転生しても必ずしも人生は良い方向に進まない件   作:筋肉ムキムキのマッチョマン

4 / 4
200年間ヴェルドラと一緒と言ったな、あれは嘘だ。
後、先生はアップグレードしない限り大賢者みたいなことはできません。ただ、知識を授けたり助言をしたりするだけです。


健気な子って良いよね…

 ヴェルドラと百年ぐらい過ごしたある日、ヴェルドラが唐突に聞いてきた。

 

 「なぁ…我と其方が一緒に過ごしてもう百年は経つ、其方、そろそろ洞窟の外に出たいのではないか?もう其方は外でも十分な強者に分類される。我も鬼ではない。其方が外に出たいのなら、出ても良いのだぞ?」

 

 確かに、もう外に出ても身を守れるぐらいにはスキルを磨いた自信はある。しかし、私がここに残る理由はそうではない。

 

 「ヴェルドラよ、お前は私がいなくなったら寂しくはないのか?」

 

 ヴェルドラは言葉を詰まらせた。

 元々、私がこの洞窟に居座っているのはヴェルドラに寂しい思いをさせないためだ。ヴェルドラが寂しいと言うならば、私はこの洞窟から離れる訳にはいかない。

 

 「確かに、我は其方がいなくなったら寂しくて泣いてしまうかもしれない…。だが、それ以上に其方に窮屈な思いはしてほしくないのだ。ヤマトよ、お前も本当は外に出たいのではないか?我がどうこうよりも自分はどうなのだ?」

 

 「…外に出たくないと言えば嘘になる。しかし…」

 

 「心配するでない!我は暴風竜ヴェルドラ様だぞ!暇つぶしの遊びなぞ、全て心得てるわ!」

 

 「そうだな。…ヴェルドラ、長い間世話になった。また機会があったらここに訪れる」

 

 ヴェルドラにここまで言われてしまっては、受け入れるしか選択肢はないであろう。

 

 「クァーッハッハッハ!また、会える時を期待しておるぞ、ヤマト」

 

 こうして、私とヴェルドラの長い間の生活は終わりを迎えた。百年間、今思えば、途方もない時間だ。しかし、短い時間のようにも感じれた。それほどまでにヴェルドラとの時間は、楽しいものだった。まぁ…一生の別れではないのだ、この旅が終われば、土産話をたくさんヴェルドラに話してやろう。 

 

 

###

 

 

 洞窟の出口を目指して歩みを進める。

 

 洞窟を三時間ぐらい歩いたとき、転生したばかりのときに苦戦したトカゲが居た。

 

 なるほど、これは旅立つ前の良い景気付けになるな。

 

 金属作製と金属操作を使い、手中に日本刀を作る。この百年で何度も繰り返した作業だ。最早目を瞑っていてもできる。

 

 砲撃の場合は外したときに何が起こるかわからんからな。このような狭い所では小回りの利く武器の方が使いやすい。

 

 私が刀を構え、トカゲが動くのを待っているとトカゲが突進を仕掛けてくる。以前なら避けていたが、今ならそんな必要はない。

 

 真正面からトカゲを迎え撃つために魔素を身体の中で練って、身体能力を向上させる。装甲の間に刃を入れ、そのまま一刀両断する。

 

 ここ百年鍛錬だけで実戦してなかったので、自分の強さに自覚が持てなかったが、これでようやく自分の成長に実感を持てた。

 

 トカゲと出会ったあとは特に他の魔物に会うことなく、そのまま洞窟を抜けることができた。

 

 数百年ぶりの外は空気が澄んでいて日差しが眩しく、とても晴れていた。しかし、洞窟の外は森だったのだな。人が住んでいる気配もなく、何か人工物がある気配もない。自然が豊かな綺麗な森だ。ヴェルドラの封印が解けたら一緒にここに来たいな…。

 

 「こんにちは」

 

 「ッ!?…いつの間に?」

 

 一瞬風が強くなったと思ったら、いつの間にか背後に人?が現れた。美しい緑色の髪の美少女である。北欧系とでも言うのか、白い肌に彫りの深い目鼻立ち。

 ふっくらとした唇に青い瞳が良く似合う。人間で言うところの、16〜18歳くらいの見た目であった。この世界では瞬間移動できる奴もいるのか、これからはもう少し気をつけておかないとな…。

 

 「わたくし、樹妖精(ドライアド)のトレイニーと申します。お見知りおきを。あぁ…敵対する意思はありませんのでご安心ください」

 

 ドライアド?

 

——森の上位種族である樹人族(トレント)の守護者のようなものです

 

 「ふむ?では何故私の前に現れたのだ?特に怪しいことなどしてないが?」

 

 「もしかして、自分の魔素がどれだけ漏れ出ているか分かってないのですか?」

 

 魔素が漏れ出ているだと?別にヴェルドラにそのようなことは言われなかったが…。先生、私の魔素って漏れ出ているのですか?

 

——三人称で見てみますか?

 

 できるのですか?特にそのようなスキルは持っていませんし、前の世界でもそんなことできませんでしたよね?

 

——『魔力感知』を獲得したらできます。言われた通りのことをしてください。

 

 私は先生に言われた通りにやってみると、《確認しました。エクストラスキル『魔力感知』を獲得…成功しました》あっさりと獲得してしまった。

 

 なるほど、これを使って自分を三人称で見ることができるのか。さっそく試してみよう。そうして、自分を三人称で見てみるとすごい魔素が漏れ出て居た。これでは、ずっと刀を鞘から抜いているような物だ。怪しまれても無理ないだろう。漏れ出た魔素を操って身体の中に全て納めた。これで怪しまれることもないだろう。

 

 「あぁ、助かります。あなたの魔素は強大すぎて森に悪影響でしたから。そんなことはさておき、本題ですが…特にもうありません」

 

 「む?それはどう言うことだ?私は特にまだ何もしていないが?」

 

 「強大な魔力が突然現れたので、危険か判断するためにきたのですが…。話してみてわかりました。あなたはこの森に害を及ぼす者ではないと」

 

 「そうか、それは良かった。」

 

 「ええ、それでは、もう要件はないので帰らせていただきます」

 

 「ああ、ここで会ったのも何かの縁だ。困ったことがあったら頼ってくれ」

 

 私の言葉を聞いて微笑んだ後、トレイニーさんは風に乗って姿を消した。

 中々便利そうなスキルだな。私もいつか、瞬間移動のような移動系のスキルが欲しいものだ。

 

——武装を展開すれば空を飛べますが?

 

 ???艦娘という種族名なのに浮くのか?

 

——神様曰く、「宇宙戦艦ヤマトはロマン」とのことです

 

 ?よくわからないが、まぁいいか、飛べると言うなら存分に活用させてもらおう。

 

 『武装展開』し、さっそく空を飛ぶことにする。…飛ぶというより空を滑るという感じなのだが?まぁ、歩いて行くより何倍も早いのでこれで行くとしよう。

 

 

###

sideシズ

 

 「ピリノ、ダメだよ勝手にお城に連れて行っちゃ」

 

 「大丈夫だよ!この子賢いし!」

 

 ピリノは誇らしげにピズのことを抱き上げる。

 

 「でも…」

 

 「こんなに懐いてるんだよ?使い魔に認めてくれるよ!」

 

 「そうかな…?」

 

 私がピリノとピズのことで話し合ってると、その人は急に空からやってきた。とても綺麗な人だった。長い茶髪も美しく、文字通りの「大和撫子」といった感じ。だけどその容姿とは似合わない武装を携えてるせいで、異彩を放っていた。

 あんな武装、この世界で見たことなんてない。もしかして、私と同じ召喚者?

 

 「すまないが、ここがどこだか教えてもらえるか?海を渡ってきたのだが、地図がないせいで自分の住処の方がわからなくなってしまってな」

 

 賢い雰囲気を出してるのに案外おっちょこちょいなのかな?

 私がそう思っているとキリノが弾けるように答えた。

 

 「私たちは知らないけど、レオン様なら知ってるかも!私たちも丁度レオン様に用事があるし、一緒に行こうよ!」

 

 「レオン様とは?」

 

 「ここの王様みたいな感じの人だよ!」

 

 「なるほど、確かに王様なら知っているはずだな。それでは一緒に行かせてもらおう」

 

 その人は腰の周りに纏っていた武装を消して、歩き出した。あんな大きな物どこに仕舞ったんだろう?そんなことより、私が口を出す前に一緒に行くことが決まってしまった。本当にレオン様は許してくれるかな?

 

 「そう言えば、名前は何て言うの?」

 

 「む?まだ自己紹介がまだだったな、私の名前はヤマトだ。短い間になるだろうが、よろしく頼む」

 

 ヤマトさんはそう言って、お辞儀をした。やっぱり、私と同じ召喚者だと思う。それに私と同じ日本人だ。この世界に来て初めて同郷の人に会えたので、少し胸が躍る。

 

 「私の名前はピリノ!こっちの子はピズって言うんだ!とっても賢いんだよ!」

 

 「私はシズです。よろしくお願いします。質問なんですけど、ヤマトさんって召喚者なんですか?」

 

 「召喚者?」

 

 ヤマトさんは疑問に思っていたが、一瞬で解決したのか、すぐに質問に答えてくれた。

 

 「私は転生者だぞ」

 

 「え?」

 

 「前世では死刑になってしまってな。死んだらいつの間にかこの世界にいたんだ。しかし、私にその質問をするとは…もしかして君は召喚者とやらなのかい?」

 

 「私は確かに召喚者ですけど…死刑って何をやったんですか?」

 

 「む?特に悪いことはしてないぞ?ただ戦争に負けたから裁かれただけだ。私からも質問なんだが、召喚主はもしかしてレオン様とやらか?」

 

 「うん、そうだよ」

 

 ピリノが話について来れていないけど、今はそれどころじゃない。

 いつ、ヤマトさんはこの世界に来たんだろう。今までどうしていたんだろう。前の世界ではどんな人だったんだろう。もしかして、軍人さん?頭の中で様々な疑問が駆け巡る。だけど、ヤマトさんが声をかけたことによって、その思考は止まった。

 

 「ほら、そろそろ城に入るぞ?それにピリノが話に着いて来れていない。また別の機会で話そう」

 

 「はい…」

 

 そうして、レオン様が居る所まで一緒に行った。

 

 レオン様が見えると急にピズがレオン様を威嚇し出した。今までこんなことなかったのに…どうして?ピリノが慌てて落ち着かせようとしてるけど、ピズは全然落ち着かない。レオン様はそんなピズのことをとても冷たい目で見ている。どうしよう。

 私があたふたしていると前と同じように誰かに意識を乗っ取られた。

 

 

###

 

 ピリノ達のことを見守っていたが、急にシズの様子がおかしくなった。まるで別人のようだ。嫌な予感がするな。私は万が一に備えて、魔素を体内で練っておく。

 

 「シズ…?」

 

 ピリノもそんなシズのことを見て、心配そうな声色になる。シズはレオンとやらを守るようにピリノの前に立ち、周りに炎を召喚した。

 

 ピリノの下に魔法陣が描かれると次の瞬間、そこから炎が立ち上る。炎の中からピリノの悲痛な叫びが聞こえる。

 

 私は炎の中に突っ込み、ピリノとピズのことを救出するが、少し遅れたせいでピリノとピズは大火傷を負ってしまった。

 

 私は一旦ピリノ達を安全な場所に運ぼうとするが、シズがそれを許さない。咄嗟に横に飛んで避けることができたが、私達の事を完全に消し炭にする気だ。

 

 あまり幼子を傷つけたくはないが、致し方あるまい。

 私はピリノ達を腕に抱いたまま、シズに近づき、思いっきり腹を殴る。すると、シズの身体は壁に向かって吹き飛んでいく。

 

 勢いが強すぎたのか、そのままシズは壁を破壊してしまった。壁を破壊したことによって上ってきた煙のせいで、シズの姿が隠れてしまう。壁を破壊するほどの勢いで飛んでいってしまったので、シズが死んでないか不安になる。多分、シズの口ぶり的にシズも私と同じ世界の人だ。前の世界でさっきの威力のようなものを喰らったら、死んでもおかしくないので心配だが、そんな私の心配とは裏腹に、そこには無傷の状態で気絶をしたシズの姿があった。

 

 「ふぅ…」

 

 私が安堵の息を吐いていると、今まで傍観していたレオンがやってきた。

 

 「貴様、何者だ?貴様のような奴は聞いたことがない」

 

 「後にしてくれ、今はピリノ達の治療が最優先だ」

 

 「そんな者などどうでもいい、さっさと私の問いに答えろ」

 

 「あ゛あ゛?」

 

 こいつ、シズが気絶しているのに何故心配しない?こいつはシズの召喚主なのだろう?なのに、どうでもいいだと?ふざけやがって。ヴェルドラから召喚者と召喚主の話を聞いていたが、こうも糞だとはな。

 

 胸からヴェルドラの洞窟で採った草を取り出す。洞窟で使ったときのように擦り潰してピリノ達の傷に塗る。これで治療は完了だ。

 

 もう地図などどうでもいい、そんな物後からどうとでもなる。今はコイツのことを殴ってピリノとシズのことをどう思っているのか聞くのが先決だ。

 

 「おい」

 

 「?どうした、さっさと問いに答えr」

 

 ドゴォン

 

 レオンが言い切る前に顔面を思いっきりぶん殴る。レオンはシズと同じように吹き飛ばなかったが、頬に痣ができ、口を切ったのであろう、血が垂れ出ている。

 続けて腹を殴ったら、何の効果もなかった。何ならこちらの拳を痛めてしまった。

 

 「急に殴ってくるとは…どう言うつもりだ?」

 

 「お前こそどう言うつもりだ。何故シズが気絶しても目を向けなかった。シズを召喚したのは貴様なのだろう」

 

 「ふん、貴様に言う義理はない」

 

 「そうか、なら無理矢理にでも言わせてやる」

 

 『武装展開』し、レオンに向けて砲撃を放とうとする。しかし、レオンが何かをすると武装が全て分解された。多分、物を分解するようなスキルを持っているのだろう。相性最悪だ。これでは私の手札は殆ど効かないも同然だ。だが、できることはまだある。

 

 「分解するにも条件はあるだろ?」

 

 「…」

 

 無反応。流石に答えてはくれないか…まぁどちらにしろやるしかないか。

 まずは死角からの攻撃だ。レオンの後ろに『金属作製』と『金属操作』で主砲を作る。が、砲撃を放つ前に分解された。多分、レオンも『魔力感知』があるのだろう。

 

 死角からの攻撃が駄目なら次は物量で攻める。レオンの周りに刀を生成させ、レオンに向けて突っ込ませる。分解されても、その都度作って突っ込ませる。しかし、これも相手の分解のスピードの方が早いようで、届く前に消されてしまった。

 

 遠方から撃っても多分、分解できる範囲になったら分解されるだろう。やはり、殴るしかないのか?いや待て、何故レオンは私に分解を使わないのだろう。人体は分解できないのか?それともしないだけ?

 

 「来ないのならこっちから行くぞ」

 

 私が思考しているとレオンから凄まじい光が飛んで来た。私は反応できず、その光に包まれてしまった。その光は高熱で私の身体を少しずつ溶かしてくるようだった。

 

 「ッッッ」

 

 「どうした?こんな程度なのか?」

 

 すでに光は止んでいるが、目の前が霞んでよく見えない。レオンが何かを言っているようだが聞こえない。もう戦うことは不可能だ。頭ではそう理解している。だが、ここで諦めたくない。こいつがシズとピリノをどう思っているかを聞くまでは終われない。終わりたくない。

 

 「これはさっきのお返しだ」

 

 そう言って、レオンは私に近寄って腹を殴って来た。

 

《個体名ヤマトが意識を失ったことを確認しました。ユニークスキル復讐者(シカエスモノ)の効果が自動的に発動します》

 

 「なんだ、まだ意識を保てるのか、タフだな」

 

 『武装展開』をし、魔素とユニークスキル『復讐者(シカエスモノ)』の効果で威力を向上させる。更に、個体名レオンに全砲塔を向ける。そして、一斉射。

 

 レオンは分解しようとするが、それは叶わず、レオンに直撃する。いくら、魔王と言えど最大強化された戦艦大和の砲撃に無傷で耐えることはできなかった。

 

 「…」

 

 「あ、あの?」

 

 さっきの轟音で目覚めたシズが、状況を理解できず、レオンに話しかける。

 

 「起きたか、さっさとこいつを連れて行け」

 

 「殺さないんですか?」

 

 「…」

 

 「あっ、行っちゃった…」




時系列?そんなもの知らん
原作崩壊?そんなもん知らん
キャラ崩壊?ごめんなさい

これからの展開

  • 一気に原作
  • しずさんとの冒険
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。