お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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62:お前もレベリングするんだよッ!

 

「は、というわけで帰って来ましたあの通路。チロさんが地獄を体験したマスターおもちの狩場ですねぇ。」

 

「……。」

 

「あ、あの。童? この赤髪の者、死んでおらんか?」

 

 

ん? どうしたんですモミジちゃん。そんなバケモノを見る様な眼をして。チロさんがそんな簡単に死ぬわけ……。あ、死んではませんが死にかけてはいますね。普通に喉におもちが詰まってHPがレッドゾーンです。

 

流石に死なれたら困るので、勢いよく自身の手を彼女の口の中にシュート。詰まっているオモチを引き抜き、気道を確保します。あぁついでに回復薬も頭からぶっかけておきましょうか。するとすぐに、まるで黄泉から戻って来たかのような大きな呼吸をし始めるチロさん。んもう、大げさなんだから。

 

 

「お、大げさにすることじゃろ……。」

 

「体の半分くらいこの人に焼き溶かされたことありますから、誤差みたいなもんです。」

 

「な、なんなんじゃこいつら……!? の前にッ! なんじゃこの冒涜を冒涜したかのような車は!」

 

 

あぁボブカーのことですか。凄いでしょう?

 

確かに耐久性や速度を維持するため車体のフレームどころか各座席まで人の死体で作られていますが、乗り心地は最上ですし、ボブバイクよりも速度が出る上に自動運転です。作ってる最中に着拒したはずの王女から『そんなもの御創りに成らずとも、私が御身をお運びしますぅぅ!!!』とかいう意味不明なメッセージが送られてきましたが、これに勝る車はないでしょう。

 

あ、後。これはバグじゃないです。

 

 

「は????? ……あ、ほんとじゃ。全く蝕虫関係しとらん。え、ということは自力でコレつくりおったのか、お主。と、というかここどこじゃ!? もう解らん事ばっかりで収拾が付かんのじゃ!!!」

 

 

あら、では最初からご説明させて頂きますね。

 

現在我々は魔王を討伐し経験値おじさんにした状態なのですが、未だ邪神と辺境伯が残っている形となっています。私は時間経過で勝手に強くなるため、後は寝て待つだけで両方の命を狙える強さに成るのですが……。お二人は別です。

 

経験値おじさんを拒否するならば、次に効率の良い「マスターおもち」を為さなければなりません。まぁ単にレベリングだけするつもりで連れて来たわけではないのですが……、この狩場に連れて来たのは、対邪神・対辺境伯を目指した強化、ってわけですね。

 

 

「な、なるほどのぉ……。で、なんで儂連れてこられたのじゃ?」

 

「え? だってやるんでしょう? 辺境伯討伐。」

 

「な、なんの話じゃ!?!?!?」

 

 

うん……? あぁそういえば本人の了承を得ていませんでしたね。

 

私は依然、自身のお昼寝とゴロゴロねむねむし続ける余生の為に行動しています。つまり世界を破滅させたり破壊したりする邪神や辺境伯の存在を許すことは出来ないのです。そのためこいつらを殺しに行くのですが……、流石に一人では難しい相手が彼ら。そのため仲間を集めている、というのはご理解できると思います。

 

 

「う、うむ? まぁ確かに人の身で神を倒そうなど単身で出来る気がせぬわな。」

 

「あ、邪神は一人で行けます。問題は辺境伯ですね。」

 

「は???」

 

 

んでその辺境伯を倒すために私が欲していたのは、攻撃を受け止める前衛役と、パーティの補助や回復をしてくれる後衛です。そこに完全ではないとはいえバグを無力化できるお狐様が出て来たとなれば……、仲間にしたいところでしょう?

 

どうせ職業も、支援特化型ながら回復も出来る『巫女』でしょうし。貴女のお役目的にも、世界を滅ぼしかねない辺境伯の存在は無視できないハズです。つまり私達の目的は一致するわけです。協力する以外の選択肢はないでしょう。というわけで協力しなさいモミジ。じゃないとこの世界を私が滅ぼします。

 

 

「物騒ッ! あとそれほんとに出来そうで怖すぎるのじゃ。……まぁ確かに世界の崩壊を食い止めるのが巫女の役目じゃし、お主を放置しているといつか本当に壊されそうじゃから、見張りを合わせ協力するのはやぶさかではないが……。」

 

「それは良かった! ではこちらに着替えてください。」

 

「…………なんじゃ、その、なに???」

 

 

おっと失礼しました。こちらは先日チロさんに着せてレベリングを行ったアンデッドスーツ、その改良版になっています。

 

以前のものは着用者は3m近いアンデッドの化け物に飲み込まれているような姿でありながら、全自動でマスターオモチを排除し続ける夢のような全自動経験値マシーンだったのですが、部品の損耗などが激しく、起動時間に限界があるという欠点を抱えていました。

 

そのため今回からは新技術、前回お見せしたボブⅡで実戦投入された動力パイプ、流体パルスシステムを利用した新型アンデッドスーツとなっております。サイズも2m弱まで下がり、着用時に感じる『腐肉が全身に張り付いたような感覚』も『生肉が全身に張り付いた感覚』にまで落とすことが出来ました。

 

 

「これさえ切れば寝ているだけで誰でも最強! 経験値おじさんには劣りますが、かなりの効率を誇ります。無論チロさんの分もご用意していますので、2人で楽しんでレベリングしてくださいね!」

 

「あ、あの……。拒否権はあるのかの?」

 

「「「あはー、面白いこといいますね」」」

 

 

後ろに下がりこの場から逃げようとするお狐でしたが、そんなものこちらも把握済み。

 

レベリングしなければ死ぬのはそっちです。こちらもチロさんやモミジちゃんの命を預かる以上、死なないようにするのが雇用主の役目というものでしょう。逃げようとするのならば、その前に逃げ道を潰すのみ。この場所に到達した時点で印は結び終わっており、数えきれないほどの分身がこの場に隠れています。

 

なにか事故が起きそうになった場合は、分身の私が身を挺して止めに入るので……。安心安全で強くなれますよ!

 

 

「あ、そうそう。チロさんのアンデッドスーツには特殊加工を施してまして、既にHPが0の状態で固定しています。つまり幾ら燃やそうともそのスーツは動き続けるので……。呼吸できないふりして逃げようとするのはやめておいた方が賢明ですよ?」

 

「ギク」

 

 

地面に蹲る振りをしながら、静かに匍匐前進で逃げようとしていたチロさんを、分身の私が制止させ、抱え上げます。故郷の村を出発する頃にはちょっとだけ私の方が力が強い感じでしたが……。このカーチェちゃんは毎秒成長するのです。既に分身であろうと、彼女の身体をパワーで押しとどめることはたやすいのです。

 

ということで二人にスーツを無理矢理着せまして……。

 

 

「それではレベリング、頑張ってきてくださーい!」

 

 

「ほんぎゃぁぁぁあああああ!!!!!」

 

「死ねクソカーチェぇぇぇえええええ!!!!!!」

 

 

 

 

[STATUS]

Name : モミジ

JOB : 巫女

Level : 50 (1→50 MAX・1周目)

EXP : 26 / 9941

 

HP : 33 / 33 (+4)

MP : 52 / 52 (+11)

 

ATK : 15 (+2)

DEF : 28 (+3)

M.ATK : 13 (+13)

M.DEF : 31 (+6)

SPD : 9 (+2)

LUK : -4 (-36)

 

SKILL :巫術

   星占術

   デバッグ(初級)

 

 

[STATUS]

Name : チロ

JOB : 魔法使い

Level : 20 (1→20 MAX・2周目)

EXP : 886 / 203343

 

HP : 46 / 46 (+4)

MP : 90 / 90 (+11)

 

ATK : 28 (+2)

DEF : 36 (+3)

M.ATK : 72 (+13)

M.DEF : 63 (+6)

SPD : 25 (+2)

LUK : 0 (+2-2=0)

 

SKILL :魔法

   範囲魔法

   上級魔法

   獄炎

 

 





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関わったものを不運にする女、カーチェ……!
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