お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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43:チロさん苦難の日

 

「……なに、その『ますたーおもち』って名前の奴は。全然聞いたことないんだけど。」

 

「え、知りません、おもち系。確実に命を刈り取って来る凶悪モンスターにして、レベリング廃人御用達なみんな大好きおもち系ですよ? 知らないんです?」

 

「し、知らないわよそんなの!」

 

 

おかしいですね。一応王都近辺にも『おもち』という弱めのおもち系が出現していたはずなのですが……、あったことないんでしょうか? いくら出現率が低めとはいえ、チロさんお得意の火属性魔法が弱点になる敵です。倒せば倒すほど強くなるのですから、チロさんなら嬉々として狩り尽くしてるのかと思っていたのですが。

 

 

「嬉々として人とか魔物狩るのはアンタくらいでしょ。……というか虚空、だっけ? あそこ通ったせいで気分最悪だから休ませてほしいんだけど。」

 

「別にいいですけど、ここ安地じゃないのでボーっとしてたら死にますよ? ほらあそこ。」

 

「……何あの国滅ぼせそうなバケモノ。」

 

 

あ、あれですか? アイツは『爆裂ドラゴン』ですね。

 

爆破系の攻撃を使って近中距離で戦ってくるかなり強めの魔物です。ワンモーションで爆発してくるかなり厄介な敵ですし、相性次第では3桁ダメージを毎ターン喰らうことになるヤバい奴です。多分アンデッドに成っちゃった王女単身だったらワンパンで吹き飛ばされちゃうんじゃないですかね……。

 

でもまぁ全体的に考えれば、雑魚な方ですよ?

 

 

「どこが!?」

 

「ささ、そんなことは置いておいて移動しますよ~。」

 

 

チロさんの叫びを無視しながら、テクテクとダンジョンの中を歩いて行きます。

 

この『魔獄の要塞』は経験値モンスターである『ますたーおもち』が出てくることから、レベリングの聖地となっているような場所です。まぁチロさんからすればバケモノしかいない恐怖の空間でしょうが、私からすれば実家の庭みたいなもの。どのタイミングで敵モブが動くか、周回ルートはどうなのか、ポップ位置はどこかまで全て把握しているのです。気儘にテクテクできますねぇ。

 

 

「あ、もしかしてチロさんが『おもち系』知らないの。出会った奴が全員死んでるから、かもしれませんね。」

 

「……え?」

 

「いやアイツら、かなりの速度で口に餅を放り込んでくるんですよ。基本的に喰らったら即死なので、ある程度準備を整えてからじゃないと、経験値にするつもりが逆に経験値にされてしまうってのはよくある話なんです。いやー、懐かしいですねぇ。私も初見は良く死んだものです。」

 

「良く死んだものです!?!?!?」

 

「あ、現実じゃなくてゲームですからね? 本の物語的な奴。」

 

「???????????????????」」

 

 

あ、また背中に宇宙背負い始めましたね。うーむ、もしかするとチロさんには早すぎる話だったかもしれません。王女のソフィあたりに話しておけば『成程、つまり主様は真に神だったのですね!』とか言って爆速理解してくれそうなんですけど、彼女にはまだ難しいのかも。

 

……いや王女の場合、私言ったこと全部真実だからって基準で納得する奴か。

 

 

「まぁいいです。っと、チロさんチロさん。つきましたよ?」

 

「え、あ、うん。……ってただの通路じゃない。そのおもちとかいう魔物もいないみたいだけど。」

 

「そりゃ通路ですからね、ここじゃPOPしないように設定されています。というわけで……。一緒に回りましょう。」

 

「……ま、回る?」

 

「そ、厳選です。」

 

 

実はこの通路、ちょうどマップ切り替え位置に当たる場所なんです。

 

つまりこの通路の中央、切り替え点を行き来する、もしくはグルグルと回り続ければ……。POPする魔物がどんどん入れ替わってくれるんですよね。ゲームシステム的に、マップ切り替えと共に魔物が出現するので、これを繰り返すことで戦いたい魔物を厳選することが出来るんですよ。

 

ほら通路の先から魔物が何体か見えるでしょう? そこに真っ白に輝く『ますたーおもち』がいればそこに突撃して撃破、んでまたこの地点に戻ってグルグル回りながら魔物を探すわけです。ほら通路の先から見渡せるでしょ? 視認性もいいから効率がいいんです。便利

 

 

「結構出現確率低いので、たまに数分回り続けることもあるのですが……。あ、いたいた。あの白いのがますたーおもちです。」

 

「うわめっちゃ光り輝いてる。」

 

「というわけで他の魔物と接敵すると面倒なので、ボブバイクを取り出しまして、搭乗。後はアレに向かって突撃して帰って来るだけです。というわけではい、この武器と装備。使ってくださいね。」

 

「ふぇ?」

 

 

確実に自分がやると考えていなかったであろうチロさんをバイクに乗せ、王墓で手に入れたとある武器を手渡します。

 

お渡ししたのは、『シャルロットナイフ』と『必中の指輪』に成ります。武器の方は小ぶりで弱そうなナイフに成りますが、かの暗殺の天使と呼ばれた方のお名前を冠しているように、『即死』の効果が付与されているものに成ります。つまり当たれば死ぬ、ってやつですね。ただかなり小ぶりでリーチも少なく、命中率が下がるという欠点があるのですが……。それを『必中の指輪』で補ってる感じです。

 

魔王とかの即死耐性を持っているボスには効かない武器ですが、かなり有用なので当初数億払って王都辺りで作ってもらおうかと思ってた奴ですね~。でも王墓になんか落ちてたので貰ってきちゃいました。

 

 

「まぁなんか王様っぽい遺体の頭に突き刺さっていたので、本当に暗殺に使われた暗器な気がしますが……。まぁ有用なのには変わりないので使ってやってください。そっちの方が武器も嬉しいでしょうし。」

 

「は!? な、なんてもの持たせてるのよ!!!」

 

「まぁまぁ、掠ったら相手死ぬんですから。上手く使ってくださいな。あ、それと。チロさんの為に、特別に楽しいお友達を呼んでるのでご紹介しておきますね。」

 

 

というわけでアイテム欄から死体を取り出し、構築するのは新しいアンデッドたち。

 

こんな日が来ることに備え用意した、ボブバイクに跨るその者たちは……!

 

 

「6本の腕が特徴的なボブアシュラ君、なんか他の人の筋肉張り付けてたらクソ強くなったマッスルボブ君、ボブバイクを軽量化して速度を上げれないかと試した結果、なんか出来上がったスケルトンボブライダー君です。はい皆さんお返事。」

 

「ギャ」「ギャッスル」「カタカタ」

 

「この愉快なボブーズにチロさんの護衛をしてもらいます。ここ危険ですからね。ヤバかったらこいつら盾にしてこの通路に逃げ込んでください。マップ切り替えで魔物消えますから。あ、もし護衛が全滅したらコイツで連絡してくださいね。生首なボブを改造したボブフォンです。これに話しかけたら私が飛んできますので、幾らでも使ってください。あ、投げたら爆発するので注意ですよ?」

 

「……は??? え、いや、飛んでくるってもしかして!」

 

「あ、はい。私“は”行きません。だって自動経験値おじさんありますし、チロさんアレ嫌なんでしょ? だったらこれが次に最高率なので、ご紹介しただけです。あ、『とりあえず今回は』1体だけです。それですぐにレベルカンストすると思うので、頑張ってくださいね。ほら行って殺して帰って来るだけですよ!」

 

「ちょ!? ま、待てカー」

 

「ボブバイク、発進!」

 

 

彼女が何か言うよりも先に、ボブバイクたちに発進を指示。泣き叫ぶチロさんを乗せながらますたーおもちに突っ込んでいくその雄姿を見送ります。

 

……うん、ちょっと罪悪感。可哀想。

 

いやだってチロさんのことだから、イヤイヤ言って絶対レベリングしてくれないんですもん。だったらもう強制させて頑張ってもらうしかないんです。あ、あと。実は『ますたーおもち』って聖属性っていう死霊術師とかのカルマ低めな相手に対して大ダメージを与える攻撃方法も持っているので、私と相性滅茶苦茶悪いんですよね……。あそこに置いてきたボブは魔改造しているので効果抜群になることはないでしょうが、私がミスるとほんとに死ぬので……。

 

はい。

 

ま、ボブバイクには即死攻撃を確実に避けられるよう叩き込んでますし。もしチロさんがやられそうになればボブーズが肉盾に成るよう指示してるので大丈夫でしょ。

 

 

「さ、私も『経験値おじさん』の改良を考えないとですねぇ。自動化したおかげでもうレベル上がってますが、『魔王』が来るまではアレで頑張らなきゃなんです。やはり効率化はもっとしたいですよねぇ。」

 

 

 

 

 

途轍もなくがんばったチロさん。

 

[STATUS]

Name : チロ

JOB : 魔法使い

Level : 13→20(MAX)

EXP : 580 / 580

 

HP : 4 / 21 (+3)

MP : 31 / 31 (+4)

 

ATK : 7 (+1)

DEF : 8 (+0)

M.ATK : 18 (+3)

M.DEF : 11 (+2)

SPD : 10 (+0)

LUK : 0 (-3)

 

次は転職だよ!

 

 

 




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