お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~   作:サイリウム(夕宙リウム)

69 / 75
69:邪神より邪悪

 

「主様! お許しください主様ァァァアアアアア!!!!!」

 

「正気に戻れたと思えば、童に泣きつく少女。何じゃこれは。もしかして儂、頭がおかしくなってしまったのか?」

 

「モミジちゃんは正常ですよ、私が保証します。」

 

「あぁ、うむ……。反応してやったらどうじゃ?」

 

「やです。」

 

「あぁぁぁああああアアアアア!!!!!!!!」

 

 

なんか足元で泣き喚いているのがいますが、無視します。

 

あ、ちなみに勝手に自死されると困るのでそちらは既に禁止済み。それ以外にも色々禁止事項を設定したせいか、王女からすれば泣き喚きながら謝る以外の選択肢が取れない状態になっているそうです。おもしろ……、くはないですね。役割があるので殺しはしませんが、万死に値します。

 

 

「ご゙べ゙ん゙な゙ざい゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙!!!!!」

 

「カーチェ~、ご両親寝かしてきた……、って凄い顔。というかその体、涙出るのね。生命というか、人体の神秘ね……。あ、それとモミジ。そこの馬鹿のお守りありがと。」

 

「のじゃ。」

 

 

そんなやり取りをしていると、戻ってくるチロさん。

 

一番最初に逃げ出した裏切り者ではありますが、その鮮やかな引き際は美しさを覚えるほど。というかそこのよく解らない死体が泣きながら詫びるのを聞いて、戻ってきてくれた人でもあります。真っ先に気絶しちゃった私の両親を家に連れていって安静にしてくださいましたし、その感謝をこめて今回は見逃してあげることにしました。

 

 

「愚゙民゙、あ゙な゙だがら゙も゙何゙が言゙っ゙でぇ゙!!!!!」

 

「あ~。カーチェ? 村人さんも護衛さんもどうしたらいいか解らないみたいだし、許してあげれば?」

 

「イヤです。あぁでも村の皆さんはご迷惑おかけし申し訳ない。もう結構ですので、普段の仕事に戻ってもらって大丈夫です。護衛の人は……、物資はご用意しますので、村の広場あたりに陣取って頂ければ。ついでに“コレ”が殺した方はギリギリ死ななかった事に出来ましたので、持って帰ってください。」

 

 

そう言いながら、血溜まりから人に戻った護衛の一人を指差します。死亡直後だったので、何とかバグによる蘇生が間に合った感じですね。ただ死んだ記憶などは残っちゃってるみたいで、復活した瞬間に気絶しちゃいました。正直助ける必要性はない様に思えたのですが、ここで護衛の人たちと敵対するのはよろしくありませんからね。サービスです。

 

あ、それと今回使用したバグは放置するとマズイので、モミジさんには修正をお願いします。

 

 

「う、うむ……。」

 

「お゙許゙じぐだ゙ざぃ゙!!!!!」

 

「の、のぅ童? 気絶しておった故、詳しい話は分からぬがこう謝っておるしな? 許してやっても……。」

 

「は???」

 

「……う、うむ! 仕事頑張るのじゃ!」

 

 

あぁそういえばモミジさん。かなりレベリングを頑張って下さりましたが、その後調子はいかがでしょう? あ、イイ感じ。それはようございました。

 

此方としてもいくら必要とは言え、気に病んでいたのです。無事短時間で復活して頂き、なおかつ調子が良いのであればこちらもありがというというもの。それに、邪神をこちらの想定以上にしばいて貰いましたからステータスもかなり良い感じになっています。まだちょっとたりない気もしますが……。辺境伯と戦うことになっても、即死することはないでしょう。

 

ちなみに、こんな感じになります。

 

 

 

[STATUS]

Name : モミジ

JOB : 浄階

Level : 68 (2周目)

EXP : 77253 / 203343

 

HP : 64 / 64 (+31)

MP : 99 / 99 (+47)

 

ATK : 34 (+19)

DEF : 50 (+22)

M.ATK : 49 (+36)

M.DEF : 75 (+44)

SPD : 36 (+27)

LUK :-12 (-8)

 

SKILL :巫術

   星占術

   神前の舞

   祝詞

   デバック・中級(ランクアップ)

 

 

 

ちなみに浄階というのは、巫女系の最上級職となっております。

 

何故か可哀想なことに幸運値がマイナスに落下し続けていますが……。MP含めとてもよい能力になっています。本音を言えば全てカンスト、99まで伸ばしてもらいたかったものですが……。まぁあまり望み過ぎるのもよくありませんからね。邪神を倒してしまった以上、辺境伯を相手にするのは正直いつでもいい感じになっています。

 

奴の増殖タイミングだと考えられる原作開始時期、約10年後にまで倒せればいいわけですから……。うん、かなり余裕があるといえるでしょう。

 

 

「なるほど。そういう感じなのじゃな。……しかし相手は人なのじゃろう? あまり時間を与え過ぎれば、成長してしまうのではないか?」

 

「仰る通りです。なので私達全員の準備はこのまま継続して行い、完全に整った段階で仕留めるつもりです。そのために斥候を大量に放ってますしね。」

 

「斥候、かの?」

 

 

えぇ。しかし忍者さんたちは無関係の案件です。

 

確かに自身は忍者の里の長という立場を得ましたが、里の忍者を対辺境伯に使うには、少々コストが高すぎます。モミジさんのおかげで虚空移動をしやすくなり、里から忍者をこちらに連れていくことは可能でしょうが……。彼らは人。一度死ねばそれまでの存在です。

 

そして彼らが持つ忍者としてのスキルも、私のような戦闘力特化の者でなく、間者などに必要とされるもの。私の手の及ばない場合で死なれた時、再度同じレベルの忍者を用意するまでのコストが大きすぎるのです。戦えないわけではないのですが、辺境伯戦に付いて来れる者などいませんからね。仕方ありません。

 

 

「あー、確かにあの里の人たち。アンタと違って真っ当な諜報員って感じだったわね。教育や訓練で磨かれるスキルだろうし、そもそも文化の違うこの国で間者やらせるのは難しいか。」

 

「おぉ確かに。チロ殿のいう通り……。む? 既に斥候を放っておるのじゃよな? じゃあ代わりに何を?」

 

「無論ボブです。」

 

 

これまで何度かご説明してきましたが、実は私と今泣き喚いている不明物体とは『創造者と被創造物』のラインが存在しています。それを強く意識する必要がありますが、携帯電話のように念話を使用したり、簡単なメッセージを送ることが出来るものとなっています。

 

基本的にうるさいので着信拒否しているのですが、定期的に指令を与え熟してもらっていたのは事実。

 

そしてそんな指令の中に……『王国北部にある大霊園からの盗掘』というものがございました。早い話、ボブの素材の安定供給を行おうとしたのです。

 

 

「いくら盗賊がPOPするこの世界でも、いずれ限界が来ますからね。村の外にある墓地で入手できるのにも限りがありますし、既に管理するものや血縁者のいない遺体であればまぁいいかと。」

 

「よくないのじゃがッ!? ほ、仏様じゃぞ!!!」

 

「モミジさんの為に説明しておきますと、こっちは土葬がメインなので死体そのまま残ってる感じになっています。ついでにその霊園で結構同業者がいたそうで、全部討伐してボブにしてますのでご安心を。」

 

「何処に安心する要素があるのじゃ!?!?」

 

 

まぁ私はお昼寝で忙しかったので、死体の吟味回収輸送などは全て私の足元にいる煩いのに任せていました。まぁ仕事だけはしっかりと熟す愚物でしたので、既に稼働していた工場。『ベルトボブコンベア』によって各種ボブシリーズの量産が可能になったんですよね。

 

 

「あとはボブバイクに調査専門のボブを乗せることで虚空に放流。辺境伯領の周辺をずっと虚空から監視できるような体制を生み出したわけです。まぁ正式に回り始めたのはつい最近ですので、管轄を行っていた愚か者からそろそろ報告を受けようかと思っていたのですが……。」

 

「お゙役゙に゙、お゙役゙に゙立゙ぢま゙ずがら゙ぁ゙!!!」

 

「……カーチェ、王女に仕事任せ過ぎじゃない?」

 

「ほぼ一人でやっておる感じみたいじゃしのぉ。許してやれ、な? んで礼を言うのじゃ。あと蝕虫の対処してる儂にも礼がほしいかの?」

 

 

えぇ、無論モミジちゃんだけでなく、チロさんにも感謝してますよ? いつも本当にありがとうございます。少々気恥ずかしいのは確かですが、必要ならば何度でも言いましょう。

 

しかし……、私の全てともいえるお昼寝。この村に於いて出来るはずだった『村娘としてのお昼寝』を完膚なきまでに破壊したこいつは別です。ほら見てくださいよ村人たちから私に注がれる目線。明らかにヤバい奴を見る目じゃないですか。全くの他人であればダメージなどありませんが、幼いころから互いを知っている村の人たちですよ? この状態の人たちの前でお昼寝しても気持ちいい筈がありません。

 

解ります? お昼寝というのは単に寝るだけの行為ではないのです。環境を整え、周囲にある障害を排除し、ゆっくりと起き上がる睡魔に身を任せるからこそ最高なのです。それを破壊したやつを許せるわけがありません。あと両親になんて説明すればいいかマジでわからないので非常に困ってます。はい。

 

 

「……最後のが8割くらいじゃないの?」

 

「鋭いですねチロさん。正解です。」

 

「で゙じだら゙ぁ゙、わ゙だじ!!! わ゙だじが゙ぁ゙!!!!!」

 

「あ、そう? じゃあお願いします王女……。いえ、ソフィ?」

 

「あ゙り゙が゙どゔご゙ざ゙い゙ま゙ず!!!!!!!!」

 

 

 

 

(モミジ。アレがカーチェよ。多分途中から許してたし、両親への説明を王女にやらせるためだけに無視してた可能性が高いわ。そもそもアイツ、村の人間からそういう目で見られてもいつか慣れるだろうし、途中で本人もそれに気が付いて方針を変えたに違いないわ。邪神よりも邪悪な人の形をした悪魔よ。)

 

(な、なるほどのぉ。)

 

(王女も基本カーチェのイエスマンになっちゃってるというか、アイツが復活させたアンデッドみたいな存在だから注意ね。丸め込まれないよう自分の意思をしっかり持って、言い返す時ははっきりやりなさい。)

 

(為になるのじゃ……!)

 

 

 

 

……二人とも、何話してるんです?

 

 

「「別に何もー?」」

 






チロさんはもっと強くなってます。王女様も強化しますね♡


いつも誤字報告ありがとうございます。
感想評価お気に入り登録よろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。