魁霽紀   作:倖往はゆ

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序章 第拾話  那珂

那珂(なか)

 

 (おり)からの作業もなんとかひと段落したことだから、何か気分転換に違うことをしてみようと思った。

 何か知ってそうだな、と思ってれのんちゃんに訊いてみる。

 曰く、『う〜ん、ぼくが知っているのでいいんだったら、アニメを観る〜、とか、あとは漫画を読む〜、とか、あとはプラモを作るとかかな〜』という。

 私はアニメくらいたまに観るし、漫画だって人並み(何が基準かはわからないが)には持っている気がする。でもプラモなるものは知ってはいるけれど、触れたことがない。父親が部屋の片隅でぼそぼそと作っていた記憶があるが、自分で触ってみたことはない。そういえば昔、父親に試しに作ってみたら?などと言われて選んだプラモがまだこの部屋のどこかに眠っていた気がする。たしか、なんとなく格好良さそうと感じた、1/350の戦艦金剛(こんごう)だったと思う。でも箱を開けてランナーが多すぎて結局諦めたのを覚えている。何にしろ、今だったら作れる気がしなくもない。

 お礼に(なっているのかよくわからないが)金剛の写真をれのんちゃんに送ってみる。

 

『これ、作ってみる』

『え〜、1/350じゃん!どこでそんな高いの手に入れたの〜?』

『昔父親に買ってもらって放置してた』

『へ〜、そうなんだね!』

 

 ひとまず箱を開けてみる。ランナーを袋から出して床に広げていく。今までプラモデルといえば、色がもうついていてあとは組み立てるだけ、というものを想像していたがどうやら違うらしい。というのも全てのパーツが同じ灰色で、塗料なんて持っていないぞ、と焦ってきた。

 

『ねえ、もしかしてさ、これって塗料いるの?』

『あ、たぶん… まあ、でも少しくらいは組み立てて、あとで塗装してみたらどうかな〜?』

『ありがと』

 

 組み立て方についてネットで調べて、父親の工具箱からニッパーを借りてくる。

 あとは指示通りに何とか作業していった。慣れていないから難しく感じるけれど、無為に寝ているよりはまだましだろう。

 

『てかさ、れのんちゃんて何のプラモ作るの』

『う〜ん、基本は古い飛行機のかなあ、』

『たとえば?』

『えっとね、基本は1/48の飛行機かな〜 二次大戦の時のが主なんだけどね、たとえば雷電(らいでん)とかあとは疾風(はやて)とか、しんでん(しんでん)なんかも作ったかな〜』

『そうなんだ』

 

『てかさ、今ね、この前送ってくれた歌詞でMV作ってるんだけど、これがひと段落したら、またどっか行かない?』

『どんなとこ?』

『この前は海行ったからさ、次は山とかどうかな?』

『いいと思う』

『でも正直、山登りとか辛いよね〜』

『それはそう』

『そんなあなたに朗報です!調べたところ、駅から1時間とちょっとのところに蒸気機関車が走っているらしいです!それだったら山の方(山登りとかじゃないけど)いけると思うんだけどどうかな〜?』

『知らなかった、』

『どうする〜?いつ行ってみる?』

 

 どうやら、私に拒否権はないらしかった。というか埼玉県民だけれど機関車が走っているなんて知らなかった。

 

『いつやってるの?』

『えっとね、運転スケジュールを送るね!』

『じゃあ22日とかどう?』

『おっけ〜!』

 

 プラモの話からまさかこんな話になるとは思ってみなかった。こんな唐突に話が進むと、「なんだ藪から棒だな。いーえ壁から釘です。」なんて言いたくなる。

 それはそうともう夏休みもあと2週間を切って少し寂しい気持ちになる。

 でも、いまは22日のことだけを考えよう、と、そう思えた。

 

 

まだ残る日を数えているから私はまだ息をしている




 読んでくださり、ありがとうございました。
 次回はたぶん、ぷち旅行回になると思われます。
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