鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

161 / 322
サキのデザインって、見れば見るほど良さが分かってくる
他があまりにもぶっ飛んでいるけど・・・・


オモテトウラ

 

「・・・何だ?」

 

サキは自らの姿を見る

先程まで来ていた学院の制服はいつの間にか跡形もなく消え失せ、サキのスレンダーな肢体を白いタイツが包み込みとエンジ色に染められた乗馬用の衣服を着用していた

おまけに慣れたメガネはレトロな片眼鏡「モノクル」へと変わっている

彼女は視力は低い方だったが、幼い頃のようにクリアな視界が広がっていた

全ては唐突な「変化」だった

 

「そうだ・・私は・・・・」

 

~ 魔法少女になる ~

 

「そうだ!目の前に現れた白い生き物に契約を促されて・・・魔法少女になったんだ」

 

彼女を「再誕」させた不可思議な白い生き物「キュウベェ」はサキの周囲から何時の間にか消えていた

そう、まるで最初からそこにいなかったかのように・・・・

だが間違いなく「契約」は為された

この身体を巡る強く滾るような、不可思議な力はあの日、ミチルと真君から教えてもらった「魔力」と呼ばれるものだろう

今なら何でもできる

そんな昂揚感がサキに湧き起っていた

 

「ギュッギュォォォォォォォォォ!!!!!!」

 

目の前の化け物が吠えた

危機は脱していない

この「魔力」も「魔法少女」の宿命も今はどうでもいい

彼女に出来ること

それは、慣れない力を扱いこなし、この危機的な状況を打開する方法を見つけるしかない

 

シュォォォォォ!!!!!! バシュゥゥゥゥゥ!

 

「うわぁ!」

 

彼女が身を捩る

サキの近くに針にも似たツタを魔女が振り下ろした

魔女は彼女にそれを当てるつもりはなかったのか、身を捩ったサキよりも若干離れた場所に当る

それは強固なボイラー室の壁をとろけたバターをナイフで切るかのように難なく切っていく

その一撃は例え、強靭な肉体と強大な魔力を誇る魔法少女とて、そのツタの直撃を受ければその身を引き裂かれ命はないだろう

 

「ギュォォォォォォ!!!」

 

再び、化け物がツタを振り上げる

 

ギュァ!!!!!!

 

「何・・・・・・?」

 

不意にサキの身体に電流が走った

とても立っていられないような衝撃

身体の芯、いやサキの心にも広がっていくような衝撃だった

しかし、そんな強大な電流を流しこまれたとしても、彼女に痛みはない

だが、その奔流は出口を求めて彼女の未習熟なその身体の中を暴れまわっていた

その衝撃に飲み込まれそうな瞬間だった

サキは知らず知らず叫んだ

 

「イル・フラース!!!!!!!!!!!」

 

サキは「七人の姉妹」の一人として戦った「かつての世界」のように、心の奥底で渦巻く衝動のままにそう叫んだ

その叫びがトリガーになったのだろうか、身体の中を暴れまわる奔流が一つの流れにまとまっていく

サキはその奔流の一つ一つが操れるかのように感じる

そして・・・・

 

「・・・・・静止している?」

 

いまサキの目の前にはあのツタが、サキの身体を引き裂こうと空中で静止していた

静止?いや、それは目で動きを見ないとわからない程の速さでゆっくりと動いていた

魔力で時間を止めた?

それどころか、サキの身体はまるで空気のように軽く感じる

サキが恐る恐る足を踏み込む

その途端に視界が移り変わった

既に「静止した世界」ではなく、静止する前の世界に戻っていた

彼女の思考はこれが「時間に関する能力」ではないことを見抜いた

 

― 電流を操る能力 ―

 

いうなれば人体を動かすのは微量な生体電流

その思考もまた、光よりも早い電流が蠢き編み上げられたもの

故に先ほどの「静止した世界」は彼女の身体機能が魔力が生み出した「電力」で底上げされたものだと断定できる

ならば・・・・

 

「この手に武器を!!!」

 

バチバチッ!!

 

ワインレッドの乗馬服を着たサキの手の中に電撃を纏う乗馬鞭が現れる

なぜ鞭なのかはなかなか理解できなかったが、その電流は彼女に「戦う」為の意思の炎を灯していた

 

「いける!」

 

バシッ!ヒュゥゥゥゥゥン!!!!

 

サキが地面を蹴って飛び上がる

足やそれに付従する筋肉がしなり、彼女の身体を空中へと放り投げた

想像もできない昂揚感が彼女を更に高ぶらせる

 

ギュォォォォォォォォ!!!!!!!

 

それに伴い、化け物が口を開くように茨の籠を開いた

籠の中は棘のような触手が蠢いている

 

ブラッドハウンド ― 警察犬 - を殺す方法を知っているだろうか?

銃やナイフを使う?

狡猾な犬は銃やナイフを狙いをつける前に、武器を持つその手を噛むだろう

距離を離して銃で狙っても、難なく警察犬はその身を躱す

そして距離を詰めて噛みつく

根本的に「人間」の常識が通じない存在なのだ

ではどうするか?

それは・・・・

 

 

「消えろぉぉぉぉぉぉ!」

 

サキが乗馬鞭を振り下ろした

青白い雷が化け物の籠を貫く

 

 

警察犬にワザと噛ませて、その舌を掴んで水に沈める

そうすれば、口を閉じることもできずに犬は溺れ死ぬ

野生の動物にとって、牙や爪は最大の武器であると同時に最大の弱点でもあるのだ

そう、この「魔女」にとっても・・・・

 

ギュォォォオォォオォォォォォォ!!!!!!!!

 

バチバチバチバチィィィィィィィ!!!

 

龍の咆哮のような雷鳴が周囲に響き渡る

そして「魔女」はすすり泣くとも取れるような、断末魔の叫び声とともに化け物は蒸発した

 

 

 

 

 




さてとお仕事お仕事
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。