お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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61:拉致

 

 

「というわけでカーチェちゃんの目的なのですが……」

 

「きゅ、急じゃの。まぁ知っておきたかった故、問題はないが。」

 

 

とまぁ結構飲み込みの早いモミジちゃんに、お話を展開していきます。

 

チロさんにも説明した、このままじゃ魔王が全世界の魔物を増殖させてヤバい。んでその魔王を作ったのは邪神でコイツ倒さないとヤバい。そして最後に邪神よりも強くてもっと直接的に世界を終わらせに来る辺境伯が一番ヤバい、ってお話です。

 

無論辺境伯を討伐しなければならない理由、無限増殖からのクラッシュについてもご説明しておきます。

 

 

「……は? え、は? ひ、人が無限に増えるのかの? そ、その。際限なく?」

 

「はい。ありません。より正確に言うならば今私達がいる表の世界、私が虚空という裏の世界。そして世界の外の3つで指数関数的に増殖するので、起動すれば最後です。辺境伯に埋め尽くされて終わります。」

 

「じょ、冗談だったり……?」

 

「ここで嘘をつく意味があるとでも?」

 

 

そう言った瞬間、頭を抱えて『ぬぎゃぁぁああ!』と騒ぎ出す彼女。

 

里長の奥さん。既にかなりお年を召しているお婆ちゃんを小娘扱いしていることから、結構な年齢であることは推察できるのですが……。暴れ出す姿だけ見れば、ただのロリっ子です。

 

まぁ可愛くてよいとは思うのですが、似たようなやり取りを先ほど虚空で行いました。どんなネタも繰り返せば新規性が落ちて面白くなくなりますし、そもそも私は煩いのが大嫌いなタチです。彼女の“巫女という立場”に免じて今回は許してあげますが、次回からはお口に濡らした真綿を詰めることにしましょう。そしたら絶対に静かになりますし。

 

 

「殺す気かお主!? いくら妖狐でも呼吸できずに死ぬのじゃ!!!」

 

「はえー。あぁそう言えばなんですけど、辺境伯のバグも直せたりしませんか? もしくは修正パッチとかそういうので。もしそれが可能でしたら邪神の対処だけで済むんですけど。」

 

「む、無理なのじゃ! いくら巫女と言えど、蝕虫そのものを何とかすることは出来んのじゃ! せめて世界が崩壊せぬよう、空間の歪みを慣らすぐらいしか……。あと『しゅーせーぱっち』ってなんじゃ?」

 

 

ふーん、つまり役立たずってことですね。なるほど。

 

おそらくですが、このお狐が持つ能力としては、バグの蓄積によってゲームがクラッシュするのを防ぐ、という程度のものでしかないのでしょう。バグという存在が大地を割り、それを続けると大地そのものがボロボロに崩れ去ってしまう。彼女達はそれを防ぐため割れた個所を何かで埋め、世界が崩れないようにする。

 

分かりやすくまとめるとすれば、おそらくこんな感じ。

 

……ゲームのスクリプトとか呼び出せでもしたら、大分楽になったんですけどねぇ。

 

 

「まぁでも。バグ技の使い過ぎで世界に負担をかけているのはこちらも把握していました。一応壊れる限界は前世で確認しておりましたので一応数は数えていたのですが……。」

 

「え、前世? いや壊れる限界!? 何言ってるんじゃお主!? この世界壊したことある!?!?!?」

 

「はい、数えきれないぐらいには。」

 

 

私がここまでバグに精通しているのは、実際に使って遊んでいたのが理由に成ります。

 

まぁバグというのは使い過ぎれば壊れる者、何度も再起動し、何度もインストールし直したからこそ、今の私がいるのです。言ってしまえば世界を何度も破壊した大量殺人鬼かもしれませんが、どうせデータの話です。

 

再インストールして戻してやってるのですから、感謝以外受け入れません。ま、今の自身にそんなこと出来ないので、大事にバグらせていたわけですが。

 

 

「なので部分的にはなるでしょうが、モミジちゃんよりも沢山知ってますよ。」

 

「え、じゃあ今の世界は何じゃ!? どうなっておるのじゃ!? え、もしかして全部夢!?!?!?」

 

「んー。どうなんでしょうね? もしかしたら全部夢なのかもしれません。……1回滅ぼしてみます? 世界。」

 

「やめいっ!!!」

 

 

クラッシュにも使えるボブの頭を出してみれば、半ば絶叫しながらそれを奪い取るモミジちゃん。そして自分が奪い取ったものが生首だと解り、再度絶叫する彼女。あはー、面白いですねほんと。最近チロさんの反応が薄くなって来たのですごく助かります。

 

でもまぁ、チロさんの悲鳴もたまには聞きたいので……。

 

 

「焼き溶かすわよカーチェ。どうせろくでもない事考えてたんでしょ。」

 

「こうなっちゃいましたからねぇ。」

 

 

私の企みを看破したのでしょう、すぐにツッコミが飛んできます。

 

私は放置するだけ強くなるため、既にチロさんよりも大分強くなっているのですが……。それでも彼女の放つ『獄炎』はかなりの脅威です。既に何回か溶かされかけていることを考えると、マジで消される可能性もあるでしょう。

 

まぁ溶かされた程度なら復活できますし、何かあった時の為にバグ蘇生できるよう準備を整えているので真に死ぬことはないのでしょうが……。流石に私も熱くて痛いのは嫌ですからね。今のところは見逃してあげるとしましょう。

 

 

「というわけでモミジちゃん。」

 

「ほわ、ほわッ! 首、生首! ぎゃぁぁ!!!」

 

「……ボブ程度でそんな驚くもんですかね?」

 

「よくあるもんなのにねぇ……、うん?」

 

「あ、あの。お二人方? 十分驚くものだと思うのですが……。」

 

 

未だに自分の手に生首、ボブが乗っていたことに怖がっているモミジちゃん。

 

一時期死体をいじくり回っていたのでもう慣れた私からすれば何を驚いているのかという話なのですが……。普通の人間ならば、そうなるのも仕方ないことでしょう。ちなみにチロさんは若干私に汚染されているので“異常”に気が付くのに遅れましたが、お婆ちゃんの指摘でようやく思い直しています。

 

 

「まぁいいや。じゃあお婆ちゃん。ちょっとこのお狐連れて遠出してきますので留守お願いします。あ、晩御飯はこっちで食べるので3人分お願いします。」

 

「畏まりました、お気をつけて。」

 

「どうも。んじゃ……、レベリングしに行きましょうか。モミジちゃん。」

 

「ほんぎゃぁぁぁぁぁ!!! ……はえ?」

 

 

即座にモミジちゃんの首根っこを掴み、虚空へ。

 

同時に出してあった分身が、チロさんの後ろからそのお口へとおはぎを投擲。気が緩んでいる内に彼女も虚空へと叩き込みます。

 

そして我らを待っていたのは、ボブバイクを連結してより強化した、 『ボブカー』。なんと四人乗りでタイヤ替わりの生首が別々に動く四輪駆動の最新モデルです。この前別荘でお昼寝してる時に思いつき、作ってみたやつです。ボブの中でも特段に頭の良い奴をハンドルに埋め込んだので、自動運転も出来る優れものですよ?

 

 

「どうせ経験値おじさんは拒否されると思うので……。マスターおもちにまたお世話に成りに行きましょう。んじゃしゅっぱーつ!」

 

「ギャギャカー!」

 

「ほ、ほわぁ!?!? ちぬ! ちぬのじゃ! 生身で飛び込んだら死ぬのじゃ! せ、精神防御の札! どこ! どこぉぉぉ!!!!!」

 

「ッ!? ……ッ! ッ……(おはぎ喉に詰まって死にかけてるチロ)」

 

 





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