魔法少女エリュシオン~リア凸に怯える最強魔法少女はダンジョン配信に映りたくない~   作:文月なご

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閑話 こりすとご当地魔法少女6

 こりすとフウカが地下施設に侵入していた頃、セレナ達は応援に駆けつけたダン特と協力し、街に出現したモンスターの掃討に成功していた。

 

「ふぃー、モンスターはこれで全部?」

「そのようなのです! むふん、余裕だったのです!」

 

 槍を手にしたまま大きな息を吐くリオの横、ミコトがドヤ顔で胸を張る。

 

「勿論、ミコっちゃんが頑張ったのもあるけどさ、ダン特が応援に来てくれたのがデカいね」

「そうですね、不自然なほど応援が早かったです。まるでこうなることを予期していたように……設楽さん、ハンナさん、ご説明願えますか?」

 

 セレナはリオの言葉に同意し、周囲の隊員に指示を出している設楽とハンナへと笑顔を向ける。

 その笑顔の威圧感に、ハンナが少し顔を引きつらせて半歩下がった。

 

「え、エリアマスター。べ、別にやましいことはありませんよぅ。そうですよね、設楽先輩!」

「ああ、正当なダン特の任務だからな。学園長代理のことだ、私達が言うまでもなく察しているんじゃないか?」

「はい、おおよそは。本来、このエリアは奪還優先度はそう高くなかったはずです。なのに、壊都の白い輝石を使って、いの一番に奪還戦が行われ、しかもその規模に不相応なほどの戦力が投入されている。迅速に解決したい何らかの要因があったと言うことです」

 

 セレナの言葉に、設楽が無言で小さく頷いて肯定する。

 ダンジョン境界内でのモンスター掃討には国家公認魔法少女であるナナミも投入されている。高難易度レイド相当の戦力が投入されているのは明らかだった。

 

「ほーん、つまりダン特はここで怪人か何かが暴れるって予想してたわけね」

「情報提供してくれる協力者がいたんだ。放棄区域で怪人組織が暗躍しているが、下手に動けばモンスターを刺激しかねず、自分一人では到底勝てそうもないってね」

「むむー。でも、それなら奪還戦なんて回りくどいことをせず、セブカラを連れて怪人達を一掃すればよかったと思うのです」

 

 設楽の言葉に、ミコトが首を傾げる。

 

「連中、放棄区域の地下に大規模な施設を張り巡らせているようでね。半端な戦力で逃げられてしまったら元の木阿弥だろう」

「またどこかで再起を図られてしまうのです!」

「なるほど、そう言うことでしたか。しかし、白い輝石まで持ち込んだのは少々やり過ぎでしたな。黒晶石の侵食を妨げるあれを持ち込まれては、私が作り上げた街が台無しになってしまう」

 

 納得する一同の前、またもや市議会議員さん達を引き連れた市長がやってくる。

 

「米谷市長……でしたね。それはどういう意味ですか?」

 

 あまりにタイミングよく登場した市長に、セレナが警戒心を露わにして尋ねる。

 口ではどういう意味かと尋ねているが、その態度は市長が件の怪人一味であると疑っているものだった。

 

「クックックッ、察している通りですよ。温厚篤実な米谷市長は仮の姿……私こそが秘密結社"怪人街"の大首領デスメイヤー! この地下に作られた黒晶石の街を統べる者ですよォ!!」

 

 市長改めデスメイヤーが声高らかに叫ぶと同時、その足元が盛り上がり、荒れた道路を突き破って超巨大な黒晶石が突き出してくる。

 

「なんじゃありゃ、黒晶石!? ってか、最初から全く温厚篤実じゃなかったし!」

「やっぱり悪者だったのです! 天誅を下すのです!」

「小娘どもがよくのたまう! ですが、まあいいでしょう。所詮は滅ぶ者達の一足早い断末魔のようなもの。クゥーククク、ダンジョンで掃討している冒険者達が戻ってくる前に、一足早く地獄に旅立って貰うとしましょう!」

 

 デスメイヤーが巨大黒晶石に下半身を埋め込むと同時、その体から黒いオーラが放たれ、黒晶石が鎧のようにデスメイヤーの体を覆っていく。

 そして、体を覆う巨大黒晶石から、全身黒タイツの下級戦闘員が無数に生み出された。

 

『さあ、行くのです! 我が怪人街の住人達よ!』

「モンスター化した戦闘員! 怪人街なんて名乗るだけあって、一人で怪人組織と同じ戦力ってわけね! はっ、大盤振る舞いしてくれんじゃん!」

 

 リオはミコト目掛けて飛び掛かる戦闘員を刺し貫き、そのまま大きく薙ぎ払う。

 

「ハンナ、親玉より先に戦闘員を狙うぞ! 倒し漏らして街中へ逃げられたら厄介だ!」

「わかってます、先輩! でも、あそこに市民の方々が!」

 

 大剣を構えて間合いを取る設楽の横、ハンナがデスメイヤーの足元へと視線を向ける。

 巨大黒晶石の間近、腰を抜かして怯える市議会議員達が居た。

 

「し、市長……!」

『ああ、貴方達も居ましたか。ククク、用済みだったのですっかり忘れていましたよ。まあ折角です、解体して怪人の原料にでもしてあげましょう』

 

 怯える議員達を見下しながら、デスメイヤーが黒晶石の手を伸ばす。

 

「させるかぁ!!」

 

 だが、そこに割って入ったフウカが黒晶石の手を砕き、市民を守るように前に立つ。

 

「急いで! 今のうちに逃げるんだわ!」

「魔法少女叢雲風花……。た、助けてくれるのか? お前に酷い態度を取っていたのに……」

 

 襲いかかって来る戦闘員を大剣で吹き飛ばしつつ、フウカが腰を抜かしていた市民の男を助け起こす。

 

「どんな態度を取っていようが関係ないんだわ。魔法少女として街の皆を守りたいから誰であろうと守る、それだけなんだわ!」

『クゥーハハハ! これは滑稽ですな、貴方が魔法少女を名乗るとは! 折角ですから教えてさしあげましょう。この魔法少女叢雲風花は本物の魔法少女ではありません。この女は魔法少女の格好をしているだけの一般人! 貴方達の希望となれる力は持っていないのですよ!』

 

 デスメイヤーは啖呵を切るフウカを嘲笑い、希望の芽を摘むためにそう告げる。

 

「それがどうしたぁ!! 例えフウカが変身スキルを持っていないとしても、例え力が足りなくても、その心は間違いなく魔法少女! この魔法少女叢雲風花いる限り、この街に悪は栄えないんだわ!」

 

 だが、フウカは襲いかかる戦闘員を大剣で一刀両断にしつつ、堂々とそう言い返した。

 

「むっふー! よく言ったのです! リオ、セレナ、私達も負けていられないのです!」

「いやいや、テンション上げてくのはいいんだけど、もうちょい後ろさがんなー! ミコっちゃんはヒーラーなんだからさ!」

 

 リオはアグレッシブに戦闘員を迎え撃とうとするミコトの袖を引っ張り、代わりに槍を突き出して戦闘員を迎撃。

 そこにセレナが雷撃魔法を打ち込んで、戦闘員達をまとめて撃破していく。

 

「議員の方々の撤退支援はこちらに任せてください! フウカさんはデスメイヤーの足止めをお願いします!」

「合点承知! 感謝するんだわ、ピンクの人!」

 

 フウカを迎え撃つべく、巨大黒晶石から無数の黒い手を出現させるデスメイヤー。

 だが、フウカは羽子板状の大剣を振り回し、出現した傍から黒い手を次々と打ち落としていく。

 

『小癪なァ! コスプレに過ぎない偽魔法少女風情が……!』

「覚えておくがいいんだわ! お前はその偽魔法少女に一泡吹かされて負けるんだってにゃー!」

 

 そのままフウカはデスメイヤー目掛けて一気に突撃。

 その下半身を覆う巨大黒晶石目掛けて大剣を振りかぶる。

 が、その直前に巨大黒晶石から下級戦闘員が出現。フウカは殺到した戦闘員の猛攻を受け、弾き飛ばされるように跳ね転がった。

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