お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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60:歓喜のガッツポーズ

 

 

「へぇ。つまりその『神社』ってのは人知れずバグ修正をし続けていた勢力なんですねぇ。」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。よ、ようやく何とか修正できたのじゃ。小娘! 茶!」

 

「ふふ、こんな婆を小娘扱いするのはモミジ様くらいですね。すぐにお持ちします。」

 

 

とまぁ悲鳴を上げながら御札を虚空にばら撒き、何かバグを修正していた彼女を眺めた後。これ以上虚空にいる必要はないかということで地上に戻って来た感じになります。まぁ正確に言えば、息も絶え絶えで死にそうだったので地上に戻してあげただけなのですが……。

 

あのお婆ちゃんを小娘扱いし、それをお婆ちゃんが受け入れていることからも、このお狐は結構な高齢のご様子です。見た目だけ見れば私と同レベルなのですが……。あ、確かにちょっと毛並みが荒れ始めていますね。十中八九過労によるストレスでしょうが、もしかすると加齢によるものかもしれません。うぅ、もし死んじゃった時はお墓に彼岸花捧げてあげますね……!

 

 

「過労に決まっておるじゃろうが!!! あと縁起悪い!」

 

「じゃあいなり寿司を備えましょうか。」

 

「あぁそれなら好物じゃし、大丈夫……。ってまだ死なんわ! 妖狐としてはまだ若い方なのじゃ!」

 

 

へー、そうなんですねぇと適当に言葉を返しながら、彼女の情報を集めていきます。

 

眼の前でバグを量産したりと、思いっきり敵対行為をしてみたのですが……。相手としては怒りこそすれ、いきなりこちらを攻撃して来ることは無し。現在も文句やツッコミを入れながらもある程度友好的に会話しているため、敵対というよりも『単に私の行為を注意しに来た』という感じのようです。

 

にしても、妖狐ですか。本当に知らない存在ですねぇ。ということはやはりこの耳やしっぽも実物……。うわ本物だ。熱を帯びてるし、すごく肉感があります。弾力もほどよくあって、手遊びの代わりにもみもみするのにちょうどよい固さ……。

 

 

「さ、触るの辞めるのじゃ!?」

 

「まぁまぁそう言わず。……ほお、尻尾も本物ですね。しかもよく手入れされている。」

 

「ほぎゃぁ!?」

 

 

疲労で動けないことを良いことに、どんどんと見分させて頂きます。

 

何せこの異世界でも、獣人というものは存在しません。いや正確に言えば、ゲームには登場しませんでした。あの天使のテーちゃんみたいな例外というか、バケモノみたいな存在はいれど、基本的な種族は人間だけ。後は話の通じない魔物ばっかりです、そんなところに弄り回しても反撃してこないモフモフがそこにいれば……、撫でまわしたくもなるというもの。

 

 

「あ、でも寄生虫のワクチンとか打ってないですよね貴女。ノミとかついてそうだし、丸洗いしなきゃ。あとでお風呂いきましょうねー?」

 

「風呂位毎日入ってるわド阿呆!? な、なんて失礼な童なのじゃ……。って、あ! そこ、そこ触るのやめぇい!」

 

「なるほど、ここ触られるのがいいんですねー。」

 

「あっあっあっ」

 

 

そんな鳴き声を聞きながら、このままどうやってバグを修正しているのか聞き出そうとしたところ。お茶を用意して来たらしいお婆ちゃんが帰ってきます。まぁちょっと見た目がアレなので、作業は一時中断。彼女が用意してくれていたらしい座布団の位置まで帰還します。

 

まぁこのロリ狐、モミジという存在は普通に善性の人間ぽいですし、彼女の言う蝕虫。バグのことについても説明してくれることでしょう。茶でも飲ませてチルさせたから、聞かせて貰いましょうか。

 

 

「ふ、ふぅ。ようやく解放されたのじゃ。それと小娘、茶ありがとの。」

 

「いえいえ、構いませんとも。」

 

「して……、なにから話そうか。まずじゃが、蝕虫、そちがバグと言った存在のことは理解してるのかの?」

 

 

えぇ、勿論です。

 

世界の理に反する存在であり、増えすぎるとこの世界そのものが崩壊するヤバい奴ですよね。

 

 

「な、なんでそれ分かっててさっき使ったのじゃ……? と、とにかく。儂ら巫女はそのバグ、蝕虫を修正して元に戻す仕事をしておったのじゃ。しかしな? ここ最近エグイ量で増えてきての……。」

 

「大変ですねぇ。」

 

「もうヤバいのじゃ。特に西の方。別の国で発生した虫が多くてのぉ。なんとか札で耐えれるからいいものの、2月ぐらい下で作業しておった。しかも魔物の親玉と人間と墓石が融合した奴がおって、どれだけ頑張っても修正できんでな……。あんな不憫なの初めて見たのじゃ。悪い事したせいか、ずっと処刑され続けておったし。かといって巫女が表で起きてることに干渉してはならんからな……。」

 

「あ、それ作ったの私です。いいでしょう?」

 

「……は??? え、アレ、お主が?」

 

「えぇ。」

 

 

いいでしょう? 経験値魔王おじさんです。爆速でレベルが上がるので、どんどん強く成れるんです。あ、ちょうどいまレベル上がりましたね。これも全て延々と死に続けてくれているあの二人のおかげです。……あ、そうだ。お狐様もとい、モミジもやってみますか? 爆速でレベル上がりますよ?

 

 

「…………こやつ封印した方がいいんじゃ?」

 

「あ、辞めておいた方が賢明ですよ。普通にハード破壊バグの起こし方は把握しているので、殺されたり封印されるぐらいなら諸共吹き飛ばします。抵抗はカーチェちゃんの権利です。」

 

「む、無敵の人なのじゃ……。」

 

 

いやだってそうでしょ。確かに今の両親への恩とかそう言うのはありますが、世界が私を殺しに来るなら世界を殺しますし、封印するならし返します。どうしようもない状況に成れば、諸共全部破壊するのもやぶさかではありません。というか思いつくだけでクラッシュ出来るバグが残っている方が問題だと思うのですが。

 

 

「いや儂ら直し方しか知らないから……。というかお主、なんでそんなこと知ってるんじゃ? 色々と刺激が強い故、我ら巫女でも口伝で数えるほどしか知らぬというのに。明らかに蝕虫について知り過ぎじゃろ。」

 

「あー。別に説明してもいいですけど、それで一人壊れかけましたので辞めておいた方がいいかと。」

 

「な、何を言ったんじゃお主!?」

 

「まぁ別に壊れてもいいのなら話しますけど、一応経験者から話を……、チロさん?」

 

 

そう言いながら彼女、チロさんの方に視線を向けてみれば……。

 

何故か静かに涙を流しながら、滅茶苦茶いい笑顔する彼女が。しかも視線はこのお狐、モミジに向けていますし、マジで意味が解りません。かといって虚空に初めて叩き込んだ時のように、錯乱している様子でもありません。

 

一瞬この人狐好きだったりしたのかな、と思いましたが、眼の奥を見てみれば明らかに違う奴です。

 

敢えて言葉にするならば……、歓喜?

 

 

「よ、ようやく。ようやく解放されるのね。コイツの、クソカーチェの玩具にされる奴が増えて、ようやく、ようやく私の負担が減る! これほど嬉しいことはない……っ!!!」

 

「何の話じゃ!?」

 

「あー、確かにすごく反応良くていいですし、ジョブもどうせ巫女ですよね。後方支援タイプですけど回復も出来るので……、うんうん。ちょうどいいかも。私がバグ引き起こしても直してもらえますし、ちょうどいいですねー。良かったですねチロさん、仲間が増えますよ。」

 

「ほんとに何の話じゃ!?」

 

 

 





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