポーカーが遊べるテーブル。その第8テーブルのディーラーの右から3番目に着席します。すると案の定『資金に余裕がある』残り5人が選出されましたので、途中までのミスがないことが確認できました。

 

 

「ほう? その年でポーカーかい? ルールは解るのかね?」

 

「えぇ、テキサスホールデムなら問題ありません。」

 

「そうかそうか、ではともに楽しむとしよう。」

 

 

ちなみに私の隣に座り話しかけて来たおじ様は普通にディーラーとグルでそのお袖に沢山のカードを仕込んでいますし、ディーラーはディーラーで山札の2番目を配る『セカンドディール』、実は一切シャッフルしていない『フォールスカット』を使用してきますが、乱数で破壊できるので見つけても指摘しないようにします。

 

なおディーラーが『マークドデック』と呼ばれるトランプ、所謂裏側に印を付けて解るようにしたカードを使い始めた際は乱数が乱れますので、それを指摘し席から立つことでもう一度調整し直す必要があります。

 

 

(ということでチロさん、全てこのように対処可能なので勝負が終わるまで口を開かないでください。邪魔です。というか動き回られたりすると邪魔なので私を膝に乗せてじっとしておいてください。)

 

(あ、はい。)

 

 

さて、今回遊ぶテキサスホールデムというポーカーは場に5枚、手札に2枚というルールで遊ぶポーカーになっております。段々と公開されていく場のカードと自分の手札で役を完成させ、勝負していく感じですね。

 

 

「では、人数が集まりましたので始めさせて頂きます。」

 

 

ディーラーが話始めカードを配り始めたのを眺めながら、今回の“工程”について再確認を行いましょう。

 

今回の資金稼ぎは、4度目のゲームですべてが決まるものとなっております。乱数さえ合わせれば再現性があるのでチロさんでも簡単に出来るはずです。お金に困ったらやってみてもいいかもしれません。

 

 

(まず最初のゲームですが、比較的強めのカードが流れてきます。♡9♢9の初手ワンペアです。)

 

(あ、ほんとだ。すご。)

 

 

配られた手札を一緒に確認しながら、周囲を伺います。

 

実はこのカードですが、ディーラーとお隣のおじ様が『カモに出来るかの様子見』として配って来るものです。そのしるしとして、私達の位置からは解りませんが彼の手札は♢と♠のクイーンでしょう。ペアとしてはあちらの方が強いので勝負を仕掛けると負けます。

 

なので様子見をしながら、最低掛け金である黒のチップ1枚をディーラーにプレゼントし、早々に勝負から降ります。ちなみにここで“敢えて”自身の手札、9のペアを見せつけることで隣のおじ様だけでなく、周囲のお金持ちたちからの警戒度も引き上げることが出来るので、やっておきましょう。

 

 

(け、警戒させていいの……?)

 

(勿論。ペアで来てる時点でかなり良い手札なのに早々に勝負から降りたということは、『負けることを確信していた』と周囲に伝えることが出来ます。つまり誰かがイカサマをしていることを伝え、ディーラーへの警戒度が上がるという寸法です。)

 

 

つまり彼は今後大きな動きが出来なくなってきます。具体的に言うと『仲間のおじ様に渡すカード』を弄ることは出来ても、『場に出すカードや各個人に配る手札』を弄ることが出来なくなります。まぁこの辺りのことはあんまり私もよく解っていないので詳しく知りたい場合は解説動画でも見てください。

 

 

(か、カイセツ? アンタ色んな言葉知ってるのね……。)

 

(単に対応する言葉がまだこちらにないだけです。さ、こんな感じで第四ゲームまで適度に遊んでいきましょう。)

 

 

ということで12枚、さっき1枚失ったので11枚しかないチップを上手く操りながら勝負していきます。なお私以外のお金持ちさんたちは黒5枚分の紫チップ、10枚分の黄色チップ、50枚分のオレンジチップなどもっているためコール、掛け金のつり上げを限界までやられると勝負の土俵にすら乗れないようになるので、『乱数を調整して大きな勝負が起きない』ようにしましょう。

 

 

(んで、勝負の第4ゲームです。残りチップは6枚。ここが勝負どころです。)

 

(て、手札は……。♠のエースと10!?)

 

(はい、♠のロイヤルストレートフラッシュです。)

 

 

ロイヤルストレートフラッシュと言えばポーカーで一番強い役。そろった瞬間、完全なる勝者になることが出来ます。

 

ちなみにですが、実はこの勝負。全員の手札がエグイことになってまして……。

 

 

帽子のおじさん ♣のキングと♡のクイーン

イカサマおじ様 ♡と♢のエース

私&チロさん  ♠のエースと10

頭部光沢のハゲ ♡と♢の10

メガネのおば様 ♢と♣のクイーン

身なりの良い男 ♣のエースとジャック

 

 

になっています。場にも♠のキング、クイーン、ジャックがそろっており、残りのカードも♣の10と♢のキングという色々と頭のおかしい状態になっておりますので、全員がかなり強い役を揃えることが出来ます。というもしこれが記録に残れば伝説の試合として語り継がれるようなものになっているので、この勝負が荒れることは確定していると言っていいでしょう。まぁ乱数なので再現可能なのですが。

 

そして、ここで『最大効率』を求める時に必要なのが……。

 

 

「オールインで。」

 

「!」

 

「……へぇ」

 

「ふむ」

 

「なるほど」

 

「そうきたか……」

 

 

自身の全てを勝負に賭けるという宣言。

 

小さい笑みと共にそう唱えれば、全員がこちらに興味深そうな視線を送って下さります。私を膝に乗せてるチロさんが勝利を確信してしまい、漏れ出る笑みを隠し切れてないのが色々と残念ですがこの場ではそれが正しいのです。

 

ここにいる彼らは全員、資金力に余裕のある方々です。そう調整したのもありますが……、ここでお金を失うよりも熱くヒリヒリとした勝負をしたい方々が集まっています。

 

つまり、皆さん乗ってくださるんですよね。

 

しかもみなさん手札が相当強いのでかなり自信を持って掛け金を上げていってくださいます。本来自身の持ち金では対応できなかったであろう額まで伸びてくれるのでありがたさしかありませんね。まぁその大半を私のお昼寝、残りのあまりを世界平和の為に使いますので彼らも鼻が高いというものでしょう。

 

あぁちなみにいくら乱数を調整しても第1~3ゲームでのプレイング次第では、ここでイカサマおじ様以外降りちゃうので気を付ける必要がありますのでご注意を。

 

 

「コール。」

 

「レイズだ、引き上げさせてもらおう。」

 

「奇遇ね、私も。」

 

 

あまりにも笑みを隠せないチロさんの口に手拭いを突っ込んでその表情を叩き直していれば、どんどんを引き上げられていく掛け金。そして場のカードが公開されればされるほどに、全員が勝利を確信し始めます。いつの間にか皆さん自分の持っていたチップ全てを場に出すようになり……。

 

全員が覚悟を決めた瞬間、その時がやってきます。

 

 

「では、ショーダウンを。」

 

 

「キングとクイーンのフルハウスだ」

「エースから10のストレート」

「……10とキングのフルハウス」

「クイーンとキングのフルハウスね」

「エースから10のストレート、……俺とアンタの引き分けかい?」

 

 

「おっと失礼。残念ながら私の一人勝ちです、ロイヤルストレートフラッシュ。」

 

 

はい、ということで今回場に出されたチップ、合計826万ゼニは私のものになります。

 

対戦ありがとうございました。

 

 

「あ、それと初回のゲームですがディーラーと隣のおじ様がイカサマしてましたのでしょっ引いてください。袖にカード入ってますからすぐに解りますよ。」

 

 





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