任務だから敵対しているけれど、協力した方が良いとも考える 作:アマルガム1-0-21
デュプリの名前や今後登場するであろうオリジナル技は、私が好きなゲームや小説から持ってくると思います。
前回までの試合内容は今後加筆するかもしれません。
ーセントラルロビー
ムゲン牢獄行きが決定したことを自分の部下たちには連絡し終えたので、後は向かうだけですね。…おや、あそこにいるのはベータですか。しかし、彼女が誰かを待つときは面倒ごとを持ってくるときだけですから話しかけたくは無いのですが、同時に話しかけなかった場合はそれをネタに絡んでくるタイプですからね。
「ベータ、ここで誰か待っているのですか。」
「あら、誰を待っていたと思いますか?」
ベータの顔は笑っているのに、雰囲気は怒っているようにも感じる。…あるいは、そう見せているだけなのか。私の経験上だとその全てであるとも思える。
「…待っているではなく、待っていたですか。ならば、私を待っていたと考えるのが自然ですかね。して、何のようですか?」
ベータは小悪魔と呼ばれた存在のように笑っている。その笑みを見ていると背筋に汗が伝うような感覚に陥る。
「フフ、正解です♪要件ですか、それは…テメェがムゲン牢獄行きになってることについてだよ。せっかくアルファがクビになったらこき使ってやろうと思ってたのによ。」
ベータの要望はかなり自分勝手のようでいて、少しの心配が入っているようでした。…今思えば、ベータは使えるものは何でも使うタイプでしたね。あらかじめアルファが離脱した後の動きの予定などを立てていたところで私が作戦から外れて予想外だったという感じかもしれません。……私のうぬぼれでなければ、姉貴分として少しは心配してくれていると思ってしまいます。まぁ、私をかわいがっていたのはベータの隣にいたオルカだったんですけども。
「それは失礼しました。しかし、ベータの依頼は少し失敗するような内容にしてくるから嫌なんですよね。この時期に離脱できてよかったです。」
「…テメェ、本人を前にして言うことかよ。」
ベータは呆れて、穏やかな声に戻って「かわいくないですね~」などと言ってきます。いや、ベータに対して下手に出ていると、本当に尻に敷かれることになってしまいますからね。しかし、男達からはそれなりに人気らしく、進んでベータの手足になろうとするやつもいると聞くぐらいです。ドリムなんかがその典型的な例だと女子会の席で聞きました。
「まあいいでしょう。デルタがいないところで問題はありません。一番重要なのはあなたから見た松風天馬たちについてです。どうでした?」
「…松風天馬は共鳴現象の影響も受けていたとはいえ化身アームドを行えていました。ならば、早い段階で習得に至る可能性が高いでしょう。そして、一人が成功すれば他の化身使いたちも同様に。」
「…予測ですか…まぁ、コツが分かる人がいるとそんなに難しいものではないですからね。でも、最大で5人が化身アームドを扱えるようになったところで、私がひねり潰しちゃいます♪」
「できるでしょうね、あなたなら。今の雷門の実力ならば何の問題もないでしょう。しかし、雷門の成長は指数関数的です。遊んでいる余裕はないかもしれませんよ。」
「それでも私に負けるから続けられないものですよ。どうしようかな~♪やっぱり、場所と仲間を失っていけば物理的にできなくなる?逆転の可能性は?フフ、楽しみですね~♪」
やはりベータの下では働きたくないですね。天性のサディストですよベータは。それに、おそらくですがベータのチームにはエイナムたちが残されるでしょう。そして、「失敗したあなたたちを優しい私が庇ってあげました。だから従ってくださいね、拒否権はありませんよ。」などと言うに決まっています。ここは離れるが吉というやつですね。
「ではベータ、アルファの次に頑張ってください。おそらく、アルファでは勝てなくなるほどに強くなっているでしょう。割とすぐに出番がきますよ。」
「あら、あなたもアルファに懐いていた一人だと思っていたのですが、すぐに負けると断言するなんてエイナムが聞いていたら怒りますよ。」
「…客観的事実として、相手を痛めつけるようなプレイをしていても、アルファのサッカーはきれいな部分が多い。そして、メンバーもアルファを慕っているが故に、攻めの中心がアルファに固まりすぎてしまう。ならば試合という形式を取る以上、雷門に負けてしまうと考えるのが自然です。」
ベータは不満そうに私の話を聞いていました。そして、大きくため息をつくと、「アルファをリーダーとしての憧れにしているからですかね。」などとつぶやきました。
「アルファみたいなロボットが増えるの嫌なんですけど。というか、割と勘違いされてますけどアルファって公私をしっかり分けるタイプなので、私の嫌みにはそれなりに返してきますよ。」
「?…私も返しているつもりですが?」
「はぁ…、あなたのは客観的な情報から返す言葉でしょう。…自分を出すのがそんなに怖いですか?」
「…えぇ、自分の能力を出してしまったが故に捨てられた子供達。その一人が私です。こうなった人間の思考は大きく分けて二つ、自身を押し殺すか、自身を押しつけるかです。そして、押しつけた自身を人々を守るために使おうと決意したのがベータたちであり、同じ境遇の者たちだけを守るためだけに使おうとしているのがフェーダなのでしょう。…多くは感化されてどちらかに属するようになりましたが、私はどちらも選べない臆病者です。傷つけることも、傷つけられることも怖いと思う、だから心を殺しているつもりとなって、発現に自分の感情ができるだけ入っていないようにしている。」
「…確実にサッカーは消します。別に嫌いではなかったんですけどね~。泣きたくても泣けないような妹分ができてしまう原因はなくすのが姉貴分の仕事ですからね。」
そう言うベータの瞳は、今日一番の優しさを秘めているようでした。しかし、すぐにイタズラ好き特有の目となり、めんどくさい雰囲気を纏いはじめました。これは、話題がない場合は空気に差がとてつもなく出ると言われる恋バナのような雰囲気といいましょうか。返答次第で絶対にめんどくさくなります。
「あら、そんなに身構えなくても問題ないのに。ただ、松風天馬たちの評価をあなたの主観で聞きたいだけなのに…、それで…どんな感じでした?」
「…どんな感じとは?」
「いや、私たちの周りにはいないタイプの人間だったでしょう?だからどんな感じだったか気になりましてね。」
「私は…松風天馬がよく分かりませんでした。感受性がとても高く、サッカーが泣いていると言ってきて、…自由な風のように爽やかでその言葉は否定し辛い。…みんなが好きなサッカーの化身、その言葉が当てはまるような存在でした。」
「…一応好感触なんですかね?よく分からないと言ったくせに、サッカーの化身と評するなんて…嫉妬しちゃいます。」
「…ベータ、新しいおもちゃを見つけたような顔をして言っても説得力がありませんよ。まぁ、彼らがそう簡単に折れるとは思いませんがね。」
「…うーん、私よりも信頼している感じがして嫌ですね。いや本当に。…化身アームドの後に強くなるための方法として考えられるものはあったかしら?」
ベータの疑問に対する答えは、現状誰も持ち得ていないでしょう。しかし、過去の雷門中が同じような状況で行った行動、現状で勝てないのならば各地からメンバーを集めるというものが考えられるのではないでしょうか。故に私は、「現状で考えられる最強のメンバーを集めるのではないですか?彼らのライバルたちに見張りを付けるべきかと。」と言い、ムゲン牢獄へと向かったのでした。
ームゲン牢獄ー
ムゲン牢獄に着いた私を出迎えたのは、私のカウンセリングを行っていた職員でした。予想外の人物が案内人であったことに少し動揺している。
「お久しぶりです。…会うのは、5年ほど前のカウンセリングとリハビリ以来ですかね?」
「はい、お久しぶりです。エリン…いえ、今はデルタでしたね。また会うことになるとは、ほんの少しだけ思っていましたがね。恐らく、能力不足と感じるような事態が訪れるのではないかと。」
「そうですね。しかし、何故こちらに?ムゲン牢獄の関係者ではないと思っていたのですが。」
そう言うと、後ろに控えていた職員の人たちは驚いているような、呆れているような表情をし、誰に説明責任があったかを目線でやりとりしています。しかし、カウンセリングを担当していた方は当然のように受け取っていました。
「あぁ、言っていませんでしたね。実はこのムゲン牢獄は改築されたものでして、デルタがリハビリを受けていた施設が旧ムゲン牢獄だったんですよ。何せ、デュプリに過剰にエネルギーを供給することで身体能力を下げていたデルタが、デュプリを消滅させるまで追い込まれる環境が当時必要でしたのでね。しかし、しばらくすると最高難易度でも物足りなくなったのか、デュプリに鎮圧用ゴム弾を打たせるなどして難易度を上げたりするものですから、さらなる難易度を追加していき今のムゲン牢獄となったのです。」
「その言われ方だと私の能力がとてつもなく高いみたいに聞こえますね。他にクリアした人はいないんですか?」
「いますよ。デルタがエルドラドへ向かったときに、ムゲン牢獄の難易度の確認として、ほぼ同世代だったアルファたちにも受けてもらった結果、トップレベルの能力ならば問題なくクリアできてしまうことが判明したため改築が決定しました。…他にも、S級犯罪者であるザナークもクリアして、現在のムゲン牢獄最高難易度のクリアまであと一歩というところです。まぁ…あなた達プロトコル・オメガのメンバーが利用することを考えて、ザナークには200kgの重りを付けて一つ下の難易度の部屋に下がってもらいますよ。」
そう言うカウンセリングの職員はとても不安そうな顔をしています。これは私たちを心配してではないのでしょう。ザナークは200kgの重りでもわずかにしか行動を制御できないと考えているようです。しかし、200kgの重りでも問題なく行動できるとするならば、人間をやめていると判断できてしまいそうです。
そこまで考えていると職員は咳払いをし、これから行う訓練の内容の説明をはじめました。しかし、手始めに120mシャトルランを50回からスタートするとは思ってもいませんでした。その後は冷静さを持つための訓練と称して旧式の爆弾解体をさせられるなど、再教育センターとは何かを考えなくてはならないような訓練メニューをこなしていきました。
数日経つとアルファとジーニー、ネタン、クオルが送られてきました。やはりアルファでは勝てなかったのですね。
「負けてしまいましたね、アルファ。」
「…デルタか、…そうだな、私の率いるプロトコル・オメガは敗北した。…フッ、負けるというのはとても悔しいものだったな。仲間内で行う練習ではあまり実感したことがなかったからか、感情の処理が追いついていないようだ。1分時間をくれ。」
アルファは、口では悔しいと言いながら、とてもすがすがしい顔をしている。…一説によると、化身はサッカーへの思いの強さも発動条件らしいので、自分の手でサッカーが消えていないことを喜んでいるとも取れてしまう。まぁ、それを表に出さない男がアルファなのですがね。
「そろそろ1分ですが、大丈夫ですか?」
「…Yes、これから我々4名はお前と同じように訓練に入る。訓練の内容については聞いているから問題ない。…デルタ、訓練に入る前にサッカーをしないか?我々4名とデュプリを含めたお前たち4名によるサッカーバトルだ。」
「…してもいいですが、アルファがお願いとは珍しいですね。そちらの4名だとキーパーがいませんが?」
「自覚はある。だが、今の実力を理解したいという思いと、相手のシュートを蹴り返すことができなかった自分こそが敗因なのではないかという思いがある。故に、こちらはキーパーは負傷しているという設定で勝負を開始したい。…そちらは好きにしてくれてもいい。」
「…分かりました。では、シーグリッド、ゲルロッド、ユリウス、出てきなさい。…この三人で勝負しましょう。ルールはどうしますか?」
「ハーフタイムの15分で、どちらが多く点を取れるかでいいだろうか。」
「では、そのように。…作戦を相談する時間を取りましょう。10分後にもう一度ここに集合しましょう。」
「Yes。…感謝する。」
こうして、ベータ率いるプロトコル・オメガ2.0が雷門と戦う少し前に、アルファとデルタの勝負が始まろうとしていた。
ベータは書くのが難しい。ザナークも書くのが難しい。本当なら、訓練内容にあった爆弾解体で、思いっきり投げ飛ばして、ビーム出して「安全に処理したぜ」みたいなのを出して見たかったけれど、脱獄してから3.0に向かう直前に情報を手に入れていると思っているので出せませんでした。
次回は、アルファとの勝負から、覇者の聖典が奪取されるぐらいまでですかね。このあたりでようやくタイトルの回収になるかと思います。
フランス編後、デルタはどう動くか。(2026年5月末締切)
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天馬たち雷門に同行(GO3剣城枠)
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エルドラドに帰還(ザナークの側で監視)
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武者修行(対戦:チームV)
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雷門の監視(お茶を飲むだけ)