鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

117 / 322
では投下します


葛藤

 

「あなたも転生者なの?」

 

あの日の夜

暁美ほむらから投げられた言葉をミチルは何度も繰り返す

 

― 転生者 ―

 

自分のように「かつての世界」の記憶を持つ人間のことを彼女はそう言うようだ

かつての世界の記憶を持ち、命を狙ってきた「あいり」の例もある

あいりは今が「かつての世界」と違っていることを知っていても、無比の親友である「ユウリ」を守る為に再び「契約」して魔法少女となった

「今」を守る為に

彼女も「今」を守ろうとしているのだ・・・・

 

 

カラン・・・・・

 

「無貌」の魔法少女「暁美ほむら」はマギカ・カルテットで自分に割り当てられた巡回日程を消費し、変身を解いて自宅へと戻った

会議ならいざ知らず、彼女は基本、マギカ・カルテットの本部となっている宇佐美邸別館に寄ることはあまりない

それは何も門限が厳しい、といった理由ではない

彼女の両親は健在だ

しかし、彼女は「こちらの世界」でも「心臓に重い疾患」を患っていたため、その治療のために両親に多大の負担を強いることになった

そのため彼女の両親は未だに仕事に追われていて、見滝原で親子三人が暮らせるよう購入したこのマンションに帰ってくることは稀だ

この世界で普通の「暁美ほむら」として、生きている彼女にとってはその方が都合が良かった

たった一人の「友人」を絶望の運命から救い出すために、その「時を巻き戻す」魔法を使って幾つもの世界線、いうなれば「平行宇宙」無数にに旅して来た彼女にとって、両親は既にパーソナルを無くした存在となっていた

なぜなら、いまの「暁美ほむら」がこの世界での「暁美ほむら」と同じであると、断言することができないのだ

 

ひょっとして、今の私はこの世界の「私」を殺して成り代わっているのでは?

 

「まどか」と別れて、この世界に降り立った時からその不安は常に頭を過る

故に、今更両親にどんな顔をして会えばいいのかわからなかった

会った途端、娘じゃない!と叫ばれたら・・・・・

なら、いつも一人なら気が楽だ

きっとこれからも・・・・・

 

「早く会いたいよ・・・まどか」

 

ほむらが消えかかりそうな声でつぶやいた

 

「それが貴方の大切な人ね」

 

ほむらが涙を拭き、後ろを振り返ると、そこに小柄な影が立っていた

スポーティーなショートパンツ

草をイメージしたレースに彩られたブラウス

そして猫を思わせる癖のある短い黒髪

先日、彼女と模擬試合をした魔法少女「和紗ミチル」が門を背に立っていた

ほむらがすぐさま懐から愛用のベレッタを抜こうとするが

 

「?!」

 

スカート下に忍ばせたコンシールドホルスターの基部から、ストラップが千切れ落下した

 

「そういったものは必要ないわ。私は戦うために来たわけではないのだから・・・・」

 

彼女から敵意は感じられない

 

「・・・・人目に付くのはよくないわ。中に入りなさい。でも!」

 

ほむらが手を振った瞬間、その手にはデリンジャーが握られていた

デリンジャーをバネと時計用革バンドで肘に固定した「スリーブガン」

単純な構造ではあるが、非常に効果的だ

現にミチルは驚愕している

 

「例え、あなた自身の固有魔法がクラックであろうとも、それには対象がどんなモノを持っているか理解できなかったら意味がない・・・・」

 

ほむらがミチルの瞳を見つめる

 

「わかるわよね?」

 

ミチルが頷く

 

「もとよりそのつもりよ」

 

 

マンションの一室

そこがほむらと「家族」の家

だが、豪華な北欧製のテーブルは長らく使われていないのだろう、埃が薄く積もっている

 

~ 普段何食べてんだろ? ~

 

ミチルが冷蔵庫を開くとパック詰めの栄養ゼリーやクッキーのような栄養補助食ほどしか入っていない

 

「私達、いえ私には食事など必要ないわ・・・・・・もう死んでいるもの」

 

ほむらがミチルの背後から声を掛けた

ミチルが振り向いて彼女を見る

その瞳には彼女「和紗ミチル」が映っていたが、彼女を「見ていない」

今更ながら、ミチルは彼女の異常さを知った

 

「駄目だよ・・・・そんなの・・・・そんなのダメ!!!!」

 

ミチルは感情のままに叫んだ

それが彼女の奥底に届くのを信じて

 

 

 

NGシーン

 

~ 普段何してんだろ? ~

 

ミチルがそっと、ほむらのクローゼットを開く

音もなく扉が開いていく

 

 

「?!」

 

クローゼットの中を見た途端、ミチルが絶句する

 

ピンク色のウィッグ

ピンク色のふわふわとした「お洋服」

サイズは暁美ほむらのソレよりもワンサイズほど小さい

 

「見たわね・・・・・・・」

 

ミチルが振り向くと、そこには鬼面の如く豹変したほむらが立っていた

 

「これはですね・・・えっと・・・」

 

「問答無用!!!」

 

ほむらが手にしたM79グレネードランチャーから近距離で発射された、硬質ラバー製のライオット弾を喰らったミチルの意識はそこで途絶えた

 

 

「う~~~~ん・・・・・」

 

ミチルが周りを見渡す

何処かの地下に監禁されているようだ

全身を走る違和感

 

「お目覚めかしら?」

 

ほむらの声とともに照明が点灯する

 

「見てごらんなさい。イイ恰好よ?」

 

「へ?」

 

ミチルが自分の姿を見る

みるみる顔が青ざめる

 

「なんで、あのピンク色の服を着ているのぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

そう

今ミチルが着用しているのは、クローゼットの中の「あの服」だ

 

「あなたは背もまどかと同じ・・・・ぐふふ」

 

カメラを手にミチルに迫るほむら

ミチルを助けるものは・・・・・誰もいない

 

 

 

 

 

 




サブタイトルで毎回悩む
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。