新エリー都の不純物   作:偉大なる世界樹

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あまり以前の小説のクオリティに納得いっていなかったのもあって1度削除してしまいました。今後も自分で読み返してみて違和感があったり、文章が下手だと思った部分は編集して変えたりするかもしれません。自分勝手な話ではありますがよろしくお願いします。


怪しい男と紫の女

 治安官朱鳶は頭を抱えていた、というのも今目の前の男に対して行っている事情聴取がまるで順調に進んでいなかったからだ。

 

というのも先ほどから質問を投げかけても帰ってくるのはおかしな返答ばかりで会話がかみ合っていないことを痛感させられる、せいぜい分かったことはジャスティンという名前で23歳を自称しているということくらいだ。

 

 例えば「どちらにお住まいですか?」と問えば「えーと……外郭付近だな」と返され「外郭……郊外のことでしょうか?」と聞いても「ん? いや外郭は郊外とはあまり言わないと思うんだが、あー、たぶんそうだ」と釈然としない態度で答えられたり、

 

「ご職業は何を?」と聞けば「フィクサーだ」と答えられ「フィクサーとはどういった職業でしょうか?」と確認すれば「どういうって、そりゃハナから認呈された何でも屋のことだろ」とまるで世間知らずを見るような目で答えられた。

 

中でも最も酷かったのは年齢について聞いた時で帰ってきた返答は、

「10023歳か33歳か23歳」という返答で「すみませんが真面目に答えていただけますか?」と聞き返せば「俺は真面目に答えたつもりだったんだが……、肉体的な年齢の話か? 精神的な年齢の話か? 時間の基準はどこだ?」などと返され「肉体的な年齢で! お願いします」とあまり治安官として市民と接するにはよろしくない態度をとってしまった。ちなみに年齢は23歳らしいが本当なのだろうか?

 

 あまりの会話の噛み合わなさに1度自分が本当に世間知らずなのではないかと考えたがフィクサーなどという職業はやはり聞いたこともないし、裏の世界の話だとしても便利屋のことをフィクサーと呼ぶこともない。

 

かと言って目の前の男が嘘をついている様子はなくむしろ自身の答えが通じていないことに疑問を持っているようだった。

 

 そう悩んでいると逆に目の前の男、ジャスティンが質問してくる。「あー、ここは都市のどこなんだ?」と聞いてくるので「ここは新エリー都、ヤヌス区ルミナススクエアですが」と答えるが「ヤヌス……?」とまた黙り込んでしまい部屋に沈黙が訪れる。

 

このままでは埒が明かないと考えた朱鳶は本題に切り込むことにした。

 

「貴方がつい先ほど発生したホロウにてエーテリアスに襲われていた市民を助けたという証言が救助者から出ています」

 

「単刀直入に聞かせていただきます、貴方はホロウレイダーなのではないですか?」

 

朱鳶はその観察眼をもってその正体を見破る為に鎌をかける、だがしかし

 

「そのホロウとかエーテリアスっていうのは何だ?」

 

という返事と心底何を言っているのかがわからないという感情とこの頭痛のするようなかみ合わない会話をさっさと切り上げたいという表情だけが読み取れた。

 

このレベルで話がかみ合わずこの都市における常識といってもいいことを悉く知らないのであればエーテルによって記憶喪失やそうでなくとも記憶系に何らかの問題が起きている可能性は高い、そう判断した朱鳶は一先ず病院へと案内することにした。

 

「今の貴方はエーテル浸食によって何らかの悪影響が及ぼされている可能性があります、近くの病院へと案内しますのでそちらで診てもらってください」

 

「悪いな、わざわざ手間をかけさせて」

 

「いえ、これからパトロールに行く予定でしたから」

 

 1度病院で診てもらいそれからもう1度話を聞けばいい、もしもこの男がしらを切っていたのだとしても1度診断結果が出てしまえば言い逃れはできなくなるそう考え病院へと案内していくがその間も会話は続いていく。

 

「あー、えーと、その……」

 

「どうかしましたか?」

 

「さっきもしたような質問になるんだがここは『都市』じゃなくて新エリー都っていう地名なのか?」

 

「はい、ここは新エリー都ですが……?」

 

 少し言葉に困っているような表情で悩んでいるジャスティンに問いかけてみると出てきた疑問はついさっきされた質問と同じような内容の質問、朱鳶は繰り返し問われる当たり前の質問に困惑しながらも再び答えた。

 

「ああ、そうか……じゃあ『都市』って知ってるか?」

 

「その先ほどから言っている都市というのはどうやら新エリー都のことではなさそうですね」

 

「都市っていうのはその2文字で都市っていう地名だ、その前後に言葉はない」

 

「でしたら申し訳ありませんが私はその『都市』ということについてはわかりませんね……」

 

そう答えるとジャスティンはため息をついた。

 

 朱鳶は再びジャスティンを見やる、浅葱色の前髪は比較的整えられているのに対して後ろ髪は伸ばしているようだ。

 

服装は黒を基調とし1部が白のスーツと白の手袋といったものだ、正直に彼の印象をいうとするならば2日酔いのサラリーマンと言った印象であまり彼からが本当にエーテリアスを一掃しエーテリアスに襲われていた市民を助け出したようには思えなかった。

 

だがしかし撃破したエーテリアスがデュラハンである以上彼には実力者である可能性が高い、デュラハンというエーテリアスはその力強さと決して低くない知性を持つ都合上訓練を受けていない一般人には到底手にを得る相手ではないからだ。

 

 さらに謎なのは助けられた者達が証言するジャスティンの服装と今の服装は異なるということだ、彼らの証言ではジャスティンは黒を基調としたスーツだがその右肩には青色が入っていて、自身の身長よりも長い棒状の武器を振り回していたという。

 

しかし私たちが車両で現場に急行するまでは服装もそのままで棒状の武器も持ったままだったが治安官がついてから気が付いたら今の服装になっていてあれだけ長く、その辺りに投げ捨てたのであれば目立つはずの武器もどこかに消えていたらしい。

 

 考えれば考えるほどこのジャスティンという男は怪しかった、だが市民を助けた点といいホロウやエーテリアスを知らないといった時の表情には困惑こそあれど悪意はなかったように思える、怪しいというよりはホロウに長くいたことによって記憶が混濁しているというのが妥当な評価なのだろうかと朱鳶は評価を改めることにした。

 

そうして考えこんでいるうちに署の入り口へとついた。

 

「それで病院はどっちのほうなんだ?」

 

「まずはここを出て……」

 

 朱鳶が答え切る前に横にいる男の雰囲気ががらりと変わった。

 

先ほどまでは2日酔いなのか頭を押さえて眉間にしわを寄せていたりして気だるげな雰囲気を感じさせていたが、彼の視線の先にいる紫の服を着た女性を見てからは苛立ちや敵意それこそ殺気までもが剥き出しになっていた。

 

「ど、どうかしましたか?」

 

と朱鳶が問いかけるが返答はなくただその視線をそらさず女性を見つめたままだったが苛立たし気にため息をつくとただ一言

 

「治安官、もう案内は必要ない、すまないが俺はこれからあいつと話をしないといけない、病院なら後日診てもらうそれでいいだろう?」

 

「お知り合いですか?」

 

「ああ、腐れ縁だ」

 

顔をしかめながらジャスティンがそう答えると紫の服を着た女性にジャスティンが話しかけた。

 

「何の用だ、イオリ」

 

「ずいぶんと警戒するんだねえ、まさか私への恩を忘れたわけじゃないだろう?」

 

イオリと呼ばれた女性が愉快気に答える。

 

「恩だと? お前が俺にしたことは勝手に人の名義でL社に俺の名前を売りこんだだけだろうが、身に覚えのない内定通知が来た時の俺の気持ちを考えたことがあるのか?」

 

「だがそのおかげでお前さんも吹っ切れたんじゃないか」

 

「ところで話が変わるけどあんた私の『本』は読んだかい?」

 

「ああ読んだとも」

 

「じゃあ話が早いね、あんたたちに依頼がある」

 

「依頼を受けるかどうかの決定権は俺にはない」

 

「今話しかけてるのはあんたじゃないからねえ、聞いているんだろ、アンジェラ? 依頼内容はここを私たちの生まれ故郷みたいにしないように防ぐこと、報酬はそうだねえ……ここにはエーテルっていう物質がある」

 

「エーテルは扱い方さえ間違わなければ良いエネルギー資源になる、どうだい? 今の図書館においてエネルギーはあるに越したことはないと思うけど?」

 

「報酬として成り立っていないな、お前の依頼なんざ受けずともそのエーテルとやらを俺が図書館に持ち帰れば済む話だからな」

 

「それに…」

 

「あんたがそのエネルギーになるってことは考えなかったのか?」

 

 ジャスティンはどこからともなく本を取り出し、そのうちの1ページを破くとともにそのページが燃え、そこから現れた黒と白の蝶が彩られた2丁の拳銃を構えた。

 

「おかしいねえ、あんたのE.G.Oは植物だっただろう、でも今あんたが使ったのはアンジェラの能力とそっくりだ」

 

「俺のE.G.Oの異変はお前が理由だと考えていたが……いやまてなぜE.G.Oの事を知っている!?」

 

「1度図書館に入ったとき本に少し細工をさせてもらってそれ以来あんたらのことを図書館から出るまでみていたのさ、それに私がしたのはあんたをここに跳ばしただけさ」

 

「ここでは話せない内容が多すぎる、場所を変えるぞ」

 

事情を知らないものに都市や図書館の話をこれ以上聞かれることを嫌ったジャスティンが場所を変えることを提案する。

 

「いや、もうすぐここにあんた宛の招待状が届く、1回図書館に戻って依頼の結論を決めてからならあんたとのお喋りに付き合ってあげるよ」

 

そう言うとイオリは忽然と姿を消した。

 

「消えた!?」

 

朱鳶は突如として人の姿が消えたことに戸惑いつつもさっきまでいたはずの場所を調べてみるが何の痕跡も見つからず、彼女と面識のあるジャスティンに話を聞こうと振り向くもそのジャスティンもその姿を消していたのだった。

 

「いったいどうなってるんですか……図書館? エゴ?彼らは何を話していたのでしょうか……」

 

「1度戻って報告するべきですね」

 

朱鳶は目の前で起きた理解不能な事象をどのように報告するべきかに頭を悩ませながらも署へと戻っていくのであった。

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