ラジオデーモンinキヴォトス   作:オムライス好き

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1話

 何処だここは? 

 

 目が覚めるとと、寝る前にとは全く違う光景が広がっていた。

 

 昨日は、バイトから家に帰ってからすぐ寝たはずだ。こんな何処かの路地裏で目を覚ますことなんかないはずだ。

 

 これは夢か? そう疑ったが生臭い路地裏の匂いがその考えを否定してくる。

 

 いつまでも、寝ていたら状況を把握できないな。とりあえず、体を起こして、自分の体に異常がないか確かめる。

 

 

 なんだこれは!?

 

 

 自分の体の確認できる場所を確認すれば、寝る前の格好と全く違う。寝る前の格好は、暗い色をした寝間着だったはずだ。間違ってもこんな赤いスーツなんて着てなかった。

 

 

 それに、裸足だったはずなのに今はヒールのような靴を履いている。

 

 

 いや、そんな格好のことなんて今はどうでも良い。一番おかしいのは、手の指が4本しかないことだ!!

 

 いったいどうなってるんだ。寝ている間に宇宙人にでも体を改造されたのか!?

 

 他にも、何かおかしい所があるんじゃないのか。

 

 そう思った俺は、ちょうど近くにあった窓ガラスで自分の姿を確認する。

 

 ・・・・・・・・・・アラスター?

 

 頭には小さな鹿の角と耳、口は耳まで裂けそこから黄色い歯がのぞいている。

 

 そこに写っていたのは間違いなく、ハズビンホテルに出てくるキャラクターのアラスターだった。

 

 なんで、俺がアラスターの姿になっているんだよ!?

 

 全く理解が追いつかない。

 

 そもそも、ここは何処なんだ? 家の近くにこんな路地裏なんてないぞ。

 

 とりあえず、ここから出て人に尋ねてみよう。

 

 そう思い、路地裏を出ようとした矢先、後ろから声をかけられる。

 

「よう、兄ちゃん。金持ちそうな格好してるな〜。私達にもちょっと分けてくれよ」

 

 カツアゲか? 聞こえてくる声はどれも女性の声ばかりだ。

 

 振り返り、どんな人物か見てみる。

 

 そこには、頭の上に天使の輪のような物があるセーラー服を見に纏った一昔前のスケバンのような格好をしている少女たちが三人いた。

 

 少女たちのその手には日本ではまず見かけない銃が握られている。

 

 何かのコスプレか? 

 

 そんなこと考えていた俺に向かって少女たちの中の一人が言う。

 

「うわぁ!! 化け物!!!」

 

 俺の姿を見て、怖がっているみたいだ。まあ、当たり前だろう。今の俺の姿はアラスターで、アラスターは悪魔だ。普通ではない見た目をしている。

 

「う、射っちまえ!!!」

 

 怖がった少女の一人が銃の引き金に指を引く。

 

 バンッ

 

 という音と共に、火花と煙を撒き散らしながら銃口が跳ねる。

 

 うわぁ!!

 

 無意識に手を目の前に出して、防御しようとする。

 

 しかし、いくら待って銃弾はこない。恐る恐る、手を退けて前を確認してみると影から触手のような物が伸びて、銃弾を防いでいる。

 

 これは、アラスターの能力か? アラスターは作中でも影を操っていた。

 

 目の前の触手を動かそうとしてみる。

 

 試してみると縦、横と触手を動かすことができた。

 

「なんなんだコイツ!?」

 

 俺と同じように目の前の奇怪な光景に呆然としていたスケバンたちが、立ち直りこちらに全員で銃を向ける。

 

「全員で撃っちまえば、その変な触手でも防げねえだろ!! 撃て!!」

 

 俺は、咄嗟に影を操り自分の前に壁を作る。危なかった。

 

「コイツ!! 全くきいてねえ!!」

 

 くそ!! なんで俺がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。もういい、とりあえず目の前の三人を無力化してから色々と聞き出そう。

 

 そこらへんの影から、触手を伸ばしてスケバンたちの手から銃を弾く。

 

「は?」

 

 突然の出来事にスケバンたちは何が起こったか分かってない。

 

 今のうちに触手を使ってスケバンたちの手足を縛って動けなくする。

 

「クソ! 離せよ!!」

 

 リーダーらしき女が俺に向かって強気な態度をとっているが、目元には恐怖のせいか涙を浮かべている。他の二人はリーダーの後ろで縮こまっている。

 

 さて、色々聞いていかなくてはいけない。コイツらが素直に答えてくれるだろうか。おそらく、下手に出れば舐められるだけだろう。

 

 この体の持ち主曰く、笑顔は敵を惑わせコントロールできるらしい。であるならば笑おう。今の体は、アラスターだ。彼のように不敵に笑顔を浮かべてみせよう。

 

「ひっ!!」

 

 スケバンたちが俺の笑顔見て悲鳴を上げる。まあ、そうだろう。俺は今、悪魔のような顔をしているんだろう。

 

「ご機嫌よう! 淑女のみなさん!」

 

 路地裏に古いラジオのようなノイズ混じりの声が響きわたる。

 

「いくつか、お聞きしたいことがあるのですが。よろしいですか?」

 

 コク、コクと頷いている。

 

「ありがとうございます!! では早速。ここは、なんという場所なんでしょう?」

 

「こ、ここはゲヘナです」

 

 それから、いくつかの質問をして行った。

 

 なんでも、ここはキヴォトスという学園都市で、信じられないことに学校が国ような権力を持っている場所らしい。まあ、地獄ではない事に安心した。

 

 そして、スケバンたちの頭の上にある天使の輪はヘイローというらしい。詳しくはコイツらも知らないと言っていた。

 

 そして一番驚いたことは、ここの治安はクソだという事だ。毎日、何処かしらで銃撃戦が起きているらしい。ここに住んでいる子供は、銃に大きな耐性があるらしい。怪我はしてもかすり傷や打撲しかしないみたいだ。

 

 まあ、地獄よりかは治安は悪くないと思いたい。

 

 総括すれば、ここは地球ではないということだ。

 

 その事実を知っても俺の心は冷静を保ったままだった。俺はここまで、冷徹なやつだったか? この体の影響だろうか。まあ、今は好都合だ。暗い気持ちになるよりかはマシだろう。

 

 さて、聞きたい事は聞けた。コイツらはどうするか。

 

 拘束を解いた瞬間に、暴れられても困るし離れたところで拘束を解けばいいか。

 

 立ち去る前にスケバンたちから、財布を奪うためにスケバンたちの鞄を漁る。俺の金を奪おうとしていたし自業自得だろ。

 

「お、おい! 私達、それを取られたら一文無しになっちまうんだ! 勘弁してくれよ!!」

 

 そんな事を言っているが無視だ。銃を撃ってきた連中に同情なんかしない。

 

「質問に答えていただき、ありがとうございました。それでは」

 

「もう用が無いなら、これを外していけよ!! このまま、放置してく気か!?」

 

「心配しなくても、そのうち解けますよ」

 

 そうして、俺は路地裏を後にした。

 

 これからの目標は帰る方法を見つける事だな。そのためには、情報を集めないといけない。ラジオのMCでもしてみるか?

 

 というか、今更だが口調がアラスターみたいになってたな。これもこの体の影響なんだろう。

 

 

 まあ、実害が出てないから気にしなくていいか。

 

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