鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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タイトルの意味は「凄腕の狙撃者」という意味です


デッド・アイ・ディック

「キタキタ~~~~」

 

黒崎国際学園本館の屋上で一人の少女がや過美な装飾が施された双眼鏡を見ながら呟く

明るい金髪を風に遊ばせる、この少女の名前は「優木紗々」

彼女の固有魔法は「洗脳」

彼女はインキュベーターと「自分よりも恵まれた人間を従えたい」との願いで契約を行い、魔法少女となった

自らの環境から起因する、ルサンチマン故の歪んだ願い

そして、いずれそのツケを支払うかの如く、破滅する運命を辿っていた

ある世界では彼女は魔力の使い過ぎで「洗脳」が解けてしまい、従えた「魔女」達に嬲り殺され

また、ある世界では「ある人物」から告げられた、魔法少女システムの隠された真実に心が折れ、ソウルジェムを砕いて自害する

繰り返す破滅の運命

それを覆したのはたった一人の少女

如何に全く救いようのない人物でも、無軌道な人生、その先の未来を見れば改心する

彼女にとっての救いは彼女を助けたその人物が、何も慈善事業で彼女を助けたわけではないということ

紗々にはそれが心地よかった

彼女を利用するために絶望の未来から「助けた」

愛だの友情だのを振りかざされるよりも信頼できる

それに、彼女が紗々に与えた「玩具」は何よりも彼女を惹きつけた

 

双眼鏡に映るもの

サキが彼女の誘導通りに「操り人形」の魔女に出会った瞬間が映し出されていた

彼女は既にインキュベーターが接触している

急がなければならない

彼女が「間違った」願いをインキュベーターに告げる前に

紗々は傍らにセット済みの黒鉄の塊に駆け寄る

流れるように・・・とは言い難いが、彼女は教わった通りに操作する

 

ガチャッ! チャッ!

 

クロームモリブデン鋼製ボルトが開き、磨きのかけられたチェンバーの鈍い輝きが夕日に映える

 

 

― レミントンM700ボルトアクションライフル ―

 

トータルの性能の高さ故に、ハンティングから警察、軍の特殊ユニットでも使用されている名品

速射性はオートマチックライフルに負けるが、その精度は素人であっても目標を撃ち抜くことを可能とさせていた

彼女はそっとスコープをのぞく

慎重に調節された照準はサキの胸にあてられていた

 

ガサッ・・・

 

彼女が懐から取り出したのは口径30―06のボトルネック弾

プロテクションから、ハンティングまでこなす非常に自由度の高い弾薬だ

しかし、その弾頭は白い大理石のような物質でできていた

紗々が自らのソウルジェムをそれに当てる

 

シュォォォォォ

 

彼女のソウルジェムが鈍く光り、卵型のそれから溢れだした光が白い弾頭に吸い込まれる

光の奔流が止まったのを確認すると、紗々は注意深く、そっとライフルのチェンバーにその弾丸を装填する

 

カシャッ!ジャッ!!

 

ボルトを操作し、チェンバーを閉鎖する

既にこのライフルは目覚めた

あとは口火を切り、獲物に喰らいつくのみだ

 

 

浅海サキは突如、目の前の現れた白い生物 ― インキュベーター ― を冷静に見つめる

ミチルや真君から告げられた真実

少女達に、たった一つの願いを叶えることと引き換えに、魔獣との永遠の戦いを強いる白い悪魔

インキュベーターの厄介なところは、契約の際にそのデメリットを説明しない

問い詰めても「説明を省略した」としか言わない

だからこそ、彼女達は安易に契約をして欲しくはなかったのだ

サキの複雑な思いとは裏腹に、無垢な声でソレはサキに話しかける

 

『僕が見た所、キミはかなりまずい状態のようだね?でも大丈夫。ボクと契約すれば命は助かるよ』

 

サキが魔法少女の真実を知らなければ、多少は可愛げのある生物と考えるだろうが、今は何の感情も読み取れない真紅のビー玉のような瞳も、しゃべっていても皺一つできない口元、全てが不気味にしか思えなかった

悪魔は言う

助かりたいなら「契約」しろ、と

 

「・・・・・」

 

サキは周りを見る

武器になりそうなものは一切ない

持っていたハンドバックには護身用のスタンガンが入っていたが、逃げる途中で無くしてしまった

まぁ、今手元にあってもこの絶望的な状況を好転させることができるとは到底思えないが

彼女を助けるものは目の前の白魔しかいない

危機に駆けつけて囚われのお姫様を助けてくれる、都合のいい「王子様」なんていないのだ

でも・・・

 

「・・・・・私の素質でできることはどれくらいある?」

 

「契約を前向きに考えてくれて助かるよ。そうだね・・・・君の素質なら大概のことが可能だよ」

 

既に願いは決まっていた

たった一人で戦い続ける「魂の片割れ」

彼女の傍らにいることができないのなら、せめてその破滅の未来から「彼女」を救えるのではないか?

それが彼女に救われた私、いや「ボク」の願い

一生で一度の願いなら・・・・

 

「インキュベーター!契約だ!私の願いはミチ・・・・」

 

 

「Fuck Off!!!!!!!!」

 

サキが願いを言うよりも、紗々の白い指がトリガーを引いていた

彼女くらいの少女には受け流すのが難しい反動

しかし体力が底上げされている彼女は難なくそれを受け流す

 

ダァーン・・・・・!

 

渇いた音が響くと同時にサキが胸を押さえて崩れ落ちた

 

「勝手は許さないよ?」

 

優木紗々が口元に笑みを浮かべていた

 

 

 

 

 

 




今期のアニメは意外と豊作
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