ラブライブ!×仮面ライダー『インフィニティ マルチバース ワールド』   作:栗助

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次は幻日パートです!!


プロローグ…世界の融合、そして埋もれた可能性③ ワタシたちで守りたい

久瑠間市の服屋の前

 

黒いシャツ、黒いズボン、そして赤いネクタイが特徴的だったはずの質素な服を着た男が真っ白な車の運転席に座っている。

 

本来なら、彼は真っ赤な車に乗って市民を守る為に戦っているはずだった

だが今の彼にその使命はない、任されたのは車の運転だけ、それも単にハンドルの操作を任されているだけであって実際に自分のハンドルを握っている訳ではない、そしてそれに抗う気力も不屈の精神も、パッションもない、まさに『考えるのをやめた』姿としては相応しいだろう。

 

彼は待たされていた。この車の持ち主に、何もしないでただただボーッとしながら

 

そんな彼の耳に流れてきた曲は

 

【走り出した!思いは強くするよ】

【悩んだら君の手を握ろう】

 

彼が本来持っていたはずの熱と同じ想いが込められた歌だった。

 

【なりたい自分を我慢しないでいいよ 夢はいつか ほら輝き出すんだ!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライラプスが橋の上で相対するはスミロドンドーパント、共に四足歩行の獣達である。

 

(はぁ…さっきから戦闘員達を倒し続けてたから疲れてるんだけどなぁ…しかも強そうだし)

 

心の中では愚痴りながらも戦わなければいけない現実からは逃げない

 

2体の動物は駆け出す…この瞬間、ライラプスは悟る

 

(スピードで張り合うのは無理!!早すぎる!!)

 

あのアクセルトライアルと互角の速さをもつ怪物相手にいくら異世界の獣であっても釣り合うはずがなかった。

 

彼女は今、スミロドンドーパントの高速移動の軌跡によって囲まれている。

 

(隙を見てその爪で高速で斬り裂くつもりなんだろうね…だったら!!)

 

ライラプスは…腹を決めた。

 

「シャアァァッ!!」

 

隙を見つけたのか、スミドロンは急加速しライラプスに襲いかかる

 

…動物としての野生の勘、研ぎ澄まれた集中力、ドライバーを破壊すれば変身解除されるという知識そして今まで戦ってきた戦闘経験、これらが今のライラプスにあるものだった

 

更にスミロドンはこの時点で致命的な間違いをしていた

 

スミロドンはかつての主達が大道克己によって鏖殺され、新たな主となったエターナルの指示でNEVERに抵抗するドーパントに変身した人間を暗殺する為に戦わされてきた。

 

だから知らなかった、獣同士の戦いがどのようなものなのかを

 

 

 

「…ワンッ!!」

 

ライラプスは襲い掛かったスミロドンの本来避けれないはずの頭上に迫った爪を野生の勘を元に的確に察知して回避、そして同時に獣の急所を狙うという慣れていない姿勢をしていたスミロドンのドライバーに向けて数多の魔物を斬り裂きうる爪を振るい、斬り壊したのであった。

 

 

 

(ふぅ)

 

ライラプスはガイアメモリから解放された猫…ミックを甘噛みする事で確保、とりあえずこの猫をどうしようかと考える前に

 

(私もだいぶ戦闘慣れしちゃったなぁ…世界が融合される前はこんなに戦う事なんてなかったのに)

 

こうも強くなってしまっていた自分を自嘲してしまっていた。無理もない、彼女達の世界は異変が起こった時以外は平和そのものだったのだから

 

(いつになったらゆっくりできるようになるのかなぁ)

 

そう思いながら…現れたのは

 

「ホーホー」

 

丸っこい眼の茶色いコノハズク、マンマル

 

彼は彼なりに同じ動物のよしみでライラプスの様子を空から見ていたのだろう

 

「バウッ(君がこの猫を連れてってくれるのかい?)」

「ホーホー」

 

マンマルがミックを鷲掴みして連れていったのを見送り、ライラプスは戦場に戻っていった。

 

 

 

 

「はあっ!!」

 

かつての繁華街…()()()お台場の近くにあるはずがない場所でスカーレットデルタが相対するのはアナザードライブ、スカーレットデルタが振るった雷を纏ったイオンブレードを受け止めたのは左腕に装備されているドア銃を模した武器だった。

 

受け止めながら武器から銃弾を発射、それを回避しながら顔、腰、そして脚を連続で斬りつける。電撃を纏った刃は少しづつアナザードライブの動きを鈍らせていく。

だがアナザードライブはやられっぱなしでは終わらない、張り手をして距離をとるやいなや即座に重加速を発生させるが

 

「はっ!!」

 

その範囲内にいたマリがアナザーバールクスと戦いながら干渉し強制解除させる。

 

アナザードライブは舌打ちをする、あの魔王がいる限り時間に干渉する攻撃は不可能だと理解せざるおえなかった。

 

切り替えて別の力を振るう事にしたアナザードライブはトゲ付きのタイヤと黄色の炎を纏ったタイヤを連続で大量に発射、あのグランドジオウをも後退させた技で仕留めにかかる。

 

スカーレットデルタはそれを一つ一つ斬り伏せながら破壊し続けていた時

 

「きゃあっ!?」

 

本物のドライブと同じように足元に滑り込むようにスライディングキック、タイヤの迎撃に気を取られていたスカーレットデルタに直撃

 

たまらず倒れこんだのを見てアナザードライブは銃による追撃を行うがそれを転がる事で回避し逆にこちらは雷を纏った斬撃波を飛ばしながら反撃、再び左腕で防御しつつ銃でこちらも反撃

 

双方斬撃波と銃撃の打ち合いを展開、街の物を破壊し続けながら回避し続けていた。

…そんな時だった。

 

後ろから迫りくる気配を…スカーレットデルタは感じ取っていた

 

(そろそろ来ますか、ルビィ達が来てからその攻撃はして欲しかったのですが)

 

そして後ろを振り向くとボンネット部分の中身が丸出しになった廃車のようにボロボロになっている赤い車、アナザードライブ専用のスーパービーグル…アナザートライドロンが迫っていた。

 

「はっ!!」

 

そのアナザートライドロンの接近に対し、ダイヤは前のタイヤを一刀両断と同時に上に蹴り飛ばし、念入りに後ろのタイヤも破壊しながら、アナザードライブの銃撃を回避すると同時にシャーシを蹴り飛ばし遠くに飛ばす…と同時飛んできたタイヤ攻撃も斬り飛ばして対処する。

 

「本当に器用ね、貴女」

 

攻撃を捌きながらアナザートライドロンの動きを封じた事を意外にも称賛しながら右手で殴り掛かってくるアナザードライブを左手で受け止める。

 

そして左腕から発射される銃を避け続け、隙を見つけた彼女は刃を当てようとする…その時だった

 

「だけど、勝つのは私みたいね」

 

アナザードライブが妙な嘲笑をしながら勝利宣言をしたのは

 

「どういう事で…!?」

 

 

 

この時、スカーレットデルタは完全にアナザートライドロンから関心が失せていた。タイヤも既に破壊してある上すでに遠くにとばしてあるのだから…彼女が知る限りアナザートライドロンは動けない限り攻撃手段はない

 

 

 

()()()()()()()

 

 

スカーレットデルタにとっての不幸は2つあった

一つ目はスカーレットデルタが蹴り飛ばしたアナザートライドロンが丁度スカーレットデルタがいる場所の正面だった事。

 

そしてもう一つ、アナザートライドロンには

 

 

 

 

 

スカーレットデルタが知らない能力があった事

 

 

 

「くらえー!!」

 

ビルとビルの狭間にて、ケイティはバップガンをアナザーキカイに放っていた。

爆風でダメージを受けながらアナザーキカイは木の触手を差し向ける…変身者が自我を保って変身した結果、大量の触手を作り出せるようになっていたようだ

 

ケイティは軽々とビルの窓の淵を踏みながら上空へ避難しながら撃ち続ける…だが

 

「それだけで対処出来ると思ってるんだ?甘いなぁ!!」

 

そういうと同時にミサイルを放ってきた…!!

 

「本当不思議だよね、そんな外見なのに何でミサイル使えるの!?いくら仮面ライダーキカイのアナザーライダーだからって似合わなすぎるよ!!」

 

そう愚痴りながらミサイルに対しても的確にバップガンを放つが、そうなると触手への対応が間に合わなくなり

 

「捕まえた!!」

「きゃああぁぁっ!!」

 

木の枝の触手がグルグルに巻かれて、拘束されてしまった

そしてこのまま上空へ持ち上げられ…地面に叩きつけられようとした瞬間

 

《チャージライズ!!フルチャージ!!》

 

「「ケイティ危ない!!」」

 

《カバンショット!!》

 

重なる二つの声と共に発射される二つのバップガン…ではなくアタッシュショットガン×2で触手は破壊され、それによってケイティは拘束から解放された。

 

「本当にこれ反動凄いね…大丈夫かケイティ?」

「間に合ってよかった!!」

 

その二つの声の主は黒髪ロングでピンクの覆面を身に着けた女性、メルシーと明るいブラウンヘアーで藍色の覆面を身に着けた女性、トミーであった。色々あって遅れてしまったようである。

 

2人は近くの窓を開けてそこからアタッシュショットガンを放ったのだ。

 

「援軍か…まぁいいけど、君達の実力ぐらいならどうせ無意味だしっ、はあっ!!」

 

二人にも触手は向けられて、ミサイルを発射する。勿論2人は即座にそれぞれ奥の方に動きながら回避していく

 

かつて商品であった物達を破壊しながら触手とミサイルは進撃を続ける。

そして二人は変身する機能がオミットされている簡易型シフトブレスに口を近づける

 

「メルシー!!この触手やミサイル私達が見えなくなってきても追ってきてるけどどうする!?」

「…だったら私達は逃げ続けたほうがいいと思うわ!!きっとこれらの攻撃にも限界があると思うの、それで生まれた隙をきっとケイティが突いてくれるはずよ!!」

「分かった!!」

「あ、後逃げ続ける場所は…」

 

追尾式の触手だったようで目線からは外れてはいるがそれでも二人を追尾してくる…だがそれを彼女達は撃破の為に利用するつもりのようだ。

 

一方触手から解放されたチカは建物の上に着地し、迫る触手と発射されるミサイルを冷静に対処している。触手の数は二人を追跡する為にまわされているために先程よりは少なくなっているようだ。

 

「2人とも大丈夫かな…?」

 

他の2人を案じる余裕もあるようだ。

 

「クソッ!!いつまで逃げるんだアイツら…!!」

 

アナザーキカイは逃げ続ける二人を補足するのに時間をかけていたようだ。

その結果体力と集中力が削られると同時に段々とケイティに割かれる攻撃が少なくなっていく

 

(…今なら!!)

 

ケイティは向かってくる攻撃を破壊しながらビルの上を走る事で加速、その勢いでアナザーキカイに突っ込んでいく

 

迎撃する為にアナザーキカイは大量にミサイルを発射する、だがケイティは向かってくる触手を渡りながら、ミサイルを破壊したり回避しながら急接近していく

 

(近距離で何度も当て続ければ…!!)

 

そのまま目前にまで接近が成功し…バップガンを構えた。

 

「これで…どうだっ!!」

 

一発バップガンを炸裂させる。その爆風に身を任せて後ろに退避するが再び急接近し連続で打とうとする

 

だがある程度距離を取る事は忘れていない。

 

アナザーキカイの能力は知っている。氷を生かした戦闘が可能というのも、近づきすぎると身動きを封じられてしまう事も、故に適度な距離から撃ち続ける事で攻撃しようとしていた。

 

 

 

 

 

だがその瞬間

 

「…えっ!?」

 

アナザーキカイは背後に触手を一気に叩きつける。そして

 

 

――一気にアナザーキカイの方から急接近してきた

 

 

 

 

 

 

《ライジングディストピア!!》

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

001とマリが挑むのはバールクスの贋物、001は神速をもって拳を当てようとする。

 

「フン」

 

アナザーバールクスはそれを軽く受け止める。元の力であるバールクスのスペックを考えれば当然の結末だろう。返しの拳を振ろうとした瞬間に

 

…その拳を魚が喰らっていた。

 

「カウンターはさせないわ!!」

 

襲い来る大量の魚達がアナザーバールクスの皮膚を喰らっていく

アナザーバールクスは仮面ライダーRXの武器、リボルケインに似た長剣が歪んだものを振るい魚達を斬り伏せる

 

「はぁっ!!」

 

その隙を突くように後ろに移動していた001の蹴りが背中に炸裂する。それに対応して剣を振るうが再びできた隙を変幻自在の魚が喰らう。

二つの攻撃がアナザーバールクスの体力を削り続ける。

 

「うっとおしい!!」

 

《BIO RIDER》

 

アナザーバールクスはアナザーバイオライダーウィッチを具現化してベルトに嵌める事で、かつてバールクスが使ったゲル化を発動し攻撃を透かせる事に成功、そのままマリに接近し固定砲台としての役割をしていた彼女を潰しにかかる

 

「そうくるならいいわ、本気見せてあげるから!!」

 

マリは今までの魚の数より3倍の数を召喚する。

 

「貴方が液体になったというなら、その液体全部飲みつくしてあげる!!」

 

ゲル化の対策は幾つかある

 

一つ目は実態がある時に固定化して倒す。

二つ目は熱を与えて蒸発させる。

 

 

 

そしてもう一つは

 

 

 

全ての液体を同時に一瞬で消滅させる事

 

「ちぃっ!!」

 

アナザーバールクスは地面に逃げるが問題はなかった、地面毎飲み尽くせばいいのだから

 

マリの周囲は完全に魚で囲まれ防御している。勿論地面の中も含めてだ。

 

アナザーバールクスはマリへの攻撃を諦め、壁を攻めていた戦闘員達の所に脱出するしかなかった。

 

「はぁ…!!はぁ…!!お前…!!」

 

アナザーバールクスはどうにか元の姿に戻るが一瞬冷や汗をかいていた…いやかかされていた。

 

「…良いだろう、だったらこっちも本気出してやる!!」

 

大きな障害と認識したマリに憎悪の眼差しを向けながらアナザーバールクスは幾つかのアナザーウォッチを取り出す。

 

それらはアナザーバールクスの能力で出したものではなく元々持っていたものである。というよりむしろアナザーバイオライダーライドウォッチだけがかつてバールクスが使用した事があった故の特殊だったと言えるだろう。

 

そしてそれを近くにいた戦闘員…エカルマギア、ライノセラスビートルオルフェノク、ライノイマジン、マスカレイドドーパントに埋め込む…その瞬間その怪人達もウォッチに秘められた力に取り込まれて姿を変える。

 

「これは…!?」

「怪人が他の怪人に変貌しようとしている…?」

 

マリは伝わってくる魔力の変貌に、001はこれから起きようとしている事を予測し…慄いていた…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白いパーカー、赤いシャツがトレンドマークだったはずの男…詩島剛はぼーっと突如現れたスピーカーを眺めていた。

 

そして…スピーカーから流れ始めたのは

 

【好きだから好きですと 言うだけじゃ足りないの】

【好きだからしてあげたい 望むことなんでも】

【そして私だけを (Oh yeah, oh yeah!) 見つめて欲しいの(私だけ見つめて)】

 

 

…一瞬、一瞬だけだが彼は脳が溶かされるような感覚に陥ったが…結局感覚は普通に戻り…元の日常に戻された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ…!?」

 

アナザートライドロンは車両前部からの機関砲をスカーレットデルタめがけて発射…正確に腹を撃ち抜いてしまった。

 

「隙だらけよ?」

 

力の均衡は当然揺らぎ右腕の拳が

 

「きゃああっ!!」

 

頬に当たり派手に吹き飛ばされる

 

「はぁっ…!!はぁっ…!!」

「辛そうね?…早く楽にしてあげる」

 

アナザードライブは倒れ伏しているスカーレットデルタの頭上に向かって銃を構える。

 

「…はぁっ!!」

 

腰の想像を絶する苦痛を乗り越えて気合で立ち上がったスカーレットデルタは銃撃を斬り伏せると同時に素早く後ろへバックステップで大きく退避…は出来ず、少しだけ退避するのが限界であった

 

「ハァ…まだ抗うつもりなの?」

 

溜息を吐きながら再び左腕からの銃撃が始まる。再び斬りさばこうとするが今度は後ろから再び発射されるであろうアナザートライドロンの機関砲を警戒しながら戦わなければいけない、勿論彼女もアナザートライドロンの正面から避難、或いはアナザートライドロンの完全破壊をしようとはしたのだが、アナザードライブはその隙を与えなかったのだ。

 

故に気は散り、光弾は捌ききれず幾つかがスカーレットデルタの装甲から火花を散らし、苦悶の声を上げさせる。

 

だが休息の時は訪れず再び車が背後から機関砲を発射しようとする音が聞こえた

 

流石に警戒していた故にハイジャンプして避ける、銃撃が横に避ける選択肢を奪ってしまっていたのだ。だがその隙を見逃さないアナザードライブではなく、先程と同じタイヤ型のエネルギー弾が襲い来る、空中では対して刀を振るえず防御しきるのは不可能だった。

 

「きゃあああっ!!」

 

爆発と共に…スカーレットデルタは地面に落ちてきた。

 

「本当にしぶといのね貴女」

 

…もうスカーレットデルタの鎧は殆どボロボロに壊れていた、所々下に来ている黒い服があらわになっていると同時に、左側の仮面が壊れ…緑色の瞳が露になっている。

 

「…ねぇ、貴女にちょっと悪い知らせとめちゃくちゃ良い知らせがあるわ、ちょっと悪い知らせというのは…貴女は今から壁の中にいる人達を裏切らなくちゃいけないって事、それでめちゃくちゃ良い知らせというのは…貴女がこの壁の中に入らせる方法を教えてくれたら、命を助けてあげるし私の部下にしてあげる、どうかしら?」

 

オーラが提案するのは…裏切りの道を走らせる悪魔のような提案であった。

 

それに対してスカーレットデルタ…もとい、それに変身していた少女ダイヤは

 

「お断りしますわ」

 

露になった左目で睨みつきながら毅然と断った

 

「…はぁ?アンタ死にたいわけ?」

「そんなわけないじゃないでしょう?私には大切な人達、大切な場所があります…そんな人達と一緒に生きていたいのは事実ですわ…ですが」

 

一呼吸を吐いて再び言葉を続ける

 

「そんな大切な人達を、そして私達の世界のために頑張ってくださっている仮面ライダー達を裏切ってまで生きたくはないですわ!!彼らの勇敢な姿、英雄としての姿を見せて頂いた時、私は仮面ライダーではありませんが…それでも!!彼らのようにありたい…人間の自由と笑顔を護りたいと心の底から思いました!!ですから…それを侵している貴女方の仲間になる事なんて絶対にありえません!!」

 

その言葉と同時に刀を支えにしながら立ち上がって見せつける、己の誇りと覚悟、そして金剛のような堅い意志を

 

「…もういいわ」

 

 

 

『タイヤフエール』

 

後ろから響き渡る低い音声、振り向いてみると

 

アナザートライドロンの破壊されたタイヤが一瞬でバージされ、どこからか黒く焦げているようには見えるものの新しいタイヤが装填される。そしてこれはやろうと思えば何時でもやれた

 

「私の誘いを断ったアンタには全身が潰される最期を迎えてもらうわ」

 

残虐な死を送る為にアナザートライドロンを動かせるようにしたのだ。

 

アナザートライドロンが迫りくる。故に己の危機的な状況はすぐ分かった。だが今の彼女にはそれを回避する体力は…残っていなかった。

 

 

 

 

 

アナザーキカイは急加速すると同時にバップガンの下に重ねていた左手を掴もうとしてきた。

ケイティは知らなかった加速手段に不意を突かれたのもあって掴まってしまう。慌てて手袋を脱いて拘束から逃れようとするが

 

「えっ!?」

 

手袋の凍結に巻き込まれる形で脱ぎきる直前で動きを封じられてしまう。

 

その結果…

 

「え、えええええええ!?」

 

左腕は全体的に凍り付いてしまった。

 

「いやぁ…冷たいよぉ…!!」

「近距離を警戒していたのは褒めてあげるけど、それでもまだ僕に対する警戒が足りなかったのが君の敗因さ…じゃあトドメさせてもらうよ」

 

そういうと凍りついた腕を改めて右腕でガシリと掴み…腰に左手で触れた瞬間、左腕にエネルギーがたまり始めていた

 

『アルティメタルフィニッシュ』

 

仮面ライダーキカイが使える冷気を纏った拳、それが今ケイティに炸裂しようとしていた…!!

 

「ううっ………!!」

 

焦ったケイティはどうにかバップガンで攻撃して中断させようとするが、片手しか使えず、何より焦っているメンタルでは当たるはずがなかった

 

「そ、そんなぁ!!」

 

…拳が当たろうとした瞬間

 

 

 

 

 

「チカっ!!」

 

 

 

 

 

「えっ…!?」

 

――トミーがアナザーキカイとケイティの間に割り込んで…拳を代わりに受けていた

 

「ミ…ミトねぇぇぇぇぇぇっっっっ!!」

 

 

 

「…へぇ、やるじゃん君」

 

もしもの話だが、もしもミトがケイティを庇ってくれなかったら、ケイティは一瞬で閉じ込められて粉みじんにバラバラにされていただろう

 

それだけではない、ミトは庇う直前に左腕に力を込めた結果緩くなっていた右腕の拘束を脚で蹴り飛ばして解いていたのだ。もしそれをしなかったらケイティの左腕は取り残されたまま吹き飛んでしまい…彼女の左手は二度と元に戻ってこなかっただろう

 

「ハァ…ハァ…!!大丈夫…大丈夫なのっ、ミトねぇ!!」

 

庇って貰ったケイティはトニー…もとい姉であるミトが無事なのか、必死に声をかけて確認していた。

 

「だ、大丈…夫…アンタの…近くで…逃げ回ってて…良かった…」

 

トニー達は触手達から回避し続ける時、ケイティに万が一が起きた時の為、遠くまで逃げずに建物を上の階や下の階に行く事で回避していたのだ。だからすぐにチカを庇う事が出来た

 

そしてミトは庇う時、アタッシュショットガンをアタッシュモードにして盾にしていた。その結果アタッシュショットガンは凍り付いて粉々になったが…どうにか衝撃だけですんだのだ…

 

 

 

されども、現実は非常である

 

「ミトねぇっ!!血が…血が凄く出てるよぉっ!!」

 

事実上運動神経が良いだけの普通の人間が、人間を超えた存在からの攻撃をただの衝撃とはいえ受けていいはずがなかった。

 

まず、手が完全に凍り付いていた…だけならマシであった。パンチの衝撃はガードする事が出来たとは言え、完全に防ぐ事は出来ず…腹を激しく傷つけ、吐血の分も合わせて多くの血を流してしまっていた。

 

ケイティ…もといチカは姉が重傷を負った姿に絶望し、庇ってもらってしまった自分の不甲斐なさに涙まで流していた。

 

「ミトっ!!」

 

そして同じく近く…少し距離が遠かった為に庇えなかったメルシーが駆けつけた。

 

「シマねぇ…!!ミトねぇが…ミトねぇが…!!私を庇って…!!」

「ごめんなさい、長女である私が間に合わなくて…!!」

 

メルシー…もといシマはスカートを破りミトの出血している腹を縛る応急処置をし、出来る限り血が出ないようにお姫様抱っこをした。

 

「チカ、貴女もその腕じゃ戦いは無理よ!!早く離脱――」

「させると思う?」

 

少年の酷く冷たい声が聞こえた…それと同時に木の触手が迫っていた。

 

「きゃあっ!!」

「しまったわ…!!」

 

動き出そうとした瞬間を狙われ、なすすべなく捕らえられてしまった。しかも前回のようにもし誰かが来ても助けられないようにする為に…巨大な木の触手で構成された球体になるまで何重も触手を巻きつけられてしまった。

 

「君達のようなただの人間がヒーローを気取って戦った事で意味がないって事、早く気づいていれば死なないで済んだのにねぇ」

 

まぁ聞こえてないだろうけどと独り言を終わらせ…3人まとめて圧死させようと触手を動かし始めた、その時中でチカは

 

(お母さん、ヨハネちゃん、ヌマヅの皆…もう一人の私…スクールアイドルの皆…仮面ライダーの皆さん…そして…世界中の皆…私達はもう終わりみたい…皆の所に戻れなくて…ごめんね…)

 

そう無念の想いを感じながら…目を閉じていた。

 

 

 

 

 

 

 

アナザーウォッチを埋め込まれた四体の怪物、本来のあるべき姿を捨て新たなライダーの贋物へと変わる

 

呪え、新たなアナザーライダーの誕生を

 

4体のアナザーライダーはそれぞれ様々な特徴をしていた

 

黒い装甲の周りは銀縁で囲まれていた。だがそれは杭や釘で肉体に打ち込まれた上で、ワイヤー等でガチガチに固定されているように見えて、無理やり纏わされいる印象を抱かせる。

背部には火花が散っている壊れたバッテリーを背負っている。

バッテリー残量を示すバックルが腹にあるが、それは割れてしまっている為にどのように表示されているのか分からなくなっていた。

二又に分かれた額のアンテナ、水色のバイザーから透けて見える見開かれた白眼仮面ライダーG3を彷彿させる頭部をしていた。

ひしゃげて裂けているマスク部分の口と、ギザギザになった部分の牙が合わさってハロウィンの南瓜の様な印象を抱かせるだろう。

 

《G4…!!》

 

アナザーカブトによく似ていた、だが右肩の角はなく青い眼は黄色く赤い肉体は黒く染まるが胸の所々は赤い血が垂れているかのように赤く染まっていた、そして背中には飛ぶ事が出来ないぐらいビリビリに破けていて、そしてクシャクシャになった紙みたいになっている大きな羽虫の羽がくっついていた。

 

《DARK KABUTO…!!》

 

全身が濁った紫色で染められていて、コブラの種類の蛇を彷彿とさせる左右に広がっている頭部をしている上、左手は蛇の尾、もしくは蛇腹を連想させる剣と一体化していた

 

《OUJA…!!》

 

巨大な赤い一つしかない眼球の上に扇型の黒い兜を被さっているように見える頭部と、全体的に灰色の肉体に皮製の黒い装甲が鋲で打ち込まれている体が特徴的で、獣の皮が腰には巻き付けてられている。また、胸部にも生きているように生々しい単眼を模した装飾も特徴の一つと言えるだろう。

 

アナザーオーガの巨体に適したサイズになっている、剣か鈍器か判断が難しい先頭が二叉に分かれている円筒の形である大きな黒い武器を肩に担いでいた。

 

…ただ、正史における召喚されたアナザークウガよろしくとある世界で現れたアナザーオーガより一回り小さくなったが

 

《ORGA…!!》

 

それぞれエカルマギア、ライノセラスビートルオルフェノク、マスカレイドドーパント、ライノイマジンが変化させられた姿である。

 

「いけ!!」

 

アナザーバールクスの命令に従い彼らはマリに襲い掛かる。

 

《CLOCK UP》

 

低音の音声が鳴ると同時に高速の世界に突入する

 

「っ…!!」

 

…これに対しマリはどうすればいいか?答えはシンプル、時間停止している隙に全員を魚で食い尽くせばいい

 

だがそれは絶対に出来ない

 

何故ならこの近くにはタイムジャッカーのオーラとウールがいるからだ

彼らが時間に干渉してきた時に彼女はそれを解除する役目がある。そうしなければ彼らと相対しているダイヤとチカ達が一瞬で倒されてしまう可能性があるからだ

 

時間停止というのは基本的に何度でも出来る物でない(仮面ライダークロノス等例外がいないわけではないが)、仮面ライダーがいない世界における能力者達も制限がある傾向にある。

 

そして彼女の時間停止や魚群を操る力も魔力を利用し発動している。故に使いすぎるとそれが切れてしまいしばらく魔法を発動出来なるのである。つまり何度も好き勝手に使える能力ではなかった

 

故に彼女は自分の為に時間停止は使えない、大切な仲間を失いたくないのだから

 

「マリ様!!」

 

《ライジングディストピア!!》

 

隙だらけのマリをカバーするは001、再び加速の世界に侵入すると同時に同じ世界にいるダークカブトを相手取る。

 

だが残りのアナザーライダー達は狙いを変更する事などありえない。アナザーG4はミサイルの発射機構を構え、アナザーオーガとアナザー王蛇はマリを狙い走り出す。

 

(無理…!!削り切れない…!!)

 

アナザーオーガの巨体は彼女の魚をもってしても削り切るには時間がかかる、その間に距離を詰められてしまうと分かってしまった。…するとそんな彼女に1匹の狼獣が接近していた。

 

「がうっ!!(マリ!!乗って!!)」

 

「ライラプス!!ありがとう!!」

 

マリはライラプスに搭乗、凄まじいスピードで逃げながらアナザーライダー達を削り取る事を選択する。

…だが忘れてはいけない、敵は彼ら3体だけではない

 

「隙だらけだ!!」

「なっ…!!」

 

アナザーバールクスもいる事を…!!

 

彼は地面の中を再び水になって潜行…ライラプスのいる方向に回り込んで長剣で斬りかかりに来たのだ

 

そのままライラプスにとって振り落とすのが難しい場所である前脚の上に乗ってマリは縦に振われた剣を即座に身を翻して回避、次に右に振られた剣を

 

「ぐぅぅぅぅぅ…!!」

 

…元はイズが所持していたが武器を所持しないのに生身で戦場へ向かうマリを案じて渡していた武器…オーソライズバスターで防いだ後に

 

「やああっ!!」

 

アナザーバールクスに魚群を襲いながら長剣を弾いて斧を振るう

 

「ふん」

 

バールクスは再び液体と化して地面に溶けていく…斧を避けると同時に別の攻撃に巻き込まれないために

 

「…ああっ!?」

 

上を見て気が付いた…遂にアナザーオーガはライラプスに肉薄してしまっていたのだ。

 

巨大な武器がマリの脳天を潰さんと迫りくる。マリは魚群の群れをかき集め盾として必死に防御しながら

 

「ライラプスっ!!」

「ばううっ!!(分かってる!!)」

 

剣の重みから退避しようとするが…

 

忘れてはいけない、迫っていたアナザーライダーはオーガだけではないという事を

 

「貴方も…!!」

 

アナザー王蛇が今度は逃がさないように正面に回り込んでから飛び掛かり左手と一体化した剣を振るってくる…ライラプスが動けないように力強く頭を踏みつけながら

 

それをオーソライズバスターで防御…するが…!!

 

「ハァ…!!ハァ…!!ハァ…!!」

 

いくら魔王族の人間であろうとも相手は仮面ライダーという人間を超越した存在と同等の実力を持つ贋物である怪物達、全運動神経をフルスロットルしても防御し続けるのに限界が近づくのは道理であった。

 

そして追い詰められたマリを更に狙い撃つ者がいた。

 

それはアナザーG4、ソレはこのタイミングで4発のミサイルを発射してきた…まるでマリが追い詰められるタイミングを知っていたのかのように

 

「トドメだ!!」

 

そしてこれは最悪のダメ押し

 

アナザーバールクスは長剣をマリの心に目掛けて投げ飛ばす…まるでバールクスがかつて行った裏切った忠臣への制裁を再現するかのように

 

 

 

(終わり…みたいね…)

 

アナザーバールクスの投擲された刃

アナザーオーガの巨大な武器

アナザーG4のミサイル

アナザー王蛇の攻撃を止める事

 

どれもこれも抑える事は不可能だと…悟ってしまった。

 

時を止めればいい?流石に自分の命が危ないのに使わないのはおかしい?

…残念ながら彼女はもう時を止めれないのだ

身体能力の向上、アナザーオーガの高火力の攻撃への防御

これらへの対処の為に…彼女の魔力は時間停止を不可能にするまで枯らしてしまっていたのだ。

 

(ごめんなさいヨハネ…貴女の相棒まで巻き添えにしちゃうなんて…)

 

マリは親友に対して謝る事しか出来なかった

 

(何が魔王よ…本当に自分が不甲斐ないわ…)

 

自分の力のなさに自嘲しながら…眼を瞑ろうとした




アナザー王蛇とアナザーオーガ、そしてアナザーG4の描写については

K/K様の執筆なさっている

『仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー』https://syosetu.org/novel/169171/

という作品と、その続編である

『仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~』https://syosetu.org/novel/364134/

という作品からお借りしました。
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