鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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オーシャン・オブ・ファイヤー面白れーーーーーー!



第二楽章

真が謎の少女と邂逅した数日後

 

あすなろ市のうらびれた博物館の廃墟「アンゼリカ・ベアーズ」

その地下に造られた広大な研究所

そこには「紫の少女」宇佐美真琴と数人の少女達が集まっていた

あるものは自信と

またあるものはゲームを楽しむかのような不敵な笑みをたたえ

そしてあるものは淡い期待と、胸に突き刺さった棘のような痛みとを感じていた

真琴が一人の少女に声を掛ける

 

「紗々、準備はいい?」

 

「当然!」

 

金色の髪を揺らし、「鍵穴」の魔法少女「優木紗々」は「ソレ」を掲げた

白いウサギと猫を掛け合わせたような生き物 ― インキュベーター ― だった

何時もは何の感情の籠らない言葉を放つ存在だが、紗々の手にあるソレは死んだように動かない

首元に青紫色に光る宝石の嵌った首輪がされている以外は

 

「彫像の魔法少女の力は有効ね?」

 

紫色のドレスを着た少女 ― 宇佐美真琴 ― が傍らの青い髪の少女、「成功」の魔法少女 ― 秦愛華 ― を見る

 

「大丈夫!彼女の魂の欠片は問題なく作動しているよ。私に失敗なんてないんだから!」

 

愛華が胸を張る

真琴は彼女の「自信」が魔法少女の契約で得た「願い」に根ざしたものであることを知っているが、それでも一抹の不安は拭いきれていない

彼女が参考にした「かつての世界」での「箱庭」システム

それを生み出した「プレイアデス聖団」は、自らの「浄化システム」に多大な信頼を置き過ぎた為にソウルジェムの浄化ができずに崩壊した

システムを改善、改良できないモノに生殺与奪全てを委ねる事は、言うなれば自分自身の死刑執行書にサインすることと同義だ

気付いた頃には全ては終わっている、全てはこれに尽きる

だからこそ、彼らの「楽園」には全システムを崩壊させるための「コード」も備えている

「コード」は彼女達のみならず、「楽園」に行った魔法少女達にも伝えている

愛華を信頼していないわけではない

しかし、これは自分達だけの問題ではないのだ

全ての「魔法少女」、いや、因果が重なり合い修正不能なまでに歪み果てた「地球」を救うために必要なものだ

「リセット」しなければならない

他でもない、「門」を使い夜空に浮かぶよりも多い世界を回った彼女が

 

「ジュ二」

 

真琴が黒と白のを基調としたインキュベーターによく似た生物 ― ジュウベェ ― と戯れる盟友に声を掛ける

 

「イーヴル・ナッツの生育具合は?」

 

「発芽したてのモノが三つだよ。」

 

イーヴル・ナッツ 

かつての世界で得た「救世」の為のアーティファクト

これを使用すれば「魔女モドキ」になるが、しかし「死ぬ」ことはない

 

「なら用意なさい。」

 

「はいな!」

 

「愛華、救済の魔法少女の魂の欠片は?」

 

「準備済み!」

 

愛華が小さな卵型の宝石が嵌められた腕輪を差し出した

見た目は紗々が持っていたインキュベーターがしていた首輪によく似ている

ただ、中心に嵌っている宝石は灰色だった

 

「ジュ二、これを」

 

「うん」

 

老婆のような白髪の少女がそれを受け取り、自らの手に嵌める

 

「魔力の認証は腕輪が自動でするわ」

 

シュォォォォォ・・・・・

 

宝石がスカイブルーに光る

 

「魔力の認識完了。問題はないようね」

 

真琴が笑みを浮かべる

 

「対象は?」

 

愛華が大きなモニターを見る

 

「OK!今だすね」

 

マルチタスクで表示された画面には「牧カオル」、「御崎海香」そして「浅海サキ」が映し出されていた

そして、彼女達と「因果」で結ばれた者達の姿も・・・・

全ては完璧

彼女が好きな、いや彼女の「父親」がこよなく愛したベートーヴェンの「交響曲第9番 ニ短調」の第二楽章のように全ては計算されていた

 

「ジュウベェ1が追跡中。後はジュ二がファンタズマ・ビスビーリオを使って追い立ててくれれば完璧!」

 

― ファンタズマ・ビズビーリオ ―

 

「かつての世界」でプレイアデス聖団の一人が得意とした「広域使役魔法」

意思のあるなしに関わらず、範囲に居る人間や動物全てを自らの支配下に置く魔法

 

「動物たちの言葉を知りたい」

 

少女らしい「願い」だ

しかし、その願いは少女には大きすぎる「魔力」によって歪められた

 

「全てを自分の支配下に置く」

 

その魔法は一人の少女から大切な「家族」を奪った

魔法は人の世にあってはならないのだ

 

ジュ二の顔に影が差す

彼女の「姉」達はそれを「アイツ」使われて、「13番目」の妹と殺し合うことになった

戦いたくない!

彼女達は泣いていた

それでも戦い続けた

13番目の「妹」に「助けられる」まで

ジュニは自らの身体を見る

この白い肌の下、身体に流れる血はアイツらが生み出した「紛い物」

私少女らしい肢体を形作る白い骨も・・・・

人として持っているべき「血と骨」すら、私の物ですらないのだ

 

「できるジュ二?」

 

真琴にもわかっていた

これは、彼女の傷を抉ることであることを

 

「大丈夫・・・心配しないで真琴」

 

ジュニは真琴を見つめる

その真紅の瞳は決意の光に満ちていた

 

「いい目だ・・・」

 

真琴はジュ二を賛美した

過去の傷跡を忘れず、されど尚も前を向き進もうとするその「意志」に

 

 

「では、始めよう。私達の救世を!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




魔法少女の魔法って意外と裏表があるような・・・
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