鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下します


誰そ彼?

 

カツカツカツ

 

濃紺色の長髪を風に遊ばしながら、一人の少女が街を行く

すらりとした肢体

白い肌

少女からは生まれついての気品と知性が伺われる

そしてその美貌はまるで光を放つかのようだ

それでありながら、その美貌を鼻にかけたり、必要以上に自分を卑下しない

彼女の名前は「御崎海香」

あすなろ市内の中学に通う現役中学生にして、様々な作品を世に送り出しているベストセラーライトノベル作家だ

美と知

まさに天が彼女に二物を与えたかのような人物だ

望んでも手に入れられないモノを彼女は得ていた

誰もが羨むような環境

しかし街を歩く彼女

その表情は浮かない

 

「あの・・・・ニコ、いや聖カンナさんはいますか?」

 

あすなろ市立中央中学校

彼女が居るのは「2-2」号教室

 

「カンナ?ああ、聖カンナなら風邪でしばらく休んでいるよ」

 

~ 嘘!そんなはずはない! ~

 

数日前、彼女は魔法少女である「聖カンナ」と「神那ニコ」の二人に取材を申し込んだ

その際にニコ、カンナから魔法少女の身体のことは聞いている

基本的に魔法少女の身体は、契約を経て魔法少女に「再誕」する前、つまり人間だった時と同じだ

しかし、その身体には「魔力」が深く根付いていて、それらが自動的に働き病気になることもないし、普通の人間なら「重症」と判断される怪我であっても、魔力で底上げされた身体機能がその損傷をカバーしてくれる

故に、「魔法少女」であるカンナが病気になったからといって、病欠するはずがない

何らかの理由で治癒に時間がかかっても、「カンナ」には「ニコ」がいる

彼女の願いで生み出された「魂の片割れ」が

だからこそ、「二人一緒」に学校を休むことは考えられない

とはいえ、彼女達にはそれなりの事情がある

このあすなろ市を訪れたのは何も酔狂ではないのだ

 

― 植物状態になった両親を目覚めさせること ―

 

二人は言っていた

その為にアメリカから、日本の「あすなろ市」を訪れたことを

そして・・・・もし見つからなければ、また別の街に行くことになることを

彼女達は探していた「両親を目覚めさせることのできる魔法少女」を見つけることができたのか?

海香にそれを知るすべはない

 

「ありがとうございます・・・」

 

海香は「2-2」の担任教師である、「小早川秋生」に礼を述べると教室の扉を開ける

 

これではっきりしたことがある

それは幸い二人はまだこの中学校に在籍しているということ

もし探索を諦め、また別の土地へ引越しする予定なら、既に学校側にその旨を届け出ているはずだ

あの教師からはそんな話すらなかった

二人が魔法を使って記録や記憶を改竄した?

学校にいる全ての教師や生徒の記憶を全て改竄するのは現実的ではない

それに、もしそうならなぜ海香は今だにニコやカンナのことを覚えている?

 

街を歩きながら海香は考えていた

今私は何をしているんだろう?

唯の人間である私に?

私が行っても彼女達の助けにもならないのに?

所詮はただ小説が書けるだけの中学生だ

人を動かせるような権力もなければ、理不尽な暴力を止めることのできる力すらない

自分はあくまで傍観者

二人に近づいたのも、あの日に見た「非日常」を乗り越えるため

強いて言うなら、ただ興味があっただけ

コンビニや駅のキオスクで売られている低俗なゴシップ紙を読みふける人々と変わらない

そこを「カンナ」に追及された

 

― ただの興味だけで近づかないで! ―

 

でも・・・・

でも彼女達に出会って、海香は何か自分でも理解できない感情が広がっていくのを感じた

彼女達のことはあまり知らない

ここで目的を達成するか、できなければ再び何処かへと消える二人の魔法少女

彼女達を気に掛けるのは同情?

いや、それよりも深い感情だ

例えるなら、「前世」に出会っていたとしかいいようのない感覚だ

彼女達の為に自分が「何か」をしなければならない

漠然とした思いが彼女の行動を縛っていた

不意に、あの日の魔法少女の言葉が頭を過る

 

― 魔法少女は一生分の願いを対価に永遠に終わることのない戦いを強いられる ―

 

私にその、魔法少女の素質があるのなら・・・

私がニコとカンナの両親を目覚めさせることを願ったら?

そしたら二人は・・・・

 

「おやぁ~海香大先生様がどちらへ~~~~~」

 

男の下卑た声が海香の背後から響く

ぼさぼさの髪

髭も伸び放題

大分印象が変わったが、それは海香が半年前に会った「編集者」

彼女から盗作しようとした「編集者」だった

 

「何の用ですか?」

 

海香は毅然と言い放つ

彼女に音声メモリーを届けてくれた名前の知らない人物のおかげで、彼女の作品は盗作されることなく守られた

しかし、彼のやろうとしたことは到底許せることではない

 

「あの時はホントーに悪かったと思っている。おかげで俺も心を入れ替えて小説家目指して頑張っているところさ・・・」

 

ゾワリとした空気が周りを覆う

海香はかつてこれと似たものを経験したことがある

これは・・・

 

「魔獣の結界!」

 

カンナとニコに連れられて訪れた「魔獣の結界」に酷似していた

周りを見渡す

街並みは消失し、べたべたと広告や雑誌が張られた裏路地が現れた

出口はない

 

「俺の作品の手伝いをしてよ・・・海香大先生様よぉーーーーーー!!!!」

 

男の身体から無数のペン先が山嵐のように突き出した

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!!!」

 

少女の悲鳴は誰にも届かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 




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ひょっとして、さやかが復活?
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