新エリー都の不純物 作:偉大なる世界樹
お陰様で次話を投稿する勇気とモチベがあがります。
まだまだ稚拙な表現だったり至らぬ所も多いと思いますが本小説を今後ともよろしくお願いします。
「イオリの奴が姿を見せないのを見るにあっちはあっちで今は忙しいみたいだな」
既に亡くなった自分の息子の為に奔走しているのだろう。
突然出来た暇な時間を前にどうしたものかと迷っていると突如としてカラフルなノイズじみたレンズの凸のような形をした壁、もしくは幕のようなものが急速に目の前へと迫りくる。
この異変に対し1.76 MHzのようなその対象の内側にいるだけで異常を起こす可能性、或いは壁のようななにかそのものが生物の口である可能性に思い当たったジャスティンは迫りくる何かから遠ざかろうと試みるもその速度が速いうえ、ジャスティンのいた場所が入り組んだ路地裏であったことも含めて飲み込まれてしまった。
「この感覚は…」
飲み込まれてしまったジャスティンだが内側に入った瞬間からその違和感に気づく。
これは前回ここに来た際に感じた体が何かによって侵蝕されているかのような違和感、E.G.O装備時に感じる特有の違和感に酷似した不快感。
例えるのならBLACK属性の微弱な攻撃を受け続けているような感覚だ。
「これで良し。ただやっぱり
ねじれたヤンのページを装備しながらそうジャスティンは考えた。
誰かの殻を身にまとっていると浸食されるような症状は消える。それはきっと図書館に来るような人やE.G.Oを発現しうるだけの自我を持っていてその発現しうる、或いは既に正しい形またはねじれた形で発現した
なぜなら彼自身の体験も含め幻想体がほかの幻想体の手によって変質した事例を見たことがないのだ。例えば人間に近い見た目をしている捨てられた殺人者が蒼星の手によって鎮圧されたとしても捨てられた殺人者は蒼星の中には吸い込まれて行かない。これはほかの幻想体であろうと同様だ。
だからこそ強い自我を持ち図書館に招待されるに至ったゲストや幻想体達はこの症状を無力化できるのだろうと、そうジャスティンは結論付けた。
そう考えこんでいるとつい最近聞いた音を耳にする。その音は鋭い何かを地面に引きずりながらも移動する音だ。
「『疑問』もどき…いえ、あの治安官の言葉を考えるにあの怪物の名前こそがエーテリアスなのかもしれませんね」
疑問もどきというのはジャスティンがロボトミーコーポレーションで働いていた際に定期的に起きる試練という事象によって発生する緑の黎明で現れる『疑問』という名前の幻想体よりも不定形な存在に隻腕かつその腕が武器のような形状になっているなど類似する部分があったためジャスティンが名付けた仮名だ。
ロボトミーコーポレーションにいた時は懲戒チームにいただけあって今こちらに気づいていない怪物を無視するという選択肢がはなから存在しないジャスティンはエーテリアスの群れへと突っ込んでいく。
まず手初めに最後尾のエーテリアスをその大剣の突きで頭を砕く、続く1振りで縦半分に切断する。
仲間の断末魔によって自分たちが襲われていることに気が付いたエーテリアスは大声で叫び仲間を呼ぶ。
その間にも左腕がブレードのようになっているエーテリアスが5匹、束になって飛び掛かってくるがタイミングが同じだった2匹を横振りで真っ二つ、それぞれワンテンポづつずらして襲い掛かってきた残りの3匹は最初の1匹を肘打ち、続く2匹目を大剣の振り上げ、最後の1匹は振り下ろしにより一刀両断された。
肘打ちを入れたエーテリアスは辛うじて生き延びたようでそこに増援がやってきて合計10匹まで増える。そのうちの3体が右腕が剣のようになっており、残りは両腕を持たないエーテリアスだ。
10匹が一斉に徒党を組んでジャスティンへと攻撃してくる。
7匹の腕を持たないエーテリアスによる攻撃を完全に無視したジャスティンは残りの3匹を集中して攻撃しうち2匹を撃破することに成功する。
しかしその代償として無視した7匹からの攻撃を受け体中が傷だらけになってしまう。
「これで終わりです!」
絶体絶命に思えたジャスティンだったが剣を上に掲げることでなんと巨大な剣が上空に出現しその圧倒的な質量を持って残りのエーテリアスを纏めて圧し潰した。真に驚くべきところは彼がフィクサーとしての時間が長いだけあって周囲の建築物に一切の損害が出ていないところだろう、後衛の7匹を無視した理由の1つには建築物から遠ざけ、道のほうへと誘導する意図もあったのだ。
「誰かー!」
ここが市街地である以上そこに住む住民もいる。その住民からの助けを求める声を遠くから聞きとったジャスティンは建物の上へと駆け上がり建物から建物へと飛び移り一直線に声のする方角に向かった。
そこは避難箇所だったのだろう。何十人もの人間がその建物に避難していてそこに対して右手が鎌のようになったエーテリアスが執拗に攻撃を仕掛けていた、バリケードで対抗しているようだがこのままでは時間の問題であろうことが見て取れた。
「大丈夫ですか!?」と声をかけるも住人はおびえた様子で建物の中へと逃げ帰ってしまった。
「僕が相手です」
ジャスティンがエーテリアスに対して啖呵を切る、がその瞬間右手が鎌のエーテリアスが姿を消し背後に現れジャスティンの首を取らんとその鎌を振り下ろす。
その振り下ろされた攻撃に対して狙われた首を守るように背中に背負った剣を抜き防御しエーテリアスに対して切り付ける。すかさず印をエーテリアスに対して起爆して追撃をする少し体制を崩したエーテリアスはその隙を誤魔化すかのように再びワープする。
先ほどのワープでタイミングを掴んでいたジャスティンは現れたところに切り込むも再びワープされ体制を崩される。その隙に振り下ろされた攻撃を間一髪で転がることで避けると頭部に向かって再び印を起爆することでエーテリアスの撃破に成功した。
「今のは少しヒヤッとしましたね…」
「…?」
ジャスティンが異変に気付く。理由は不明だが地面で蠢く青紫の何かが形作らんとしていたのだ。先手必勝と言わんばかりに切りかかるがその瞬間、青紫色の何かがマネキンのような形をとり、そしてその右肩からの鎖によってつながれた右手によって思い切り殴り飛ばされた。
その姿はまさしくねじれと化した状態の,D@;Q7Yそのものだった。
厄介な相手にこの姿で相手取るには向いていないとジャスティンは判断するとどこからともなく本を取り出した。
その本には『審判鳥』と書かれており、そのうちの1ページを破るとともに自身の体内へとそのページを押し入れるとジャスティンの周囲に紙が舞い一瞬姿が見えなくなったかと思えばその装いは黒のコートを着たかのようになっており、さらにその1部には包帯がまかれていて、首周りは羽毛のようなデザインになっていた。そしてもう1ページ破くとそのページが燃えると同時にその炎の中から現れた剣は金色の柄と黒色の刀身には包帯が巻き付いているという特徴を有していた。
そうして戦いの準備を終えたジャスティンはすさまじい速度で誰かが近づいてきているのを感じた。いや、正しくは感じるとほぼ同時に到着していたと表現するべきだろう。
その相手は黒髪赤目の狐耳が特徴的な着物の日本刀を持った女性だった。
「誰だ」ジャスティンが短く問いかける。
「星見雅だ」狐耳の女性はそう答えた。