Try to Save Yourself Like You Always Do   作:こぬ

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仲良くしようよ!

 

 「それで。…どこで俺の事を知った?」

 『言えないです』

 

 前世で主演のドラマ追っかけてました、なんて言える訳ないだろ。

 

 「S.H.I.E.L.D.との関係は」

 『無いです。存在も最近はじめて知りました。』

 「どうやって?」

 『それも言えないです』

 

 「…わかった。少しここで待っていてくれ。」

 

 少し思考した後に彼らはそう言い残すと、電子扉が音を立てて横にスライドし、1人を除いて全員が部屋から去っていった。どうやらご立派に監視役までついてくれるらしい。

 部屋には無機質なパイプ椅子一つ以外見当たらなかったから仕方なく腰かけ、何気なしに周りを見渡した。グレーの金属の壁に曇りガラスのスライド式ドア、他には棚もテーブルも本当に何も無い(ように俺には見える)のが意外だ、監視カメラやら盗聴器やら、何なら拘束具くらいはあるかと思って少し期待してたんだけど。まあただの一般人を拘束とかはできないだろうからそれはそうか。プライバシーの侵害。

 

 例のケバブ屋での出来事のあと、明らかに警戒されているのが分かった俺氏は大人しく彼らに従う他なかった。もちろん何かされたわけでは無いが。むしろS.H.I.E.L.D.の諜報員の秘密を公共の場でベラベラ喋った人物を警戒しない方がおかしいと思う、実質ほぼ弱味を握られてる訳だし。

 

 ということで、俺は今なぜか超絶ハイテク高層ビルに連れてこられて、人類最強に超人集団に詰められてる。噂のスタークタワーだ、エレベーター乗った時に見える景色は圧巻だった。今はもう窓が見えないから分からないものの多分五十階とかあると思う。すごい。

 

 『…あの、』

 

 手持ち無沙汰で指先を弄り続けるのにも流石に飽きてきたな、なんて思ってチラチラ視線を送ってみるも、変わらず俺を睨み続けて何も話してくれない。恐る恐る1人だけ残っていた人物に声をかけようと勇気を出して身体ごと振り向いた。

 

 「……」

 『あっ、話しかけない方が良かった感じっすか』

 「……」

 『ごめんなさい』

 

 無視まじか。

 

 『あの、本当に俺言っちゃいけない事だって知らなくて』

 「…バートンに家族がいるなんて、誰も知らなかった」

 『え?』

 「それに、彼自身は“S.H.I.E.L.D.の記録にも載せていない”って言ってたよ」

 『まじすか』

 

 「だとしたら、君はどうやったんだ?」

 「それこそ本人から聞き出すか、何らかの特殊能力でもない限りは不可能に近い」

 

 『えーーっと…』

 

 まずい。記録に載せてない?他に知り得る方法がない?知らねえよそんなに秘密主義だったなんて、そもそもそこまで詳しく覚えてないって。

 家族がいるとかいうごく普通の情報に過剰反応するとか思わずに、アシュリーをちょっと揶揄うために話しただけの俺かわいそう。普通の高校生だぞこちとら。

 

 どうやって答えよう、なんて口ごもりつつ目線がものすごく泳いでいるのが自分でも分かる中、困ってる俺に対して再び声をかけてくれた。優しげな瞳が少し柔らかくなったように見えるのは気のせいだろうか。

 

 「僕のことも知ってるのかな?」

 『…まぁ、有名ですし』

 

 そりゃあ勿論、かの有名なバナー博士は知ってますけど。俺が通ってるのも科学系の学校だし。

 

 『めっちゃ博士号もってる天才科学者、で合ってます?』

 「“もう1人の僕”のことは?」

 『あー、たまに緑の巨人にもなる。でも確か自分を実験台にした結果でしたよね?それはちょっと別の話かもっす』

 

 自我を失って怒りの赴くままに破壊の限りを尽くすとか大分どうしようもないよね。俺だったら耐えられない。

 

 「…すごいや、やっぱり何でも知ってるんだ」

 『なんでもはちょっと言い過ぎかもですけど』

 

 

 

 

  * * *

 

 

 

 それから数日、俺はここで大人しく過ごしていた。長期休みと被ったから学校は休まずに済んでいるのはありがたいけど、とにかく周りの圧と雰囲気に馴染めなさすぎて辛い。自由にしてくれ、と少しは無害なのが分かってくれたのか、あの部屋からは出れるようになって建物内をある程度歩き回れるようにはなって探索するのが楽しい。でも多分全部記録されてたりするんだろうな。

 

 映画で何度も見た最上階のリビング(の隅)に座りながら巨大な窓から外を眺めていた時。ちなみにここはあれだ、ソーのハンマーを持ち上げようとしたりパーティをしたりしてたソファの上だ。まさか自分がここに座る日が来るとは思ってもいなかったが。丁度そのタイミングで足音が聞こえた方向に振り向くと、そこにはアメリカを象徴するヒーロー、キャプテン・アメリカが神妙な面持ちで俺を見つめてた。

 

 『こんにちは?』

 

 声をかけていいのか大分迷ったが、何とか言葉を口にする。

 

 「…すまない、少し時間はあるか」

 『え?まぁいくらでも暇ですけど…』

 「確認しないといけない事がある。…ついてきてほしい、」

 

 『いいですけど…、どこに?』

 

 

 

 「…“ロキ”という名前を知っているか」

 

 

 

 

 




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