鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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投下します


打ち砕かれた希望

民家ほどの大きさのこじんまりとした洋食店

個人経営の店舗ではあるが、掃除は行き届き、天井にはクラシカルな扇風機が備え付けられている

それでいて、気取ったところはなく、店主の性格がそこからも読み取れる

 

「・・・・・無理だ」

 

ボックス席

座り心地のいいソファーに身を委ねた、猫を思わせる癖っ毛の少女が静かに宣告する

 

「そんな・・・・・」

 

「どうしてもの駄目なのか?」

 

少女の目の前には「鏡写し」のようにそっくりな二人の少女

その瞳に浮かぶのは驚愕

信じたくない

二人の瞳はそう告げる

だが、黒髪の少女は静かに目を伏せた

 

ザァァアァッァァァ!!!!!!

 

外の激しい雨音が少女達の嗚咽を覆い隠した

 

 

数時間前

ビストロ・タチバナ

 

そこに二人の少女が静かに、それでいて不安そうな瞳の色で待っていた

 

~ いい?カンナ。「かずみ」との交渉は私がする ~

 

~ うん・・・・ ~

 

数日前、この洋食店の店主である「立花宗一郎」からの連絡がニコに届いた

二人の両親を助けてくれるかもしれない魔法少女、「かずみ」が二人に会ってくれるというのだ

ただ、それには条件があった

 

― 固有の魔法や願いを全て公開すること。そして一人で来ること ―

 

この条件は理解できる

名前も知らない魔法少女が彼女に会いたいというのだ

警戒してもしすぎることはない

ニコは立花に条件を飲むことを伝えた

そして・・・

 

~ 聞こえるカンナ? ~

 

~ 感度良好だよニコ! ~

 

今「聖カンナ」は瓶の中にいる

それは立花は「ニコ」しか知らない

だからこそ、「かずみ」にカンナのことを明かすのだ

固有魔法を明かす方法にこれ程、明確な手段はない

会談の時間は来た

 

「キミか?私に会いたいと言っていたのは?」

 

~ ?! ~

 

ニコの記憶にある「かずみ」はいつも朗らかな笑顔をたたえた好人物だった

「かつての世界」ではまさに「希望の魔法少女」といえた

だが今、ニコの目の前にいる少女はどうだ

まるで「戦いに疲れた兵士」のように虚ろで、それでいてその眼光は鋭く常に警戒を怠っていない

 

「ええ・・・・」

 

~ ニコもう出ていい? ~

 

カンナの声にニコは静かに頷いた

 

パリン!!

 

ガラスの瓶が割れ、「聖カンナ」が現出する

これは賭け

目の前で人が現れれば誰でも驚く

それが「魔法少女」であってもだ

 

「それがキミの固有魔法か?」

 

静かにかずみは二人を見つめる

 

 

見滝原での「研修」を終えて戻ってから、養親の立花宗一郎から告げられた言葉

「神那ニコという名前の魔法少女がキミに会いたがっている」

― 神那ニコ ―

「かつての世界」で結成された「プレイアデス聖団」で技術部門を一手に引き受けていた少女だ

無論、彼女を「救う」ことも「転生」したミチルの計画に入っていた

しかし彼女はアメリカにいた

いくら魔法少女であるといっても海を渡ることはできない

ミチルは「ニコ」を見捨てるしかなかった・・・

そのニコがミチルに会いたいというのだ

「会わない」という選択肢は既になかった

 

 

「私は神那ニコ。聖カンナの願いで生み出された合成魔法少女だ。固有魔法は接続」

 

「私は聖カンナ。願いは私のコピーを生み出すこと。固有魔法は・・・再生成」

 

二人の少女は短いながらも自分の固有魔法を明かした

ならば・・・

 

「私は和紗ミチル。固有魔法は破戒。会いたい理由を教えてもらおうか」

 

「私・・・いや私達は貴方にお願いがあって来た。」

 

「お願い?」

 

ミチルが二人を怪訝な表情で見つめる

 

「あなたの魔法で眠りつづける両親を目覚めさせてほしいの!」

 

ニコの目には涙が浮かんでいた

 

「詳しく話してくれ。だがこれだけは言っておく。私は万能ではない」

 

「・・・・わかっています」

 

二人はミチルに全てを話した

両親がギャングに撃たれ、キュウベェと契約して二人の魔法で両親の命を繋ぎ止めたことを

無論、幼い頃からニコの声が聞こえていたことは隠していたが・・・

 

 

雨音は尚も強く、それはニコにあの日の銃声を思い出させた

 

「・・・・理由を教えてくれないか?」

 

「私の固有魔法は破戒、言うなればクラッキング能力だ。キミ達の話では両親はそれぞれの魔法で命を繋ぎ止めた。私なら、キミ達の魔法に潜り込み、その間違えを修正することも可能かもしれない・・・」

 

「なら!」

 

カンナが身を乗り出す

 

「最後まで聞いてくれ。これは危険な事だ。ヘタをすればキミ達の魔法全てを壊してしまうかもしれない。覚悟は必要だ」

 

これは最後通牒

希望に縋って、現状維持を続けるか、それとも全てをなくす覚悟でかずみの魔法に賭けるか

 

「・・・・わかった」

 

「ニコ・・・・?」

 

「カンナも私も時間が必要だ。少し考える時間をくれないか?」

 

「ああ・・・時間は無限にある。だが・・・悔いのない答えを」

 

 

カラン・・・・・

 

「キミ達傘を・・・・!」

 

立花が二人に傘を渡そうとするが、ミチルに止められる

 

「今二人に必要な物は傘じゃなくて、時間だよ」

 

「でも・・・・」

 

「私も立花さんも部外者。だから、二人は二人で答えを見つけ出さなければならない」

 

「・・・・・・」

 

立花は土砂降りの中に消えていく、二人を静かに見つめることしかできなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 




そういえば、原作の特典SSでもあいりの病気は治せないって言ってましたっけ
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