這う混沌の幻影   作:redhot

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這う混沌の幻影

プロローグ 繰り返す回廊

 

1.

 

 アイザック・クラークのブーツが、USGイシムラの医療区画の床を叩いた。

 金属の床は血に濡れ、まるで生きているかのように脈動していた。

 薄暗い蛍光灯が点滅し、壁に歪んだ地文字が浮かぶ――「星辰が正しい」。

 マーカーの仕業だ。

 アイザックの頭蓋に、ニコルの声が響く。

「アイザック、助けて……永遠にここに……」

 幻覚だと分かっていても、胸が締め付けられる。

 プラズマカッターを握りしめ、彼は息を整えた。

 

「落ち着け、アイザック。マーカーの信号源は近い」

 隣でエリー・ラングフォードが言った。

 彼女の片目は義眼だが、暗闇で奇妙に光る。

 アイザックはそれをマーカーの影響だと考え、気にしない。

「この回廊、さっきも見た気がする」と呟くと、エリーは笑った。

「マーカーが頭をいじるのよ。進むしかない」

 

 通気口が軋み、血まみれのスラッシャーが飛び出した。

 アイザックはステイシスで動きを遅くし、プラズマカッターで四肢を正確に撃ち抜く。

 血と肉片が飛び散り、床の脈動が一瞬強まった。

 遠くで、聞き慣れないクリック音――カチ、カチ、カチ。

 姿は見えないが、気配が空気を刺す。

「プレデターだ……」

 アイザックがつぶやく。

「急ごう。エリー!」

 だが、彼女の笑みが一瞬、凍りつくように歪んだ。

 

2.

 

 火星の赤い砂漠に立つUACの研究棟は、崩壊の爪痕に覆われていた。

 DOOMスレイヤーはショットガンを構え、テレポーテーション装置の残骸が並ぶホールに踏み込む。

 赤い光が漏れ、床が液体のように揺れる。

 不気味な唸りが響き、壁に刻まれた非ユークリッドな模様が脈動する。

 ルルイエの影響だ。

 

「装置のデータを習得してください。ポータルを封じられます」

 VEGAの無機質な声がヘルメットに響く。

 スレイヤーがコンソールに近づくが、画面のログが奇妙だ。

「星辰が正しい」と表示され、次の瞬間、「ルルイエが待つ」に変わる。

 スレイヤーの目は鋭くなる。

 闇からインプが飛び出し、爪を振り上げる。

 ショットガンの一撃でインプは血と炎にまみれて崩れる。

 だが、同じコンソールが再び現れる。

 まるで時間が巻き戻ったかのようだ。

 

 遠くで、カチ、カチ、カチというクリック音。

 空気が揺らぎ、クローキングの影が動く。

 プレデターだ。

 プラズマの閃光が一瞬ホールをかすめ、スレイヤーは身を翻す。

 敵は姿を消し、気配だけが残る。

 スレイヤーはコンソールのログを記録する。

 データに矛盾がある――VEGAの指示が、UACの記述を超えている。

 

3.

 

 アイザックはイシムラの教会区画に足を踏み入れた。

 ユニトロジーの祭壇は血と触手で汚れ、壁の地文字が「ルルイエが呼ぶ」に変わっていた。

 さっきは「星辰が正しい」だった。

 時間の歪みがアイザックの頭を締め付ける。

 マーカーの幻覚が強まり、ニコルの姿が現れる。

「アイザック、永遠に繰り返すよ……」

 彼女の顔が触手に侵され、笑みが不気味に歪む。

 アイザックはプラズマカッターを握り、汗が額を伝う。

 

「マーカーの信号はこっちだ」

 突然、血まみれの乗組員が現れ、震える声で言う。

 どこかエリーの響きが混じるが、アイザックは気づかない。

「エリーはどこだ?」と問うと、乗組員は「安全な場所に」と答え、暗闇に消える。

 通気口が破れ、強化型ネクロモーフが襲いかかる。

 アイザックはステイシスで動きを遅くし、プラズマカッターで四肢を吹き飛ばす。

 血が床に染み、床の脈動が早まる。

 

 遠くで、カチ、カチ、カチというクリック音。

 クローキングの揺らぎが一瞬見える。

 プレデターが潜む。

 アイザックは祭壇の解析装置を起動。

 マーカー信号にルルイエの座標が混じる。

「なんだ、これ……?」

 乗組員が再び現れ、「下層に急げ」と誘導する。

 その声に、エリーの笑みが重なる。

 

4.

 

 DOOMスレイヤーはUACのバックアップルームに進む。

 コンソールの画面が点滅し、ログが「星辰が目覚める」に変化。

 VEGAの声が響く。

「ポータルを封じろ、スレイヤー」

 だが、ログにUACのデータベースにない記述――「ルルイエが目覚める」。

 スレイヤーのヘルメットが光る。

 闇から異形が飛び出し、魚人のような姿で襲いかかる。

 チェーンソーが唸り、敵は血と鱗にまみれて崩れる。

 

 同じコンソールが再び現れる。

 ループだ。

 スレイヤーはログを記録する。

 VEGAの指示に微妙な矛盾――UACの技術を超えたポータルの知識。

 カチ、カチ。

 プレデターのクリック音が近づく。

 熱視覚の光が乗組員の影を捉えるが、影は触手のように揺らめく。

 スレイヤーはショットガンを構え、気配を追う。

 

5.

 

 イシムラの教会区画。

 アイザックが祭壇に近づくと、地文字が「星辰が目覚める」に変わる。

 ニコルの幻影が嘯く。

「彼の意志。アイザック……」

 触手が彼女の顔を侵す。

 アイザックはマーカー信号の解析を続ける。

 ルルイエの座標が点滅し、異常が明確になる。

「また同じ部屋……?」

 乗組員が現れ、「下層に信号源が」と誘導、その声にエリーの笑みが混じる。

 

 突然、強化型ネクロモーフが再び襲う。

 アイザックはプラズマカッターで応戦し、爪を切り落とす。

 プレデターの熱視覚が闇で光り、乗組員を追う。

 カチ、カチ。

 クローキングの影が消える。

 ルルイエの脈動が強まり、時間が歪む。

 アイザックは装置に座標を保存する。

「何かがおかしい……マーカーのせいじゃないのか?」

 

 火星基地。

 DOOMスレイヤーはバックアップコンソールを再び見つめる。

 ログが「ルルイエが目覚める」に変化。

 魚人の異形が襲い、チェーンソーで瞬時に切り裂く。

 プレデターのプラズマが空気を焼き、乗組員が闇に溶ける。

 スレイヤーは矛盾を記録する。

 VEGAの声が、どこか嘲笑に似ている。




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深淵を覗く時、深淵もまた貴方を覗いている
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