ハーレム目的でダンジョンに潜ったら、実は幼馴染のことが好きだった件   作:松田駅

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2話ダンジョンに興味ないんだけどなぁ

 

「いやぁ〜、正直そうでもしないと八方塞がりなんだよね」

 

 

大変だねぇと、椎名はグラスに入った赤い液体を飲んだ後、間延びした口調で他人事の様に言った。

 

 

「いやいやいや、確か魔人って人類の敵対種族なんですよね? そもそも会話とか成立するんですか?」

 

 

空太郎は焦りながら問い返す。

これは私も会話に参加した方が良いのでは?

そう思い、椎名にアイコンタクトを送るがフルフルと静かに首を横に振られた。

 

 

 

「……まぁ、多くの魔人はそうだね。けれど世代によって変わってきている。特に比較的穏和な若い魔人も少なくない。そこで空太郎君の出番って訳だねぇ」

 

「空太郎君の出番って……。俺この間まで普通の学生だったんですよ?」

 

 

空太郎は魔人との邂逅に恐れがあるのか、声音が少し震えていた。

私は「大丈夫、俺がいるよ」という気持ちを込めて仰向けになり空太郎の手を握った。

 

 

「……普通の学生は先祖返りした魔人を手篭めに出来ないねぇ……! 今の世代の魔人と対話するなら他の第一級探索者くらいなら出来るかも知れない。でも、複数体仲間に引き入れるのは空太郎くん君にしかできないんだよ」

 

 

椎名は興奮したのか前のめりになりながら握り拳を作り熱弁する。

 

……あっ! 魔人って私もかぁ! 

空太郎といると全てがどうでもよくなってアホになってしまう!

 

 

「いや、人聞きが悪いこと言わないでください……。した覚えないです! でも、わかりました、俺やります。まだ、良くわからないけど、やり遂げます」

 

 

空太郎はまだ不安そうな表情をしていたけど、真っ直ぐ椎名の目を見つめながら応えた。

 

 

「うん、良い返事だ。よし! じゃあ早速ダンジョン向かおっか?」

 

「……えっ? なんで? 俺まだぼろぼろだよ? 見なよこの左腕……フニャンフニャンだよ?」

 

 

まさかの急展開に私は黙っていられず此処に来てから初めて口を開く。

私の姿を見た椎名を少し顔を顰め立ち上がった。

 

 

「あのねぇ。まず君は応接室に来る頃には回復してただろう? 空太郎君に甘えたいから仮病使ってただけじゃないのかい? 空太郎君が側にいると随分と甘ちゃんになるんだねぇ」

 

 

「ぐふぅ……。椎名の分際で!! ぶっころ……はっ倒してやる!」

 

 

腹が立って起きあがろうとするが、空太郎の腕が私を止める。

 

 

「はいはい、カナタ落ち着けって。ちゃんと甘えくれる様になってくれたの俺は凄く嬉しい」

 

「……うん」

 

 

頭を撫でられ苛立ちが浄化されていくのがわかる。嬉しいが溢れて自然と笑顔になった。

 

 

「……そんな甘ちゃんの君が止めなかったのは意外だったねぇ。てっきり、そんなことさせる訳ないだろ? なんて断ってくると思ったよ」

 

 

ソファに深く座り直した椎名は首を傾げ、俺に問いかけた。

 

 

「え? あぁ、俺もいるし空太郎には魔人の種を昨日あげたからまず死ぬことはないかなって。それに今後、ダンジョンに潜ったりしてたらいつかは出会うだろうし」

 

「……まぁ、君ならそうするかぁ。なら、私が急かしてる理由も分かるよね? 死ぬことはないというが、普通に気絶したり怪我もする。特に空太郎君は戦闘経験が皆無だ。だからこそ、すぐにでもダンジョンに潜って少しでも、実力を伸ばしてほしい。後、魔人の種は機密事項の一つだから今後不用意に言わないようにしてね」

 

 

椎名は真面目な表情で伝え、俺は渋々頷いた。

まぁ、椎名の言い分もわかる。空太郎はど素人もいい所だ。多分ゴブリンも殺せないだろうし、魔力操作もできない。

 

ーー魔人の種は再生能力と複数の魔法覚えることが出来るっていう、少し魔人特有の能力を分け与えるだけだ。

 

 

実力が無ければサンドバッグにされるのがオチな訳で……。

 

私は空太郎のお腹に顔を埋めながら「わかったよ!!」と唸りながら叫んだ。

 

 

「決定だねぇ……、良かった良かった。じゃあ、とりあえず今から横浜市の初級ダンジョン事務所に転送するね?」

 

「え? 転送? 急すぎない? 武器ないよ?」

 

「まだ心の準備が……」

 

 

反抗虚しく一瞬で眩い閃光がこの空間を支配し、目を瞑ってから数秒後さっき迄なかった周りのザワザワとした雑音と人の声で転送されたことを理解した。

 

 

「やっぱり急すぎるって……」

 

「今のって魔法ってやつなのか?」

 

 

目を開けた先には確かに事務所が存在していて、周りの人間のじろじろと物珍しそうにした視線を感じながら渇いた笑みが溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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